人事院規則一〇―四(職員の保健及び安全保持)(法令ID:348RJNJ10004000)は、職員の健康・安全を守る基準と実施体制を定めます。法令全集e-Gov法令検索で確認できます。官庁の人事・健康管理担当者や職員が、健康診断や職場の危害防止の仕組みを調べる際に参照します。本記事は管理体制と措置の関係を扱い、個人の診断や勤務適性は判断しません。2026年9月15日時点について、2025年4月1日施行版を確認しています。

健康管理者・安全管理者・健康管理医の分担

第5条・第6条は、人事院が定める組織区分等ごとに健康管理者と安全管理者を指名することを定めます。健康面の管理と、作業・設備等の安全面の管理を分けた体制です。

第7条は、それぞれの事務を補助する健康管理担当者・安全管理担当者を置き、第9条は医師である健康管理医を置く仕組みを定めます。組織内で管理事務を担う者と、医学的な判断に関わる者は同じ名称ではありません。野外実験等については第8条に特別の体制、一定の危険業務については第10条に危害防止主任者の規定があります。

第12条は健康安全管理規程の作成と職員への周知を定めます。第13条の教育、第14条の職員の意見を聞く措置も管理体制の一部です。担当者の指名だけでなく、規程、教育、意見反映までを組み合わせ、職員がどのように健康・安全の措置を受けるかを組織として定めることが求められています。

勤務環境と危険・有害業務への対策

第15条は換気、照明、保温、防湿、清潔保持、感染の予防等の措置を定めます。医師の診察だけで健康管理を行うのではなく、職員が勤務する環境そのものも対象です。

第16条では別表に掲げる特定有害業務について、作業場所と従事する職員に健康障害防止措置を講じます。第17条は潜水作業等の継続作業制限、第18条は中高年齢職員等の配置や業務遂行方法における心身の条件への配慮を定めます。業務や職員の条件によって措置が変わるため、一般的な執務室の管理だけでは規則全体を説明できません。

第28条は機械・器具、爆発性・引火性の物、電気・熱、掘削等の作業方法、墜落や土砂崩壊等による危険への措置を定めています。設備の状態だけでなく職員の作業行動に起因する災害も対象です。具体的措置の多くは人事院がさらに定めるため、本規則は危険源ごとに何を管理するかという制度の入口になります。

健康診断の種類と事後措置

第19条から第21条は採用時等、定期、臨時の健康診断を分けます。定期健診を受けることだけで、すべての健康確認が終わる規定ではありません。

第20条では一般定期健康診断に加え、業務に応じた健康診断を規定しています。対象となる非常勤職員の扱いなどには人事院への委任があります。健診の結果、健康に異常またはそのおそれがあるとされた職員について、第23条は医師の意見書と職務内容・勤務強度等の資料を健康管理医に提示し、指導区分の決定を受けることを定めます。

第24条は、その区分に応じて別表の基準に従った事後措置を取ることを求めます。検査結果だけでなく実際の業務条件を提示する点が重要です。病名から機械的に勤務内容が決まる仕組みとしてではなく、医学的な意見と職務に関する資料を結び付けて措置を決める制度として読む必要があります。

心理的負担の検査と本人の同意

第22条の4は、心理的な負担の程度を把握する検査を受ける機会を与えることを定めます。職員の結果を管理者が当然に取得できるという規定ではありません。

検査結果は実施した医師等から本人へ通知されるようにし、各省各庁の長は、結果の通知を受けた本人の同意をあらかじめ得ずに医師等から結果の提供を受けてはならないとされています。検査の実施と、個人の結果の共有を別の段階として扱っている点が特徴です。

人事院が定める要件に該当する職員から面接指導を希望する申出があれば、面接指導を行うことを定め、その申出を理由にした不利益取扱いを禁止しています。検査、結果通知、本人の申出、面接指導、必要な措置という流れの中で、誰が情報を持ち、何を契機に次へ進むかが明確にされています。本人の同意に関する規定は、その後の健康管理記録にも関係します。

記録の活用・異動時の移管・保存

第25条は、健診や面接指導の結果、指導区分、事後措置等を職員ごとに記録し、健康管理の指導に活用することを定めます。心理的負担の検査結果は、本人の同意を得て提供を受けたものに限られます。

各省各庁の長が異なる異動では、記録を異動先に移管する規定があります。健康管理は所属が変わるたびに完全に切り離されるのではなく、必要な履歴を引き継ぐ仕組みです。保存は原則として離職日から5年間ですが、石綿等の業務に従事した者については別の長期保存期間が置かれています。

このため、記録を一律に同じ期限で廃棄するのではなく、過去に従事した業務との関係を確認する必要があります。第26条には一定の有害業務から離れる際の健康管理手帳、第27条には人事院への実施結果等の報告があります。現職中の一回の検査にとどまらず、異動・離職や業務歴まで含めて健康保持を扱う点に、この規則の広がりがあります。

勤務時間を記録し面接指導と勤務上の措置につなぐ

第22条の2は、勤務時間の状況等に応じた面接指導を定めています。対象には、人事院が定める勤務時間上の要件に該当する職員と、所定の要件に該当し面接指導を希望する旨を申し出た職員という区分があります。すべての職員について本人の申出が必要という規定でも、時間数だけで対象が一律に決まるという規定でもありません。

各省各庁の長は、面接指導を実施するために、勤務時間の状況に関する所定の事項を記録します。面接を行った後は、健康を保持するために必要な措置について医師の意見を聴き、その意見と職員の実情を考慮して適切な措置を講じます。時間の記録、面接、医師の意見、職場での対応をつなぐ規定になっています。

第22条の3には、面接指導の対象職員以外でも、健康への配慮が必要な者について措置を講ずる努力義務があります。定期健康診断や心理的負担の検査とは別に、勤務時間等を手掛かりに健康状態を把握する仕組みです。規則本文は対象区分と措置の流れを定め、具体的な要件は人事院の定める内容と組み合わせて確認します。

危険が迫る業務の中断と災害の報告を定める

第29条は、職員に対する災害発生の危険が切迫したとき、業務の中断や退避など適切な措置を講じることを求めています。場所や業務の性質に応じた対応を想定し、これを円滑に行えるよう設備の整備や訓練も必要としています。事故後の治療や補償だけではなく、危険な状況から職員を離す段階を規律する条項です。

第30条は、危害のおそれの多い業務について、所定の免許・資格を持つ職員に従事させることや、特別の教育を行うことを定めています。一般的な健康安全教育に加え、業務の危険性に対応した資格・教育を求める制度です。配置する職員の適格性と、危険が生じた場合の中断・退避は、別の段階の安全措置として組み合わされています。

第35条は、死亡災害、同一原因による複数人の負傷等、重大な火災・破裂事故などについて人事院への報告を定めています。さらに、年度の災害発生状況の報告もあります。緊急時の措置、重大事象ごとの報告、年度単位の把握を区別することで、その場の対応だけでなく、職場全体の安全管理へ情報を反映する構成を確認できます。

参考リンク

管理体制は第5条から第14条、勤務環境等は第15条から第18条・第28条、健診と記録は第19条から第27条を参照しています。