第一章 総則
(定義)第一条 この省令で「採血」とは、血液製剤の原料とする目的で、業として、人体から血液を採取することをいう。
2 この省令で「健康診断」とは、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(昭和三十一年法律第百六十号。以下「法」という。)第二十五条第一項に規定する健康診断をいう。 3 この省令で「資材」とは、採血の実施に際し一回限りの使用で使い捨てる器具及び表示に用いる材料をいう。 4 この省令で「移動採血車」とは、採血所(法第二十一条第一項に規定する採血所をいう。以下同じ。)の構造設備の一部であって、採血の用に供する車両をいう。第二章 採血の業務の管理
第二条 削除
(採血基準書)第三条 採血事業者は、採血に係る業務を適正に行うため、次に掲げる事項について記載した採血基準書を作成し、採血所ごとに備え付けなければならない。 ただし、移動採血車において採血を行う場合は、移動採血車ごとに採血基準書を備え付けなければならない。
一 健康診断に関すること。
二 採血の実施に関すること。
三 採血に係る業務の工程の管理に関すること。
四 採血により得られた血液の保管及び管理に関すること。
五 構造設備の管理に関すること。
六 健康診断のために採取された血液の検査に用いる試薬及び試液(以下「試薬等」という。)並びに資材の規格、使用方法及び管理に関すること。
七 採血に従事する者(以下「採血従事者」という。)の衛生管理に関すること。
八 その他必要な事項
(採血指図書)第四条 採血事業者又は採血統括者(以下「採血事業者等」という。)は、採血責任者に対し採血を指図するときは、採血指図書を作成しなければならない。
2 前項の採血指図書には、製造予定品目別又は採血容器の種類別及び血液型別の予定数量を記載しなければならない。 ただし、原料血を製造するために成分採血を行う場合はこの限りではない。 (採血責任者)第五条 採血事業者等は、採血責任者に、採血基準書に基づき、次の各号に掲げる採血に係る業務を適正に行わせなければならない。
一 採血に係る業務の遂行について、採血従事者を統括指揮すること。
二 採血指図書に基づき採血が行われたことを確認すること。
三 採血により得られた血液が適正に搬出されるよう確認すること。
四 次に掲げる業務を自ら行い、又は業務の内容に応じてあらかじめ指定した者に行わせること。
イ 健康診断を適正に実施すること。
ロ 採血指図書に基づき採血すること。
ハ 採血により得られた血液及び資材を適正に保管し、及び出納を行い、並びにその記録を作成すること。
ニ 構造設備の清浄を確認し、その記録を作成すること。
ホ 採血従事者の衛生管理を行い、その記録を作成すること。
ヘ 構造設備を定期的に点検し、及び整備し、並びにその記録を作成すること。
ト 試薬等及び資材を定期的に点検し、その記録を作成すること。
チ その他必要な業務
五 採血により得られた血液に関する記録を作成すること。
2 前項第四号ハ及び第五号に掲げる記録は、作成の日から三十年間保存しなければならない。 3 第一項第四号ニ、ホ、ヘ及びトに掲げる記録は、作成の日から五年間保存しなければならない。 (手順に関する文書)第六条 採血事業者は、採血に係る業務及び次条から第十条までに規定する業務(以下「採血所における業務」という。)を適正に行うため、自己点検、苦情処理、採血によって献血者等の健康が害された場合の措置及び教育訓練の手順に関する文書(以下「手順に関する文書」という。)を作成し、採血所ごとに備え付けなければならない。
(自己点検)第七条 採血事業者等は、あらかじめ指定した者に、手順に関する文書に基づき、次の各号に掲げる業務を行わせなければならない。
一 採血所における業務について定期的に自己点検を行うこと。
二 自己点検の結果の記録を作成し、その作成の日から五年間保存すること。
2 採血事業者等は、前項第一号の自己点検の結果に基づき、採血所における業務に関し、改善が必要な場合には、所要の措置を講ずるとともに、当該措置の記録を作成し、その作成の日から五年間保存しなければならない。 (苦情処理)第八条 採血事業者等は、採血により得られた血液に関して製造販売業者又は製造業者から苦情があったときは、その苦情に係る事項が当該採血所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、その採血所の採血責任者に、手順に関する文書に基づき、次の各号に掲げる業務を行わせなければならない。
一 苦情に係る事項の原因を究明し、採血所における業務の実施に関し改善が必要な場合には、所要の措置を講じること。
二 苦情の内容、原因の究明及び改善措置を記載した苦情処理記録を作成し、その作成の日から五年間保存すること。
第九条 採血事業者等は、採血所における業務の実施に関して献血者等から苦情があったときは、その苦情に係る事項が当該採血所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、その採血所の採血責任者に、手順に関する文書に基づき、次の各号に掲げる業務を行わせなければならない。
一 苦情に係る事項の原因を究明し、採血所における業務の実施に関し改善が必要な場合には、所要の措置を講じること。
二 苦情の内容、原因の究明及び改善措置を記載した苦情処理記録を作成し、その作成の日から五年間保存すること。
(採血によって献血者等の健康が害された場合の措置)第九条の二 採血事業者等は、採血によって献血者等の健康が害された場合は、あらかじめ指定した者に、手順に関する文書に基づき、次の各号に掲げる業務を行わせなければならない。
一 採血によって健康が害された献血者等を適切に処遇すること。
二 採血によって健康が害された献血者等の処遇の状況に関する記録を作成し、その完結の日から五年間保存すること。
(教育訓練)第十条 採血事業者等は、あらかじめ指定した者に、手順に関する文書に基づき、次の各号に掲げる業務を行わせなければならない。
一 採血従事者に対して、採血所における業務に関する教育訓練を計画的に実施すること。
二 教育訓練の実施状況を採血事業者等に対して文書により報告すること。
三 教育訓練の実施の記録を作成し、その作成の日から五年間保存すること。
(採血によって健康が害された献血者等に対する補償措置)第十条の二 採血事業者は、あらかじめ、採血によって献血者等に生じた健康被害の補償のために、必要な措置を講じておかなければならない。
第三章 採血所の構造設備
(採血所の構造設備)第十一条 採血所の構造設備に関する基準は、次のとおりとする。
一 採光、照明及び換気が適正であり、かつ、清潔であること。
二 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区分されていること。
三 採血の業務を適正に行うのに支障のない面積を有すること。
四 構造設備の清浄及び採血従事者の衛生管理のために必要な設備を有しているとともに、そのために必要な器具を備えていること。
五 健康診断を実施するのに必要な設備を有しているとともに、そのために必要な器具を備えていること。
六 採血に必要な設備を有しているとともに、そのために必要な器具を備えていること。
七 採血により得られた血液を適正に保管するために必要な設備を有し、又はその保管及び搬出のために必要な器具を備えていること。
八 献血者等の応急の処置を行うための設備を有しているとともに、そのために必要な器具を備えていること。
附則
この省令は、薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成十四年法律第九十六号)附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日(平成十五年七月三十日)から施行する。附則(平成一六年七月九日厚生労働省令第一一二号)
(施行期日)
第一条 この省令は、薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)の施行の日(平成十七年四月一日)から施行する。
附則(平成一八年九月一九日厚生労働省令第一六二号)
この省令は、平成十八年十月一日から施行する。附則(令和二年八月三一日厚生労働省令第一五五号)
(施行期日)
第一条 この省令は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第六十三号)の施行の日(令和二年九月一日)から施行する。