租税特別措置法(法令ID:332AC0000000026)は、所得税、法人税、地方法人税、相続税、贈与税、登録免許税、消費税、酒税、印紙税など、複数の内国税について特例を定める法律です。各税法の本則に対して、一定の政策目的や経過的措置に基づく軽減、免除、還付、税額計算、申告期限、徴収などの特例を置いています。条文全文は法令全集の租税特別措置法ページまたはe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/)で無料で閲覧できます。

租税特別措置法は、本則たる所得税法・法人税法・相続税法などと異なり、「当分の間」設けられた時限的な措置を多く含んでいます。毎年度の税制改正大綱・税制改正法によって特例の新設・廃止・延長・縮減が繰り返されるため、同じ条文番号でも適用時期によって内容が変わることがあります。条文と適用する年分・事業年度の両方を確認することが不可欠です。

基本情報

租税特別措置法は昭和32年(1957年)に制定された法律です。第1条は、当分の間、各種の内国税を軽減・免除・還付し、または納税義務、課税標準、税額計算、申告書提出期限、徴収などについて各税法の特例を設けることを規定しています(出典:e-Gov法令検索)。

項目内容
正式名称租税特別措置法
法令番号昭和三十二年法律第二十六号
公布日昭和32年(1957年)3月31日
所管省庁財務省(執行機関:国税庁)
法令ID332AC0000000026

財務省は、租税特別措置について、租税特別措置法に規定する措置のうち、特定の行政目的の実現のために設けられたものとして説明しています。国税庁は、租税特別措置法に関する所得税・法人税などの取扱いについて、措置法通達を公開しています。租税特別措置法は、原則として国税通則法・各税法の手続規定が適用されますが、一部の手続について措置法固有の規定が置かれていることもあります。

租税特別措置法の特徴

租税特別措置法は、単独の税目だけを扱う法律ではありません。所得税法、法人税法、相続税法、登録免許税法、消費税法、印紙税法など、多数の税法に対する特例を一つの法律にまとめています。

主な対象特例の例
所得税利子・配当、譲渡所得、住宅関連、所得控除・税額控除などに関する特例
法人税中小企業、研究開発、設備投資、準備金、国際課税などに関する特例
相続税・贈与税贈与、事業承継、住宅取得資金などに関する特例
登録免許税登記に係る税率軽減などの特例
消費税等消費税、酒税、たばこ税、揮発油税などに関する特例
印紙税一定の契約書等に係る非課税・軽減措置など

租税特別措置法は改正頻度が高く、適用期限や経過措置が重要です。特例の対象、要件、適用期間、添付書類、申告書への記載などを確認する必要があります。また、租税特別措置法施行令・租税特別措置法施行規則は、本法の委任を受けて特例の詳細要件や手続を定めており、実務上は法律・施行令・施行規則・措置法通達をあわせて確認することが必要です。財務省は、各税制特例について「租税特別措置の適用実態調査に関する報告書」を公表しており、制度ごとの適用状況を概観することができます。

条文の章別構成

租税特別措置法は、総則、所得税法の特例、法人税法の特例、相続税法の特例、登録免許税法の特例、消費税法等の特例、利子税等の割合の特例、雑則などで構成されています。以下は主要な章の概要です(出典:e-Gov法令検索、財務省資料、国税庁措置法通達に基づく)。

条文量は所得税法の特例(第二章)と法人税法の特例(第三章)が多く、実務上もこれらの章の条文が参照される頻度が高い部分です。まず本則法(所得税法・法人税法等)で基本的な取扱いを確認し、次に租税特別措置法に特例があるかを検索するという順序で読むことが効率的です。施行令(租税特別措置法施行令)・施行規則(租税特別措置法施行規則)にも重要な詳細規定が置かれており、条文と合わせて参照する必要があります。

第一章 総則

第一章は、租税特別措置法全体の目的と用語を定める章です。第1条は、この法律が各種内国税の特例を設けることを目的とする旨を定めています。

第2条以下には、第二章で使われる用語や、法人課税信託の受託者等に関するこの法律の適用などが置かれています。租税特別措置法は各税法の用語を参照するため、用語の定義は関連する本則法と合わせて読む必要があります。総則には「中小企業者」「試験研究費」など租税特別措置法固有の定義も置かれており、本則法とは異なる定義が採用されている場合があります。第1条の「当分の間」という文言は、租税特別措置法が恒久的な税制を定めるものではなく、政策的・時限的な措置であることを示しています。

第二章 所得税法の特例

第二章は、所得税法に対する特例を定める章です。利子所得・配当所得、不動産所得・事業所得、給与所得・退職所得、山林所得・譲渡所得、住宅関連、国外所得、源泉徴収など、幅広い特例が含まれています。

たとえば、金融商品に関する分離課税、居住用財産の譲渡に関する特例、住宅借入金等特別控除、少額投資非課税制度など、個人の所得税で参照される制度の多くがこの章に置かれています。

所得税法の本則だけでは結論が出ない場合、租税特別措置法に特例があるかを確認する必要があります。ただし、適用には期間、所得要件、申告要件、添付書類などが定められていることがあります。個人の所得税で参照される頻度が高い特例として、上場株式等の配当・譲渡所得に係る申告分離課税(第8条の4・第37条の11等)、居住用財産の譲渡に係る3,000万円の特別控除(第35条)、住宅借入金等特別控除(第41条)、少額投資非課税制度(NISA:第37条の14等)などがあります。これらは毎年度の税制改正で要件・限度額・適用期限が改正されることがあるため、適用年分の条文と国税庁の最新案内を必ず確認することが重要です。

第三章 法人税法の特例

第三章は、法人税法に対する特例を定める章です。中小企業者等の法人税率、試験研究費の税額控除、設備投資、特別償却、準備金、国際課税、組織再編、特定目的会社や投資法人に関する特例などが扱われます。

法人税関係の租税特別措置は、政策目的や産業政策と関係するものが多く、適用額明細書の提出など申告手続と結びつく場合があります。財務省は、法人税関係特別措置について、適用額明細書の記載事項を集計し、措置ごとの適用法人数や適用額などを調査する仕組みを説明しています。

法人税に関して実務上参照されることが多い特例として、中小企業者等に対する法人税の軽減税率(第42条の3の2等)、試験研究費の総額に係る税額控除(第42条の4)、設備投資に係る特別償却・税額控除(中小企業投資促進税制等)、特別償却準備金・海外投資等損失準備金などの準備金制度が挙げられます。これらは要件・控除率・控除上限・適用期限が複雑に定められており、申告別表の記載内容と合わせて確認することが必要です。法人税の特例を読む際は、法人税法本体、租税特別措置法、同施行令、同施行規則、国税庁の法人税関係措置法通達を合わせて確認する必要があります。

第四章 相続税法の特例

第四章は、相続税法および贈与税に関する特例を定める章です。住宅取得等資金の贈与、事業承継、農地等の納税猶予、公益法人等への財産の寄附など、相続・贈与に関係する制度が含まれます。

相続税・贈与税の特例は、適用期限、対象者、財産の種類、申告期限、添付書類などの要件が細かく定められることが多い分野です。個別の適用可否は、条文と国税庁の案内、専門家への確認が必要です。実務上参照されることが多い特例として、直系尊属からの住宅取得等資金の贈与税の非課税制度、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度、非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)などがあります。これらは要件を満たさなくなった場合の猶予税額の取消しに関する規定も含む複雑な制度であり、条文と国税庁の案内、措置法通達を合わせて確認することが必要です。

第五章 登録免許税法の特例

第五章は、登録免許税法に関する特例を定める章です。不動産登記、会社・法人登記、特定の政策目的に基づく登記などについて、税率の軽減や免税が定められる場合があります。

登録免許税の特例は、不動産取引、住宅取得、企業再編、金融、産業政策などと関係します。登記の種類、登記原因、対象財産、適用期限によって扱いが異なるため、登録免許税法本体と租税特別措置法を合わせて読む必要があります。住宅用家屋の所有権の保存登記・移転登記・抵当権設定登記に係る税率軽減の特例は、不動産取引・住宅ローン実務で参照されることが多い規定です。また、会社合併・会社分割・株式交換などの組織再編に伴う登記に係る特例も含まれており、企業法務・M&Aの場面で確認されることがあります。

第六章 消費税法等の特例

第六章は、消費税法、酒税法、たばこ税法、揮発油税法、地方揮発油税法、石油石炭税法、航空機燃料税法、自動車重量税法、国際観光旅客税法、印紙税法などに関する特例を定める章です。

この章は、間接税や流通・取引に関する税目の特例をまとめています。特定の取引、物品、事業、災害対応、政策目的に応じた軽減・非課税・還付などが定められる場合があります。消費税法の特例としては輸出物品販売場(免税店)における輸出物品の譲渡に係る特例が含まれます。また、揮発油税・自動車重量税・航空機燃料税・石油石炭税・国際観光旅客税・印紙税などの特例もこの章に含まれており、関係する産業政策や社会経済の変化に応じて改正されることが多い分野です。

第七章以降 利子税等の割合の特例と雑則

第七章には、利子税等の割合に関する特例が置かれています。第八章には、雑則として、特例の適用に関する補足的な規定が置かれています。

租税特別措置法は、多くの制度が期限付きで設けられ、年度改正で延長・廃止・見直しが行われます。そのため、附則や改正法の経過措置も確認が必要です。利子税等の割合の特例(第七章)は、延滞税・利子税・還付加算金の割合が市場金利の水準に連動して変動する仕組みに対応したものです。雑則には適用期限の延長に関する政令への委任規定なども含まれています。附則には経過的な特例規定や廃止された特例の残余規定が残る場合があるため、条文番号と附則を合わせて確認することで適用できる措置の全体像を把握しやすくなります。

租税特別措置法を読むときの注意点

租税特別措置法は、本則法に対する例外・特例を定める法律です。まず、所得税法、法人税法、相続税法などの本則を確認し、そのうえで租税特別措置法に特例があるかを確認する流れが基本になります。本則と特例が重なり合う場合、本則の原則規定・特例の要件・適用期限を順に確認し、適用優先度を整理する必要があります。

特例には、適用期限、対象者、資産の種類、事業規模、所得金額、申告要件、添付書類、帳簿保存などの要件が置かれることがあります。条文の一部だけを読んで適用可否を判断すると誤りが生じやすい分野です。

この記事は条文構成の案内であり、個別の税制特例の適用可否を判断するものではありません。実際の申告、税額計算、特例適用については、国税庁の最新情報を確認し、必要に応じて税理士等の専門家に相談してください。

条文の閲覧方法

租税特別措置法の条文と関連資料は、以下から無料で閲覧できます。

租税特別措置法は毎年度の税制改正で変更されることが多い法律です。参照する際は、適用する年分・事業年度、施行日、経過措置、関連する施行令・施行規則・通達を合わせて確認してください。