航空法(昭和27年法律第231号、法令ID:327AC0000000231)は、航空機の安全性、航空従事者の資格、航空機の運航、航空運送事業などを規律する法律です。無人航空機についても、登録や飛行のルールを設けています。航空分野の業務を学ぶ人や、航空機・ドローンの制度を調べる人が、機体と操縦者と運航の要件を区別して確認する際に参照します。この記事では主要制度の関係を説明し、特定の飛行の適法性や申請に必要な技術資料の作成方法は扱いません。条文は法令ビューアーe-Gov法令検索で確認できます。

2026年9月15日時点を基準に、2025年12月1日施行の条文を確認しています。条文には国土交通省令へ委任する事項が多く、法律上の制度と細かな運用基準を区別して読む構成です。

機体の登録と耐空証明は別の制度

第2条は、この法律でいう航空機を、人が乗って航空に使うことのできる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船などとして定義します。そのうえで、第3条以下が航空機の登録を扱います。航空機を公的に記録する制度と、航空の用に供する機体の安全性を確認する制度は、法律の中で別に設けられています。登録の手続きだけを調べても、飛行に関係する機体の要件を確認したことにはなりません。

第10条は耐空証明を定め、設計、製造過程、現状について、安全性を確保する強度・構造・性能の基準への適合を検査する仕組みを置きます。一定の航空機については騒音や発動機の排出物に関する基準も対象になります。耐空証明は、用途と運用限界を指定して行う制度であり、機体に対する単純な合格表示とは異なります。

第11条は、有効な耐空証明を受けていない航空機を航空の用に供することを原則として禁止し、証明で指定された用途・運用限界の範囲内で使用することを求めます。試験飛行などについて国土交通大臣の許可を受ける場合の例外もあります。第10条には型式証明を受けた型式などについて検査の一部を行わないことができる規定もあり、個々の機体の証明と型式に関する制度が関連します。

機体を調べる際の論点は、どの機体かを登録で識別すること、安全性などを耐空証明で確認すること、その証明の条件に沿って使うことに分かれます。この区別が、後述する操縦者の資格や運航上の規律を読む前提です。根拠は第2条・第3条第10条・第11条です。

航空従事者の技能と身体の適合を確認する

航空機そのものの安全性とは別に、航空業務を行う人についての制度が設けられています。第22条は航空従事者技能証明を定め、第23条は技能証明書の交付により証明を行うことを規定します。第24条以下では資格や技能証明の限定などを扱い、第28条は資格ごとの業務範囲を示します。資格を持っているという情報だけでなく、その資格で行える業務と限定の内容を合わせて確認する仕組みです。

第31条の航空身体検査証明は、技能証明とは別の制度です。国土交通大臣または指定を受けた医師が、身体検査基準への適合を確認して証明を行います。技能があることと、航空業務に必要な身体の状態に適合することを、異なる観点から確認しています。機体に必要な証明と人に必要な証明を分け、さらに人についても技能と身体の要件を区別すると、証明制度の関係が明確になります。

運航の章では、第65条が乗り組ませる航空従事者について規定しています。資格の章だけでなく、実際の航空機の運航に必要な乗組員の規定へつながる構成です。第70条には、アルコールや薬物の影響によって正常な運航ができないおそれがある間の航空業務を禁じる規定もあります。資格証明を取得した後の業務遂行にも、独立した安全上の規律が置かれています。

こうした条文は、操縦技術の有無だけで航空業務を説明することができない理由を示します。業務の種類、資格の範囲、身体の状態、当日の業務遂行という複数の条件が、それぞれ法制度の対象になっています。根拠は第22条以降第31条第65条です。

空港・飛行計画・事業許可が支える運航

第38条は、国土交通大臣以外の者による飛行場や航空保安施設の設置について、許可の制度を置きます。航空機が離着陸する場所や航行を支援する施設も、安全な航空の基盤として法律の対象です。航空法は機体と操縦者だけを規律するのではなく、その活動を支える施設までを扱っています。施設の管理や公共的な役割を調べる場面では、空港に関する他の法律との区別も必要になります。

実際の飛行について、第97条は飛行計画の通報と承認を定めます。計器飛行方式で、条文に掲げられた空港等から出発し、または空域を飛行する場合には、飛行計画を通報し承認を受ける仕組みです。それ以外の場合にも、省令で定める場合を除いて通報を求める規定があります。すべての飛行を同じ承認手続きで扱うのではなく、飛行方式や空域などに応じた区分になっています。

第73条の機長による指揮監督、第76条の事故等の報告なども、運航の規律を構成します。飛行前の計画だけでなく、飛行中の体制や事故が発生した場合の情報の取扱いまで規定している点が重要です。個々の証明や許可を一覧にするだけでは、運航段階の義務を捉えきれません。

さらに第100条は、航空運送事業を経営しようとする者に国土交通大臣の許可を求めます。航空機を安全に飛ばすための規律と、運送事業として経営するための規律は別の論点です。申請書には運航や整備に関する事項などを含む事業計画を記載し、資金計画などの書類を添付する構造になっています。根拠は第38条第97条第100条です。

無人航空機は登録・機体・操縦・飛行方法を分けて読む

無人航空機については、第132条の2が登録の一般的な効力を定めています。登録を受けたものでなければ航空の用に供してはならないという原則と、試験飛行の届出などの例外を置きます。ただし、登録された機体であることは、どこでも自由に飛行できることを意味する制度ではありません。飛行の空域と方法について、別の規定が設けられています。

第132条の85は、航空機の航行の安全に影響するおそれがある空域や、人・家屋の密集する地域の上空について規定します。その中では、操縦者の技能証明、機体認証、立入管理措置の有無、国土交通大臣の許可などが組み合わされています。立入管理措置は、飛行経路の下で操縦者や補助者以外の人の立入りを管理する措置です。機体の認証だけ、操縦者の証明だけで飛行の条件を説明しないことが、この条文を読む要点です。

第132条の86は飛行の方法を規定します。アルコール等の影響下での飛行の禁止、飛行前の確認、衝突の予防などの基本的な規律に加え、日中の飛行、目視による監視、人や物との距離、催し場所の上空、危険物の輸送、物件の投下などを扱います。これらには技能証明・機体認証との関係や、承認を受ける制度も規定されているため、禁止事項だけを切り出して読むと制度の全体像を失います。

無人航空機の制度は、機体の登録、機体の認証、操縦者の技能、飛行の空域、飛行の方法という別々の論点を重ねた構造です。有人の航空機の登録や航空従事者の技能証明と名称が似ていても、適用する条文を取り違えないことが重要です。根拠は第132条の2第132条の85・第132条の86です。

参考リンク

具体的な技術基準や手続きは、法律が引用する国土交通省令の事項と区別して確認できます。