「この限りでない」は、法令の例外を示す代表的な表現です。ただし書の中で使われることが多く、直前の規定をそのまま適用しない場合を示します。読むときは、何が外れるのか、どの条件で外れるのか、別の手続が必要なのかを確認する必要があります。この記事では、読み方の基本を整理し、個別条文の適用判断は扱いません。
「この」が指す範囲を確認する
最初に確認するのは、「この」が何を指しているかです。多くの場合、直前の本文や同じ項の規律を指しますが、条文構造によっては範囲が分かりにくいことがあります。義務、禁止、許可、届出、期間、手数料など、どの規律が外れるのかを具体的に確認します。
「この限りでない」と書かれていても、条文全体が消えるわけではありません。本文の一部だけが適用されない場合もあります。たとえば、許可は不要でも届出は必要、手続は省略できても記録保存は必要、といった構造があります。前後の項や関連条文を確認しないと、例外の範囲を広げすぎる可能性があります。
実務では、本文を一度書き出し、「この限りでない」が外す部分に線を引くと分かりやすくなります。例外要件を満たす場合に何が残るのかを確認することが重要です。
ただし書と一緒に読む
「この限りでない」は、ただし書の中に置かれることが多い表現です。ただし書は本文の例外を示すため、本文と切り離して読むことはできません。本文で定めた原則、ただし書で示した例外要件、例外が成立した場合の効果を分けて整理します。
ただし書には、複数の例外が並ぶことがあります。「ただし、Aの場合又はBの場合は、この限りでない」と書かれていれば、AとBのどちらかで本文が外れる可能性があります。一方、「Aの場合であって、Bを満たすとき」と書かれている場合は、両方の要件が必要になることがあります。接続詞も丁寧に読みます。
また、ただし書の中に「政令で定める場合」「主務省令で定める場合」とあるときは、下位法令を確認します。法律本文だけでは例外の中身が分からないことがあるため、施行令、施行規則、告示まで追う必要があります。
適用除外との違い
「この限りでない」は、適用除外規定と似ていますが、条文上の置かれ方が異なることがあります。適用除外は「この法律は、○○には適用しない」のように、対象そのものを外す形で書かれます。「この限りでない」は、特定の本文規定に対する例外として置かれることが多いです。
両者を読むときは、外れる対象と外れる規定を確認します。対象者が外れるのか、手続だけが外れるのか、義務だけが外れるのか、罰則まで外れるのかを分けます。言葉が似ていても、効果の範囲は条文ごとに異なります。
行政手続や業法では、一般法の規定を除外し、個別法の手続を使う場合があります。この場合、「この限りでない」だけでなく、「別に法律で定めるところによる」「他の法律に特別の定めがある場合を除く」といった表現も一緒に確認します。
社内メモでの整理方法
「この限りでない」を実務で扱う場合は、原則、例外要件、例外効果、残る義務を表にします。原則欄には本文の内容、例外要件欄にはただし書の条件、例外効果欄には外れる規定、残る義務欄には引き続き必要な手続を書きます。これにより、例外を過大に解釈することを防げます。
法改正時には、例外規定の変更を見落としやすくなります。本文が変わらなくても、ただし書の対象や下位法令の要件が変わることがあります。新旧対照表では、本文だけでなく、ただし書、括弧書き、委任先の政省令も確認します。
社内マニュアルでは、「この限りでない」を「不要」とだけ書き換えない方が安全です。何が不要で、何が残るのかを明記します。外部に説明する資料では、条文番号と確認日を残しておくと、後日の更新時に追いやすくなります。
参考リンク
「この限りでない」は、条文の例外範囲を決める表現です。本文、ただし書、関連条文、下位法令を合わせて確認してください。