乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(法令ID:326M50000100052)は、乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品について、成分規格や製造・保存の方法の基準を定める命令です。条文全文は法令全集の乳及び乳製品の成分規格等に関する命令ページまたはe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/)で無料で閲覧できます。
牛乳・乳製品は食品衛生上の重要品目であり、食品衛生法に基づく成分規格・製造基準・保存基準の設定が義務づけられています。乳等命令は、乳・乳製品の種類ごとに詳細な規格基準を別表で定める命令であり、食品製造業者・販売業者・行政機関が製品の適合性を確認する際の根拠法令として位置づけられています。
この記事では、乳等命令の基本情報、食品衛生制度における位置づけ、条文・別表の構成、各規定の確認ポイントを整理します。個別製品の分類や規格適合性を判断するものではありません。
基本情報
この命令は、昭和26年(1951年)厚生省令第52号として定められた法令です。消費者庁の資料では「乳等命令」と略称されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 乳及び乳製品の成分規格等に関する命令 |
| 法令番号 | 昭和二十六年厚生省令第五十二号 |
| 法令ID | 326M50000100052 |
| 制定年 | 1951年 |
| 主な分野 | 食品衛生、乳、乳製品、成分規格、製造・保存基準 |
第1条は、乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品に関し、食品衛生法に基づく成分規格および製造等の方法の基準の要領について、この命令の定めるところによるとしています。
食品衛生制度における位置づけ
乳及び乳製品に関する食品衛生上の規制は、食品衛生法を頂点とする法体系の中で定められています。乳等命令の位置づけを理解するには、この法体系の構造を確認することが助けになります。
食品衛生法は、食品・添加物・器具・容器包装に関する安全性の基準設定、規格基準違反品の販売禁止などの基本的な枠組みを定めています。食品衛生法の委任に基づき、乳等命令はとりわけ乳及び乳製品に特有の成分規格・製造基準・保存基準を規定しています。一般の食品に適用される食品衛生法上の基準に加え、乳等命令は乳製品特有の詳細な品質基準を定める形で機能しています。
| 法令の種類 | 主な役割 |
|---|---|
| 食品衛生法(法律) | 食品の安全性確保のための基本制度 |
| 乳及び乳製品の成分規格等に関する命令 | 乳・乳製品の成分規格・製造保存基準 |
| 食品表示法・食品表示基準 | 乳・乳製品の表示に関する基準 |
| 関連通知・ガイドライン | 規格基準の運用解釈・個別品目の取り扱い |
乳等命令を確認する際は、食品衛生法の成分規格・製造基準に関する条文との対応関係を把握した上で、命令本文・別表・関連通知の順に確認することが基本的なアプローチになります。
定義・別表・承認手続を分ける
乳等命令は、本文の条数は多くありませんが、定義と別表が重要です。実際の規格や基準は、別表で詳細に定められています。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 第1条 | 食品衛生法に基づく成分規格・製造等の方法の基準の位置づけ |
| 第2条 | 乳、乳製品、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料などの定義 |
| 第3条 | 成分規格および製造等の方法の基準を別表で定めること |
| 別表 | 乳等の成分規格、製造・調理・保存の方法、試験法など |
| 附則 | 施行期日、改正時の経過措置等 |
この命令を調べるときは、第2条の定義と、第3条から参照される別表をセットで確認する必要があります。
乳と乳製品の定義
第2条は、乳や乳製品に関する用語を細かく定義しています。製品名が似ていても、条文上の分類が異なる場合があります。
乳
第2条は、「乳」について、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、生水牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳をいうと定めています。
牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳などは、それぞれ別の項で定義されています。表示や規格を確認する際は、対象製品がどの定義に当たるかをまず確認する必要があります。特別牛乳は、特別牛乳搾取処理業の許可を受けた施設で搾取・処理されたものであり、通常の牛乳とは別の規格が設けられています。山羊乳・めん羊乳・水牛乳についても、それぞれ命令上の定義に従って区分されます。
乳製品
第2条は、「乳製品」について、クリーム、バター、チーズ、濃縮乳、練乳、粉乳、調製粉乳、調製液状乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料などを列挙しています。
クリーム、バター、ナチュラルチーズ、プロセスチーズはそれぞれ乳等命令上の定義に基づく区分があります。調製粉乳は乳幼児向けの調整を加えた粉乳であり、調製液状乳は液状のものです。
発酵乳や乳酸菌飲料、乳飲料も定義されています。食品表示や衛生基準の確認では、食品表示法や関連通知もあわせて参照されることがあります。
発酵乳・乳酸菌飲料・乳飲料
発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料は、一般消費者にとって類似した製品に見える場合がありますが、乳等命令上は別の定義に基づく区分として扱われます。
発酵乳は、乳または乳製品を乳酸菌または酵母で発酵させ、糊状または液状にしたものをいいます。乳等命令の別表では、発酵乳の成分規格として乳酸菌数や大腸菌群に関する基準が設けられています。
乳酸菌飲料は、乳等を乳酸菌で発酵させたものを主原料として製造した飲料であり、無脂乳固形分の含量によって成分規格の扱いが異なります。
乳飲料は、生乳、牛乳または特別牛乳を主原料として、乳製品以外の食品を加えたものをいいます。コーヒーや果汁を加えたものが含まれますが、「牛乳」の名称は使用できず、「乳飲料」として表示されます。発酵乳・乳酸菌飲料・乳飲料の区分は食品表示とも連動しているため、製品の分類と表示の両方を確認することが重要です。
成分規格と製造・保存基準
第3条は、乳等に関する成分規格および製造等の方法の基準を別表に定めるとしています。本文だけではなく、別表の確認が欠かせません。
別表では、乳等一般、乳、乳製品、製造・調理・保存の方法、試験法などに関する規格や基準が置かれています。対象となる食品の種類によって、確認すべき箇所が変わります。
成分規格は、製品に含まれる成分の量(脂肪分、無脂乳固形分、細菌数、大腸菌群等)の基準を定めるものです。製造の方法の基準は、加熱殺菌の温度・時間、容器包装への充填条件などを定めるものです。保存の方法の基準は、製品の保管温度や条件を定めるものです。これら三つの観点をセットで確認することで、製品ごとの規格適合性の確認ポイントを整理しやすくなります。
厚生労働省の令和6年3月19日通知では、常温保存可能品や充填後殺菌製品に関する規格基準の設定など、乳等省令関係の改正内容が示されています。
最近の改正動向
乳等命令は、制定後に食品衛生上の技術的知見の進展や製品形態の変化に対応して改正が重ねられています。近年の改正では、常温保存可能品・充填後殺菌製品に関する規格基準の整備が進められています。
令和6年(2024年)3月に厚生労働省から発出された通知では、充填後殺菌の製品や常温保存可能な乳製品に関する規格基準の新設・変更が示されています。この改正は、常温流通が可能な乳製品の安全基準を整備する観点から行われたものであり、乳等命令の別表の内容が更新されています。
改正内容は、施行・適用の時点に応じて確認が必要です。改正前後で適用される規格が異なる場合があるため、厚生労働省・消費者庁の通知や改正省令の内容をあわせて確認することが重要です。
大臣承認手続との関係
消費者庁は、乳等命令に基づく大臣承認手続について案内しています。調製粉乳・調製液状乳に使用する原材料の種類や混合割合、練乳・粉乳等に使用する添加物に関する承認手続が対象として示されています。
このような承認手続は、命令本文や別表だけでなく、消費者庁の通知、様式、承認リストとあわせて確認する必要があります。承認を受けた原材料や添加物については、消費者庁が承認リストを公表しており、すでに承認済みのものは再度の申請が不要な場合があります。承認申請の対象、添付すべき書類、審査の基準などは、消費者庁の最新の案内を確認してください。
製品分類と表示資料を照合する
乳等命令を確認するときは、製品名だけで判断せず、第2条の定義、別表の成分規格、製造・保存方法、試験法、関連通知を順に照合します。牛乳、成分調整牛乳、加工乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料は、一般の販売名が似ていても命令上の分類が異なることがあります。最初に対象製品の原材料、無脂乳固形分、乳脂肪分、発酵の有無、殺菌方法、保存方法を確認し、どの定義に当たるかを整理します。
第3条は成分規格と製造等の方法の基準を別表に委ねているため、本文と別表を一体で読む必要があります。別表では細菌数、大腸菌群、乳酸菌数、加熱殺菌条件、容器包装、保存温度などが製品区分ごとに定められています。さらに食品表示法・食品表示基準は、製品名、種類別名称、原材料名、保存方法、賞味期限などの表示確認で参照します。規格適合性と表示適合性は別の観点ですが、同じ製品資料をもとに並行して確認されることが多い分野です。
調製粉乳、調製液状乳、練乳・粉乳等に関する大臣承認手続では、消費者庁の最新案内、様式、承認リストを確認します。個別製品がどの分類に当たるか、どの規格や承認手続が必要かは、成分、製造方法、表示、販売形態、改正後の適用時期によって変わる場合があります。この記事は制度と条文の読み方を整理するものであり、実務上の判断が必要な場合は、所管行政庁、保健所、食品衛生の専門家、弁護士等による確認が必要です。
参考リンク
この記事は、以下の公式資料等を参照して作成しています。