個人情報の保護に関する法律(法令ID:415AC0000000057)は、法令全集の条文ページe-Gov法令検索で確認できます。2026年4月7日に閣議決定された「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」は、個人情報保護委員会の公表資料によれば、第221回特別国会に提出され、2026年5月26日時点で衆議院本会議で可決され、参議院に受領されています。個人情報を扱う企業、医療・研究・統計、AI・データ連携、法務・情報管理部門が参照するテーマです。この記事では、現行法の入口、法案の審議状況、利用停止等請求、課徴金制度、同意不要提供の論点を扱い、成立後の最終条文や個別事業の適用判断は扱いません。

基本情報

個人情報保護法は、個人情報、個人データ、保有個人データ、要配慮個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報、個人関連情報などを定義し、個人情報取扱事業者等の義務、行政機関等の個人情報取扱い、個人情報保護委員会による監督を定める法律です。現行法では、利用目的の特定、目的外利用の制限、不適正利用の禁止、不正取得の禁止、要配慮個人情報の取得制限、安全管理措置、漏えい等報告、第三者提供の制限、開示・訂正・利用停止等の請求が、主要な実務論点になります。

項目内容
現行法の名称個人情報の保護に関する法律
法令番号平成十五年法律第五十七号
法令ID415AC0000000057
法案名個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案
閣議決定日2026年4月7日
国会提出回次第221回特別国会
2026年5月26日時点の状況衆議院本会議で可決、参議院が受領

今回の法案は、個人情報を含むデータの利活用需要が高まる一方、違法な取扱いによる権利利益侵害のリスクも高まっていることを背景にしています。個人情報保護委員会の公表資料は、個人情報の有用性に配慮しつつ保護を一層図るため、身体の一部の特徴に係る情報が含まれる個人情報等についての利用停止等請求、違法な取扱い等によって財産上の利益を得た場合の課徴金制度、統計等の作成を行う第三者への提供に関する本人同意不要の措置などを挙げています。

国会審議中の法案として読む

この記事の執筆時点である2026年5月27日現在、この改正は成立済みの法律ではなく、国会で審議中の法律案です。参議院の議案審議情報では、件名は「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」、種別は内閣提出法律案、提出日は2026年4月7日、衆議院からの受領日は2026年5月26日とされています。衆議院では、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会で2026年5月21日に可決され、同月26日の本会議で可決されています。

法案段階の記事では、現行法の条文と法案の説明資料を混同しないことが重要です。現行法の義務はe-Gov法令検索で確認できますが、法案の内容は成立までに修正される可能性があります。したがって、企業の準備では、現行法に基づく対応と、法案成立後に見込まれる対応を分けて管理する必要があります。特に、課徴金制度、利用停止等請求の拡張、第三者提供の同意不要化、規則・ガイドラインで補われる部分は、成立後の公布法、政令、個人情報保護委員会規則、ガイドライン改正を確認する必要があります。

また、法案は個人情報保護法だけでなく、番号利用法や医療分野の研究開発に関する法律にも関係する構造です。個人情報保護委員会の公表資料では、AI活用にも資する円滑なデータ連携を促進するための措置も説明されています。個人情報保護法の一般法としての役割、医療・研究データ、行政手続上の番号制度、統計等の作成との関係を、個別の条文改正だけでなくデータ利活用制度全体の中で読む必要があります。

利用停止等請求の拡張

現行法第三十五条は、保有個人データの利用停止、消去、第三者提供の停止に関する本人の請求を定めています。現行法では、不適正利用、利用目的による制限違反、不正取得、要配慮個人情報の取得制限違反、第三者提供制限違反など、一定の違反や事情がある場合に利用停止等が問題になります。本人請求の制度は、開示や訂正と並び、保有個人データに対する本人関与の重要な仕組みです。

2026年の法案では、個人情報保護委員会の公表資料によれば、身体の一部の特徴に係る情報が含まれる個人情報等について、違法な取扱い等がなくても本人による利用停止等の請求を可能とする措置が含まれています。身体の一部の特徴に係る情報は、本人の識別や認証に用いられる場面があり、漏えいや不適切な利用が起きた場合の影響が大きくなり得ます。法案は、このような情報について、違法性の有無だけではなく本人の関与を強める方向を示しています。

企業実務では、本人から利用停止等を求められた場合の受付、本人確認、対象データの特定、利用停止・消去・第三者提供停止の可否判断、回答手続を見直す必要が出てきます。ただし、法案段階では、最終的な条文、政令・規則、ガイドラインで具体化される範囲を確認する必要があります。この記事では、個別の生体情報管理や認証システムがどの規律を受けるかの判断は行わず、法案が利用停止等請求の範囲を広げる方向を示している点を整理します。

課徴金制度の新設

個人情報保護委員会の公表資料は、個人情報の違法な取扱い等によって財産上の利益を得た場合に、個人情報保護委員会が課徴金納付を命ずる制度を設けると説明しています。現行法にも、報告徴収、立入検査、指導・助言、勧告、命令、命令違反に関する罰則などの監督手段がありますが、違法な取扱いによって得た財産上の利益に着目して金銭的負担を命ずる仕組みは、今回の法案の大きな論点です。

課徴金制度は、違反行為の抑止と、違法な取扱いによって得られた経済的利益への対応を目的とする制度として読めます。消費者庁や公正取引委員会の分野でも課徴金制度はありますが、個人情報保護法における課徴金は、個人情報の違法な取扱いと財産上の利益の関係をどのように捉えるかが焦点になります。対象行為、算定方法、適用除外、手続保障、命令前の調査や弁明の機会などは、法案本文と今後の下位規範を確認する必要があります。

企業にとっては、漏えい等報告や安全管理措置だけでなく、データ取得、利用目的、第三者提供、委託、共同利用、広告・分析利用、データ販売、AI学習・統計作成など、個人情報の取扱いによって利益が生じる場面を棚卸しする視点が重要になります。課徴金制度は法案段階のため、この記事では対象や金額を断定せず、個人情報保護委員会が示した「違法な取扱い等によって財産上の利益を得た場合」という方向性を確認事項として扱います。

統計等作成目的の第三者提供

個人情報保護委員会の公表資料は、統計等の作成を行う第三者に個人情報を提供する場合等について、本人の同意を不要とする措置を講ずると説明しています。現行法では、個人データを第三者に提供する場合、原則として本人の同意が必要です。ただし、人の生命・身体・財産の保護、公衆衛生の向上、国や地方公共団体への協力、学術研究目的など、一定の場合には例外が置かれています。今回の法案は、統計等の作成を行う第三者への提供を新たに整理するものとして注目されます。

この論点は、個人情報の保護とデータ利活用のバランスに関係します。統計等の作成は、社会課題の把握、政策立案、研究、サービス改善、AIやデータ連携の基盤づくりに関わることがあります。一方で、本人の同意なく第三者提供が可能になる範囲が広がる場合、提供先の管理、目的外利用の防止、再識別リスク、安全管理措置、本人への透明性をどう確保するかが問題になります。法案が成立した場合でも、実務では規則やガイドラインで示される条件を確認する必要があります。

現行法には、仮名加工情報、匿名加工情報、個人関連情報といったデータ利活用に関する制度もあります。統計等作成目的の第三者提供を読むときは、個人情報のまま提供するのか、匿名加工情報や仮名加工情報として扱うのか、提供先がどのような義務を負うのかを区別する必要があります。法案段階では、制度の細部を先取りして断定するのではなく、個人情報保護委員会の資料と国会審議、成立後の下位規範を追うことが重要です。

現行法で先に確認できる項目

法案の成立前でも、現行法に基づいて先に確認できる項目は多くあります。個人情報取扱事業者は、利用目的をできる限り特定し、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱う場合には原則として本人同意を得る必要があります。また、違法または不当な行為を助長・誘発するおそれがある方法による利用は禁止され、偽りその他不正の手段による取得も禁止されています。これらは課徴金制度の有無にかかわらず、現行法上の基本義務です。

安全管理措置、従業者監督、委託先監督、漏えい等報告、本人通知も、法案成立を待たずに確認すべき事項です。特に、身体の一部の特徴に係る情報を扱うサービスでは、取得時の利用目的、保存期間、本人からの請求対応、委託先やクラウドサービスの管理、アクセス権限、削除手続、第三者提供の有無を整理しておく必要があります。法案により利用停止等請求の範囲が広がる場合、これらの現行対応がそのまま請求対応の基盤になります。

さらに、第三者提供や個人関連情報の提供、仮名加工情報・匿名加工情報の作成と利用についても、現行法の条文を確認しておくことが重要です。統計等作成目的の提供が新たに整理されたとしても、提供元・提供先の義務、本人への透明性、安全管理、再識別防止の考え方は、現行制度の理解の上に積み重なります。法案対応は、成立後の条文だけを読む作業ではなく、現行法のデータ管理を点検する作業として進めるのが読みやすいです。

参考リンク

個人情報保護法改正案を確認するときは、まず個人情報保護委員会の閣議決定資料で法案の趣旨と概要を確認し、次に参議院・衆議院の議案情報で審議状況を確認する流れが適しています。現行法の義務はe-Gov法令検索で確認できます。2026年5月27日時点では法案段階であるため、成立後は公布法、施行期日、政令、個人情報保護委員会規則、ガイドライン改正を改めて確認する必要があります。