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令和二年原子力規制委員会規則第八号
使用済燃料貯蔵施設の技術基準に関する規則

施行日:

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原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律(平成二十九年法律第十五号)の一部の施行に伴い、及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第四十三条の十の規定に基づき、使用済燃料貯蔵施設の技術基準に関する規則を次のように定める。

第一章 総則

(適用範囲)

第一条 この規則は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「法」という。)第四十三条の四第二項第二号に規定する使用済燃料貯蔵施設(金属キャスクによって使用済燃料を貯蔵するものに限る。)について適用する。

(定義)

第二条 この規則において使用する用語は、法において使用する用語の例による。

2 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

放射線 使用済燃料の貯蔵の事業に関する規則(平成十二年通商産業省令第百十二号。以下「燃料貯蔵規則」という。)第一条第二項第一号に規定する放射線をいう。

管理区域 燃料貯蔵規則第一条第二項第二号に規定する管理区域をいう。

周辺監視区域 燃料貯蔵規則第一条第二項第三号に規定する周辺監視区域をいう。

放射性廃棄物 燃料貯蔵規則第一条第二項第五号に規定する放射性廃棄物をいう。

金属キャスク 使用済燃料貯蔵施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第二十四号。以下「事業許可基準規則」という。)第二条第二項第一号に規定する金属キャスクをいう。

安全機能 事業許可基準規則第二条第二項第二号に規定する安全機能をいう。

基本的安全機能 事業許可基準規則第二条第二項第三号に規定する基本的安全機能をいう。

(特殊な設計による使用済燃料貯蔵施設)

第三条 特別の理由により原子力規制委員会の認可を受けた場合は、この規則の規定によらないで使用済燃料貯蔵施設を設置することができる。

2 前項の認可を受けようとする者は、その理由及び設置方法を記載した申請書に関係図面を添付して申請しなければならない。

(廃止措置中の使用済燃料貯蔵施設の維持)

第四条 法第四十三条の二十七第二項の認可を受けた場合には、当該認可に係る廃止措置計画(同条第三項において準用する法第十二条の六第三項又は第五項の規定による変更の認可又は届出があったときは、その変更後のもの。以下この条において同じ。)で定める性能維持施設(燃料貯蔵規則第四十三条の三の二第九号の性能維持施設をいう。)については、この規則の規定にかかわらず、当該認可に係る廃止措置計画に定めるところにより、当該施設を維持しなければならない。

第二章 使用済燃料貯蔵施設の基準

(使用済燃料の臨界防止)

第五条 使用済燃料貯蔵施設は、使用済燃料が臨界に達するおそれがないようにするため、核的に安全な形状寸法にすることその他の適切な措置が講じられたものでなければならない。

(使用済燃料貯蔵施設の地盤)

第六条 使用済燃料貯蔵施設は、事業許可基準規則第八条第一項の地震力が作用した場合においても当該使用済燃料貯蔵施設を十分に支持することができる地盤に設置されたものでなければならない。

(地震による損傷の防止)

第七条 使用済燃料貯蔵施設は、これに作用する地震力(事業許可基準規則第九条第二項の規定により算定する地震力をいう。)による損壊により公衆に放射線障害を及ぼすことがないものでなければならない。

2 使用済燃料貯蔵施設は、事業許可基準規則第九条第三項の地震力に対してその基本的安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。

3 使用済燃料貯蔵施設は、事業許可基準規則第九条第三項の地震により生ずる斜面の崩壊によりその基本的安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。

(津波による損傷の防止)

第八条 使用済燃料貯蔵施設は、事業許可基準規則第十条の津波によりその基本的安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。

(外部からの衝撃による損傷の防止)

第九条 使用済燃料貯蔵施設は、想定される自然現象(地震及び津波を除く。)によりその基本的安全機能を損なうおそれがある場合において、防護措置、基礎地盤の改良その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。

2 使用済燃料貯蔵施設は、周辺監視区域に隣接する地域に事業所、鉄道、道路その他の外部からの衝撃が発生するおそれがある要因がある場合において、事業所における火災又は爆発事故、危険物を搭載した車両、船舶又は航空機の事故その他の敷地及び敷地周辺の状況から想定される事象であって人為によるもの(故意によるものを除く。)により使用済燃料貯蔵施設の基本的安全機能が損なわれないよう、防護措置その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。

(使用済燃料貯蔵施設への人の不法な侵入等の防止)

第十条 使用済燃料貯蔵施設を設置する事業所(以下単に「事業所」という。)は、使用済燃料貯蔵施設への人の不法な侵入、使用済燃料貯蔵施設に不正に爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件が持ち込まれること及び不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)を防止するため、適切な措置が講じられたものでなければならない。

(閉じ込めの機能)

第十一条 使用済燃料貯蔵施設は、次に掲げるところにより、使用済燃料又は使用済燃料によって汚染された物(以下「使用済燃料等」という。)を限定された区域に閉じ込める機能を保持するように設置されたものでなければならない。

金属キャスクは、使用済燃料等が外部に漏えいするおそれがない構造であること。

流体状の使用済燃料によって汚染された物を内包する容器又は管に使用済燃料によって汚染された物を含まない流体を導く管を接続する場合には、流体状の使用済燃料によって汚染された物が使用済燃料によって汚染された物を含まない流体を導く管に逆流するおそれがない構造であること。

液体状の使用済燃料によって汚染された物を取り扱う設備が設置される施設(液体状の使用済燃料によって汚染された物の漏えいが拡大するおそれがある部分に限る。)は、次に掲げるところによるものであること。

施設内部の床面及び壁面は、液体状の使用済燃料によって汚染された物が漏えいし難いものであること。

液体状の使用済燃料によって汚染された物を取り扱う施設の周辺部又は施設外に通ずる出入口若しくはその周辺部には、液体状の使用済燃料によって汚染された物が施設外へ漏えいすることを防止するためのが設置されていること。

事業所の外に排水を排出する排水路(湧水に係るものであって使用済燃料によって汚染された物により汚染するおそれがある管理区域内に開口部がないものを除く。)の上に施設の床面がないようにすること。

(火災等による損傷の防止)

第十二条 使用済燃料貯蔵施設は、火災又は爆発の影響を受けることにより当該使用済燃料貯蔵施設の基本的安全機能が損なわれるおそれがある場合において、必要に応じて消火設備及び警報設備(自動火災報知設備、漏電火災警報器その他の火災及び爆発の発生を自動的に検知し、警報を発するものに限る。)が設置されたものでなければならない。

2 前項の消火設備及び警報設備は、その故障、損壊又は異常な作動により使用済燃料貯蔵施設の基本的安全機能に支障を及ぼすおそれがないものでなければならない。

3 安全機能を有する施設であって、火災又は爆発により損傷を受けるおそれがあるものは、可能な限り不燃性又は難燃性の材料を使用するとともに、必要に応じて防火壁の設置その他の適切な防護措置が講じられたものでなければならない。

(安全機能を有する施設)

第十三条 安全機能を有する施設は、当該安全機能を有する施設の安全機能を確認するための検査又は試験及び当該安全機能を健全に維持するための保守又は修理ができるように設置されたものでなければならない。

2 安全機能を有する施設は、他の原子力施設と共用し、又は安全機能を有する施設に属する設備を一の使用済燃料貯蔵施設において共用する場合には、使用済燃料貯蔵施設の安全性を損なわないように設置されたものでなければならない。

(材料及び構造)

第十四条 使用済燃料貯蔵施設に属する容器、管及びこれらの支持構造物のうち、使用済燃料貯蔵施設の基本的安全機能を確保する上で必要なもの(以下この項において「容器等」という。)の材料及び構造は、次に掲げるところによらなければならない。 この場合において、第一号及び第三号の規定については、法第四十三条の九第二項に規定する使用前事業者検査の確認を行うまでの間適用する。

容器等に使用する材料は、次に掲げるところによるものであること。

容器等が、その使用される圧力、温度、水質、放射線、荷重その他の使用条件に対して適切な機械的強度及び化学的成分(使用中の応力その他の使用条件に対する適切な耐食性を含む。)を有すること。

使用済燃料等を閉じ込めるための容器(以下この項において「密封容器」という。)に使用する材料にあっては、当該密封容器が使用される圧力、温度、放射線、荷重その他の使用条件に対して適切な破壊じん性を有することを機械試験その他の評価方法により確認したものであること。

管及び支持構造物に使用する材料にあっては、当該管及び支持構造物の最低使用温度に対して適切な破壊じん性を有することを機械試験その他の評価方法により確認したものであること。

有害な欠陥がないことを非破壊試験により確認したものであること。

容器等の構造及び強度は、次に掲げるところによるものであること。

取扱い時及び貯蔵時において、全体的な変形を弾性域に抑えること。

密封容器にあっては、破断延性限界に十分な余裕を有し、金属キャスクに要求される機能に影響を及ぼさないこと。

密封容器にあっては、試験状態において、全体的な塑性変形が生じないこと。

密封容器及び支持構造物にあっては、取扱い時及び貯蔵時において、疲労破壊が生じないこと。

取扱い時及び貯蔵時において、座屈が生じないこと。

密封容器の主要な耐圧部の溶接部(溶接金属部及び熱影響部をいう。以下この号において同じ。)は、次に掲げるところによるものであること。

不連続で特異な形状でないものであること。

溶接による割れが生ずるおそれがなく、かつ、健全な溶接部の確保に有害な溶込み不良その他の欠陥がないことを、非破壊試験により確認したものであること。

適切な強度を有するものであること。

機械試験その他の評価方法により適切な溶接施工法及び溶接設備並びに適切な技能を有する溶接士であることをあらかじめ確認したものにより溶接したものであること。

2 使用済燃料貯蔵施設に属する容器及び管のうち、使用済燃料貯蔵施設の基本的安全機能を確保する上で重要なものは、適切な耐圧試験又は漏えい試験を行ったとき、これに耐え、かつ、著しい漏えいがないように設置されたものでなければならない。

(搬送設備及び受入設備)

第十五条 使用済燃料を封入した金属キャスクの搬送及び受入れのために使用する設備は、次に掲げるところによるものでなければならない。

使用済燃料を封入した金属キャスクの搬送及び受入れを行う設備は、当該金属キャスクを安全に取り扱う能力を有するものであること。

使用済燃料を封入した金属キャスクの搬送及び受入れをするための動力の供給が停止した場合に、当該金属キャスクを安全に保持しているものであること。

(除熱)

第十六条 使用済燃料貯蔵施設は、使用済燃料等の崩壊熱を適切に除去するように設置されたものでなければならない。

(計測制御系統施設)

第十七条 使用済燃料貯蔵施設には、次に掲げる事項を計測する設備が設けられていなければならない。 この場合において、当該事項を計測する設備については、直接計測することが困難な場合は間接的に計測する設備をもって代えることができる。

使用済燃料を封入した金属キャスクの表面温度

使用済燃料を封入した金属キャスク蓋部の密封性の監視のための当該金属キャスク蓋部(蓋を溶接する場合を除く。)の圧力

使用済燃料を貯蔵する建物の給排気温度

2 使用済燃料貯蔵施設には、その設備の機能の喪失、誤動作その他の要因により使用済燃料貯蔵施設の基本的安全機能を損なうおそれが生じたとき、次条第一項第二号の放射性物質の濃度若しくは同項第四号の外部放射線に係る線量当量が著しく上昇したとき又は液体状の放射性廃棄物の廃棄施設から液体状の放射性物質が著しく漏えいするおそれが生じたときに、これらを確実に検知して速やかに警報する設備が設けられていなければならない。

(放射線管理施設)

第十八条 事業所には、次に掲げる事項を計測する放射線管理施設が設けられていなければならない。 この場合において、当該事項を直接計測することが困難な場合は、これを間接的に計測する施設をもって代えることができる。

使用済燃料貯蔵施設の放射線遮蔽物の側壁における原子力規制委員会の定める線量当量率

放射性廃棄物の排気口又はこれに近接する箇所における排気中の放射性物質の濃度

放射性廃棄物の排水口又はこれに近接する箇所における排水中の放射性物質の濃度

管理区域における外部放射線に係る原子力規制委員会の定める線量当量、空気中の放射性物質の濃度及び放射性物質によって汚染された物の表面の放射性物質の密度

周辺監視区域における外部放射線に係る原子力規制委員会の定める線量当量

2 放射線管理施設は、前項各号に掲げる事項のうち必要な情報を、適切な場所に表示できるように設置されたものでなければならない。

(廃棄施設)

第十九条 放射性廃棄物を廃棄する設備(放射性廃棄物を保管廃棄する設備を除く。)は、次に掲げるところによるものでなければならない。

周辺監視区域の外の空気中及び周辺監視区域の境界における水中の放射性物質の濃度が、それぞれ原子力規制委員会の定める濃度限度以下になるように使用済燃料貯蔵施設において発生する放射性廃棄物を廃棄する能力を有するものであること。

放射性廃棄物以外の廃棄物を廃棄する設備と区別して設置されたものであること。 ただし、放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を流体状の放射性廃棄物を廃棄する設備に導く場合において、流体状の放射性廃棄物が放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を取り扱う設備に逆流するおそれがないときは、この限りでない。

気体状の放射性廃棄物を廃棄する設備は、排気口以外の箇所において気体状の放射性廃棄物を排出することがないものであること。

気体状の放射性廃棄物を廃棄する設備にろ過装置を設ける場合にあっては、ろ過装置の機能が適切に維持し得るものであり、かつ、ろ過装置の使用済燃料等による汚染の除去又はろ過装置の取替えが容易な構造であること。

液体状の放射性廃棄物を廃棄する設備は、排水口以外の箇所において液体状の放射性廃棄物を排出することがないものであること。

(使用済燃料によって汚染された物による汚染の防止)

第二十条 使用済燃料貯蔵施設のうち人が頻繁に出入りする建物内部の壁、床その他の部分であって、使用済燃料によって汚染された物により汚染されるおそれがあり、かつ、人が触れるおそれがあるものの表面は、使用済燃料によって汚染された物による汚染を除去しやすいものでなければならない。

(遮蔽)

第二十一条 使用済燃料貯蔵施設は、当該使用済燃料貯蔵施設からの直接線及びスカイシャイン線による事業所周辺の線量が原子力規制委員会の定める線量限度を十分下回るように設置されたものでなければならない。

2 事業所内における外部放射線による放射線障害を防止する必要がある場所には、放射線障害を防止するために必要な遮蔽能力を有する遮蔽設備が設けられていなければならない。 この場合において、当該遮蔽設備に開口部又は配管その他の貫通部がある場合であって放射線障害を防止するために必要がある場合には、放射線の漏えいを防止するための措置が講じられたものでなければならない。

(換気設備)

第二十二条 使用済燃料貯蔵施設内の使用済燃料等により汚染された空気による放射線障害を防止する必要がある場合には、次に掲げるところにより換気設備が設けられていなければならない。

放射線障害を防止するために必要な換気能力を有するものであること。

使用済燃料等により汚染された空気が逆流するおそれがない構造であること。

ろ過装置を設ける場合にあっては、ろ過装置の機能が適切に維持し得るものであり、かつ、ろ過装置の使用済燃料等による汚染の除去又はろ過装置の取替えが容易な構造であること。

吸気口は、使用済燃料等により汚染された空気を吸入し難いように設置すること。

(予備電源)

第二十三条 使用済燃料貯蔵施設には、外部電源系統からの電気の供給が停止した場合において、監視設備その他必要な設備に使用することができる予備電源が設けられていなければならない。

(通信連絡設備等)

第二十四条 事業所には、安全設計上想定される事故が発生した場合において事業所内の人に対し必要な指示ができるよう、警報装置及び通信連絡設備が設けられていなければならない。

2 事業所には、安全設計上想定される事故が発生した場合において事業所外の通信連絡をする必要がある場所と通信連絡ができるよう、通信連絡設備が設けられていなければならない。

3 使用済燃料貯蔵施設には、事業所内の人の退避のための設備が設けられていなければならない。

第三章 雑則

(電磁的記録媒体による手続)

第二十五条 第三条第二項の申請書の提出については、当該申請書の提出に代えて、当該申請書に記載すべきこととされている事項を記録した電磁的記録媒体(電磁的記録(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に係る記録媒体をいう。以下同じ。)及び別記様式の電磁的記録媒体提出票を提出することにより行うことができる。

附則

(施行期日)
第一条 この規則は、原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律第三条の規定の施行の日(令和二年四月一日)から施行する。

(使用済燃料貯蔵施設の設計及び工事の方法の技術基準に関する規則等の廃止)
第二条 次に掲げる規則は、廃止する。

別記様式

(第25条関係)
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