女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(法令ID:427AC0000000064)は、法令全集の条文ページとe-Gov法令検索で確認できます。2025年に公布された改正により、女性活躍推進法の期限延長や、男女間賃金差異・女性管理職比率の情報公表義務の見直しが行われ、厚生労働省は2026年4月1日施行の資料を公表しています。人事、労務、採用広報、サステナビリティ、IRに関わる担当者が確認する場面があります。この記事では制度の入口を整理し、個別企業の数値評価や改善策の妥当性判断は扱いません。
2026年4月改正の中心
厚生労働省は、2025年に公布された改正法により、女性活躍推進法の期限が10年間延長され、男女間賃金差異の情報公表義務の対象拡大などが2026年4月1日から施行されると説明しています。改正の中心は、企業が女性の活躍状況を把握し、行動計画を作り、外部に情報を公表する仕組みを強めることです。単に数値を掲載するだけでなく、状況把握、課題分析、行動計画、公表を一体で考える必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 女性活躍推進法 |
| 施行日 | 2026年4月1日 |
| 主な改正 | 男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務の拡大 |
| 主な対象 | 常時雇用する労働者数に応じた事業主 |
| 関連資料 | 厚生労働省特集ページ、リーフレット、解釈事項、データベース |
女性活躍推進法は、採用、継続就業、労働時間、管理職登用、賃金、職場風土などを横断して見る法律です。男女間賃金差異や女性管理職比率は、単独の数字として見るより、採用区分、勤続年数、雇用形態、職種、管理職候補層、長時間労働、配置転換の実態と合わせて確認します。公表義務への対応は、データ集計だけでなく、人事施策の説明責任にもつながります。
男女間賃金差異の公表
男女間賃金差異は、企業内の男女の賃金水準の違いを示す重要な情報です。厚生労働省資料では、2026年4月1日施行の改正により、男女間賃金差異の情報公表義務が拡大されることが示されています。公表にあたっては、対象となる労働者の範囲、賃金の範囲、正規・非正規の区分、算定期間、端数処理、注記の扱いを確認する必要があります。
賃金差異は、必ずしも一つの原因だけで生じるものではありません。職種構成、管理職比率、勤続年数、採用時期、時間外労働、短時間勤務、地域手当、歩合給、賞与評価など、複数の要素が関係します。公表数値が出た後は、数値の大小だけで評価するのではなく、どの構造が差異につながっているかを分析し、行動計画や社内説明につなげることが重要です。
人事実務では、集計前にデータ定義をそろえることが第一歩です。人事給与システム、勤怠、雇用形態、職種、等級、管理職区分が別々に管理されている場合、算定に必要なデータを突合できないことがあります。公表直前に慌てて集計すると、修正や説明が難しくなるため、年度終了前からデータ項目と責任部署を確認しておく必要があります。
女性管理職比率の公表
改正では、女性管理職比率の公表も重要な論点です。厚生労働省の資料では、男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務が拡大されることが示されています。管理職比率は、採用後の育成、配置、評価、昇進、登用の仕組みがどのように機能しているかを示す指標として扱われます。公表対象となる企業は、管理職の定義、対象者、算定時点を正確に確認する必要があります。
女性管理職比率を集計するときは、役職名だけで判断すると誤りが生じやすくなります。厚生労働省は、女性活躍推進法における管理職の定義に関する解釈事項も公表しています。企業ごとに課長、マネージャー、リーダー、専門職、店長、拠点長など名称が異なるため、法律・省令・通達上の定義に照らして、どの範囲を管理的地位にある労働者として扱うかを整理します。
管理職比率は、短期的に大きく変えることが難しい場合があります。そのため、現在の管理職比率だけでなく、候補者層、係長級、研修受講者、評価分布、育児・介護との両立支援、転勤・長時間労働慣行、採用時の職種別男女比も確認します。公表は外部向けの義務であると同時に、社内の人材育成や登用プロセスを点検するきっかけになります。
対象企業と初回公表時期
厚生労働省資料では、常用労働者数301人以上の事業主、101人から300人の事業主について、公表項目の拡大が示されています。301人以上の企業では、男女間賃金差異および女性管理職比率に加えて、一定の項目を公表する形になります。101人から300人の企業でも、男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が関係するため、これまでより準備範囲が広がります。
初回公表時期については、厚生労働省資料で、改正法の施行後に最初に終了する事業年度に関する実績について、おおむね令和9年6月末までに公表する旨が案内されています。企業の決算期によって準備時期が異なるため、自社の事業年度終了日、集計可能時期、取締役会・経営会議での確認、ウェブ掲載やデータベース登録の期限を逆算します。
対象企業の判定では、常時雇用する労働者数を確認します。正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイト、出向者など、法令上の扱いを確認する必要があります。グループ会社で人事制度を共通化している場合でも、事業主単位の義務として扱う部分があるため、会社ごとに対象判定、行動計画、公表内容を整理します。
公表場所とデータベース
厚生労働省は、女性の活躍推進企業データベースを運営しており、企業の女性活躍に関する情報公表の場として案内しています。公表は、自社ウェブサイト、採用ページ、統合報告書、サステナビリティページなどでも行われることがありますが、法令上求められる公表項目と、任意の広報表現を分けることが重要です。採用広報で見栄えを整える前に、根拠データと算定方法を確認する必要があります。
公表文には、数値だけでなく補足説明を添える場合があります。例えば、職種構成や勤続年数の差、管理職候補層の育成状況、行動計画の取組、今後の目標を説明することが考えられます。ただし、補足説明が事実に基づかない印象操作にならないよう、集計根拠と社内施策を結びつけて記載することが大切です。
公表後は、求職者、従業員、投資家、取引先から質問を受ける可能性があります。人事部門だけで回答するのではなく、広報、IR、法務、経営企画と連携し、数値の意味、改善計画、過去との比較、他制度との関係を説明できるようにします。女性活躍推進法の公表は、人的資本開示やサステナビリティ情報とも重なるため、開示資料間の整合性も確認します。
参考リンク
女性活躍推進法改正を確認するときは、厚生労働省の特集ページ、2026年4月施行リーフレット、解釈事項、女性の活躍推進企業データベースを合わせて確認してください。