減価償却資産の耐用年数等に関する省令(法令ID:340M50000040015)は、所得税法・法人税法上の減価償却資産について、耐用年数、償却率、改定償却率、保証率などを定める省令です。条文全文は法令全集の耐用年数省令ページまたはe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/)で無料で閲覧できます。

減価償却とは、建物・機械・車両などの固定資産の取得価額を、資産の耐用期間(使用可能期間)にわたって費用として分割計上する会計・税務上の処理です。耐用年数省令は、税務上の「法定耐用年数」を一覧表形式で定めた省令であり、各資産の法定耐用年数を調べる際の公式の根拠となります。会計上の耐用年数(企業が独自に設定する使用可能期間)とは区別する必要があります。

この記事では、耐用年数省令の基本情報、条文・別表の構成、別表の見方と償却率表との関係を整理します。特定資産の耐用年数や減価償却費を判断するものではありません。

基本情報

この省令は、昭和40年(1965年)大蔵省令第15号として定められた法令です。国税庁の資料では「耐用年数省令」と呼ばれ、減価償却資産の耐用年数表や償却率表を確認する際に参照されます。制定後、税制改正に伴い耐用年数や資産区分の見直しが繰り返されており、平成20年度税制改正では機械及び装置の耐用年数区分が大幅に整理・見直されました。

項目内容
正式名称減価償却資産の耐用年数等に関する省令
法令番号昭和四十年大蔵省令第十五号
法令ID340M50000040015
制定年1965年(昭和40年)
主な分野減価償却、耐用年数、償却率、法人税、所得税

省令本文は、資産区分ごとの耐用年数や償却率を、複数の別表により定めています。本文と別表をあわせて読むことが前提になります。特に実務上頻繁に参照されるのは別表第一(建物・工具器具備品等)と別表第二(機械及び装置)であり、一つの資産がどちらの別表に属するかを確認することが最初のステップです。

耐用年数省令の法的根拠は、所得税法施行令第6条・法人税法施行令第13条等の委任規定であり、税務上の法定耐用年数はこの省令によって定まります。会計上の耐用年数(企業会計上の使用可能期間)とは区別する必要があります。

本文・別表・償却率を分ける

耐用年数省令は、本文の規定と多数の別表で構成されています。実際に参照されることが多いのは、建物、構築物、機械装置、無形減価償却資産、生物、償却率などに関する別表です。本文の条文数は多くありませんが、別表の量が多く、別表自体に法的効力があるため、省令の本文と別表を一体として確認することが重要です。

区分主な内容
本文一般の減価償却資産の耐用年数、特別な償却率、申請・承認等
別表第一機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表
別表第二機械及び装置の耐用年数表
別表第三無形減価償却資産の耐用年数表
別表第四生物の耐用年数表
別表第五・第六公害防止用、開発研究用などの減価償却資産の耐用年数表
別表第七・第八償却率、改定償却率、保証率など

資産の種類により参照する別表が異なります。たとえば、建物や工具器具備品は別表第一、機械及び装置は別表第二が問題になります。

別表第一の中では、「建物」「建物附属設備」「構築物」「工具・器具・備品」等の大区分ごとに整理し、さらに構造・細目・用途ごとに耐用年数が設定されています。別表第五(公害防止用)・別表第六(開発研究用)は、通常の耐用年数よりも短い年数が設定されており、該当する設備の減価償却を早期に行うことができます。

別表の見方

耐用年数省令では、まず対象資産がどの区分に当たるかを確認し、その区分に対応する別表を参照します。資産名だけで即断せず、構造、用途、設備の種類などを見る必要があります。耐用年数の確認においては、単に「机」「パソコン」などの名称だけでなく、その資産が有形・無形・生物のいずれに該当するか、また機械及び装置(別表第二)か否かという区分を先に判断することが基本手順です。

別表第一は、建物、建物附属設備、構築物、船舶、航空機、車両運搬具、工具、器具備品など、機械及び装置以外の有形減価償却資産を扱います。建物附属設備(電気設備・給排水設備・空調設備等)は建物本体とは別に耐用年数が定められており、建物の構造と設備の種類の組み合わせで確認します。器具備品のうちパソコン(電子計算機)の耐用年数は4年です。

別表第二は、機械及び装置の耐用年数表です。国税庁は、平成20年度税制改正において、機械及び装置を中心に資産区分が整理され、法定耐用年数が見直されたと説明しています。改正前は細分化された業種・用途別の区分が多かったものが、改正後は「食品製造業用設備」のように業種・用途ごとに統合されています。旧区分から新区分への読み替えが必要な場合は国税庁の資料を確認することが重要です。

無形減価償却資産と生物の耐用年数

耐用年数省令は、建物・機械などの有形資産だけでなく、無形減価償却資産と生物についても耐用年数を定めています。

無形減価償却資産とは、特許権・実用新案権・商標権・意匠権・営業権・ソフトウェアなどの権利・資産であり、別表第三でその耐用年数が定められています。たとえばソフトウェアは5年(複写して販売するための原本は3年)、特許権は8年、実用新案権は5年、商標権は10年などの耐用年数が設定されています。なお、存続期間の定めがある権利については、残存期間を耐用年数として認める場合があります。

生物については別表第四で耐用年数が定められています。牛・馬・豚・めん羊などの家畜、果樹(りんご・梨・ぶどう・みかん等)・花木などの植物が対象であり、畜産業・農業等において繁殖牛・果樹等を減価償却資産として計上する際に参照されます。品種・用途によって耐用年数が異なるため、別表第四の該当区分を確認することが必要です。

有形資産・無形資産・生物のいずれに該当するかの判断は、資産の法的性質・物理的性質・会計・税務上の取扱いに基づいて行います。判断に迷う場合は、国税庁の取扱通達や税務署・税理士への確認を推奨します。

償却率表との関係

耐用年数を確認した後は、取得時期や償却方法に応じて償却率表を確認する場面があります。耐用年数省令は、耐用年数だけでなく、償却率、改定償却率、保証率に関する別表も含んでいます。

旧定額法・旧定率法(平成19年3月31日以前取得)と新定額法・新定率法(平成19年4月1日以後取得)では確認すべき別表が異なります。さらに平成24年4月1日以後取得の資産については、定率法の償却率が引き下げられた(250%定率法から200%定率法へ)経緯があり、取得時期に応じた別表を参照することが重要です。別表第七・第八には、各耐用年数に対応する償却率・改定償却率・保証率が記載されています。

減価償却の方法(定額法・定率法)の選択は、法人は原則として定率法(届出で定額法に変更可)、個人事業者は原則として定額法(届出で定率法に変更可)と定められています。ただし建物・建物附属設備・無形固定資産は定額法のみが適用され、定率法を選択することはできません。

具体的な税額計算や申告処理は、所得税法、法人税法、各施行令、国税庁のタックスアンサー・通達をあわせて確認する必要があります。

中古資産の耐用年数

中古資産を取得した場合の税務上の耐用年数は、法定耐用年数(耐用年数省令の別表で定める年数)をそのまま適用することはできません。法人税法施行令第57条・所得税法施行令第130条等により、中古資産の耐用年数は法定耐用年数と異なる計算によります。

法定耐用年数の全部を経過した資産の耐用年数:法定耐用年数の20%に相当する年数。法定耐用年数の一部を経過した資産の耐用年数:法定耐用年数から経過年数を差し引いた年数に経過年数の20%を加えた年数。いずれも1年未満の端数は切り捨て、最短2年となります。

実際の中古資産の使用年数の把握が困難な場合は、見積り耐用年数(当該資産の残存使用可能期間を合理的に見積もった年数)を用いることもできます。中古資産の耐用年数の判定は個別事情による部分が大きいため、税理士等の専門家に相談することが推奨されます。

国税庁資料との関係

国税庁は、減価償却のあらまし、耐用年数等の見直しに関するQ&A、耐用年数の適用等に関する取扱通達などを公開しています。省令本文だけで判断しにくい場合、これらの公式資料が参照されます。

国税庁の「耐用年数の適用等に関する取扱通達」は、耐用年数省令の別表の解釈や資産の区分の判定に関する国税庁の考え方を示した実務上重要な資料です。具体的な資産の耐用年数区分について迷う場合、取扱通達の個別事例を参照することで方向性を確認できます。

国税庁のタックスアンサーでは、掲載表にない減価償却資産の耐用年数や償却率について、財務省令の別表を参照する旨が示されています。省令は、減価償却実務の根拠表として重要な位置づけにあります。

資産資料と取得時期を照合する

耐用年数省令を使うときは、対象資産の名称だけでなく、資産の構造、用途、取得時期、取得価額、取得形態、新品か中古か、資本的支出の有無を整理します。建物、建物附属設備、構築物、工具器具備品、機械及び装置、無形減価償却資産、生物では参照する別表が異なります。同じ外観や用途に見える資産でも、建物附属設備と器具備品、機械及び装置と工具器具備品など、税務上の区分が分かれる場合があります。

取得時期は償却率表の確認に関係します。平成19年4月1日以後取得の資産、平成24年4月1日以後取得の資産など、税制改正の時期によって定率法の償却率や保証率の扱いが異なるため、耐用年数だけでなく償却方法と取得日をあわせて確認します。中古資産では法定耐用年数をそのまま使わず、経過年数や見積り耐用年数に基づく計算が問題になります。少額減価償却資産、一括償却資産、中小企業者の少額減価償却資産の特例など、省令とは別の特例規定も確認対象になります。

国税庁の取扱通達、タックスアンサー、耐用年数等の見直しに関するQ&Aは、別表の読み方や資産区分を補う資料です。この記事は制度と条文の読み方を整理するものであり、特定資産の耐用年数や減価償却費を判断するものではありません。具体的な申告や会計処理では、国税庁資料、税務署、税理士等の専門家による確認が必要です。

参考リンク

この記事は、以下の公式資料等を参照して作成しています。

耐用年数省令の条文・別表は、e-Gov法令検索および法令全集(このサイトの耐用年数省令ページ)で無料で閲覧できます。個別資産の耐用年数の判断や減価償却計算については、国税庁の公式資料・取扱通達を参照するとともに、税理士等の専門家に相談することをお勧めします。