第一条 この省令は、アジア太平洋経済協力の枠組みにおいて運用されている商用渡航カードの日本国民に対する交付及びその運用に関連する事務の実施に関し必要な事項を定め、もってアジア太平洋経済協力域内における貿易及び投資の円滑化に寄与することを目的とする。
(定義)第二条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 商用渡航カード
第七条第一項(第九条第二項、第十一条第二項、第十二条第二項、第十三条第二項及び第十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定により外務大臣が電磁的記録(携帯電話端末又はこれに類する端末において動作するものに限る。以下同じ。)又は書面により交付する証明書
二 参加国等
アジア太平洋経済協力の参加国及び地域のうち、アジア太平洋経済協力の枠組みにおいて運用されている短期間行われる貿易若しくは投資に関する交渉、業務連絡、市場調査、契約締結、納品後の役務又はこれらに関連する事業(以下「貿易等に関する事業」という。)に従事する者の商用渡航又は経済上の連携に関し、日本国政府を代表してアジア太平洋経済協力の枠組みに参加する者の渡航のための証明書制度に参加しているもの
三 事前審査
参加国等が商用渡航カードに渡航先として当該参加国等の名称を記載することの当否を当該参加国等の法令に基づき行う審査
四 交付申請者
本邦の商用渡航カードの交付を受けようとする者
五 商用渡航カードの名義人
商用渡航カードの交付又は再交付を受けた者
第三条 交付申請者は、次に掲げる書類及び写真を、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第六条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織(外務大臣の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と交付申請者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用する方法又は郵便による送付により、外務大臣に提出して商用渡航カードの交付を申請しなければならない。
一 商用渡航カード交付申請書
二 交付申請者の写真
三 交付申請者が所持する有効な旅券の写し
四 雇用契約書の写しその他交付申請者の交付申請者を雇用する事業主に対する雇用関係を証する書類。
五 交付申請者を雇用する事業主の登記事項証明書。
六 交付申請者を雇用する事業主の決算書又は損益計算書の関係部分の写し交付申請者が事業主にあっては当該決算書又は損益計算書の写し。
七 交付申請者を雇用する事業主の業務を明らかにする資料。
八 交付申請者を雇用する事業主の輸出入業務に関する資料の写し又は投資の金額等に関する書類の写し。
九 その他外務大臣が定める書類
2 外務大臣は、交付申請者が第五条各号のいずれにも該当しないこと又は貿易等に関する事業に従事すること若しくは経済上の連携に関し日本国政府を代表してアジア太平洋経済協力の枠組みに参加することを確認するため、交付申請者又は当該交付申請者を雇用する事業主その他の関係者に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。 3 外務大臣は、他の方法によって交付申請者が第五条各号のいずれにも該当しないことを確認することができるときは、第一項の規定にかかわらず、同項に規定する書類の全部又は一部の提出を免除することができる。 (商用渡航カードの二重交付の禁止)第四条 本邦の商用渡航カードの名義人は、その商用渡航カードが有効な限り、重ねて商用渡航カードの交付を受けることができない。
(商用渡航カードの交付の制限)第五条 外務大臣は、交付申請者が次の各号のいずれかに該当するときは、商用渡航カードの交付をしないことができる。
一 有効な日本国旅券を所持していない者
二 旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)第十三条第一項第二号又は第三号の規定に該当する者
三 第三条第一項に掲げるものとして虚偽の書類又は写真を提出した者
四 前三号に掲げる者のほか、外務大臣が定める者
(参加国等の事前審査)第六条 外務大臣は、交付申請者が前条各号のいずれにも該当せず、かつ、貿易等に関する事業に従事するものとして外務大臣が定める交付の要件に該当すると認めるとき又は経済上の連携に関し、日本国政府を代表してアジア太平洋経済協力の枠組みに参加すると認めるときは、参加国等に対して当該交付申請者の氏名、国籍、生年月日、性別、旅券番号その他の事前審査に必要な情報を送付し、当該参加国等における事前審査を依頼することができる。
(商用渡航カードの交付)第七条 外務大臣は、前条に規定する参加国等の事前審査の結果に基づき、渡航先として承認された参加国等の名称が記載された記載商用渡航カードを交付する。
2 外務大臣は、前項の規定により商用渡航カードを交付する場合には、電子情報処理組織の使用又は郵便による送付により行うものとする。 (商用渡航カードの有効期間)第八条 前条の商用渡航カードの有効期間は五年とする。
(書面交付による商用渡航カードの渡航先の追加又は削除)第九条 商用渡航カードの名義人は、現に所持する商用渡航カードに記載された渡航先以外の参加国等の追加又は当該商用渡航カードに記載された渡航先の削除を書面による商用渡航カードの交付により行おうとする場合には、外務大臣に渡航先の追加又は削除を申請しなければならない。
2 第三条から第八条までの規定は、前項の申請に係る商用渡航カードの再交付について準用する。 (商用渡航カードの記載事項に変更を生じた場合の取扱い)第十条 商用渡航カードの名義人は、現に所持する商用渡航カードの記載事項に変更を生じた場合には、次条の規定の適用がある場合を除き、遅滞なく、第三条の規定により新たに商用渡航カードの交付を申請するものとする。
(旅券番号の変更に伴う商用渡航カードの記載事項の変更)第十一条 商用渡航カードの名義人は、申請に係る当初の商用渡航カードの交付日から起算し五年以内に旅券番号の変更に伴い当該商用渡航カードの記載事項に変更を生じる場合には、外務大臣に旅券番号の変更に伴う当該商用渡航カードの記載事項の変更を申請することができる。
2 第三条から第八条までの規定は、前項の申請に係る商用渡航カードの再交付について準用する。 (商用渡航カードの訂正)第十二条 外務大臣は、商用渡航カードの記載事項に変更を生じ、又は商用渡航カードの記載事項に誤りがあることを知った場合において特に必要があると認めるときは、職権により、当該当該商用渡航カードを再交付することができる。
2 第五条(第三号を除く。)から第八条までの規定は、前項の商用渡航カードの再交付について準用する。 (商用渡航カードの有効期間内の申請)第十三条 商用渡航カードの名義人は、当該商用渡航カードの残存有効期間が六月未満となった場合には、第四条の規定にかかわらず、当該商用渡航カードの有効期間内においても第三条の規定により商用渡航カードの交付を申請することができる。
2 第三条から第八条までの規定は、前項の申請に係る商用渡航カードの交付について準用する。 (書面交付による商用渡航カードの紛失、焼失又は著しい損傷の届出)第十四条 書面により交付された商用渡航カードの名義人は、現に所持する有効な商用渡航カードを紛失し、焼失し、又は著しく損傷した場合には、遅滞なく外務大臣にその旨を届け出なければならない。
2 書面により交付された商用渡航カードの名義人は、本邦以外の地において、現に所持する有効な商用渡航カードを紛失し、焼失し、又は著しく損傷した場合には、遅滞なく最寄りの在外公館を通じ、又は帰国後遅滞なく、外務大臣にその旨を届け出なければならない。 (前条の届出を行った者に対する商用渡航カードの再交付)第十五条 前条に規定する届出を行った者は、当該商用渡航カードの再交付の申請をすることができる。
2 第三条から第八条までの規定は、前項の申請に係る商用渡航カードの再交付について準用する。 (商用渡航カードの失効)第十六条 商用渡航カードは、次の各号のいずれかに該当する場合には、その効力を失う。
一 商用渡航カードの名義人が死亡し、又は日本国籍を失ったとき。
二 交付申請者が、書面による当該商用渡航カードの交付(再交付を含む。)の日から六月以内に当該商用渡航カードを受領しないとき。
三 商用渡航カードの有効期間が満了したとき。
四 書面により交付された商用渡航カードが返納され、又は第十八条の規定により、期限を付して書面により交付された商用渡航カードの返納を命じた場合に、その期限までに返納されなかったとき。
五 第十四条第一項又は第二項により紛失等の届出が行われたとき。
六 すべての参加国等から商用渡航カードの失効が通知されたとき。
七 商用渡航カードの名義人が商用渡航カードを用いて入国した参加国等において、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行ったことが判明したとき(当該参加国等の法令に基づき許可等を受けて当該活動を行った場合を除く。)。
八 第九条第一項、第十条第一項、第十一条第一項、第十二条第一項及び第十三条第一項により交付及び再交付の申請が行われたとき。
九 商用渡航カードの名義人が第五条各号のいずれかに該当することが判明した場合又は貿易等に関する事業に従事しないこと若しくは経済上の連携に関し日本国政府を代表してアジア太平洋経済協力の枠組みに参加しないことが判明した場合。
十 その他外務大臣が商用渡航カードを失効させる必要があると認めるとき。
2 外務大臣は、前項の規定により商用渡航カードが失効した場合には、参加国等に対して当該商用渡航カードの失効を通報しなければならない。 (外務大臣への通報)第十七条 商用渡航カードの名義人及び当該商用渡航カードの名義人を雇用する事業主は、当該商用渡航カードの名義人が商用渡航カードの交付を受けた後に第五条各号又は前条第一項第一号若しくは第七号のいずれかに該当することを知ったときは、遅滞なく、その旨を外務大臣に通報するものとする。
(書面交付による商用渡航カードの返納)第十八条 外務大臣は、書面により交付された商用渡航カードを返納させる必要があると認めるときは、当該商用渡航カードの名義人に対し、期限を付して、その返納を命ずることができる。
(手数料の額及び納付の方法)第十九条 第三条第一項第九条第一項、第十一条第一項、第十三条第一項及び第十五条第一項により申請をしようとする者は、外務大臣が定める額の手数料を国に納付しなければならない。
2 前項の手数料は、当該手数料の額に相当する収入印紙により納付しなければならない。