車両制限令(昭和36年政令第265号、法令ID:336CO0000000265)は、道路の構造を守り交通の危険を防ぐため、通行する車両の寸法・重量や通行方法を定める政令です。運送事業者、荷主、輸送経路の検討担当者が車両と道路の条件を照合する際に参照します。この記事では一般的な最高限度と道路別の制限を扱い、特定車両の通行可否や申請システムの操作は扱いません。条文は法令全集とe-Gov法令検索で確認できます。
2026年9月15日時点で、2022年4月1日施行版を参照しています。
車両単体ではなく積載した状態で見る
第1条は、道路との関係において必要な車両制限と、限度超過車両の通行許可申請等をこの政令の対象にしています。自動車そのものの安全構造を定める保安基準や、運転行為の交通ルールとは目的が異なります。道路・橋などにどのような負荷をかける車両が通行するかという視点の制度です。
第2条は「車両」について、人が乗車し、貨物が積載されている場合はその状態とし、他の車両をけん引する場合はけん引される車両を含めています。したがって、空車状態の重量や車体の寸法だけでは、輸送時の条件を捉えたことになりません。積載物と連結状態を含む車両が制度上の対象になります。
同条は車道、歩道、自転車道、路肩なども区別しています。車両の幅と道路の幅を比較する規定では、舗装されて見える範囲全部をそのまま車道の幅員として使うとは限りません。特に路肩が明らかでない道路には、第5条・第9条で別途扱いが置かれています。
車両諸元を確認する段階と、通行経路の道路条件を確認する段階を分けると、この政令の構造が分かります。車両の登録や検査に関する書類があっても、それだけであらゆる道路の通行条件を満たすことを示す制度ではありません。根拠:第1条・第2条
幅・重量・高さの最高限度と指定道路
第3条第1項は車両の最高限度を定めています。基本となる幅は2.5メートル、長さは12メートル、最小回転半径は車両の最外側のわだちについて12メートルです。重量は総重量だけでなく、軸重、隣接軸重、輪荷重を別々に定めており、総重量が基準内というだけでは確認が終わりません。
同項では、一般の道路の総重量は20トンを基本とする一方、高速自動車国道や指定道路では25トン以下の範囲で車両の長さ・軸距に応じた省令の値を用います。高さも、指定道路では4.1メートル、それ以外では3.8メートルという区分です。指定道路かどうかは経路ごとの条件であり、出発地と目的地だけで一律に決められません。
条文の主要な数値を整理すると、次のようになります。連結車等には同条後続の特例があるため、この表は第1項の概要です。
| 項目 | 第3条第1項の基準 |
|---|---|
| 幅 | 2.5メートル |
| 総重量 | 原則20トン。高速自動車国道・指定道路は条件別 |
| 軸重・輪荷重 | 軸重10トン、輪荷重5トン |
| 高さ | 原則3.8メートル、指定道路4.1メートル |
| 長さ | 12メートル |
隣り合う車軸の合計荷重には、軸間距離等による区分があります。また、第3条第2項以下は一定のセミトレーラ連結車等を別に扱います。基準表を使用するときは、車種、軸距、道路の指定に対応する項までたどる必要があります。数値の大きい特例だけを取り出してすべての車両に当てはめることはできません。根拠:第3条
車軸の間隔と連結方式で重量条件が変わる
第3条第1項は、隣り合う車軸の軸重の合計についても条件を定めます。軸距が1.8メートル未満では18トンを基本とし、そのうち軸距が1.3メートル以上で各軸重が9.5トン以下なら19トン、軸距が1.8メートル以上なら20トンとする区分です。車両全体の重さだけでなく、荷重がどの間隔で道路にかかるかを規制に取り込んでいます。
第2項は、一定のバン型・タンク型などのセミトレーラ連結車とフルトレーラ連結車について別の総重量の枠組みを置きます。高速自動車国道は36トン以下、それ以外の道路は27トン以下という範囲の中で、車両の軸距に応じた省令の値による制度です。この上限値を、そのまますべての連結車の許容重量として使うことはできません。
セミトレーラ連結車は被けん引車と積載物の重量の相当部分を自動車側が支え、フルトレーラ連結車はその重量を自動車側が支えないという定義も同項にあります。連結しているという外観だけで同じ区分にまとめず、連結方式、用途・車体の種類、軸距、通る道路を順に対応させる仕組みです。根拠:第3条第1項・第2項
狭い道路・弱い路面・路肩の制限
第5条・第6条は、道路の車道幅員と車両の幅との関係を定めています。市街地区域内外、一方通行かどうか、交通量の少ない指定道路かどうか、待避所の有無などによって区分されます。第3条の幅2.5メートル以内であっても、道路ごとの幅の基準を別に確認する構成です。
第7条は舗装や路盤等の状態に応じた重量制限を扱います。融雪・冠水等で支持力が著しく低下した道路について道路管理者が限度を定める場合などが規定されており、通常時の一般的な最高限度だけでは説明できない道路条件を取り込んでいます。
第8条はカタピラを有する自動車の舗装道通行、第9条は歩道等のない道路での路肩への車輪のはみ出しを扱います。第10条には、高さ指定道路等で道路管理者が定める通行方法に従う規定があります。寸法・重量が許容される範囲に入ることと、自由な位置・速度等で通行できることは別です。
第11条には工事・破損・交通停滞などの場合に他の道路を指定する幅の特例もあります。道路条件の変化に応じた指定や通行方法が存在するため、輸送計画では全国共通の車両諸元だけでなく、利用する道路管理者の指定を確認することが制度上重要になります。根拠:第5条〜第11条
特例認定・通行許可・登録確認を区別する
第12条の特殊な車両の特例は、第3条の最高限度を超えないものの、第5条〜第7条の道路別基準に適合しない車両を対象にしています。構造や貨物が特殊であるためやむを得ないと道路管理者が認定した事項について、基準に適合するとみなす仕組みです。経路や時間等の条件が付く場合は、その条件に従うことが前提になります。
これに対し、第15条は道路法第47条の2に基づく通行許可について、複数の道路管理者の道路を通る場合の権限を調整します。一般的な最高限度を超える車両の許可と、第12条の道路別基準に関する認定は、同じ名称の手続ではありません。根拠条文を区別して読む必要があります。
第16条・第18条には許可に関する手数料、第19条・第20条には限度超過車両の登録と登録車両の通行に関する確認の手数料が置かれています。許可を受ける制度と、車両の登録を前提に通行可能経路の確認を受ける制度は、対応する道路法の条文が異なります。
また、第14条は緊急自動車等について適用除外を定めていますが、対象用務や道路構造保全の措置などの条件があります。特殊な用途の車両という呼称だけで一般的な制限から外れるわけではありません。最高限度、道路別の制限、認定・許可・確認という順に対象を整理すると、手続の選択に必要な論点が明確になります。根拠:第12条〜第21条
参考リンク
最高限度と通行手続に関する細部は、次の公式条文で確認できます。