借地借家法(法令ID:403AC0000000090)は、建物所有を目的とする土地の権利と建物の賃貸借について、期間、更新、効力等の特則を定める法律です。法令全文とe-Govの条文で確認できます。土地・建物の契約制度を学ぶ人が、借地と借家、通常の契約と定期契約の違いを調べる際に参照します。この記事は条文上の仕組みを扱い、特定契約の有効性、明渡しの可否、適正な賃料は判断しません。
2026年9月15日時点で確認した現行施行版は2026年5月21日施行版です。過去に締結された契約の経過措置まで一律に判定する記事ではなく、現行条文の主要な区分を示します。
建物所有のための借地と建物そのものの賃貸借
第1条は、建物所有を目的とする地上権・土地賃借権と、建物賃貸借の更新・効力等を対象とします。第2条の借地権も建物所有の目的を含む定義です。土地を借りる行為の全てを、この法律の借地権として説明することはできません。契約の対象が土地か建物かに加え、土地の場合は目的を確認する必要があります。
借地の規定と借家の規定では、期間や対抗力の仕組みが違います。建物を所有するため土地を借り、その建物をさらに貸す場合にも、それぞれの契約関係を分けて整理することになります。契約書に同じ「賃貸借」という名称があっても、確認する章が同じとは限りません。
また、第25条には一時使用目的の借地権、第40条には一時使用目的の建物賃貸借に関する規定があります。契約期間が短いという事実だけを、一時使用の要件そのものとして説明してはいません。対象、目的、契約類型を特定したうえで、対応する期間・更新の規定へ進むのが基本です。
借地権の期間・更新と建物の存否
第3条は借地権の存続期間を30年とし、より長い期間を定めたときはその期間とします。第4条は更新後の期間を、最初の更新は20年、その後は10年とし、より長い合意を認めています。これは後述する定期借地権等の特則とは分けて確認する規定です。
第5条は期間満了時の更新請求や満了後の使用継続について、建物がある場合の更新を定めます。第6条は設定者が異議を述べるための正当事由を規定し、双方の土地使用の必要性、従前の経過、利用状況、財産上の給付の申出等を考慮するとしています。給付を申し出れば常に更新を拒めるという単一条件の条文ではありません。
第7条には建物の再築に伴う期間延長、第13条には期間満了で更新がない場合の建物買取請求があります。土地の契約の終了と、その上に存在する建物をどう扱うかが結び付いています。期間だけを見て借地契約の全体像を説明せず、建物の存否、再築、更新、買取りの規定を区別して読む必要があります。
定期借地権と事業用・建物譲渡特約の違い
第22条は50年以上の借地権について、更新・再築による期間延長がなく、建物買取請求をしない旨の特約を定められるとします。特約は書面等によることとされ、電磁的記録の規定もあります。長い契約期間があるだけで自動的に更新なしの契約になるのではなく、特約と方式を規定しています。
第23条は専ら事業用で居住用を除く建物の所有を目的とする借地を扱い、30年以上50年未満と10年以上30年未満を分けます。同条の契約は公正証書によることを求めます。第22条の「公正証書による等書面」と、第23条の「公正証書」は方式の書き方が異なるため、全ての定期借地を同じ書面要件で説明しないことが重要です。
第24条は設定後30年以上経過した日に建物を相当の対価で設定者へ譲渡し、借地権を消滅させる特約を扱います。建物の使用を継続する場合の賃貸借に関する規定もあります。定期借地、事業用借地、建物譲渡特約は、期間だけでなく建物の用途と終了時の扱いを異なる形で組み合わせています。
建物賃貸借の更新拒絶と正当事由
第26条は、期間の定めがある建物賃貸借について、満了の1年前から6か月前までに所定の通知がないとき、従前と同一条件で更新したものとみなし、期間を定めないものとします。満了後の使用継続と賃貸人の異議に関する規定もあります。満了日を迎えれば常に当然終了するという構成ではありません。
第27条は賃貸人による解約申入れと6か月の経過を定めますが、第28条は賃貸人による更新拒絶通知・解約申入れに正当事由を求めます。建物使用の必要性、経過、利用状況・現況、財産上の給付の申出などを考慮する条文です。通知期間だけを守れば必ず終了するという要約では、第28条の条件が抜けます。
第29条は1年未満の建物賃貸借を期間の定めのないものとみなし、第30条はこの節に反する借主に不利な特約の取扱いを定めます。ここでも後述する第38条の特則があります。通常の建物賃貸借の規定と定期契約を区別し、どの条文が契約の期間と更新に関係するかを整理します。
定期建物賃貸借の契約方式と事前説明
第38条は書面等で契約する場合に更新がない旨を定める制度を設け、電磁的記録による契約も規定します。さらに第3項は、更新がなく期間満了で終了する旨を記載した書面をあらかじめ交付して説明することを求めます。契約の方式と事前の説明は、別々の項で定められた事項です。
第4項には借主の承諾を得た電磁的方法による情報提供、第5項には説明をしなかった場合の更新なしの定めの取扱いがあります。第6項は1年以上の契約で満了による終了を通知する期間等を定めます。定期契約だから契約締結後の通知が一切不要という規定ではありません。
第7項は、所定の面積未満の居住用建物で転勤・療養・介護等のやむを得ない事情により生活の本拠として使うことが困難となった場合の解約申入れを定めます。第9項は借賃改定特約と第32条との関係を規定します。定期建物賃貸借は「更新がない」の一文だけでなく、方式、説明、満了通知、途中解約、賃料改定を分けて確認する制度です。
対抗力・賃料増減と裁判所による手続
第10条は、所定の登記された建物の所有により借地権を第三者に対抗できることを定め、第31条は建物の引渡しによる建物賃貸借の対抗力を定めます。土地と建物で要件が異なり、契約当事者間の合意と第三者に対する効力を区別する規定です。
第11条は地代等、第32条は建物の借賃について、租税負担、経済事情、近隣の賃料等との比較により不相当となった場合の増減請求を定めます。いずれも将来に向けた請求と、協議が調わない場合の取扱いがあります。賃料相場の一つの数字だけから、具体的な契約の変更額を決める条文ではありません。
第17条には借地条件の変更・増改築、第19条には土地賃借権の譲渡・転貸について、条件の下で裁判所が承諾に代わる許可等を行う制度があります。法律は更新と期間だけでなく、利用の変化や当事者間の調整が必要な場面にも手続を設けています。対象契約、時点、権利の効力、変更の手続を分けて読むことで、借地借家法の制度全体を把握できます。
第36条は、居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合について、事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者による承継を定めます。所定期間内の反対意思の表示も規定されており、同居者一般を一律に扱う制度ではありません。
参考リンク
借地・建物賃貸借と定期契約の根拠を確認する公式資料です。