行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号、法令ID:425AC0000000027)は、個人番号の利用と特定個人情報の保護、個人番号カード、法人番号を定める法律です。以下では「番号利用法」と呼びます。法令全集とe-Gov法令検索で条文を確認できます。行政の窓口担当者や給与・税務関係の事務担当者が、番号を取り扱う根拠を調べる際に参照します。この記事は制度の区分を扱い、個別業務での利用可否やカードの操作手順は扱いません。
2026年9月15日時点では、2026年7月17日施行版を参照しています。
個人番号の利用は事務の根拠と結び付く
第9条は個人番号の利用範囲を定めています。別表に掲げる行政機関等が、同表に掲げる事務等を処理するため、必要な限度で個人番号を利用する構造です。地方公共団体については条例に基づく利用の規定もあり、単に番号を知っていることと、その番号を事務に利用できることは区別されています。
利用の根拠を読む際には、実施する主体だけでなく、対象の事務と必要な範囲を併せて確認します。別表は機関名の一覧というだけではなく、どの機関がどの事務を行うかを対応させています。準法定事務や委託に関する定めもあるため、法律本文と主務省令の役割を切り離して読むことはできません。
第2条には個人番号利用事務や個人番号関係事務等の定義があります。行政機関の制度運営と、勤務先等が必要書類を扱う事務は、同じ「番号を扱う仕事」でも定義上の区分が異なります。第14条の提供要求もこうした事務の処理に結び付いています。番号利用法は、本人確認に便利な共通番号を無制限に使う制度ではなく、処理する事務に応じて利用を組み立てる法律です。根拠:第2条・第9条・第14条
提供・収集・保管にはそれぞれ制限がある
第19条は、列挙された場合を除いて特定個人情報を提供してはならないと定めています。第20条は、他人の個人番号を含む特定個人情報について、収集と保管を制限します。外部に送らなければ制限が問題にならないという構造ではなく、集める段階、保存する段階、渡す段階に規定があります。
第15条も、特定個人情報の提供を受けることができる場合を除いて、他人に番号の提供を求めることを制限しています。本人の同意という事情だけを見るのではなく、各条が参照する第19条のどの場面かを確認する仕組みです。同条には事務処理、委託、事業承継等の場面が個別に定められています。
さらに第29条は、必要な範囲を超えた特定個人情報ファイルの作成を制限します。既存の個人情報を扱うことと、番号を含む情報を体系的にまとめることは同一ではありません。番号の提供を受ける根拠がある場合でも、別目的の名簿作成や情報の組合せまで一括して認める条文にはなっていません。取得、利用、保存、提供を一つずつ区別することが、この法律の保護構造を理解する手掛かりです。根拠:第15条・第19条・第20条・第29条
本人確認と委託先の管理は別の手続である
第16条は、本人から個人番号の提供を受ける際の本人確認措置を定めています。個人番号カードの提示、カード代替電磁的記録の送信と確認、政令で定めるその他の措置が条文に分けて置かれています。番号を入力してもらう作業と、提供者が本人であることを確認する作業を結び付ける規定です。
一方、第12条は、個人番号の漏えい、滅失、毀損を防止し、適切に管理するための必要な措置を求めています。本人確認が終われば管理上の義務がなくなるわけではなく、取り扱う期間を通じた保護が制度化されています。第10条は再委託、第11条は委託先に対する必要かつ適切な監督を定め、委託を通じて番号を扱う場合にも管理の関係を残しています。
第29条の4は、特定個人情報の安全確保に係る一定の事態が生じた場合の委員会への報告と本人通知を規定しています。具体的な対象や方法には個人情報保護委員会規則の定めが関係します。平常時の安全管理、委託関係の監督、事故発生時の報告は、それぞれ別の根拠条文を持つ仕組みです。根拠:第10条から第12条・第16条・第29条の4
情報連携は記録と事前評価を伴う
第21条は情報提供ネットワークシステムの設置と管理を定めています。情報照会者が必要な情報の提供を求め、情報提供者が応じる仕組みは、第19条や第22条等の条件と結び付いています。行政機関が持つすべての情報を、関係する職員が一律に閲覧できるという規定ではありません。
第23条は、照会者・提供者の名称、提供を求めた日時、提供日時、情報の項目等を記録し、所定の期間保存することを定めます。情報をやり取りする機能だけでなく、どのようなやり取りがあったかを残す制度も法律の中にあります。第24条と第25条の秘密管理・秘密保持に関する規定も、この取扱いを支えています。
第28条の特定個人情報保護評価は、対象ファイルを保有する前の評価を扱います。事務の概要、処理の仕組み、情報量、保護措置等を評価し、公示や意見募集、承認等の手続を定めています。対象外とされるファイルや手続の細目は委員会規則に委ねられています。情報連携を実施してから対策を考えるだけでなく、保有前の段階で取扱いを確認する仕組みが置かれている点が特徴です。根拠:第21条から第28条
カードの利用と法人番号の公表は別の制度
第3章は個人番号カードの発行・交付・利用等を定めています。第18条には、カードの記録事項が記録された部分と区分された部分に、所定の事務に必要な事項を記録して利用する仕組みがあります。カードという媒体の利用と、個人番号そのものを利用することを同じ意味に扱わないことが大切です。
第18条の2以降はカード代替電磁的記録等に関する規定を置きます。ただし、端末の具体的な操作や対応サービスの一覧は法律本文の役割ではありません。本法が定める記録・確認等の制度と、実際に利用するサービスの仕様は区別されます。カードを見せる行為についても、どの確認や事務のために用いるかが制度上の論点です。
第7章の法人番号はさらに異なります。第39条は国税庁長官による番号の指定・通知と、商号又は名称、所在地、番号の公表を規定しています。個人番号を含む特定個人情報には厳格な提供制限がある一方、法人番号には公表の仕組みがあります。同じ法律に置かれていても、対象、利用、公開の考え方は同一ではありません。個人・カード・法人を分けると、番号利用法の全体像を整理できます。根拠:第18条・第18条の2・第39条
参考リンク
条文と別表は、次の公式資料で確認できます。