労働安全衛生法(法令ID:347AC0000000057)は、法令全集の条文ページe-Gov法令検索で確認できます。労働災害の防止、危害防止基準、責任体制、安全衛生管理、健康診断、ストレスチェック、化学物質管理などを通じて、職場における労働者の安全と健康を確保する法律です。令和7年法律第33号による改正は、個人事業者等に対する安全衛生対策、職場のメンタルヘルス対策、化学物質や機械による労働災害防止などに関係し、建設業、製造業、物流、設備貸与、発注・請負管理、人事労務で参照されます。この記事では、2026年以降の段階施行で確認すべき改正事項を整理し、個別現場の適用判断や安全衛生診断は扱いません。

基本情報

労働安全衛生法は、労働基準法と相まって、労働災害防止のための基準や責任体制を定める法律です。第一条は、職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。令和7年改正では、労働者と同じ場所で働く個人事業者等を保護の対象や義務の主体として位置付けること、50人未満事業場へのストレスチェック義務化、化学物質・機械関係の規律の整備などがまとめて扱われています。

項目内容
法令名労働安全衛生法
法令番号昭和四十七年法律第五十七号
法令ID347AC0000000057
改正法労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律、令和七年法律第三十三号
公布日2025年5月14日
主な施行2026年1月1日、2026年4月1日、2027年1月1日、2027年4月1日など段階施行

厚生労働省の改正ページでは、令和8年1月1日施行、令和8年4月1日施行、令和9年1月1日施行、令和9年4月1日施行の政令・省令・告示が分けて掲載されています。つまり、この改正は一つの施行日にすべてが切り替わるものではありません。事業者、注文者、機械等貸与者、建築物貸与者、個人事業者など、関係者ごとに確認すべき時期と措置が異なります。現場単位で、どの施行日にどの義務や手続が動くかを確認することが重要です。

個人事業者等と混在作業

令和7年改正の大きな柱は、労働者と同じ場所で作業する個人事業者等を、労働安全衛生法の保護や義務の枠組みにどう位置付けるかです。厚生労働省は、労働者と同じ場所で働く個人事業者等を労働安全衛生法による保護の対象および義務の主体として位置付け、注文者等や個人事業者等自身が講ずべき各種措置を定めたと説明しています。これは、労働者だけを前提にした安全衛生管理では、請負や個人事業者が混在する現場のリスクを十分に扱いにくいことを背景にしています。

労働安全衛生法の条文上も、特定元方事業者や注文者に関する規定では、労働者である作業従事者だけでなく、労働者以外の作業従事者を含めて、同一の場所で作業が行われることによって生ずる労働災害を防止するための措置が置かれています。建設現場、倉庫、設備工事、保守点検、物流拠点のように、発注者、元請、下請、個人事業者、外部業者が同じ場所で作業する場面では、誰が連絡調整し、誰が作業手順や立入範囲を管理するかが重要になります。

実務上は、個人事業者等を「労働者ではないから安全衛生管理の対象外」と扱うのではなく、混在作業に伴う接触、墜落、挟まれ、化学物質ばく露、機械災害などを防ぐため、発注・請負契約、作業計画、現場入場時教育、連絡調整、保護具、作業間の合図を整理する必要があります。個人事業者自身にも一定の措置が求められるため、現場のルールを共有し、指示や禁止事項を文書化しておくことが確認事項になります。

注文者・貸与者に関係する措置

労働安全衛生法は、事業者だけでなく、注文者、機械等貸与者、建築物貸与者などにも一定の安全衛生上の役割を置いています。現行条文にも、建設工事の注文者その他仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、作業方法、工期、納期等について、安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付さないよう配慮しなければならないという規定があります。令和7年改正は、この発注・請負関係の安全衛生管理を、個人事業者等が関わる作業にも広げて読む必要がある改正です。

条文上、特定事業の仕事を自ら行う注文者が、建設物や設備、原材料を請負人に係る作業従事者に使用させるときは、労働災害を防止するため必要な措置を講じる規定があります。また、注文者は、その指示に従って請負人に係る作業従事者が作業を行ったならば法令に違反することとなる指示をしてはならないとされています。これは、発注側が作業条件を決めることで、現場の安全衛生に影響を与え得ることを踏まえた規律です。

2026年以降の改正対応では、発注仕様、工程表、納期、作業場所の提供、機械・建築物の貸与、現場ルールの共有を確認することが必要です。特に、建設・設備・物流・製造の外注管理では、注文者が直接雇用していない人も同じ場所で作業するため、連絡調整や危険情報の伝達が途切れやすくなります。契約書だけでなく、作業開始前打合せ、危険予知活動、立入管理、使用機械の点検記録を、誰が実施し保存するかまで整理することが大切です。

50人未満事業場のストレスチェック

職場のメンタルヘルス対策では、50人未満の事業場へのストレスチェック義務化が重要な改正です。厚生労働省の概要資料では、現行法ではストレスチェックは労働者50人以上の事業場に義務付けられ、50人未満は努力義務とされていたところ、これをすべての事業場に義務化すると説明されています。施行期日は、50人未満事業場の負担に配慮して十分な準備期間を設け、公布後3年以内に政令で定める日とされています。

ストレスチェック制度は、労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査を行い、本人に結果を通知し、必要に応じて医師による面接指導につなげる仕組みです。検査結果を一定規模の集団ごとに集計・分析し、職場環境の改善に生かすことも制度の要素です。労働安全衛生法には、心理的な負担の程度を把握するための検査や面接指導に関する規定が置かれており、実施事務に従事した者には秘密保持の規定もあります。

小規模事業場では、産業医や保健師、実施事務従事者、外部委託先、結果の保管、本人同意、面接指導の申出対応をどう整えるかが課題になります。厚生労働省の概要資料では、小規模事業者が円滑に対応できるよう、労働者のプライバシーが保護され、現実的で実効性のある実施体制・実施方法についてのマニュアル作成や、地域産業保健センターの体制拡充等の支援策を講じるとされています。事業者は、義務化の施行日を待つだけでなく、実施方法と情報管理を先に整理しておく必要があります。

化学物質・機械関係の見直し

令和7年改正では、個人事業者等やストレスチェックだけでなく、化学物質による健康障害防止、機械等による労働災害防止、作業環境測定にも関係する見直しが含まれます。労働安全衛生法には、化学物質の表示、SDS等による通知、リスクアセスメント、有害性調査、作業環境測定、健康診断などの規定が置かれています。厚生労働省の概要資料では、化学物質管理について、物質ごとの個別規制から、事業者等による自律的な管理を基軸とする規制への見直しが進められてきたことが説明されています。

条文上、事業者は一定の物や通知対象物による危険性または有害性等を調査しなければならないとされています。化学物質の譲渡・提供者による表示や通知、事業者によるリスクアセスメント、ばく露低減措置、作業環境測定の結果に基づく措置は、化学物質を取り扱う事業場で継続的に確認すべき項目です。令和8年4月1日施行の政令・省令・告示など、施行時期ごとに資料が分かれているため、対象物質や必要な措置を公式資料で確認する必要があります。

機械関係では、動力プレス、フォークリフト、車両系建設機械、不整地運搬車、高所作業車などに関する告示や自主検査指針の廃止公示が、厚生労働省の改正ページに掲載されています。機械の譲渡、貸与、使用、定期自主検査、安全衛生教育は、所有者、貸与者、使用者、作業従事者の関係が分かれやすい分野です。改正対応では、対象機械、検査・点検の主体、教育の対象者、記録保存、貸与時の情報提供を、施行日ごとに棚卸しすることが入口になります。

段階施行と社内準備

令和7年法律第33号の改正は、2026年1月1日、2026年4月1日、2027年1月1日、2027年4月1日など、複数の時期に分かれて施行されます。厚生労働省の改正ページでは、施行時期ごとに政令、省令、告示、通達、リーフレットが整理されています。安全衛生の改正対応では、法改正のタイトルだけを確認するのではなく、どの施行日に、どの事業場、どの作業、どの機械、どの関係者に影響するかを表にして管理することが重要です。

まず確認したいのは、個人事業者や外部業者が同じ場所で作業する現場があるかどうかです。次に、50人未満の事業場でストレスチェックの実施体制が未整備かどうか、化学物質や対象機械を扱う事業場があるかどうかを確認します。建設業や製造業だけでなく、倉庫、設備保守、清掃、施設管理、研究開発、医療・福祉、教育機関でも、安全衛生上の作業や外部委託が存在する場合があります。

社内準備としては、安全衛生委員会や衛生推進者、現場責任者、発注部門、購買部門、人事労務、法務、外部委託先との役割分担を整理する必要があります。ストレスチェックではプライバシー保護と面接指導の流れ、個人事業者等では現場入場ルールと連絡調整、化学物質ではSDS・リスクアセスメント・保護具・ばく露低減措置、機械では点検・教育・貸与管理を確認します。制度改正は広いので、施行日別、事業場別、作業別に分けると対応漏れを減らしやすくなります。

参考リンク

労働安全衛生法改正を確認するときは、まず厚生労働省の改正特設ページで令和7年法律第33号、施行日別の政令・省令・告示、関連通達、リーフレットを確認し、次にe-Gov法令検索で現行条文と改正後の反映状況を確認する流れが読みやすいです。ストレスチェックについては、厚生労働省のメンタルヘルス対策ページや小規模事業場向け資料も合わせて参照すると、制度の目的と実施方法を整理しやすくなります。