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令和六年法律第七十号
旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律

施行日:

出典:e-Gov 法令検索 [XML]

旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律(平成三十一年法律第十四号)の全部を改正する。

 昭和二十三年制定の旧優生保護法に基づき、あるいはその存在を背景として、多くの方々が、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するという誤った目的の下、特定の疾病や障害を有すること等(以下「特定疾病等」という。)を理由に生殖を不能にする手術若しくは放射線の照射(以下「優生手術等」という。)又は人工妊娠中絶を受けることを強いられて、子を生み育てるか否かについて自ら意思決定をする機会を奪われ、これにより耐え難い苦痛と苦難を受けてきた。

 特定疾病等を理由に優生手術等を受けることを強いられたことに関しては、平成三十一年に「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」が制定されたが、同法はこれを強いられた方々に対してその被った苦痛を慰謝するものであり、国に損害賠償責任があることを前提とするものではなかった。また、特定疾病等を理由に人工妊娠中絶を受けることを強いられたことに関しては、これまで謝罪も慰謝も行われてこなかった。

 しかしながら、令和六年七月三日の最高裁判所大法廷判決において、特定疾病等に係る方々を対象者とする生殖を不能にする手術について定めた旧優生保護法の規定は日本国憲法第十三条及び第十四条第一項に違反するものであり、当該規定に係る国会議員の立法行為は違法であると判断され、国の損害賠償責任が認められた。

 国会及び政府は、この最高裁判所大法廷判決を真摯に受け止め、特定疾病等に係る方々を差別し、特定疾病等を理由に生殖を不能にする手術を強制してきたことに関し、日本国憲法に違反する規定に係る立法行為を行い及びこれを執行するとともに、都道府県優生保護審査会の審査を要件とする生殖を不能にする手術を行う際には身体の拘束や欺等の手段を用いることも許される場合がある旨の通知を発出するなどして、優生上の見地からの誤った目的に係る施策を推進してきたことについて、悔悟と反省の念を込めて深刻にその責任を認めるとともに、心から深く謝罪する。また、これらの方々が特定疾病等を理由に人工妊娠中絶を受けることを強いられたことについても、心から深く謝罪する。

 ここに、国会及び政府は、この問題に誠実に対応していく立場にあることを深く自覚し、これらの方々の名誉と尊厳が重んぜられるようにするとともに、このような事態を二度と繰り返すことのないよう、その被害の回復を図るため、およそ疾病や障害を有する方々に対するいわれのない偏見と差別を根絶する決意を新たにしつつ、この法律を制定する。

第一章 総則

(趣旨)

第一条 この法律は、最高裁判所令和四年(受)第一〇五〇号同六年七月三日大法廷判決、最高裁判所令和四年(受)第一四一一号同六年七月三日大法廷判決、最高裁判所令和五年(受)第一三一九号同六年七月三日大法廷判決、最高裁判所令和五年(受)第一三二三号同六年七月三日大法廷判決及び最高裁判所令和五年(オ)第一三四一号、同年(受)第一六八二号同六年七月三日大法廷判決において国の責任が認められた者と同様の苦痛を受けている者の損害の迅速な賠償を図るための補償金、特定疾病等を理由に旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者の被った苦痛を慰謝するための優生手術等一時金及び特定疾病等を理由に旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた者の被った苦痛を慰謝するための人工妊娠中絶一時金の支給に関し必要な事項等を定めるものとする。

(定義)

第二条 この法律において「旧優生保護法」とは、昭和二十三年九月十一日から平成八年九月二十五日までの間において施行されていた優生保護法(昭和二十三年法律第百五十六号)をいう。

2 この法律において「旧優生保護法に基づく優生手術等」とは、次に掲げるものをいう。

昭和二十三年九月十一日から昭和二十四年六月二十三日までの間に、優生保護法の一部を改正する法律(昭和二十四年法律第二百十六号)による改正前の優生保護法第三条第一項又は第十条の規定により行われた優生手術(当該優生手術を受けた者が同項第四号又は第五号に掲げる者に該当することのみを理由として同項の規定により行われた優生手術を除く。)

昭和二十四年六月二十四日から昭和二十七年五月二十六日までの間に、優生保護法の一部を改正する法律(昭和二十七年法律第百四十一号)による改正前の優生保護法第三条第一項又は第十条の規定により行われた優生手術(当該優生手術を受けた者が同項第四号又は第五号に掲げる者に該当することのみを理由として同項の規定により行われた優生手術を除く。)

昭和二十七年五月二十七日から平成八年三月三十一日までの間に、予防法の廃止に関する法律(平成八年法律第二十八号)による改正前の優生保護法第三条第一項、第十条又は第十三条第二項の規定により行われた優生手術(当該優生手術を受けた者が同法第三条第一項第四号又は第五号に掲げる者に該当することのみを理由として同項の規定により行われた優生手術を除く。)

平成八年四月一日から同年九月二十五日までの間に、優生保護法の一部を改正する法律(平成八年法律第百五号)による改正前の優生保護法第三条第一項、第十条又は第十三条第二項の規定により行われた優生手術(当該優生手術を受けた者が同法第三条第一項第三号又は第四号に掲げる者に該当することのみを理由として同項の規定により行われた優生手術を除く。)

前各号に掲げるもののほか、昭和二十三年九月十一日から平成八年九月二十五日までの間に日本国内において行われた優生手術等(次に掲げる事由のみを理由として行われた優生手術等であることが明らかであるものを除く。)

母体の保護

子宮がんその他の疾病又は負傷の治療

本人が子を有することを希望しないこと。

ハに掲げるもののほか、本人が当該優生手術等を受けることを希望すること。

3 この法律において「特定配偶者」とは、次に掲げる者をいう。

旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者が当該旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた日(次号において「手術日」という。)からこの法律の公布の日の前日までの間に、当該旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者と婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしていた者

手術日の前日までの間に、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けることを原因として当該旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者と離婚(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者について、当該事情が解消した場合を含む。)をした者

4 この法律において「旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等」とは、次に掲げるものをいう。

昭和二十三年九月十一日から昭和二十四年六月二十三日までの間に、優生保護法の一部を改正する法律(昭和二十四年法律第二百十六号)による改正前の優生保護法第十二条第一項又は第十五条の規定により行われた人工妊娠中絶(当該人工妊娠中絶を受けた者が同法第三条第一項第四号又は第十三条第一項第二号から第四号までに掲げる者に該当することのみを理由として同法第十二条第一項又は第十五条の規定により行われた人工妊娠中絶を除く。)

昭和二十四年六月二十四日から昭和二十七年五月二十六日までの間に、優生保護法の一部を改正する法律(昭和二十七年法律第百四十一号)による改正前の優生保護法第十二条第一項又は第十五条の規定により行われた人工妊娠中絶(当該人工妊娠中絶を受けた者が同法第三条第一項第四号又は第十三条第一項第二号若しくは第三号に掲げる者に該当することのみを理由として同法第十二条第一項又は第十五条の規定により行われた人工妊娠中絶を除く。)

昭和二十七年五月二十七日から平成八年三月三十一日までの間に、予防法の廃止に関する法律による改正前の優生保護法第十四条第一項の規定により行われた人工妊娠中絶(当該人工妊娠中絶を受けた者が同項第四号又は第五号に掲げる者に該当することのみを理由として同項の規定により行われた人工妊娠中絶を除く。)

平成八年四月一日から同年九月二十五日までの間に、優生保護法の一部を改正する法律(平成八年法律第百五号)による改正前の優生保護法第十四条第一項の規定により行われた人工妊娠中絶(当該人工妊娠中絶を受けた者が同項第三号又は第四号に掲げる者に該当することのみを理由として同項の規定により行われた人工妊娠中絶を除く。)

前各号に掲げるもののほか、昭和二十三年九月十一日から平成八年九月二十五日までの間に日本国内において行われた人工妊娠中絶(旧優生保護法第二条第二項に規定する人工妊娠中絶をいう。第三十三条において同じ。)であって、当該人工妊娠中絶が行われた時に当該人工妊娠中絶を受けた者が次のいずれかに該当していたことを理由として行われたもの

予防法の廃止に関する法律による改正前の優生保護法第十四条第一項第一号から第三号までに掲げる者

前各号に掲げる人工妊娠中絶を受けた者又はイに掲げる者と同様の事情にある者として内閣府令で定める者

第二章 補償金等の支給

第一節 補償金の支給

(補償金の支給)

第三条 国は、この法律の定めるところにより、次に掲げる者に対し、補償金を支給する。

旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者

特定配偶者

2 前項各号に掲げる者が死亡したときは、その者の遺族は、自己の名で、その者の補償金の支給を請求することができる。

3 補償金の支給を受けることができる遺族は、第一項各号に掲げる者の死亡した当時の配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。第六条第一項第二号イ及び第十三条第一項において同じ。)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、曽孫又はとする。

4 補償金の支給を受けるべき遺族の順位は、前項に規定する順序による。

5 補償金の支給を受けるべき同順位の遺族が二人以上あるときは、その一人がした請求は、その全額について全員のためにしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

(補償金の額)

第四条 補償金の額は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める額とする。

旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者 千五百万円

特定配偶者 五百万円

(補償金に係る認定等)

第五条 内閣総理大臣は、補償金の支給を受けようとする者の請求に基づき、当該支給を受ける権利の認定を行い、当該認定を受けた者に対し、補償金を支給する。

2 前項の補償金の支給の請求(以下この節において単に「請求」という。)は、当該請求をする者の居住地を管轄する都道府県知事を経由してすることができる。

3 請求は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)から起算して五年を経過したときは、することができない。

(請求書の提出等)

第六条 請求をしようとする者は、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣(当該請求が前条第二項の規定により都道府県知事を経由してされる場合にあっては、当該都道府県知事)に、次に掲げる事項(既に優生手術等一時金の支給を受けた者に係る請求の場合にあっては、既に優生手術等一時金の支給を受けた旨並びに第一号、第二号及び第六号に掲げる事項)を記載した請求書(次項及び次条において単に「請求書」という。)を提出しなければならない。

請求をする者の氏名及び住所又は居所

請求をする者が旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者以外の者であるときは、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める事項
 イ 特定配偶者として補償金の支給を受けようとする場合 請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者の氏名及びその者の配偶者であった期間
 ロ 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者の遺族として補償金の支給を受けようとする場合 請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者の氏名及びその者との関係
 ハ 特定配偶者の遺族として補償金の支給を受けようとする場合 イに定める事項並びに当該特定配偶者の氏名及び当該特定配偶者との関係

請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた医療機関の名称及び所在地(これらの事項が明らかでないときは、その旨)

請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた年月日(これが明らかでないときはその時期とし、いずれも明らかでないときはその旨とする。)

請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けるに至った経緯

その他内閣府令で定める事項

2 都道府県知事は、前項の規定による請求書の提出を受けたときは、直ちに、これを内閣総理大臣に送付しなければならない。

(都道府県知事による調査)

第七条 都道府県知事は、前条第一項の規定による請求書の提出を受けたときは、内閣府令で定めるところにより、その都道府県の保有する文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。以下同じ。)にその請求に係る情報が記録されているかどうかについて調査し、又は当該都道府県の職員から当該請求に関し知っている事実を聴取し、その結果を内閣総理大臣に報告するものとする。

2 都道府県知事は、前条第一項の規定による請求書の提出を受けた場合であって、当該請求書にその都道府県の区域内においてその請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた旨の記載があるときは、内閣府令で定めるところにより、当該都道府県の区域内の市町村(特別区を含む。第三十七条において同じ。)、医療機関、障害者支援施設(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項に規定する障害者支援施設をいう。第二十四条第三項において同じ。)、児童福祉施設(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設をいう。)その他の関係機関(以下単に「関係機関」という。)に対して、当該関係機関が保有する文書に当該請求に係る情報が記録されているかどうかについて調査し、又は当該関係機関の職員から当該請求に関し知っている事実を聴取し、その結果を報告するよう求めるものとする。

3 都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、その内容を内閣総理大臣に通知するものとする。

4 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる場合には、その旨を当該各号に定める都道府県知事に通知するものとする。

第五条第二項の規定により都道府県知事を経由してされた請求に係る請求書にその都道府県以外の都道府県の区域内において当該請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた旨の記載があるとき 当該都道府県の知事

都道府県知事を経由しないでされた請求に係る請求書に当該請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた都道府県の区域に関する記載があるとき 当該都道府県の知事

5 第一項から第三項までの規定は、前項の規定による通知を受けた都道府県知事について準用する。

6 都道府県知事は、第一項又は第二項(これらの規定を前項において準用する場合を含む。)の規定による調査又は聴取に関し必要があると認めるときは、関係機関その他の公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

(内閣総理大臣による調査)

第八条 内閣総理大臣は、第五条第一項の認定(次項及び次条第八項において単に「認定」という。)を行うため必要があると認めるときは、請求をした者(次条第五項及び第七項において「請求者」という。)その他の関係人に対して、報告をさせ、文書その他の物件を提出させ、出頭を命じ、又は内閣総理大臣の指定する医師の診断を受けさせることができる。

2 内閣総理大臣は、認定を行うため必要があると認めるときは、関係機関その他の公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

(請求に係る審査)

第九条 内閣総理大臣は、補償金の支給を受けようとする者から請求を受けたときは、当該請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者が第二条第二項第一号から第四号までのいずれかに該当するものを受けた者であることを証する書面その他当該請求に係る情報が記録されている文書により当該請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者が同項第一号から第四号までのいずれかに掲げるものを受けた者に該当することを確認することができる場合を除き、当該請求の内容を旧優生保護法補償金等認定審査会に通知し、当該請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者が同項各号に掲げるものを受けた者に該当するかどうかについて審査を求めなければならない。

2 前項に規定するもののほか、内閣総理大臣は、特定配偶者又は特定配偶者の遺族として補償金の支給を受けようとする者から請求を受けたときは、当該請求に係る特定配偶者が第二条第三項各号のいずれかに該当する者であることを証する書面その他当該請求に係る情報が記録されている文書により当該請求に係る特定配偶者が同項各号のいずれかに掲げる者に該当することを確認することができる場合を除き、当該請求の内容を旧優生保護法補償金等認定審査会に通知し、当該請求に係る特定配偶者が同項各号に掲げる者に該当するかどうかについて審査を求めなければならない。

3 前二項に規定するもののほか、内閣総理大臣は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者の遺族又は特定配偶者の遺族として補償金の支給を受けようとする者から請求を受けたときは、当該請求に係る遺族が旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者の遺族又は特定配偶者の遺族であることを証する書面その他当該請求に係る情報が記録されている文書により当該請求に係る遺族が旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者の遺族又は特定配偶者の遺族に該当することを確認することができる場合を除き、当該請求の内容を旧優生保護法補償金等認定審査会に通知し、当該請求に係る遺族が旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者の遺族又は特定配偶者の遺族に該当するかどうかについて審査を求めなければならない。

4 旧優生保護法補償金等認定審査会は、前三項の規定による審査を求められたときは、第一項に規定する請求に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者が第二条第二項各号に掲げるものを受けた者に該当するかどうか、第二項に規定する請求に係る特定配偶者が同条第三項各号に掲げる者に該当するかどうか及び前項に規定する請求に係る遺族が旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者の遺族又は特定配偶者の遺族に該当するかどうかについて審査を行い、その結果を内閣総理大臣に通知しなければならない。

5 旧優生保護法補償金等認定審査会は、前項の審査を行うため必要があると認めるときは、請求者その他の関係人に対して、報告をさせ、文書その他の物件を提出させ、出頭を命じ、又は旧優生保護法補償金等認定審査会の指定する医師の診断を受けさせることができる。

6 旧優生保護法補償金等認定審査会は、第四項の審査を行うため必要があると認めるときは、関係機関その他の公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

7 旧優生保護法補償金等認定審査会は、第四項の審査において、請求者及び関係人の陳述、医師の診断の結果、診療録の記載内容その他の請求に係る情報を総合的に勘案して、事案の実情に即した適切な判断を行うものとする。

8 内閣総理大臣は、第四項の規定による通知があった旧優生保護法補償金等認定審査会の審査の結果に基づき認定を行うものとする。

第二節 優生手術等一時金の支給

(優生手術等一時金の支給)

第十条 国は、この法律の定めるところにより、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者であって、施行日において生存しているものに対し、優生手術等一時金を支給する。

(優生手術等一時金の額)

第十一条 優生手術等一時金の額は、三百二十万円とする。

(優生手術等一時金に係る認定等)

第十二条 内閣総理大臣は、優生手術等一時金の支給を受けようとする者の請求に基づき、当該支給を受ける権利の認定を行い、当該認定を受けた者に対し、優生手術等一時金を支給する。

2 第五条第二項及び第三項の規定は、前項の優生手術等一時金の支給の請求(次条第一項及び第十四条において単に「請求」という。)について準用する。

(支払未済の優生手術等一時金)

第十三条 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者が請求をした後に死亡した場合において、その者が支給を受けるべき優生手術等一時金でその支払を受けなかったものがあるときは、その優生手術等一時金は、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(以下「同一生計遺族」という。)に支給し、支給すべき同一生計遺族がないときは、当該死亡した者の相続人に支給する。

2 前項の規定による優生手術等一時金を受けるべき同一生計遺族の順位は、同項に規定する順序による。

3 第一項の規定による優生手術等一時金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その全額をその一人に支給することができるものとし、この場合において、その一人にした支給は、全員に対してしたものとみなす。

(補償金に関する規定の準用)

第十四条 第六条から第九条まで(同条第二項及び第三項を除く。)の規定は、請求について準用する。 この場合において、第六条第一項中「次に掲げる事項(既に優生手術等一時金の支給を受けた者に係る請求の場合にあっては、既に優生手術等一時金の支給を受けた旨並びに第一号、第二号及び第六号に掲げる事項)」とあるのは、「次に掲げる事項(第二号に掲げる事項を除く。)」と読み替えるものとする。

第三節 人工妊娠中絶一時金の支給

(人工妊娠中絶一時金の支給)

第十五条 国は、この法律の定めるところにより、旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた者であって、施行日において生存しているものに対し、人工妊娠中絶一時金を支給する。

(人工妊娠中絶一時金の額)

第十六条 人工妊娠中絶一時金の額は、二百万円とする。

(人工妊娠中絶一時金に係る認定等)

第十七条 内閣総理大臣は、人工妊娠中絶一時金の支給を受けようとする者の請求に基づき、当該支給を受ける権利の認定を行い、当該認定を受けた者に対し、人工妊娠中絶一時金を支給する。

2 第五条第二項及び第三項の規定は、前項の人工妊娠中絶一時金の支給の請求(次条第一項及び第十九条において単に「請求」という。)について準用する。

(支払未済の人工妊娠中絶一時金)

第十八条 旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた者が請求をした後に死亡した場合において、その者が支給を受けるべき人工妊娠中絶一時金でその支払を受けなかったものがあるときは、その人工妊娠中絶一時金は、その者の同一生計遺族に支給し、支給すべき同一生計遺族がないときは、当該死亡した者の相続人に支給する。

2 第十三条第二項及び第三項の規定は、前項の人工妊娠中絶一時金の支給について準用する。

(補償金に関する規定の準用)

第十九条 第六条から第九条まで(同条第二項及び第三項を除く。)の規定は、請求について準用する。 この場合において、第六条第一項中「次に掲げる事項(既に優生手術等一時金の支給を受けた者に係る請求の場合にあっては、既に優生手術等一時金の支給を受けた旨並びに第一号、第二号及び第六号に掲げる事項)」とあるのは、「次に掲げる事項(第二号に掲げる事項を除く。)」と読み替えるものとする。

第四節 支給の調整

(既に支給を受けた補償金との調整)

第二十条 重複該当者(旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者であり、かつ、特定配偶者である者をいう。以下この条において同じ。)に係る特定配偶者補償金(特定配偶者として受ける補償金をいう。次項において同じ。)は、当該重複該当者に係る本人補償金(旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者として受ける補償金をいう。同項において同じ。)が既に支給された場合には、その支給額の限度において、支給しない。

2 重複該当者に係る本人補償金は、当該重複該当者に係る特定配偶者補償金が既に支給された場合には、第四条第一号に定める額から特定配偶者補償金として既に支給された額を控除した額を支給する。 ただし、特定配偶者補償金として既に支給された額が同号に定める額以上となるときは、支給しない。

(損害賠償との調整)

第二十一条 補償金の支給を受ける権利を有する者に対し、同一の事由について、国により損害の塡補がされた場合(この法律の施行前に、既に国により損害の塡補がされている場合を含む。)においては、国は、その価額の限度において補償金を支給する義務を免れる。

2 国が国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)その他の法律による損害賠償の責任を負う場合において、国が補償金を支給したときは、同一の事由については、国は、その価額の限度においてその損害賠償の責任を免れる。

(優生手術等一時金と人工妊娠中絶一時金との調整)

第二十二条 旧優生保護法に基づく優生手術等を受け、かつ、旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた者に係る人工妊娠中絶一時金は、その者に係る優生手術等一時金が既に支給された場合には、支給しない。

2 旧優生保護法に基づく優生手術等を受け、かつ、旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた者に係る優生手術等一時金は、その者に係る人工妊娠中絶一時金が既に支給された場合には、第十一条に定める額から第十六条に定める額を控除した額を支給する。

第五節 雑則

(関係機関等の協力)

第二十三条 関係機関は、第七条第二項(同条第五項、第十四条及び第十九条において準用する場合を含む。)の規定による調査又は聴取を求められたときは、これに協力するよう努めなければならない。

2 関係機関その他の公務所又は公私の団体は、第七条第六項、第八条第二項又は第九条第六項(これらの規定を第十四条及び第十九条において準用する場合を含む。)の規定による必要な事項の報告を求められたときは、これに協力するよう努めなければならない。

(補償金等の支給手続等についての周知、相談支援等)

第二十四条 国及び地方公共団体は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者及び特定配偶者並びにこれらの者の遺族並びに旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた者に対し補償金、優生手術等一時金及び人工妊娠中絶一時金(以下「補償金等」という。)の支給手続等について十分かつ速やかに周知するための措置を適切に講ずるものとする。

2 国及び都道府県は、補償金等の支給を受けようとする者に対する相談支援その他第五条第一項の補償金の支給の請求、第十二条第一項の優生手術等一時金の支給の請求及び第十七条第一項の人工妊娠中絶一時金の支給の請求に関し利便を図るための措置を適切に講ずるものとする。

3 前二項の措置を講ずるに当たっては、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者及び旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた者の多くが障害者であることを踏まえ、障害者支援施設、障害者の支援に関する活動を行う団体その他の関係者の協力を得るとともに、障害の特性に十分に配慮するものとする。

(不正利得の徴収)

第二十五条 偽りその他不正の手段により補償金等の支給を受けた者があるときは、内閣総理大臣は、国税徴収の例により、その者から、当該補償金等の価額の全部又は一部を徴収することができる。

2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

(譲渡等の禁止)

第二十六条 補償金等の支給を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

(非課税)

第二十七条 租税その他の公課は、補償金等を標準として課することができない。

第三章 旧優生保護法補償金等認定審査会

(審査会の設置)

第二十八条 こども家庭庁に、旧優生保護法補償金等認定審査会(以下この章において「審査会」という。)を置く。

2 審査会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

(審査会の組織)

第二十九条 審査会は、七人以上政令で定める人数以内の委員をもって組織する。

2 委員は、医療、法律、障害者福祉等に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。

3 委員は、非常勤とする。

(会長)

第三十条 審査会に、会長一人を置き、委員の互選により選任する。

2 会長は、審査会の会務を総理し、審査会を代表する。

3 審査会は、あらかじめ、委員のうちから、会長に事故がある場合にその職務を代理する者を定めておかなければならない。

(委員の任期)

第三十一条 委員の任期は、二年とする。 ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

3 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

(政令への委任)

第三十二条 この章に定めるもののほか、審査会に関し必要な事項は、政令で定める。

第四章 調査及び検証等並びに周知

(調査及び検証等)

第三十三条 国は、特定疾病等を理由として優生手術等又は人工妊娠中絶を受けることを強いられるような事態を二度と繰り返すことのないよう、特定の疾病や障害を有する者に対する優生上の見地からの偏見と差別を根絶し、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する観点から、旧優生保護法に基づく優生手術等及び旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等に関する調査その他の措置を講ずるとともに、当該措置の成果を踏まえ、当該事態が生じた原因及び当該事態の再発防止のために講ずべき措置についての検証及び検討を行うものとする。

(この法律の趣旨及び内容についての周知)

第三十四条 国は、この法律の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解を得るよう努めるものとする。

第五章 雑則

(費用の負担)

第三十五条 次に掲げる費用として内閣府令で定めるものは、内閣府令で定める基準により、国庫の負担とする。

第五条第一項又は第十二条第一項の認定に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者が当該認定に係る旧優生保護法に基づく優生手術等を受けたかどうかについての医師の診断の結果が記載された診断書を内閣総理大臣又は都道府県知事に提出していた場合における当該診断書の作成に要する費用(当該診断に要する費用を含む。次号において同じ。)(同号に該当するものを除く。)

第八条第一項又は第九条第五項(これらの規定を第十四条及び第十九条において準用する場合を含む。)の規定による医師の診断の結果が記載された診断書の作成に要する費用

(事務費の交付)

第三十六条 国は、政令で定めるところにより、都道府県に対し、都道府県知事がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定によって行う事務の処理に必要な費用を交付する。

(戸籍事項の無料証明)

第三十七条 市町村の長(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長)は、内閣総理大臣、都道府県知事又は補償金等の支給を受けようとする者若しくはその同一生計遺族若しくは相続人に対して、当該市町村の条例で定めるところにより、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者、特定配偶者若しくは旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた者又はこれらの者の遺族若しくは相続人の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。

(事務の区分)

第三十八条 第五条第二項(第十二条第二項及び第十七条第二項において準用する場合を含む。)並びに第七条第一項から第三項まで(これらの規定を同条第五項、第十四条及び第十九条において準用する場合を含む。)及び第六項(第十四条及び第十九条において準用する場合を含む。)の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

(独立行政法人福祉医療機構への事務の委託)

第三十九条 内閣総理大臣は、補償金等(第三十五条各号に規定する診断書の作成に要する費用を含む。次条第一項において同じ。)の支払に関する事務を独立行政法人福祉医療機構(同項及び第四十一条において「機構」という。)に委託することができる。

(旧優生保護法補償金等支払基金)

第四十条 前条の規定により業務の委託を受けた機構は、補償金等の支払及びこれに附帯する業務(以下この項及び次条において「補償金等支払等業務」という。)に要する費用(補償金等支払等業務の執行に要する費用を含む。次条において同じ。)に充てるため、旧優生保護法補償金等支払基金(次項において「基金」という。)を設ける。

2 基金は、次条の規定により交付された資金をもって充てるものとする。

(交付金)

第四十一条 政府は、予算の範囲内において、第三十九条の規定により業務の委託を受けた機構に対し、補償金等支払等業務に要する費用に充てるための資金を交付するものとする。

(内閣府令への委任)

第四十二条 この法律に定めるもののほか、補償金等の支給手続その他の必要な事項は、内閣府令で定める。

附則

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。 ただし、附則第四条の規定は、公布の日から施行する。

(請求の期限の検討)
第二条 第五条第三項(第十二条第二項及び第十七条第二項において準用する場合を含む。)に規定する請求の期限については、この法律の施行後における第五条第一項の補償金の支給の請求、第十二条第一項の優生手術等一時金の支給の請求及び第十七条第一項の人工妊娠中絶一時金の支給の請求の状況を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとする。

(処分等に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前に改正前の旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律(以下「旧法」という。)の規定により国の機関又は都道府県知事がした認定その他の処分又は通知その他の行為は、この法律の施行後は、改正後の旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律(以下「新法」という。)の相当規定により相当の国の機関又は都道府県知事がした認定その他の処分又は通知その他の行為とみなす。 この法律の施行の際現に旧法の規定により従前の国の機関又は都道府県知事に対してされている請求その他の行為は、この法律の施行後は、新法の相当規定により相当の国の機関又は都道府県知事に対してされた請求その他の行為とみなす。

(旧優生保護法補償金等認定審査会の委員の任命に関する経過措置)
第四条 新法第二十九条第二項の規定による旧優生保護法補償金等認定審査会の委員の任命のために必要な行為は、施行日前においても行うことができる。 施行日の前日において旧優生保護法一時金認定審査会の委員である者の任期は、旧法第十九条第一項の規定にかかわらず、その日に満了する。

(調査等に関する経過措置)
第五条 この法律の施行前に旧法第二十一条の規定により講ぜられた調査その他の措置は、新法第三十三条の規定により講ぜられた調査その他の措置とみなす。

(旧優生保護法一時金支払基金に関する経過措置)
第六条 この法律の施行の際現に存する旧法第二十八条第一項の規定による旧優生保護法一時金支払基金は、新法第四十条第一項の規定による旧優生保護法補償金等支払基金とみなす。

(政令への委任)
第七条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。