地方公務員法(法令ID:325AC0000000261)は、地方公共団体の人事機関、地方公務員の任用、人事評価、給与、勤務時間その他の勤務条件、分限・懲戒、服務、研修、福祉、職員団体などについて定める法律です。地方公共団体の職員制度を理解するうえで中心となる法律です。条文全文は法令全集の地方公務員法ページまたはe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/)で無料で閲覧できます。

地方公務員法は昭和25年に制定されました。国家公務員法が国家公務員について定めるのと同様に、地方公務員法は地方公共団体の職員(地方公務員)の任用・服務・分限・懲戒・給与・職員団体等について全国共通の基準を定めています。ただし、給与・勤務時間等の具体的な内容は各地方公共団体の条例で定めることとされており、地方公務員法はその基本原則と条例制定の枠組みを規定しています。会計年度任用職員制度の導入(令和2年施行)、定年延長制度(令和5年施行)など、近年の制度改革によっても条文が整備されています。

基本情報

地方公務員法は昭和25年(1950年)に制定された法律です。第1条は、地方公共団体の人事行政に関する根本基準を確立し、地方公共団体の行政の民主的かつ能率的な運営を保障し、地方自治の本旨の実現に資することを目的としています(出典:e-Gov法令検索)。

項目内容
正式名称地方公務員法
法令番号昭和二十五年法律第二百六十一号
公布日昭和25年(1950年)12月13日
所管省庁総務省
法令ID325AC0000000261

総務省は、地方公務員制度について、地方自治制度と並ぶ行政制度の一部として案内しています。地方公務員法は、地方自治法、地方公務員災害補償法、地方公務員等共済組合法、各地方公共団体の条例・規則とも関係します。地方公務員は、都道府県・市町村・特別区・一部事務組合など様々な地方公共団体の職員を指し、全国に多数在籍しています。規模が大きく多様な業務を担う地方公務員制度の基本法として、地方公務員法は地方公共団体の人事行政全般に関わる重要な役割を果たしています。

地方公務員法が扱う主なテーマ

地方公務員法は、地方公務員の身分、任用、勤務条件、服務、利益保護、職員団体などを幅広く扱います。

テーマ主な内容
人事機関任命権者、人事委員会、公平委員会
任用採用、昇任、転任、会計年度任用職員など
人事評価能力・業績に基づく評価
給与・勤務条件給与、勤務時間、休業など
分限・懲戒降任、免職、休職、戒告、減給、停職、免職など
服務法令遵守、職務専念、信用失墜行為の禁止、守秘義務など
福祉・利益保護厚生福利、公務災害補償、措置要求、不利益処分への審査請求
職員団体職員団体の登録、交渉など

地方公務員法は、一般職に属する地方公務員を中心に適用されます。特別職に属する地方公務員については、適用関係が異なるため、第3条・第4条を確認する必要があります。地方公務員法は国家公務員法の地方版として制定されましたが、人事評価制度の導入(平成26年改正・平成28年施行)や会計年度任用職員制度(令和2年施行)など、制度の適切な運用に向けた改正が積み重ねられています。

条文の章別構成

地方公務員法は、総則、人事機関、職員に適用される基準、補則、罰則で構成されています。第三章「職員に適用される基準」が最も大きく、任用、給与、分限・懲戒、服務などが置かれています(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。条文量の大部分を占める第三章は、さらに多くの節(通則、任用、人事評価、給与、勤務時間、休業、分限・懲戒、服務、退職管理、研修、福祉・利益の保護、職員団体)に分かれており、調べたいテーマの節を特定してから読むことが効率的です。地方公務員に関する具体的な義務・権限・手続は、地方公務員法に加えて各地方公共団体の条例・規則・規程も参照する必要があります。人事委員会・公平委員会の裁決例や判例も、解釈の参考になる場合があります。

第一章 総則

第一章は、地方公務員法全体の目的、効力、一般職・特別職の区分、適用関係、人事委員会・公平委員会に関する条例の制定などを定める章です。

第1条は、この法律の目的を定めています。第3条は、一般職に属する地方公務員と特別職に属する地方公務員を区分しています。第4条は、この法律の適用を受ける地方公務員について定めています。

一般職と特別職の区分は、地方公務員法を読むうえで重要です。一般職には地方公務員法の規定が原則として適用されますが、特別職については別の法律や条例が関係する場合があります。特別職に該当する主な例として、地方公共団体の長(首長)、副知事・副市町村長、教育委員会委員、監査委員、各種審議会委員などがあります。これらは地方公務員法の適用を受けない部分が多く、地方自治法や個別の法律・条例に基づいて規律されます。一般職の中でも任命権者・所属・職種によって適用される条例・規則が異なる場合があるため、対象者の属性を確認することが重要です。

第二章 人事機関

第二章は、任命権者、人事委員会、公平委員会など、人事行政を担う機関に関する規定を置いています。

第6条は、地方公共団体の長、議会の議長、教育委員会、人事委員会、公平委員会、消防長などの任命権者について定めています。任命権者は、法律や条例等に従い、職員の任命、人事評価、休職、免職、懲戒などを行う権限を有します。任命権者は地方公共団体ごとに複数存在するため、どの機関が任命権者にあたるかを確認することが、地方公務員の人事関係を読む際の第一歩となります。

人事委員会と公平委員会は、地方公務員の人事行政の公正を確保するための機関です。勤務条件に関する措置要求や不利益処分に関する審査請求など、職員の利益保護とも関係します。人事委員会は一定規模以上の地方公共団体(都道府県・指定都市等)に設置が義務付けられており、人事行政の公正の確保、採用試験の実施、給与・勤務条件に関する勧告・条例案の付議等の機能を有します。公平委員会は人事委員会を置かない地方公共団体に設置されるもので、勤務条件に関する措置要求の審査や不利益処分に関する審査請求の処理を担います。

第三章 職員に適用される基準

第三章は、地方公務員に適用される基準をまとめた章です。通則、任用、人事評価、給与・勤務条件、休業、分限・懲戒、服務、退職管理、研修、福祉・利益保護、職員団体が含まれます。

通則では、平等取扱いの原則と情勢適応の原則が定められています。第13条は、この法律の適用について、人種、信条、性別、社会的身分、門地などによる差別をしてはならない旨を定めています。

任用に関する節では、職員の任用が受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づいて行われなければならないとされています。採用、昇任、転任、条件付採用、会計年度任用職員などの制度が関係します。

人事評価に関する節では、職員が職務を遂行するに当たり発揮した能力や挙げた業績を把握し、任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とする仕組みが定められています。

給与、勤務時間その他の勤務条件については、条例で定めることが基本となります。地方公務員法は、勤務条件が社会一般の情勢に適応するよう措置を講じることや、人事委員会の勧告などを定めています。

分限と懲戒に関する節では、職員の身分保障と服務規律に関する規定が置かれています。分限は職員の意に反する降任、免職、休職など、懲戒は職員の義務違反に対する戒告、減給、停職、免職などと関係します。分限処分は職員に帰責事由がある場合に限られず、勤務実績不良・心身の故障・過員・廃職など職員側の事情によらない場合も含まれます。懲戒処分は職員の義務違反等を理由とするもので、その事由・手続は地方公務員法と各自治体の条例・規則に定められています。

服務に関する節では、服務の根本基準、法令等および上司の職務上の命令に従う義務、信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務、職務専念義務、政治的行為の制限、営利企業への従事等の制限などが定められています。

福祉および利益の保護に関する節では、厚生福利制度、公務災害補償、勤務条件に関する措置要求、不利益処分に関する審査請求などが定められています。職員団体に関する節では、職員団体の登録や交渉などが扱われます。

第四章 補則

第四章は、特定の職員に関する特例や、地方公共団体の人事行政に対する総務省の協力・技術的助言などを定めています。

第57条以下には、単純な労務に雇用される職員、企業職員、技能労務職員などに関する特例が置かれています。第59条は、総務省が地方公共団体の人事行政について協力し、技術的助言をすることができる旨を定めています。単純な労務に雇用される職員(技能職員等)については、地方公務員法の大部分が適用されず、雇用関係や労使関係について労働法の規定が適用される場合があります。また、企業職員(地方公営企業法の適用事業体の職員)についても、地方公務員法の適用が一部除外されており、地方公営企業法による規律が優先される場面があります。これらの特例職員の取扱いは、地方公務員法本体と特例規定を合わせて確認することが必要です。

第五章 罰則

第五章は、地方公務員法に違反した場合の罰則を定める章です。秘密漏えい、争議行為のあおり、職員団体に関する違反など、職員制度の適正な運用を確保するための規定が置かれています。

罰則の適用や懲戒処分の要否は、個別の事実関係、職務内容、条例・規則、任命権者の判断、手続に基づいて確認されます。条文だけで個別事案を断定することは避ける必要があります。地方公務員法の罰則は、守秘義務違反(秘密漏えい)、争議行為のあおり・そそのかし、職員団体に関する規定への違反などが対象です。懲戒処分(戒告・減給・停職・免職)は刑事罰とは別に任命権者が行う行政処分であり、懲戒の事由・手続は地方公務員法と各自治体の条例・規則に基づいて運用されます。不利益処分を受けた職員が不服を申し立てる場合は、人事委員会・公平委員会への審査請求の手続を経ることになります。

地方公務員法を読むときの注意点

地方公務員法は、国の法律で基本原則を定めつつ、給与、勤務時間、服務、分限・懲戒、職員団体などの具体的事項を地方公共団体の条例・規則に委ねる部分があります。

まず、対象者が一般職か特別職か、常勤職員か会計年度任用職員か、任命権者がどの機関かを確認すると、適用される規定を探しやすくなります。次に、任用、勤務条件、分限・懲戒、服務、利益保護のどの問題かを整理します。

個別の人事処分、懲戒、勤務条件、不利益処分の審査請求については、具体的な事実関係と自治体の条例・規則に基づく確認が必要です。必要に応じて人事委員会・公平委員会、自治体の担当部署、専門家に確認してください。地方公務員法は国家公務員法と対になる制度ですが、規定の内容・運用面で異なる部分があります。国と地方の兼任・出向・派遣など両法が交差する場面では適用法令の確認が必要です。会計年度任用職員制度・定年延長など近年の制度改正によって条文が変化している分野があるため、参照する際は改正の施行日も確認するようにしてください。

条文の閲覧方法

地方公務員法の条文と関連情報は、以下から無料で閲覧できます。

地方公務員法は、会計年度任用職員、定年、退職管理、服務規律などの改正が行われてきた法律です。参照する際は、最新の条文、自治体の条例・規則、総務省の通知・資料を合わせて確認してください。総務省が公表している「地方公務員制度の概要」や関係通知も、制度全体を把握するうえで参考になります。各地方公共団体の人事委員会・公平委員会が公表している情報や裁決例も、具体的な事案を考える際に参考として活用できる場合があります。