動物の愛護及び管理に関する法律(法令ID:348AC1000000105)は、動物の虐待や遺棄の防止、動物の適正な取扱い、動物による人の生命・身体・財産への侵害や生活環境上の支障の防止などについて定める法律です。条文全文は法令全集の動物愛護管理法ページまたはe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/)で無料で閲覧できます。

この記事では、同法の条文構成と確認ポイントを整理します。個別の飼養状況が虐待、遺棄、法令違反に当たるかを判断するものではありません。

動物愛護管理法は、令和元年(2019年)に大幅に改正されました。主な改正内容として、動物虐待に対する罰則の強化(法定刑の引上げ)、ブリーダー・ペットショップ等が販売する犬猫へのマイクロチップ装着・登録の義務化(令和4年6月施行)、一定規模以下の業者への第二種動物取扱業届出制の創設、飼養管理基準の法制化などが挙げられます。同法は、環境省の動物愛護管理施策の中心となる法律であり、施行令・施行規則・省令・環境省告示と一体で読む必要があります。

基本情報

動物愛護管理法は、昭和48年(1973年)法律第105号として制定された法律です。環境省は、同法について、昭和48年に議員立法で制定され、平成11年、平成17年、平成24年、令和元年に主たる法改正が行われていると説明しています。

項目内容
略称動物愛護管理法
正式名称動物の愛護及び管理に関する法律
法令番号昭和四十八年法律第百五号
法令ID348AC1000000105
制定年1973年
主な分野動物の愛護、適正飼養、動物取扱業、犬猫の登録、特定動物、罰則

第1条は、動物の虐待や遺棄の防止、動物の健康と安全の保持、動物による人の生命・身体・財産への侵害や生活環境上の支障の防止などを定め、人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的としています。

条文構成

動物愛護管理法は、総則、基本指針等、動物の適正な取扱い、都道府県等の措置、犬猫の登録、雑則、罰則などで構成されています。飼い主、事業者、行政、登録制度、罰則がひとつの法律に含まれています。

主な内容
第一章 総則目的、基本原則、普及啓発、動物愛護週間
第二章 基本指針等環境大臣の基本指針、都道府県の推進計画
第三章 動物の適正な取扱い所有者等の責務、動物取扱業、周辺生活環境、特定動物、犬猫の引取り等
第四章 都道府県等の措置等動物愛護管理センター、動物愛護管理担当職員等
第四章の三 犬及び猫の登録マイクロチップ装着、登録、変更届、登録関係事務
第五章 雑則動物を殺す場合の方法、経過措置等
第六章 罰則愛護動物の殺傷、虐待、遺棄、無登録営業等に関する罰則

条文を読むときは、どの立場の規定かを先に分けると整理しやすくなります。飼い主等の責務、動物取扱業者の規制、行政の措置、罰則では確認する条文が異なります。

基本原則と動物愛護週間

第一章は、法律全体の目的と基本原則を定めています。動物を命あるものとして扱う考え方と、人と動物の共生に配慮した適正な取扱いが入口になります。

第2条は、動物が命あるものであることにかんがみ、みだりに殺し、傷つけ、または苦しめることのないようにすること、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うことを定めています。

第4条は、動物愛護週間を設け、期間を9月20日から9月26日までと定めています。環境省の概要ページでも、国と地方公共団体が動物愛護週間の趣旨にふさわしい行事を実施すると説明されています。

第6条は、環境大臣が動物の愛護及び管理に関する施策を推進するための基本指針を定めることを規定しています。第7条の2以下には、都道府県が基本指針に即して動物愛護管理推進計画を定めることに関する規定が置かれています。国・地方公共団体・飼い主・関連事業者のそれぞれが担う役割について、第一章の基本規定を通じて確認することが、法律全体を読む第一歩となります。

飼い主等の責務

第7条は、動物の所有者または占有者の責務を定めています。飼い主だけでなく、動物を現に管理している者の責務を確認するうえで重要な条文です。

同条は、動物の種類や習性等に応じて適正に飼養または保管し、動物の健康と安全を保持するよう努めることを定めています。また、動物が人の生命、身体、財産に害を加えたり、生活環境上の支障や迷惑を及ぼしたりしないよう努めることも定めています。

さらに、感染性疾病に関する知識、逸走防止、終生飼養、繁殖に関する適切な措置、所有明示なども規定されています。具体的な飼養方法は、動物の種類、地域の条例、環境省基準、自治体の案内などもあわせて確認します。

所有明示については、犬・猫の迷子札・鑑札・マイクロチップなど、動物が自己の所有に係るものであることを明らかにする措置が努力義務として求められています。また、多頭飼育に伴い生活環境が悪化する「多頭飼育崩壊」への対応は近年の政策課題であり、第7条の責務規定・第25条の行政指導・第25条の2の特定動物規制と合わせて関係する場合があります。

動物取扱業の規制

第三章には、第一種動物取扱業者と第二種動物取扱業者に関する規定があります。販売、保管、貸出し、訓練、展示などの取扱いを業として行う場合に関係します。

第10条は、第一種動物取扱業を営もうとする者について、事業所所在地を管轄する都道府県知事等の登録を受けなければならないと定めています。第18条には標識の掲示、第19条には登録の取消し等、第21条には基準遵守義務が置かれています。

第二種動物取扱業については、第24条の2の2以下に届出制度が置かれています。届出の要否や具体的な手続は、取り扱う動物の種類、数、施設、事業内容、自治体の運用に関係するため、条文と環境省令、自治体の窓口資料をあわせて確認します。

第一種動物取扱業者は、動物取扱責任者を選任する義務(第22条)があります。動物取扱責任者は一定の資格要件を満たす必要があり、都道府県等が定期的に実施する動物取扱責任者研修への参加義務もあります。第21条の飼養管理基準遵守義務に関しては、環境省令「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」が詳細を定めており、業態別の具体的な基準の確認が求められます。

周辺生活環境と特定動物

動物愛護管理法は、動物の愛護だけでなく、動物による生活環境上の支障や危害の防止も扱います。第25条以下は、周辺生活環境の保全や特定動物に関する規定を置いています。

第25条は、動物の飼養、保管、給餌、給水に起因した騒音、悪臭、動物の毛の飛散、多数の昆虫の発生等により、周辺の生活環境が損なわれている事態に対する指導、助言、勧告、命令を定めています。

第25条の2は、特定動物の飼養または保管の禁止を定めています。特定動物の範囲や例外、飼養施設の基準などは、施行令、施行規則、環境省告示などもあわせて確認する必要があります。

特定動物は、人の生命、身体、または財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定められており、ニシキヘビ・ワニ・毒ヘビ・大型ネコ科動物(ライオン・トラ等)・クマなどが含まれます。飼養または保管が例外的に認められる場合でも、都道府県知事等の許可を受け、飼養施設の基準を満たすことが求められます。令和元年改正により、令和2年6月以降は愛玩目的での特定動物の飼養・保管が原則禁止となっているため、改正施行日を踏まえた条文確認が必要です。

犬猫の登録とマイクロチップ

第四章の三は、犬と猫の登録に関する規定です。令和元年改正により、販売される犬と猫のマイクロチップ装着や所有者情報の登録等が制度化されています。

第39条の2は、犬猫等販売業者が犬または猫を取得した場合のマイクロチップ装着について定めています。一方、犬猫等販売業者以外の犬または猫の所有者については、所有する犬または猫にマイクロチップを装着するよう努めなければならないとされています。

第39条の5以下には、登録、登録証明書、変更届などの規定があります。実際の登録手続や変更届の方法は、環境省や指定登録機関の案内を確認します。

マイクロチップ装着・登録の義務化は令和4年(2022年)6月1日に施行されました。ブリーダー・ペットショップ等の犬猫等販売業者は、犬または猫にマイクロチップを装着し指定登録機関(一般社団法人日本獣医師会が運営するデータベース等)に登録することが義務付けられています。一方、令和4年6月1日以降に新たに犬猫を取得する一般飼い主(販売業者以外)については、マイクロチップ装着・登録は努力義務とされています。既にマイクロチップが装着された犬猫を購入・譲受した場合は、所有者情報の変更登録が必要です。

虐待・遺棄と罰則

第六章は罰則を定めています。愛護動物の殺傷、虐待、遺棄、無登録での第一種動物取扱業、特定動物の飼養保管規制違反など、複数の罰則が置かれています。

第44条は、愛護動物をみだりに殺し、または傷つけた者に関する罰則、愛護動物に対する虐待に関する罰則、愛護動物を遺棄した者に関する罰則を定めています。

同条でいう愛護動物には、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるのほか、人が占有している一定の動物が含まれます。個別の行為が虐待や遺棄に該当するかは、条文、事実関係、関係機関の判断を踏まえて確認する必要があります。

令和元年改正では、愛護動物の殺傷に関する法定刑が引き上げられ、5年以下の懲役または500万円以下の罰金(改正前は2年以下懲役・200万円以下罰金)となりました。虐待・遺棄については1年以下の懲役または100万円以下の罰金(改正前は50万円以下罰金)とされています。また、無登録での第一種動物取扱業の経営、特定動物の無許可飼養保管なども罰則の対象とされています。なお、愛護動物以外の野生動物や魚類等については本条の適用外であり、鳥獣保護管理法など別の法令が関係する場合があります。

関連法令・基準を確認する

動物愛護管理法を読むときは、法律だけでなく、施行令、施行規則、環境省令、告示、自治体の条例や窓口資料をあわせて確認する場面があります。特に事業者規制や特定動物、犬猫の登録では下位法令が重要です。

環境省の「法令・基準等」ページでは、動物愛護管理法、施行令、施行規則、第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理方法等の基準を定める省令などが案内されています。

また、ペットフードの安全確保については、愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律など別の法令も関係します。調べたいテーマに応じて、どの法令を参照するかを分けて確認します。

都道府県の条例も、動物愛護管理法に基づく規制を補完する重要な法規範です。自治体によっては、法律・省令の基準より厳しい飼養管理基準や届出要件を条例で定めている場合があり、事業者規制や多頭飼育の適正化に関して自治体独自の施策が展開されています。動物愛護管理法の適用に疑問がある場合は、居住地または事業所の都道府県・政令市の動物愛護管理担当部局(動物愛護センター等)に確認することが適切です。

読むときの注意点

動物愛護管理法は、飼養管理、事業者規制、行政措置、刑事罰を含む法律です。条文を読むことと、具体的な行為が違反や虐待に当たるかを判断することは別です。

具体的な飼養状況、事業者登録、通報、行政指導、刑事手続などについて判断が必要な場合は、都道府県等の動物愛護管理担当部局、行政庁、弁護士等の専門家に確認してください。

この記事は条文構成の案内であり、個別の虐待該当性、違反の有無、登録・届出要否、刑事責任の有無を判断するものではありません。

動物愛護管理法は令和元年改正により大幅に変わっており、マイクロチップ義務化(令和4年6月施行)・特定動物の愛玩目的飼養禁止(令和2年6月施行)・罰則強化(令和2年6月施行)など、施行日が条文ごとに異なります。参照する際は、対象の行為が行われた時期に対応する施行済みの条文を確認することが重要です。環境省ウェブサイトには改正の概要・施行日・Q&Aが掲載されており、改正内容の把握に活用できます。

参考リンク

この記事では、以下の公式・公的情報を参照しました。

動物愛護管理法の施行令・施行規則・省令・告示は、e-Gov法令検索で確認できます。環境省ウェブサイトでは、法改正の経緯・施行日・Q&A・事業者向け手引きなどが公表されています。動物取扱業の登録・届出や特定動物の許可申請については、都道府県または政令市の動物愛護管理担当窓口へ直接問い合わせることが確実な方法です。各都道府県の動物愛護センター・動物愛護相談センターは、飼い主からの相談、迷子動物の収容・引取り、譲渡などの業務も担っており、地域の動物愛護管理行政の中心機関です。