会社法施行規則(法令ID:418M60000010012)は、会社法の委任事項と施行に必要な事項を定める法務省令です。法令全文とe-Govの条文を参照できます。会社の総務・法務担当者が、株主総会の準備や事業報告の記載内容を確認する際に使う規則です。この記事では総会関係書類と事業報告を中心に扱い、個別会社の機関設計の適否や計算書類の会計処理、全ての委任事項は扱いません。
2026年9月15日時点で確認した現行施行版は2024年4月1日施行版です。規則は様式を一つ示すだけのものではなく、会社の属性、議案、書類の種類に応じて必要事項を定めています。
招集の決定事項と議決権行使書面
第63条は、会社法第298条第1項第5号が法務省令に委ねる株主総会の招集決定事項を具体化しています。一定の場合の開催日時・場所を決定した理由や、書面・電磁的方法による議決権行使を採用した場合の事項が置かれています。すべての会社に全項目が同じように関係するわけではなく、条文の「場合において」という条件を確認する必要があります。
第66条は議決権行使書面の記載事項です。議案ごとの賛否欄、議決権行使の期限、株主の氏名・名称と行使できる議決権数などを定めています。複数の役員を選任する議案では各候補者について扱うなど、議案の内容と書面の構造が対応します。賛否の記載がない場合の取扱いについて定めがあるときは、その取扱いも記載事項になります。
また、同条には招集通知と議決権行使書面の間で重複する事項に関する取扱いがあります。必要事項を無条件で省略できるのではなく、同一総会の他の書類に載せていることなどが前提です。招集の決定、通知、議決権を行使する書面を一枚の案内として一括せず、どの条文がどの書類の内容を定めるかを対応させると、確認対象を整理できます。
議案ごとに異なる株主総会参考書類
第65条は株主総会参考書類の記載事項を次款の定めに結び付け、第73条が議案、取締役提出議案の提案理由、所定の報告内容の概要といった共通事項を示しています。参考書類は議決権の行使に必要な判断材料を示す書類であり、賛否を記載する議決権行使書面とは役割が違います。
第74条は取締役選任議案について、候補者の氏名、生年月日、略歴、就任承諾を得ていない場合のその旨などを定めています。社外取締役候補者については、候補者とする理由や期待される役割などの追加事項があります。候補者の紹介を自由な広報文として作るのではなく、議案の種類と候補者の属性から必要項目が導かれる構成です。
第73条は他の書面又は電磁的方法で提供する事項との重複についても規定します。その場合には、別の書面等に事項があることを明らかにするという条件が付いています。第65条第3項には、招集通知の発出後から総会前日までに修正すべき事情が生じた場合の周知方法に関する規定もあります。書類の初稿だけでなく、提供方法や修正時の扱いまで含めて規則を読む必要があります。
開催後の記録については第72条が株主総会議事録を規定します。日時・場所、議事の経過の要領と結果、所定の意見・発言の概要、出席役員等や議事録作成に係る職務を行った取締役の氏名等が対象です。書面だけでなく電磁的記録による作成も認められています。決議や報告があったとみなされる場合は第4項に別の記載事項が置かれているため、実際に開催した総会の記録と同じ項目を機械的に当てはめる構成ではありません。
事業報告と計算関係書類を区別する
第118条は、事業報告の内容として会社の状況に関する重要事項を挙げつつ、計算書類、附属明細書、連結計算書類の内容となる事項を除いています。この区分から、会社の一年間を報告する資料でも、事業報告と財務数値の書類を同じものとして扱わない構造が分かります。第118条には会社計算規則への参照もあり、両省令は役割を分けながら接続しています。
事業報告には、所定の内部体制の整備について決定・決議があるときの概要と運用状況、会社の支配に関する基本方針を定めているときの事項などが含まれます。単に期末の制度の有無を書くのではなく、運用状況の概要まで求める部分があることが特徴です。条件付きの項目なので、会社の事実関係を離れて一律に同じ文章を載せる規定ではありません。
同条は、一定の完全子会社や親会社等との取引についても条件を設けて記載事項を定めています。会社の状況に応じて項目が増えるため、前年の事業報告をそのまま継続するという確認だけでは、当該年度の条文との対応が見えません。会社法上の書類作成の根拠、施行規則の事業報告の内容、計算関係事項の規則を分けて整理することができます。
公開会社の現況・役員・株式に関する追加事項
第119条は、事業年度末に公開会社である株式会社について、現況、会社役員、役員等賠償責任保険契約、株式、新株予約権等の事項を事業報告に含める特則を置いています。この記事では条文上の「公開会社」をそのまま使い、上場会社だけを意味する言葉へ置き換えていません。対象会社の属性と基準時点が、記載範囲を決める条件になっています。
第120条の現況には、主要な事業内容、営業所・工場、使用人、主要な借入先、事業の経過と成果、設備投資等の重要事項、対処すべき課題などがあります。連結計算書類を作成する場合には企業集団の現況に関する事項とできる規定もあります。会社単体と企業集団のどちらを説明しているかを明確にして読む必要があります。
第121条は会社役員の氏名、地位・担当、報酬等や所定の契約に関する事項を扱い、第122条は株式、第123条は新株予約権等を扱います。第124条には社外役員の活動状況などの特則があります。役員欄、株式欄という紙面上の位置だけではなく、誰に関する情報か、どの年度・基準時点か、条件付きの記載かをそろえることで、条文との対応が明確になります。
事業報告に対する監査報告の対象
第129条は、監査役が事業報告とその附属明細書を受領したときに作成する監査報告の内容を定めます。監査の方法・内容、会社の状況を正しく示しているかの意見、職務遂行に関する重大な事実、必要な調査ができなかった場合の理由などを扱います。同条では計算関係書類に係る監査を除く旨が明示されているため、会計監査の報告と混同しないことが重要です。
また、監査役会設置会社の監査役に関する項目の範囲や、監査の範囲を会計に限定する定款の定めがある会社の特則もあります。後者では、通常の各号の事項に代えて、事業報告を監査する権限がないことを明らかにした監査報告を作成する構成です。「監査役がいる」という情報だけでは、同じ監査報告の内容が導かれるわけではありません。
総会関係の確認は、招集事項、議案に応じた参考書類、会社の属性に応じた事業報告、監査機関と監査範囲に応じた報告へと分けられます。会社法施行規則第1条が示す委任事項の具体化とは、このように本法の制度を実際の記載事項や提供手続へ結び付ける役割です。個別書類の名称から該当条文へ進むと、規則全体の中でも必要な範囲を絞って確認できます。
参考リンク
株主総会と事業報告の記載事項は、以下の公式条文を参照しています。