河川法(昭和39年法律第167号、法令ID:339AC0000000167)は、洪水等の災害防止、河川利用、流水の機能維持、河川環境の整備・保全を総合的に扱う法律です。法令全集e-Gov法令検索で確認できます。河川を使う事業者や地域住民、整備・管理担当者が、河川の管理主体と利用の制度を調べる場面で参照します。この記事では2026年9月15日時点の管理・計画・許可の枠組みを扱い、個別の利用の許可可否や申請書の作成は扱いません。

一級・二級の区分と実際の管理主体

第1条の目的は、災害防止だけでなく適正利用、流水の正常な機能、環境の整備・保全を含みます。第2条は河川を公共用物とし、河川の流水は私権の目的とならないと定めます。河川法の利用制度は、こうした公共性を前提に置かれています。

第4条の一級河川は、特に重要な水系として政令で指定されたものに係る河川のうち国土交通大臣が指定するものです。第5条の二級河川は、それ以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係り、都道府県知事が指定します。河川の長さや幅だけで一級・二級が決まるとは規定されていません。

第9条は一級河川を国土交通大臣、第10条は二級河川を都道府県知事が管理することを基本とします。ただし、一級河川の指定区間では都道府県知事が事務の一部を行う制度があり、指定都市の長による管理の規定もあります。二級河川にも指定都市による区間管理があります。

そのため、河川名と級別を確認しただけで個別の管理窓口が一意に決まるとは限りません。対象の区間と事務分担を合わせて調べる構造です。出典は第1条・第2条・第4条・第5条・第9条・第10条です。

基本方針と整備計画の役割を分ける

第16条の河川整備基本方針は、計画高水流量その他の河川工事・維持の基本的な方針です。水害の状況、水資源の利用・開発、河川環境を考慮し、水系ごとの総合管理を確保するよう定められます。治水施設だけを独立して決めるのではなく、水系と利用・環境を見渡した方針です。

第16条の2の河川整備計画は、基本方針に沿って計画的に整備を実施すべき区間について定めます。基本となる方針と、整備の対象区間に関する計画という関係であり、二つは同じ文書の別名ではありません。どちらも公表の規定があります。

整備計画の案を作成する際には、必要と認める場合に学識経験者の意見を聴くこと、さらに必要と認める場合に公聴会等で関係住民の意見を反映する措置を講じることが規定されています。関係地方公共団体の長の意見聴取も定められています。

地域の整備について資料を探すときは、水系全体の方針を確認したいのか、具体的な区間の計画を確認したいのかを分けると参照先が明確になります。本記事は個別河川の整備内容を推測せず、二つの計画の役割を法律から説明しています。出典は第16条・第16条の2です。

流水・土地・工作物ごとに利用の根拠がある

第23条は流水の占用許可、第24条は河川区域内の土地の占用許可を規定します。水を使うことと土地を占めて使うことは、対象が違うため別条文です。第24条には河川管理者以外の者が権原に基づき管理する土地の除外もあります。

第23条の2は、許可された水利使用のために取水した流水等だけを使う所定の発電について登録を定めています。発電目的なら一律に登録でよいという規定ではなく、利用する流水の条件が付いています。許可と登録は同じ手続として言い換えられません。

第25条は土石等の採取、第26条は工作物の新築等、第27条は掘削等の土地形状の変更や竹木の栽植・伐採を扱います。それぞれ対象範囲と例外があり、一つの事業に複数の行為が含まれる場合にも関係します。

法律は行為区分と許可等の根拠を示し、申請様式や添付図書の細目は省令へ委任します。書類の見方は河川法施行規則の解説で扱っています。事業の名称だけで一つの許可を選ばず、水・土地・工作物の何を利用または変更するかを整理するのが条文への入口です。出典は第23条から第27条です。

ダムの運用と渇水時の調整

河川法は、設備を造る段階だけでなく運用中の管理も扱います。第44条以下には所定のダムについて、河川の従前の機能の維持、水位・流量等の観測、操作状況の通報、操作規程、危害防止、記録などの規定があります。工作物の存在と、その運用による河川への影響を結び付けた構成です。

第50条は管理主任技術者、第51条の2以下はダムの洪水調節機能に関する協議会、第52条は洪水調節のための指示を扱います。河川管理には、施設の構造だけでなく、情報と操作を調整する制度が含まれています。

異常な渇水については第53条が、水利使用者相互で必要な協議を行う努力義務と、河川管理者による情報提供の努力義務を定めます。協議では互いの水利使用を尊重することを規定し、協議が成立しない場合等には河川管理者によるあっせん・調停の制度があります。

水が多すぎる場合と少なすぎる場合で必要な調整は異なります。河川法は、許可によって利用を認める制度に加え、洪水・渇水時に他の利用や公共の利益との関係を調整する規定を置いています。出典は第44条から第53条です。

水面だけではない河川区域と管理のための工事

第6条の河川区域には、流水が継続して存在する土地やこれに類する状況の土地だけでなく、河川管理施設の敷地も含まれます。また、堤外の土地などのうち、一体として管理する必要があるとして河川管理者が指定した区域も対象になります。普段水が流れている場所だけを見て、河川区域の範囲を確定する構造ではありません。堤防やその他の管理施設との関係、管理者による指定も重要です。

同条には高規格堤防特別区域や樹林帯区域に関する規定があり、所定の指定には公示を求めています。特定の土地がどの区域に入るかを調べる場合、法律の定義に加えて、指定に関する情報を確認することになります。流水を使う行為と土地を使う行為が異なる許可条文に分かれるのと同様、区域の確認も利用行為の確認とは別の項目です。

第20条は、河川管理者以外の者が河川工事や河川の維持を行う場合の承認を定めています。政令で定める軽易なものには例外がありますが、河川の管理に資する工事であっても、管理者以外の者が行う際の制度が置かれています。第26条の工作物の新築等に関する許可と、河川工事・維持の承認は、対象となる行為の性質を分けた規定です。第6条・第20条に根拠があります。

許可後の条件と河川管理者の監督処分

第75条は、法令や処分、許可に付された条件に違反した場合などについて、河川管理者が採ることのできる処分を定めています。許可等の取消しや変更、効力の停止、条件の変更に加え、工事の中止、工作物の改築・除却、損害を除去・予防するための措置、原状回復などが列挙されています。申請時の許可制度だけでなく、利用中の状態に対応する制度も法律に含まれます。

同条第2項は、違反とは別に、関連する他法令の処分が失効した場合、事業の廃止、洪水等による河川状況の変化、河川工事や公益上やむを得ない必要がある場合などを区別しています。監督処分の根拠はすべて同じ事情ではありません。条文のどの項に基づく制度かを分けて読むことで、違反に対する措置と、河川の状況などの変化に対応する措置の違いを確認できます。第75条が確認先です。

参考リンク

管理・計画・利用に関する一次資料は、次の2025年6月1日施行版です。