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令和七年内閣府令第六十三号
公益信託に関する法律施行規則

施行日:

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公益信託に関する法律(令和六年法律第三十号)及び公益信託に関する法律施行令(令和七年政令第二百三十三号)の規定に基づき、並びに同法を実施するため、公益信託に関する法律施行規則を次のように定める。

第一章 信託行為において定める事項

第一条 公益信託に関する法律(以下「法」という。)第四条第二項第四号の内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。

委託者及び受託者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

公益信託の目的

公益事務を行う区域

公益事務の内容

信託財産の受入れ、運用、支出その他の信託財産に関する事項

受託者の職務に関する事項

公益信託事務の処理の方法に関する事項

信託管理人の職務に関する事項

信託事務年度(一年を超えないものに限る。)

公益信託の存続期間を定める場合にあっては、当該期間に関する事項

十一 受託者が二人以上ある場合にあっては、各受託者の職務に関する事項

十二 公益信託事務の一部を第三者に委託する場合(次に掲げるものを委託する場合を除く。)にあっては、その公益信託事務の委託先又は委託先の選定に係る基準及び手続並びに委託する公益信託事務の内容

信託財産の保存行為に係る事務

信託財産の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする事務

公益信託事務の処理にとって補助的な機能を有する事務

十三 公益信託の適正な運営のために不可欠なものとして合議制の機関を置く場合にあっては、当該機関の職務及び権限並びに当該機関の構成員の数、選任方法及びその任期並びに当該構成員に対する報酬の有無及び報酬の額又はその算定方法

十四 信託法(平成十八年法律第百八号)第三十一条第一項各号又は第三十二条第一項に規定する行為を行う場合にあっては、その旨及び当該行為の内容

十五 公益信託報酬を支払う場合にあっては、当該公益信託報酬に関する事項

第二章 公益信託の認可等

第一節 公益信託認可の申請等の手続

(公益信託認可の申請)

第二条 法第七条第二項の規定により公益信託認可の申請をしようとする者は、様式第一号により作成した申請書を行政庁に提出しなければならない。

2 法第七条第三項第四号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。

第四十三条各項の規定の例により作成した公益信託の設定時における信託財産に係る予定財産目録

事業計画書及び収支予算書に記載された予算の基礎となる事実を明らかにする書類

次のイ又はロに掲げる受託者の区分に応じ、それぞれイ又はロに定める受託者の固有財産に属する財産及び収入の状況を明らかにする書類
 イ 法人その他の団体である受託者 法人その他の団体の最終事業年度に係る貸借対照表及び損益計算書(最終事業年度がない場合にあっては、当該法人その他の団体の成立の日における貸借対照表)
 ロ イに掲げる受託者以外の者 当該受託者の財産及び収入の状況を明らかにする調書

前三号に掲げるもののほか、公益信託事務を処理するのに必要な経理的基礎を有することを明らかにする書類

3 法第七条第三項第六号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。 ただし、第七号に掲げる書類にあっては、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二十四条第一項の規定により有価証券報告書を提出する者若しくはこれに準ずる者又は他の法令の規定により法第九条第一号ロに掲げる者に該当しないことが明らかであると認められる者は、同号ロに該当しないことを説明した書類を添付することで足りる。

受託者及び信託管理人の氏名、生年月日、住所及び略歴を記載した書類(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地を記載した書類並びに定款、寄附行為又は規則並びに登記事項証明書)並びに本人確認書類の写し(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードの写しその他その者が本人であることを確認するに足りる書類として行政庁が適当と認めるものをいう。)

信託管理人となるべき者が就任を承諾したことを証する書類

前項各号及び前二号に掲げるもののほか、法第八条各号に掲げる基準に適合することを説明した書類

受託者が法第九条第一号イ及び第二号に該当しないことを説明した書類

信託管理人が法第九条第三号及び第四号に該当しないことを説明した書類

公益信託が法第九条第五号及び第六号に該当しないことを説明した書類

受託者の滞納処分に係る国税及び地方税の納税証明書(地方税については公益信託認可の申請をしようとする受託者が納付すべき地方税に係るものに限る。)

第一項の規定による提出について、委託者(信託法第三条第二号に掲げる方法によってする場合にあっては、遺言執行者を含む。)が承諾したことを証する書類

前各号に掲げるもののほか、行政庁が必要と認める書類

4 第二項第三号及び第四号並びに前項第三号に掲げる書類の提出は、当該書類の内容である情報について、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用を通じて公表している場合(当該情報を公表した日から一年を経過していない場合に限る。)にあっては、当該公表に係るホームページアドレス(使用する自動公衆送信装置(著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第九号の五イに規定する自動公衆送信装置をいう。)のうちその用に供する部分をインターネットにおいて識別するための文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合であって、情報の提供を受ける者がその使用に係る電子計算機に入力することによって当該情報の内容を閲覧することができるものをいう。)を記載した書類の提出をもってこれに代えることができる。

5 二以上の公益信託を引き受ける受託者が第二項第三号又は第三項第一号(受託者に係るものに限る。)に掲げる書類その他行政庁が必要と認める書類を当該公益信託のうちの一の行政庁に提出したときは、当該書類の提出をした日から起算して一年を経過する日までの間、当該提出に係る書類をもって、他の公益信託の行政庁に提出すべき書類に代えることができる。 この場合において、当該一の公益信託の行政庁と他の公益信託の行政庁が異なるときは、当該一の公益信託の行政庁はその提出を受けた当該書類を他の公益信託の行政庁に共有しなければならない。

第二節 公益信託認可の基準

(特定資産公益信託)

第三条 法第八条に規定する内閣府令で定める信託財産の要件は、次の各号のいずれにも該当することとする。

寄附により受け入れた資産が金銭であること。

金銭、預金、貯金、国債、地方債、特別の法律により法人の発行する債券、貸付信託(貸付信託法(昭和二十七年法律第百九十五号)第二条第一項に規定する貸付信託をいう。以下この号において同じ。)の受益権、合同運用信託(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第十一号に規定する合同運用信託をいい、貸付信託を除く。)の受益権その他これらに準ずるものに限られていること。

2 法第八条に規定する内閣府令で定める信託財産の支出の方法は、次の各号のいずれにも該当するものとする。

助成金の支給その他これに類する公益事務のための金銭の支給その他これに準ずる方法

公益信託の信託財産から生ずる利子その他資産の運用に係る収入に相当する額を超える額を毎信託事務年度において支出する方法

(受託者の経理的基礎及び技術的能力)

第四条 法第八条第二号に掲げる基準であって公益信託事務を適正に処理するのに必要な経理的基礎に係るものは、次の各号のいずれにも該当することとする。

当該公益信託事務を安定的かつ継続的に処理するために必要な信託財産及び固有財産が確保されていること。

当該公益信託の信託財産の分別管理及び経理が適正に行われる仕組みが整備されていること。

法第二十条第四項に規定する財産目録等の作成、備置き、閲覧等に関する公益信託事務の処理の方法が定められ、当該公益信託の信託財産の状況に係る情報を適正に開示することができる仕組みが整備されていること。

2 法第八条第二号に掲げる基準であって公益信託事務を適正に処理するのに必要な技術的能力に係るものは、次の各号のいずれにも該当することとする。

当該公益信託事務の内容に照らして当該公益信託の適正な運営を確保する仕組みが整備されていること。

当該公益信託事務を処理するのに必要な知識及び経験を有する者を関与させる仕組みが整備されていること。

当該公益信託の存続期間を通じて受託者としての任務を安定的かつ継続的に行う仕組みが整備されていること。

(信託管理人の監督能力)

第五条 法第八条第三号に掲げる基準であって受託者による公益信託事務の適正な処理のため必要な監督をするのに必要な能力に係る基準は、次の各号のいずれにも該当することとする。

当該公益信託事務の内容及び受託者の能力に照らして当該公益信託事務の適正な処理のため必要な監督をするのに必要な知識及び経験その他の能力を有すること。

当該公益信託の存続期間を通じて適正な監督を安定的かつ継続的に行う仕組みが整備されていること。

(法人が事業活動を支配する法人等)

第六条 公益信託に関する法律施行令(以下「令」という。)第一条第六号イの法人その他の団体が事業活動を支配する法人その他の団体として内閣府令で定めるものは、公益信託の委託者又は受託者である団体が他の法人の財務及び営業又は事業の方針の決定を支配している場合における当該他の法人(第三項第一号において「子法人」という。)とする。

2 令第一条第六号ロの法人その他の団体の事業活動を支配する者として内閣府令で定めるものは、一の者が公益信託の委託者又は受託者である団体の財務及び営業又は事業の方針の決定を支配している場合における当該一の者とする。

3 前二項に規定する「財務及び営業又は事業の方針の決定を支配している場合」とは、次に掲げる場合をいう。

公益信託の委託者又は受託者である団体(第一項に規定する場合に限る。)又は前項に規定する当該一の者(その者が財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する一又は二以上の法人を含む。次号において「支配法人等」という。)がそれぞれ子法人又は公益信託の委託者又は受託者である団体(前項に規定する場合に限る。)(次号において「被支配法人」という。)の意思決定機関(社員総会その他の団体の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関をいう。次号において同じ。)における議決権の過半数を有する場合

被支配法人の意思決定機関の構成員の総数に対する次に掲げる者の数の割合が百分の五十を超える場合
 イ 支配法人等の役員(支配法人等の理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。)若しくは評議員又は職員
 ロ 支配法人等によって当該構成員に選任された者
 ハ 当該構成員に就任した日前五年以内にイ又はロに掲げる者であった者

(会員に類するもの)

第七条 令第二条第二号の会員又はこれに類するもの(以下この条において「会員等」という。)として内閣府令で定める者は、特定の者から継続的に若しくは反復して資産の譲渡若しくは貸付け若しくは役務の提供を受ける者又は特定の者の行う会員等相互の支援、交流、連絡その他その対象が会員等である活動に参加する者とする。

(公益信託報酬の支払基準)

第八条 法第八条第十一号に規定する公益信託報酬の支払基準においては、公益信託報酬の額又は算定方法並びに支払の方法及び形態並びに公益信託報酬に含まれることとなる費用に関する事項を定めるものとする。

(他の団体の意思決定に関与することができる財産)

第九条 法第八条第十二号の内閣府令で定める財産は、次に掲げる財産とする。

株式

特別の法律により設立された法人の発行する出資に基づく権利

合名会社、合資会社、合同会社その他の社団法人の社員権

民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第三条第一項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利

信託契約に基づく委託者又は受益者としての権利

外国の法令に基づく財産であって、前各号に掲げる財産に類するもの

第三節 公益信託認可の変更等の手続

(警察庁長官等からの意見聴取)

第十条 行政庁は、法第十条第三号(法第十二条第六項、第二十二条第七項及び附則第十条第一項において準用する場合を含む。)の規定により警察庁長官等の意見を聴こうとするときは、あらかじめ、当該意見聴取に係る公益信託について法第九条各号に該当するか否かの調査(法第十条第一号及び第二号の規定による意見聴取を含む。)を行うものとする。

2 行政庁は、前項の調査の結果、当該公益信託について法第九条第二号ニ又は第六号に該当する疑いがあると認める場合にあっては、その理由を付して警察庁長官等の意見を聴くものとする。

(軽微な信託の変更)

第十一条 法第十二条第一項ただし書の内閣府令で定める軽微な信託の変更は、次に掲げる変更とする。

公益信託の名称の変更

受託者及び信託管理人の氏名又は住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名又は主たる事務所の所在地)の変更(受託者である法人が合併又は分割した場合における変更を除く。)

行政庁が内閣総理大臣である公益信託の公益事務を行う都道府県の区域の変更であって、当該変更後の公益事務を行う区域が二以上の都道府県の区域内であるもの

行政庁が都道府県知事である公益信託の公益事務を行う市町村の区域の変更であって、当該変更後の公益事務を行う区域が同一の都道府県の区域内であるもの

前各号に掲げるもののほか信託行為において定めた事項の変更(法第四条第二項各号に掲げるものの変更を除く。)

法第七条第二項各号に掲げる事項の変更であって、当該変更後においても引き続き法第八条各号に掲げる基準に適合することが明らかであるものとして、内閣総理大臣が定めるもの

(公益信託の変更の認可の申請)

第十二条 法第十二条第一項の変更の認可を受けようとする公益信託の受託者は、公益信託に係る信託の変更(同法第七条第二項各号に掲げる事項の変更を含む。以下同じ。)にあっては様式第二号により、新受託者又は新信託管理人の選任にあっては様式第二号の二により作成した申請書を行政庁に提出しなければならない。

2 前項の申請書には、法第七条第三項各号に掲げる書類のうち、公益信託に係る信託の変更又は新受託者若しくは新信託管理人の選任に係るもの及び次に掲げる書類(公益信託に係る信託の変更にあっては第二号に掲げるものを除く。)を添付しなければならない。

当該信託の変更又は当該選任に係る信託法の規定又は信託行為の定めに基づく合意があったことを証する書面

新受託者又は新信託管理人となるべき者が就任を承諾したことを証する書類

前二号に掲げるもののほか、行政庁が必要と認める書類

3 法第十二条第一項の変更の認可を受けた公益信託の受託者は、遅滞なく、変更後の信託行為の内容を証する書面(当該変更の認可に伴い当該書面の記載事項に変更がある場合に限る。)を行政庁に提出しなければならない。

(公益信託関係事務の引継ぎ)

第十三条 法第十三条第二項の規定による事務の引継ぎは、行政庁の変更を伴う変更の認可を受けた公益信託に係る法の規定に基づく事務(第三項第一号において「公益信託関係事務」という。)について行うものとする。

2 行政庁(次項において「変更後の行政庁」という。)は、行政庁の変更を伴う変更の認可の申請に対する処分をしたときは、直ちに、その旨を変更前の行政庁(法第二十二条第四項の認可(新規信託分割に係るものを除く。以下この項において同じ。)に際して、行政庁の変更を伴う変更の認可の申請に対する処分をした場合において、同項の認可前の各公益信託(信託の併合にあっては従前の各公益信託をいい、吸収信託分割にあっては分割信託及び承継信託をいう。)の行政庁が異なるときは、それぞれの公益信託の行政庁。次項において同じ。)に通知するものとする。

3 前項の規定により、変更の認可をした旨の通知を受けた変更前の行政庁は、次に掲げる事項を行わなければならない。

公益信託関係事務に関する帳簿及び書類(電磁的記録を含む。)を変更後の行政庁に引き継ぐこと。

その他変更後の行政庁が必要と認める事項

(公益信託の変更の届出等)

第十四条 法第十四条第一項の規定による変更の届出をしようとする受託者は、同法第十二条第一項ただし書に規定する信託法第百五十条第一項の規定による信託の変更又は第十一条に規定する軽微な信託の変更にあっては様式第三号により、同項ただし書に規定する新受託者又は新信託管理人の選任にあっては様式第三号の二により作成した届出書を行政庁に提出しなければならない。

2 前項の届出書には、法第七条第三項各号に掲げる書類のうち、信託の変更又は新受託者若しくは新信託管理人の選任に係るもの及び次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める書類を添付しなければならない。

信託法第百五十条第一項の規定による信託の変更 その変更を証する書面

法第三十一条第一項若しくは信託法第百七十三条第一項の規定による新受託者の選任又は同法第六十二条第四項(同法第百二十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定による新受託者若しくは新信託管理人の選任 その選任を証する書面

第十一条各号に掲げる軽微な信託の変更 当該信託の変更に係る信託法の規定又は信託行為の定めに基づく合意があったことを証する書面

(受託者の辞任の届出等)

第十五条 法第十五条第一項の規定による届出をしようとする公益信託の受託者は、様式第四号により作成した届出書を行政庁に提出しなければならない。

第三章 公益信託事務の処理等

第一節 計算

第一款 総則

第十六条 この節及び第三節の用語の解釈及び規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる公益信託の会計の慣行をしん酌しなければならない。

第二款 中期的収支均衡

(中期的収支均衡に関する規律)

第十七条 法第十六条第一項に規定する内閣府令で定める期間(第二十一条において「中期均衡期間」という。)は五年間とし、同項の規定により公益信託の受託者が公益信託事務を処理するに当たって当該期間に図られるようにしなければならない収支の均衡(第二十一条及び第四十条第一項第三号において「中期的収支均衡」という。)については、この款に定めるところによる。

(年度剰余額等の算定)

第十八条 公益信託の受託者は、毎信託事務年度の終了後、次項の規定により当該終了した信託事務年度(以下この款において「当該信託事務年度」という。)に生じた年度剰余額又は年度欠損額を、第三項又は第四項の規定により当該信託事務年度に係る暫定残存剰余額又は残存欠損額を、それぞれ算定するものとする。

当該信託事務年度に生じた年度剰余額は、第一号に掲げる額(以下この項において「収入額」という。)が第二号に掲げる額(以下この項において「費用額」という。)以上である場合において、収入額から費用額を控除した額とし、当該信託事務年度に生じた年度欠損額は、収入額が費用額を下回る場合において、費用額から収入額を控除した額とする。 ただし、収入額が費用額を下回る場合において、年度欠損額を零とすることができる。

次に掲げる額の合計額

  当該信託事務年度の損益計算書に計上すべき経常収益(指定純資産に係るものを除く。)の額

  当該信託事務年度の公益充実資金(第二十三条第一項に規定する公益充実資金をいう。以下この条において同じ。)の取崩額(取崩額の全部又は一部を第三十六条第三項第一号に掲げる財産(以下「公益目的保有財産」という。)に係る資産の取得又は改良に充てた場合にあっては、当該公益目的保有財産に係る資産の取得又は改良に充てた額を控除した額)

次に掲げる額の合計額

  当該信託事務年度の損益計算書に計上すべき経常費用(指定純資産に係るものを除く。)の額(公益充実資金の取崩しにより又は次条第一号に掲げる使途として取得又は改良した公益目的保有財産に係る減価償却費の額が含まれる場合には、当該減価償却費の額のうち、当該公益目的保有財産の取得又は改良に係る価額のうち当該取崩しの額又は当該使途に充てることにより解消額とした額に相当する部分の額を除く。)

  当該信託事務年度の公益充実資金の積立額

当該信託事務年度において年度剰余額が生じた場合、当該信託事務年度に係る暫定残存剰余額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額とする。

過年度残存剰余額(当該信託事務年度の前信託事務年度における当該前信託事務年度以前の各信託事務年度に係る残存剰余額をいう。以下同じ。)の合計額が零以上の場合(次号及び第三号に掲げる場合を除く。) 当該年度剰余額

過年度残存欠損額(当該信託事務年度の前信託事務年度における当該前信託事務年度以前の各信託事務年度(当該信託事務年度の開始の日前四年以内に開始した信託事務年度に限る。)に係る残存欠損額をいう。以下同じ。)の合計額が当該年度剰余額以上の場合 零

前号に掲げる場合のほか、過年度残存欠損額の合計額が零を超える場合 当該年度剰余額から当該合計額を控除した額

当該信託事務年度において年度欠損額が生じた場合、当該信託事務年度に係る残存欠損額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額とする。

過年度残存欠損額の合計額が零以上の場合(次号及び第三号に掲げる場合を除く。) 当該年度欠損額

過年度残存剰余額の合計額が当該年度欠損額以上の場合 零

前号に掲げる場合のほか、過年度残存剰余額の合計額が零を超える場合 当該年度欠損額から当該合計額を控除した額

(残存剰余額の解消)

第十九条 公益信託の受託者は、当該信託事務年度に係る暫定残存剰余額又は過年度残存剰余額(当該信託事務年度において年度欠損額が生じた場合には、当該年度欠損額を過年度残存剰余額のうち最も古い信託事務年度に係るものからその額を限度として順次控除したときに、当該過年度残存剰余額から控除することとなる額を除く。以下この条及び次条において同じ。)で零を超えるものがある場合は、その全部又は一部を次の各号に掲げる使途に充てた場合は、当該各号に定める額を当該暫定残存剰余額又は過年度残存剰余額の解消額とすることができる。

公益目的保有財産に係る資産の取得又は改良 当該公益目的保有財産の取得価額又は改良に要した額の全部又は一部

公益信託の受託者が、災害その他の公益信託事務の処理が著しく困難となる事態として内閣総理大臣が定めるものにあって、公益信託事務を処理するために必要な資金の不足(当該事態により資金の不足が生じた事業年度における年度欠損額)を補うために不可欠なものとして行った借入れ(その返済する義務が信託法第二条第九項に規定する信託財産責任負担債務となるものに限る。)に係る元本の返済 その返済に充てた信託財産の額

前二号に掲げるもののほか、当該公益信託の受託者が行う公益信託事務の内容その他の事情を勘案し、当該公益信託事務を処理するために必要不可欠であるとして行政庁の確認を得た事項 その事項に要した額

(残存剰余額等の算定)

第二十条 当該信託事務年度における当該信託事務年度前の各信託事務年度に係る残存剰余額は、過年度残存剰余額(前条の規定による解消額がある場合には、当該解消額を過年度残存剰余額のうち最も古い信託事務年度に係るものからその額を限度として順次控除したときに、当該過年度残存剰余額から控除することとなる額を除く。)とする。

当該信託事務年度に係る残存剰余額は、当該信託事務年度の暫定残存剰余額(前条の規定による解消額がある場合には、当該暫定残存剰余額から当該解消額(前項の規定により過年度残存剰余額から控除した額がある場合には、当該解消額から当該控除した額の合計額を除いた額)を控除した額)とする。

当該信託事務年度における当該信託事務年度前の各信託事務年度に係る残存欠損額は、過年度残存欠損額(当該信託事務年度において年度剰余額が生じた場合には、当該年度剰余額を過年度残存欠損額のうち最も古い信託事務年度に係るものからその額を限度として順次控除したときに、当該過年度残存欠損額から控除することとなる額を除く。)とする。

(中期的収支均衡の判定)

第二十一条 前条第一項又は第二項の規定により算定した公益信託の各信託事務年度に係る残存剰余額のうち、当該各信託事務年度の末日から中期均衡期間が経過した信託事務年度に係るものが零を超えないときは、当該公益信託における中期的収支均衡が図られているものとする。

(公益信託の併合又は分割に係る措置)

第二十二条 公益信託に係る信託の併合がされた日の属する信託事務年度において、併合後の公益信託の過年度残存剰余額又は過年度残存欠損額は、従前の各公益信託の過年度残存剰余額又は過年度残存欠損額の合計額とする。

公益信託に係る信託の分割がされた日の属する信託事務年度において、信託の分割前の公益信託の過年度残存剰余額又は過年度残存欠損額は、吸収信託分割にあっては分割信託、新規信託分割にあっては従前の公益信託の過年度残存剰余額又は過年度残存欠損額となる。 ただし、信託の分割前の公益信託の過年度残存剰余額又は過年度残存欠損額について合理的な理由があるときは、その額の全部又は一部を吸収信託分割にあっては承継信託、新規信託分割にあっては新たな公益信託の過年度残存剰余額又は過年度残存欠損額とすることができる。

(公益充実資金)

第二十三条 公益信託事務を充実させるため将来において必要となる資金(当該資金を運用することを目的として保有する財産を含む。以下「公益充実資金」という。)についての法第十六条第一項に規定する内閣府令で定める方法は、次に掲げる要件の全てを満たすものとする。

公益信託事務に係る将来の特定の事務の処理又は将来の特定の公益目的保有財産に係る資産の取得若しくは改良(以下この条及び第三十一条において「公益充実活動等」という。)に係る費用等の支出に充てるために必要な資金として積み立てられるものであること。

公益充実資金に関する次に掲げる事項を当該信託事務年度の終了後、インターネットの利用その他の適切な方法により速やかに公表していること。

  当該信託事務年度の末日における公益充実活動等ごとの内容及び実施時期

  当該信託事務年度の末日における積立限度額(公益充実活動等ごとの所要額の合計額をいう。以下この条及び第三十一条において同じ。)及びその算定根拠

  当該信託事務年度の公益充実資金の取崩額及び積立額

  当該信託事務年度の末日における公益充実資金の額

  前信託事務年度の末日における公益充実活動等ごとの内容及び実施時期、積立限度額及びその算定根拠並びに公益充実資金の額その他内閣総理大臣が必要と認める事項

公益充実資金を公益充実活動等以外の支出に充てるために取り崩す場合について特別の手続が定められていること。

当該信託事務年度の末日における公益充実資金の額が第二号ロの積立限度額以下であること。

財産目録、貸借対照表又はその附属明細書において、他の資金と明確に区分して表示されていること。

公益充実資金(この項の規定により取り崩すべきこととなったものを除く。以下この条において同じ。)を有する公益信託の受託者は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額に相当する資金を取り崩さなければならない。

当該資金の目的の支出がなされた場合 当該資金の額のうち当該支出の額に達するまでの額

正当な理由がないのに当該資金の目的とする公益充実活動等を行わない事実があった場合 その事実があった日における当該公益充実活動等に係る資金の額

前項第二号の場合にあっては、当該信託事務年度以後の各信託事務年度の末日における公益充実資金の積立限度額は、当該公益充実活動等の所要額を除いて算定しなければならない。

第三款 公益事務割合

(公益事務割合の算定)

第二十四条 法第八条第九号の公益信託事務の処理に係る費用に対する公益事務の実施に係る費用の割合として内閣府令で定めるところにより算定される割合は、第一号に掲げる額の同号及び第二号に掲げる額の合計額(以下「合計費用額」という。)に対する割合をいう。

当該信託事務年度の損益計算書に計上すべき公益事務の実施に係る事業費の額(以下「公益事務実施費用額」という。)

当該信託事務年度の損益計算書に計上すべき公益信託事務の処理に係る公益信託報酬その他の管理費の額(第三十二条において「公益信託管理費用額」という。)

(基準割合)

第二十五条 法第八条第九号の内閣府令で定める割合は、百分の七十とする。

(引当金)

第二十六条 各信託事務年度において取り崩すべきこととなった引当金勘定の金額又は取り崩した引当金勘定の金額(前信託事務年度までに既に取り崩すべきこととなったものを除く。第三十四条第一項第四号において「引当金の取崩額」という。)は、当該信託事務年度の合計費用額から控除する。

(財産の譲渡損等)

第二十七条 公益信託の受託者が信託財産を譲渡した場合には、当該譲渡に係る損失(当該財産の原価の額から対価の額を控除して得た額をいう。)は、当該公益信託の各信託事務年度の合計費用額に算入しない。

前項の規定にかかわらず、公益信託の受託者が各信託事務年度において商品(販売の目的をもって所有する土地、建物その他の不動産を含む。)又は製品を譲渡した場合には、これらの財産の原価の額を、当該信託事務年度の合計費用額に算入する。

公益信託の受託者が信託財産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の額は、当該公益信託の各信託事務年度の合計費用額に算入しない。

前三項に定めるもののほか、公益信託の受託者が信託財産を運用することにより生じた損失の額(当該財産について譲渡することとなった財産の額から当該財産について得ることとなった財産の額を控除して得た額をいう。)は、当該公益信託の各信託事務年度の合計費用額に算入しない。

(土地の使用に係る費用額)

第二十八条 公益信託の受託者が各信託事務年度の公益信託事務を処理するに当たり、信託財産に属する土地を使用した場合には、当該土地の賃借に通常要する賃料の額から当該土地の使用に当たり信託財産において実際に負担した費用の額を控除して得た額を、当該信託事務年度の合計費用額に算入することができる。

前項の規定を適用した公益信託の受託者は、正当な理由がある場合を除き、前項の規定を毎信託事務年度継続して適用しなければならない。

(融資に係る費用額)

第二十九条 公益信託の受託者は各信託事務年度において無利子又は低利の資金の貸付けがあるときは、当該貸付金につき貸付金と同額の資金を借入れをして調達した場合の利率により計算した利子の額と、当該貸付金につき当該貸付金に係る利率により計算した利子の額の差額を、当該信託事務年度の合計費用額に算入することができる。

前項の規定を適用した公益信託の受託者は、正当な理由がある場合を除き、前項の規定を毎信託事務年度継続して適用しなければならない。

(無償の役務の提供等に係る費用額)

第三十条 公益信託の受託者が各信託事務年度において無償により当該公益信託の公益信託事務に必要な役務の提供(便益の供与及び資産の譲渡を含むものとし、資産として計上すべきものを除く。以下この条において同じ。)を受けたときは、必要対価の額(当該役務の提供を受けた時における当該役務と同等の役務の提供を受けるために必要な対価の額をいう。以下この条において同じ。)を、当該信託事務年度の合計費用額に算入することができる。

公益信託の受託者が各信託事務年度において当該公益信託の公益信託事務に必要な役務に対して支払った対価の額が当該役務に係る必要対価の額に比して低いときは、当該対価の額と当該必要対価の額との差額のうち実質的に贈与又は無償の提供若しくは供与を受けたと認められる額を、当該信託事務年度の合計費用額に算入することができる。

前二項の規定を適用した公益信託の受託者は、正当な理由がある場合を除き、これらの規定を毎信託事務年度継続して適用しなければならない。

第一項又は第二項の規定を適用した公益信託の受託者は、役務の提供があった事実を証するもの及び必要対価の額の算定の根拠を記載又は記録したものを当該信託事務年度終了の日から起算して十年間、保存しなければならない。

(公益充実資金に係る調整)

第三十一条 各信託事務年度の公益充実資金の積立額に当該信託事務年度の末日における当該公益充実活動等(将来の特定の事務の処理に限る。)の所要額の合計額を乗じて同日における積立限度額で除して得た額を当該信託事務年度の公益事務実施費用額に算入する。

当該信託事務年度の公益充実資金の取崩額(公益目的保有財産の取得又は改良に充てるために取り崩した額を除く。)を当該信託事務年度の公益事務実施費用額から控除する。

(関連する費用額の配賦)

第三十二条 公益事務実施費用額と公益信託管理費用額とに関連する費用額は、適正な基準によりそれぞれの費用額に配賦しなければならない。 ただし、配賦することが困難な費用額については、公益信託管理費用額とすることができる。

第四款 使途不特定財産額の保有の制限

(公益信託事務の処理に要した費用の額に準ずる額)

第三十三条 法第十七条第一項の公益信託事務の処理に要した費用の額に準ずるものとして内閣府令で定めるものの額は、第三十一条第一項の規定により公益事務実施費用額に算入した額とする。

(使途不特定財産額の保有の上限額)

第三十四条 法第十七条第一項の内閣府令で定めるところにより算定した額(以下この条において「基準額」という。)は、当該信託事務年度の開始の日前五年以内に開始した各信託事務年度における第一号から第三号までに掲げる額の合計額から第四号から第六号までに掲げる額の合計額を控除して得た額(当該各信託事務年度のうちその期間が一年でない信託事務年度については、当該控除して得た額をその信託事務年度の月数で除し、これに十二を乗じて得た額)の一信託事務年度当たりの平均額とする。 ただし、基準額を当該信託事務年度又は当該信託事務年度の前信託事務年度における第一号から第三号までに掲げる額の合計額から第四号から第六号までに掲げる額の合計額を控除して得た額とする合理的な理由がある場合には、当該額(当該信託事務年度又は前信託事務年度が一年でない場合には、当該額をその信託事務年度の月数で除し、これに十二を乗じて得た額)を基準額とすることができる。

損益計算書に計上すべき合計費用額

前号の額のほか、第二十七条第二項の規定により合計費用額に算入することとなった額

第三十一条第一項の規定により公益事務実施費用額に算入することとなった額

第二十六条の規定により、合計費用額から控除することとなった引当金の取崩額

第一号の額のうち、第二十七条第一項、第三項又は第四項の規定により公益事務実施費用額に算入しないこととなった額

第三十一条第二項の規定により公益事務実施費用額から控除することとなった額

前項ただし書の規定の適用を受ける公益信託の受託者は、当該信託事務年度終了後に作成する第四十条第一項第五号の書類において、前項ただし書に規定する合理的な理由を記載しなければならない。

第一項の月数は、暦に応じて計算し、一月に満たないときはこれを一月とし、一月に満たない端数を生じたときは切り捨てる。

(公益信託事務継続予備財産の要件)

第三十五条 法第十七条第二項に規定する内閣府令で定める要件は、次に掲げるものとする。

当該公益信託事務の内容、信託財産及び収支の状況、災害その他の予見し難い事由の発生により想定される公益信託事務の継続が困難となる事態、当該事由が発生した場合においても公益信託事務を継続的に行うための平時の取組の状況その他の事情に鑑み、当該事由が発生した場合においても公益信託事務を継続的に行うための資金を保有する必要性があること。

前号に規定する必要性に基づき、同号に規定する事由が発生した場合においても公益信託事務を継続的に行うために必要な同号に規定する資金の限度額が算定されていること。

その合計額が、前号に規定する限度額又は当該信託事務年度の資産の額から次条第二項第一号及び第二号に掲げる額の合計額を控除して得た額のいずれか小さい方の額を超えないものであること。

(使途不特定財産額)

第三十六条 法第十七条第二項の内閣府令で定めるものの価額の合計額の算定については、この条に定めるところによる。

公益信託の各信託事務年度の使途不特定財産額は、当該信託事務年度の資産の額から次に掲げる額の合計額を控除して得た額とする。

負債の額

控除対象財産の帳簿価額の合計額から対応負債の額を控除して得た額

公益信託事務継続予備財産の額

前項第二号に規定する「控除対象財産」は、当該信託事務年度の末日における信託財産のうち次に掲げるいずれかの財産(引当金(公益信託に関する法律第三十三条第三項の規定により読み替えて適用する信託法第三十四条第一項第三号の内閣府令・法務省令で定める事項等を定める命令(令和七年内閣府・法務省令第三号。以下「命令」という。)第二十二条第二項第一号に規定する引当金をいう。)に係る支出に充てるために保有する資金を除く。)であるものをいう。

継続して公益信託事務の用に供する財産

公益充実資金

寄附その他これに類する行為によって受け入れた財産であって、当該財産を交付した者の定めた使途に充てるために保有している資金(当該資金から生じた果実を除く。以下この条及び第四十条において「指定寄附資金」という。)

指定寄附資金は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める事項について、備置き、閲覧等の措置が講じられているものでなければならない。

当該財産が広く一般に募集されたものである場合 次に掲げる事項

  広く一般に募集されたものである旨

  募集の期間

  受け入れた財産の額(当該財産が金銭以外のものである場合にあっては、当該財産の受け入れた時における価額。以下この項において同じ。)の合計額

  募集の方法

  募集に係る財産の使途として定めた内容

  ハの財産のうちに金銭以外のものがある場合には、当該金銭以外の財産(その額が重要でないものを除く。次号ホにおいて同じ。)の内容

前号以外の場合 次に掲げる事項

  当該財産を交付した者の個人又は法人その他の団体の別(当該者が国若しくは地方公共団体又はこれらの機関である場合にあっては、これらの者の名称)

  当該財産を受け入れることとなった日(当該財産が寄附により受け入れたものである場合にあっては、当該財産を受け入れた日)

  受け入れた財産の額の合計額

  当該財産を交付した者の定めた使途の内容

  ハの財産のうちに金銭以外のものがある場合には、当該金銭以外の財産の内容

指定寄附資金は、次に掲げる要件の全てを満たすものでなければならない。

当該資金の目的である活動を行うことが見込まれること。

他の資金と明確に区分して管理されていること。

当該資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないものであること又は当該場合以外の取崩しについて特別の手続が定められていること。

第二項第二号に規定する「対応負債の額」は、次に掲げる額の合計額をいう。

各控除対象財産に対応する負債の額の合計額

控除対象財産の帳簿価額の合計額から前号の額及び指定純資産の額(控除対象財産に係るものに限る。以下この条において同じ。)を控除して得た額に次のイの額のイ及びロの額の合計額に対する割合を乗じて得た額

  負債の額から引当金勘定の金額及び各資産に対応する負債の額の合計額を控除して得た額

  総資産の額から負債の額及び指定純資産の額の合計額を控除して得た額

前項の規定にかかわらず、公益信託の受託者は、前項の対応負債の額を控除対象財産の帳簿価額の合計額から指定純資産の額を控除して得た額に、第一号の額の同号及び第二号の額の合計額に対する割合を乗じて得た額とすることができる。

負債の額から引当金勘定の金額を控除して得た額

総資産の額から負債の額及び指定純資産の額の合計額を控除して得た額

(公益信託事務継続予備財産を保有している場合の公表事項等)

第三十七条 法第十七条第三項の内閣府令で定める事項は、第三十五条第二号に規定する限度額及びその算定根拠とする。

法第十七条第三項の規定により公表する公益信託事務継続予備財産を保有する理由は、第三十五条各号に掲げる要件に適合することを説明するものでなければならない。

法第十七条第三項の公表は、インターネットの利用その他の適切な方法により行うものとする。

第二節 寄附の募集に関する禁止行為

第三十八条 法第十八条第四号の内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。

寄附者に対し虚偽のことを告げる行為

寄附者に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げる行為

寄附者に対し、公益信託の信託行為の内容に関する事項であって、その判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、誤解させるおそれのあることを告げ、又は表示する行為

第三節 財産目録等

(信託事務年度開始前までに作成し備え置くべき書類)

第三十九条 法第二十条第一項の内閣府令で定める書類は、当該信託事務年度に係る次に掲げる書類(特定資産公益信託にあっては、第三号に掲げるものを除く。)とする。

事業計画書

収支予算書

資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類

当該信託事務年度開始の日における法第七条第二項第四号及び第五号に掲げる事項(第五号にあっては、受託者及び信託管理人に関する事項に限る。)を記載した書類

2 前項第四号に掲げる書類については、当該信託事務年度開始の日の前日において法第二十条第一項の規定により備え置かれた書類の内容に変更がないときは、当該備え置かれた書類を、同日において同号に掲げる書類として作成されたものとして取り扱うものとする。

(信託事務年度経過後三月以内に作成し備え置くべき書類)

第四十条 法第二十条第二項第四号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類(特定資産公益信託にあっては、第一号及び第二号に掲げるものに限る。)とする。

次に掲げる受託者に関する重要な事項(当該受託者が法人その他の団体である場合にあっては、イからニまでに掲げる事項、当該受託者が法人その他の団体以外である場合にあっては、ホに掲げる事項に限る。)について記載した書類
 イ 理事、取締役、監事、監査役の数その他の役員に関する状況
 ロ 貸借対照表の要旨その他の財務に関する状況
 ハ 職員又は従業員の数その他の状況
 ニ 寄附行為、定款、規則その他の基本約款に関する事項
 ホ 当該受託者の職業に関する事項

次に掲げる公益信託事務に関する重要な事項について記載した書類
 イ 寄附を受けた財産の額
 ロ 金融資産の運用収入の額
 ハ 資産、負債及び期末純資産の額
 ニ 他の団体の意思決定に関与することができる株式その他の第九条で定める財産についての保有の有無
 ホ 関連当事者との取引に関する事項及びその明細
 ヘ 海外への送金の有無及びそれに関連するリスクの軽減策の有無

中期的収支均衡に関する数値及びその計算の明細を記載した書類

公益事務割合に関する数値及びその計算の明細を記載した書類

使途不特定財産額に関する数値及びその計算の明細を記載した書類

公益充実資金について第二十三条第一項第二号に掲げる事項を記載した書類

公益信託事務継続予備財産について第三十七条第一項に規定する限度額及びその算定根拠並びに同条第二項に規定する保有する理由を記載した書類

指定寄附資金について第三十六条第四項の規定により備置き、閲覧等の措置が講じられるべき事項について記載した書類

2 前項各号に掲げる書類は、公益信託認可を受けた後遅滞なく法第二十条第二項各号に掲げる書類を作成する場合にあっては、作成を要しない。

3 第二条第四項の規定は、第一項第一号の書類の作成について準用する。

4 前条第二項の規定は、法第二十条第二項各号に掲げる書類の作成及び備置きについて準用する。 この場合において、前条第二項項中「前項第四項」とあるのは「法第二十条第二項第二号又は第三号」と、「信託事務年度開始の日の前日」とあるのは「信託事務年度終了の日から三月経過した日」と、「法第二十条第一項」とあるのは「同項」と、「同号」とあるのは「同項」とする。

(収支予算書及び財産目録)

第四十一条 法第二十条第一項の規定により作成すべき収支予算書及び同条第二項の規定により作成すべき財産目録については、次条から第四十五条までに定めるところによる。

(収支予算書の区分)

第四十二条 第三十九条第一項第二号の収支予算書の区分については、命令第三十一条の規定の例による。

2 命令第十九条第三項に規定する収支決算書を作成する特定資産公益信託における収支予算書は、収入及び支出の見込みを明らかにするものとする。

(財産目録)

第四十三条 法第二十条第二項第一号の財産目録は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。 この場合において、負債の部は、適当な項目に細分することができる。

資産の部

負債の部

2 資産の部は、流動資産及び固定資産に、負債の部は流動負債及び固定負債に区分しなければならない。 この場合において、各項目は、適当な項目に細分することができる。

3 財産目録の各項目については、当該項目の内容を示す適当な名称を付さなければならない。 この場合において、第三十六条第三項各号に掲げる財産については、当該財産の勘定科目をその他の財産の勘定科目と区分して表示しなければならない。

(財産目録等の承認)

第四十四条 法第二十条第一項に規定する事業計画書並びに収支予算書並びに命令第二十四条第二項に規定する貸借対照表、損益計算書及び信託概況報告並びにこれらの附属明細書(命令第十九条第一項の規定に基づき公益信託の信託帳簿及び公益信託の財産状況開示資料を作成する場合にあっては、同条第三項に規定する財産目録、収支決算書及び信託概況報告。第四十九条第一項第三号において同じ。)は、信託管理人の承認を受けなければならない。 事業計画書又は収支予算書の変更についても、同様とする。

(区分経理の方法)

第四十五条 公益信託の受託者が、当該公益信託において複数の公益事務を行う場合は、損益計算書について各公益事務の内訳を表示しなければならない。 ただし、各公益事務に配賦することが困難な収益及び費用がある場合は、これらを共通収益及び費用として表示することができる。

(電磁的記録)

第四十六条 法第二十条第三項の内閣府令で定めるものは、公益信託の受託者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。

(電磁的記録に記録された事項を表示する方法)

第四十七条 法第二十条第四項第二号の内閣府令で定める方法は、当該電磁的記録に記録された事項を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法とする。

(事業計画書等の提出)

第四十八条 法第二十一条第一項の規定による法第二十条第一項に規定する書類の提出は、同項に規定する書類を添付した様式第五号による提出書を行政庁に提出してするものとし、同項に規定する書類について信託管理人の承認を受けたことを証する書類を併せて添付するものとする。

2 前項の規定にかかわらず、第三十九条第一項第四号に掲げる書類の提出にあっては、行政庁に提出したこれらの書類のうち、最も遅いものに係るものからその記載事項に変更がないときは、その旨を前項に規定する提出書へ記載して、当該書類の提出を省略することができる。

(財産目録等の提出)

第四十九条 法第二十一条第一項の規定による財産目録等(法第二十条第一項に規定する書類及び信託行為の内容を証する書面を除く。以下この項において同じ。)の提出は、財産目録等を添付した様式第六号による提出書を行政庁に提出してするものとし、次に掲げる書類を併せて添付するものとする。

第二条第二項第三号に掲げる書類

第二条第三項第七号に掲げる書類

命令第二十四条第二項に規定する貸借対照表、損益計算書及び信託概況報告並びにこれらの附属明細書について第四十四条に規定する信託管理人の承認を受けたことを証する書類

前三号に掲げるもののほか、行政庁が受託者による公益信託事務の適正な処理を確保するために必要と認める書類

2 第二条第三項ただし書の規定は、前項第二号に掲げる書類の添付について、同条第四項の規定は、前項第一号に掲げる書類の添付について、それぞれ準用する。

3 第二条第五項の規定は、第四十条第一項第一号又は前項第一号若しくは第二号に掲げる書類の提出について、前条第二項の規定は、法第二十条第二項第二号又は第三号に掲げる書類の提出について、それぞれ準用する。

第四章 公益信託の併合等

(公益信託の併合等の認可の申請)

第五十条 法第二十二条第一項の公益信託の併合等の認可を受けようとする公益信託の受託者は、信託の併合にあっては様式第七号により、吸収信託分割にあっては様式第七号の二及び様式第七号の三により、新規信託分割にあっては様式第七号の四及び様式第七号の五により作成した申請書を行政庁に提出しなければならない。

2 前項の申請書には、信託の併合にあっては併合後の、吸収信託分割にあっては分割信託及び承継信託の、新規信託分割にあっては新たな公益信託及び当該新たな公益信託に信託財産の一部を移転する公益信託の法第七条第三項各号に掲げる書類並びに次に掲げる書類を添付しなければならない。

法第二十二条第一項の公益信託の併合等に係る信託法の規定又は信託行為の定めに基づく合意があったことを証する書面

前号に掲げるもののほか、行政庁が必要と認める書類

3 法第二十二条第一項の公益信託の併合等の認可を受けた公益信託の受託者は、遅滞なく、併合又は分割後の信託行為の内容を証する書面を行政庁に提出しなければならない。

(信託の終了の届出)

第五十一条 法第二十五条第一項の規定による届出をしようとする公益信託の受託者(信託法第百六十三条第七号に掲げる事由によって公益信託が終了した場合にあっては、破産管財人)は、様式第八号により作成した届出書を行政庁に提出しなければならない。

(清算の届出等)

第五十二条 法第二十六条第一項規定による届出をしようとする公益信託の清算受託者は、様式第九号により作成した届出書を行政庁に提出しなければならない。

2 前項の届出書には、当該公益信託に係る残余財産の給付を受ける法人が法第八条第十三号イからトまでに掲げる法人である場合にあっては、その旨を証する書類を添付しなければならない。

3 法第二十六条第二項の届出をしようとする公益信託の清算受託者は、様式第十号により作成した届出書を行政庁に提出しなければならない。

4 前項の届出書には、清算受託者が当該公益信託に係る信託法第百八十四条第一項の信託事務に関する最終の計算の内容を証する書類及び同項に規定する承認があったことを証する書類を添付しなければならない。

第五章 報告及び検査

(報告)

第五十三条 公益信託の受託者は、行政庁から法第二十八条第一項の規定により報告を求められたときは、報告書を提出しなければならない。

2 行政庁は、前項の報告を求めるときは、報告書の様式及び提出期限その他必要な事項を明示するものとする。

(職員の身分証明書の様式)

第五十四条 法第二十八条第二項の証明書は、様式第十一号によるものとする。

第六章 移行認可

(移行認可の申請)

第五十五条 法附則第六条第一項の規定により移行認可の申請をしようとする旧公益信託の受託者は、様式第十二号により作成した申請書を行政庁に提出しなければならない。

2 法附則第六条第二項第三号の内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。

法附則第六条第二項第二号に掲げる書類について法附則第九条第二項に規定する信託行為の定めにより変更があったことを証する書面又は同項に規定する合意があったことを証する書面

法附則第六条第一項の規定により移行認可の申請をする日の属する信託事務年度の前信託事務年度の信託概況報告、財産目録及び収支決算書

前二号に掲げるもののほか、行政庁が必要と認める書類

3 旧公益信託の受託者が前項第二号に規定する信託事務年度の前信託事務年度の末日から起算して三月以内に法附則第六条第一項の移行認可の申請をする場合において当該信託事務年度に係る信託概況報告、財産目録及び収支決算書を作成していないときにおける同号の規定の適用については、同号中「前信託事務年度」とあるのは、「前信託事務年度の前信託事務年度」とする。

4 第二条第三項ただし書、第四項及び第五項の規定は、法附則第六条第二項第一号に掲げる書類を第一項の申請書に添付して行政庁に提出する場合について準用する。

第七章 公示及び公表

(公示の方法)

第五十六条 法第十一条(法第十二条第六項及び第二十二条第七項において準用する場合を含む。)、第十四条第二項、第十五条第二項、第二十五条第二項、第二十六条第三項、第二十九条第四項及び第三十条第四項の公示は、インターネットの利用その他の適切な方法により行うものとする。

(公表の方法)

第五十七条 法第二十一条第二項、第二十九条第二項、第三十五条第一項(第三十八条及び附則第十四条(附則第十六条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)及び第三十七条第二項(第三十八条において準用する場合を含む。)の公表は、インターネットの利用その他の適切な方法により行うものとする。

附則

この府令は、法の施行の日(令和八年四月一日)から施行する。

様式第一号

(第二条第一項関係)
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様式第二号

(第十二条第一項関係)
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様式第二号の二

(第十二条第一項関係)
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様式第三号

(第十四条第一項関係)
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様式第三号の二

(第十四条第一項関係)
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様式第四号

(第十五条関係)
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様式第五号

(第四十八条第一項関係)
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様式第六号

(第四十九条第一項関係)
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様式第七号

(第五十条第一項関係)
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様式第七号の二

(第五十条第一項関係)
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様式第七号の三

(第五十条第一項関係)
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様式第七号の四

(第五十条第一項関係)
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様式第七号の五

(第五十条第一項関係)
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様式第八号

(第五十一条関係)
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様式第九号

(第五十二条第一項関係)
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様式第十号

(第五十二条第三項関係)
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様式第十一号

(第五十四条関係)
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様式第十二号

(第五十五条第一項関係)
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