障害者の雇用の促進等に関する法律(法令ID:335AC0000000123)は、法令全集の条文ページとe-Gov法令検索で確認できます。障害者雇用率は段階的に引き上げられており、厚生労働省資料では、民間企業の法定雇用率が2026年7月から2.7%になることが案内されています。人事、労務、採用、総務、障害者雇用担当者が、採用計画や職場定着支援を見直す場面で参照します。この記事では制度の入口を整理し、個別企業の雇用率達成可否や採用可否の判断は扱いません。
2026年7月の雇用率引上げ
障害者雇用促進法は、事業主に対し、一定割合以上の障害者を雇用することを求める制度を置いています。厚生労働省は、法定雇用率の段階的引上げを案内しており、民間企業では2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%とされています。国・地方公共団体等、教育委員会についても、それぞれ異なる法定雇用率が設定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 障害者雇用促進法 |
| 民間企業の法定雇用率 | 2026年7月から2.7% |
| 主な確認事項 | 対象事業主、常用労働者数、雇用障害者数、除外率、納付金制度 |
| 関係機関 | 厚生労働省、ハローワーク、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 |
雇用率引上げは、単に採用人数を増やす話ではありません。対象となる労働者数の把握、障害者手帳等の確認、短時間労働者の算定、精神障害者・重度障害者のカウント、職場定着支援、合理的配慮、差別禁止、納付金・助成金の制度理解が必要です。採用計画だけでなく、入社後に働き続けられる環境を整えることが重要になります。
対象事業主と算定の入口
法定雇用率の対象になるかどうかは、常用労働者数を基準に確認します。雇用率が2.7%になると、必要な雇用人数を満たすための労働者数の境目も変わります。厚生労働省資料では、常用労働者数に応じて障害者雇用義務が生じることが説明されています。企業は、正社員だけでなく、契約社員、パート、短時間労働者、出向者などの扱いを確認し、自社の算定基礎を整理します。
障害者雇用数の算定では、身体障害者、知的障害者、精神障害者の区分、重度障害者の扱い、短時間労働者のカウントが関係します。人事システムに障害者雇用率計算に必要な情報が入っていない場合、手作業の集計になりやすく、誤りが生じます。本人の同意、個人情報管理、手帳更新、雇用形態変更、休職・退職時の反映を含めて管理する必要があります。
グループ会社や複数事業所を持つ企業では、事業主単位の義務と、実際の職場配置を分けて考えます。本社が雇用率を管理していても、配属先の職場で合理的配慮や支援体制が整っていなければ、定着につながりません。採用担当、配属部門、産業保健、障害者職業生活相談員、外部支援機関が連携する体制を作ることが重要です。
除外率引下げと業種別の影響
障害者雇用率制度には、障害者の就業が一般に困難と認められる業種について、一定の除外率を設ける仕組みがあります。厚生労働省は、除外率について段階的な引下げを案内しており、雇用率引上げと合わせて、業種によっては必要な対応人数が変わる可能性があります。除外率がある業種の企業は、自社に適用される除外率と改正時期を確認する必要があります。
除外率は、対象労働者数の計算に影響します。これまで除外率により雇用義務人数が抑えられていた企業では、除外率の引下げにより必要雇用人数が増えることがあります。建設、運輸、医療、教育、警備、製造など、職務内容や安全配慮が重要な業種では、単に採用人数を増やすだけでなく、職務切り出し、補助具、勤務時間、支援者配置、作業手順の見直しが必要になります。
除外率があるから採用を進めなくてよいという理解は適切ではありません。制度は、業種の特性を踏まえつつ、障害者の雇用機会を広げる方向で運用されています。企業は、自社の仕事の中でどの業務が担当可能か、どの配慮があれば働けるか、テレワークや短時間勤務を活用できるかを検討し、段階的に職域を広げることが求められます。
納付金・助成金と職場定着
障害者雇用制度には、障害者雇用納付金制度や調整金、報奨金、助成金などが関係します。法定雇用率を満たしていない場合の納付金だけに注目しがちですが、制度の目的は納付金を支払うことではなく、障害者の雇用機会を確保し、職場で働き続けられる環境を整えることです。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の助成金や支援制度も確認対象になります。
職場定着では、採用前の職務設計が重要です。求人票に求める業務、勤務時間、配慮可能事項、通院・服薬への対応、指示系統、評価方法を明確にします。入社後は、定期面談、業務量の調整、支援機関との連携、上司・同僚への研修、体調変化時の相談ルートを整えます。雇用率達成のために急いで採用しても、定着支援が不足すると本人にも職場にも負担が生じます。
合理的配慮は、個別の事情に応じて対話しながら検討するものです。設備改修、勤務時間変更、業務手順の見直し、コミュニケーション方法の調整、支援機器の導入などが考えられます。どの配慮が必要かは障害種別だけで一律に決まるものではないため、本人の意向、業務内容、職場の安全、過重な負担との関係を丁寧に確認します。
2026年7月に向けた実務準備
2026年7月の引上げに向けて、企業はまず現時点の雇用率を試算します。常用労働者数、障害者雇用数、退職予定者、採用予定者、短時間労働者のカウントを確認し、改正後の2.7%で不足人数が出るかを把握します。雇用率は一時点だけでなく、年度途中の入退社で変動するため、採用計画と定着支援をセットで考える必要があります。
次に、採用チャネルを整理します。ハローワーク、特別支援学校、就労移行支援事業所、職業センター、民間紹介会社、合同面接会、インターンシップなど、複数の入口があります。採用人数だけを目標にするのではなく、どの職務で、どの職場が受け入れ、どの支援者がフォローするかを決めます。受入部門が制度を理解していないと、採用後にミスマッチが起きやすくなります。
最後に、法令対応と社内説明をそろえます。障害者雇用促進法、差別禁止、合理的配慮、個人情報保護、安全配慮義務、労働時間管理は相互に関係します。雇用率引上げを人事だけの課題にせず、経営層、現場管理者、産業医、法務、総務が参加する形で準備を進めることが重要です。
参考リンク
障害者雇用率引上げを確認するときは、厚生労働省の障害者雇用率制度資料、法令本文、ハローワーク・支援機構の案内を合わせて確認してください。