財政法(法令ID:322AC0000000034)は、国の予算、会計年度、財源、予算の執行と財政報告の原則を定める法律です。法令全文とe-Govの条文を参照できます。国の予算資料を読む人や会計・事業担当者が、公債や複数年度の事業費、繰越しの意味を調べる場面で参照します。この記事は財政運営の制度を扱い、特定予算の妥当性や国債の投資判断、個別契約の支出手続は扱いません。
2026年9月15日時点で確認したe-Govの現行施行版は2026年7月17日施行版です。地方公共団体の財源・経費負担を扱う地方財政法とは、対象を区別して説明します。
会計年度と一般会計・特別会計
第2条は、国の支払財源となる現金の収納を収入、現金の支払を支出とし、一会計年度の一切の収入を歳入、一切の支出を歳出と定義します。財産の処分や新たな債務負担に伴うもの、会計間の繰入れ等も含める規定があります。日常的な売上や利益の意味に置き換えず、国の会計上の用語として理解する必要があります。
第11条の会計年度は4月1日から翌年3月31日までです。第12条は年度の経費をその年度の歳入で支弁することを定め、第14条は歳入歳出をすべて予算に編入することを求めます。年度の区切りと、予算に取り込む範囲をそれぞれ定めることで、国会が審議する予算の基礎を形づくっています。
第13条は国の会計を一般会計と特別会計に分けます。特別会計は、特定事業、特定資金の運用、特定歳入と特定歳出を区分して経理する必要がある場合に限り、法律で設置する仕組みです。単に担当省庁が別であるというだけの区分ではありません。予算資料では、会計を分ける目的と、年度の歳入歳出を対応させて読むことができます。
公債に依存しない原則と例外の財源
第4条は、国の歳出を公債又は借入金以外の歳入で賄うことを原則とします。ただし、公共事業費、出資金及び貸付金については、国会の議決を経た金額の範囲内で公債発行や借入れを認めています。対象経費と議決された金額の両方が条文の条件です。
同条は、その場合の償還計画の国会提出と、公共事業費の範囲について毎年度国会の議決を受けることも定めます。例外の対象を示すだけでなく、将来の返済と対象経費の確定を国会につなげています。ここで説明しているのは財政法上の基本構造であり、別の法律による特例や特定年度の発行額を含む説明ではありません。
第5条は日本銀行による公債引受けや日本銀行からの借入れを原則として禁じ、特別の事由があり国会議決の範囲内である場合の例外を置きます。第6条は決算剰余金の一定部分を公債等の償還財源に充てることを定めます。借入れを行う入口だけでなく、資金調達先と返済財源まで別の条文で扱っています。
継続費・繰越明許費・国庫債務負担行為
第16条は、予算を予算総則、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費、国庫債務負担行為としています。年度をまたぐ事業を読む際は、これらを単に「複数年予算」とまとめず、どの行為を認めるものか区別する必要があります。
第14条の2の継続費は、完成に数年度を要する工事・製造等について、経費の総額と年割額を決め、国会議決に従って数年度にわたり支出する仕組みです。第14条の3の繰越明許費は、性質上又は予算成立後の事情によって年度内に支出を終えない見込みのある経費を、あらかじめ国会の議決を経て翌年度に繰り越す制度です。
第15条の国庫債務負担行為は、将来支出につながる債務を負担する行為についての枠組みです。法律等に基づくものや歳出予算等の範囲内のもの以外に債務を負担する際の国会議決を規定します。支出を複数年で行うこと、当年度の予算を翌年度に使うこと、債務を負担することは異なるため、資料に出てくる名称をそれぞれの条文に対応させます。
補正予算と暫定予算の役割
第29条は、補正予算を作成して国会へ提出できる場合を定めます。法律上・契約上の義務に属する経費の不足や、予算作成後に生じた事情によって特に緊要となった経費等の追加、追加以外の変更が対象です。予算が成立した後の変更であっても、内閣が自由に予算の枠を変えるという規定ではなく、国会への提出を前提としています。
第30条の暫定予算は、一会計年度のうち一定期間に係る予算です。当該年度の予算が成立すると失効し、暫定予算に基づく支出や債務負担は当該年度の予算に基づくものとみなされます。補正予算が既に作成された予算を変更する制度であるのに対し、暫定予算は一定期間を対象にする点に特徴があります。
したがって、いずれも通常の予算と異なる名称を持ちますが、使われる場面は同じではありません。予算資料の対象期間、成立済みの予算との関係、追加又は変更の理由を読むと、どちらの制度が説明されているか確認できます。財政法はこうした予算の種類と変更手続を、執行に先立つ制度として置いています。
配賦・目的外使用の制限・移用と流用
第31条は、予算成立後に内閣が国会の議決に従って各省各庁の長へ予算等を配賦することを定めます。第32条は歳出予算と継続費を各項の目的外に使うことを制限します。予算額の範囲に収まっているかだけではなく、何のための経費かという目的も執行を拘束する構造です。
第33条は、部局間・項間の移用と、目の間の流用を区別します。移用は原則として認めず、あらかじめ国会議決を経た場合に財務大臣の承認を得て行う例外を置きます。流用にも財務大臣の承認が必要です。さらに承認の通知や決算報告での金額・理由の明示を規定しています。
この区分は、予算の余りを別の目的に振り向けるという日常的な説明だけでは捉えられません。どの区分間で動かすか、当初の議決は何か、承認と報告がどう必要かを別々に確認します。予算の編成時に設定された区分が、そのまま執行と決算の説明責任につながる点が財政法の特徴です。
第35条の予備費は財務大臣が管理します。各省各庁の長は使用理由、金額、積算の基礎を示し、財務大臣による調査・調整と、原則として閣議の決定を経る仕組みです。予備費使用書の決定後は予算の配賦があったものとみなされるため、通常の配賦と予備費の使用決定との接続も条文に設けられています。
年度末の繰越しと国民への財政報告
第42条は、繰越明許費を除き歳出予算の経費を翌年度に使用できないことを原則とします。他方、年度内に支出負担行為を行い、避け難い事故のため支出を終えなかった場合等の繰越しを規定します。第14条の3の事前に議決する繰越明許費と、支出の経過に応じた第42条の規定を区別して読む必要があります。
第46条は、予算成立時に予算、前々年度決算、公債・借入金・国有財産の現在高等を国民に報告することを定めます。さらに少なくとも毎四半期、予算使用や国庫等の状況を国会と国民に報告する規定があります。予算を決める時点だけでなく、執行中も財政状況を示す制度です。
会計年度、財源、予算の種類、執行の制約、繰越し、報告は一連の流れとしてつながっています。予算額だけに着目するのでなく、議決された目的、対象年度、支出又は債務負担の権限、実際の使用状況を対応させることで、財政法が国の予算運営のどこを規律しているか確認できます。
参考リンク
国の予算の原則と年度間の取扱いについて参照した公式資料です。