法人税法(正式名称:法人税法、法令ID:340AC0000000034)は、法人の各事業年度の所得に対する法人税の課税標準・税額の計算方法および申告・納付・還付の手続を定めた法律です。法人が事業活動を通じて得た所得に課税する仕組みの根拠法であり、法人税の計算において参照される基本的な法律です。条文全文は法令全集の法人税法ページまたはe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/)で無料で閲覧できます。

基本情報

法人税法は昭和40年(1965年)に制定され、それ以降たびたびの改正を経て現在に至っています(出典:e-Gov法令検索)。

項目内容
正式名称法人税法
法令番号昭和四十年法律第三十四号
公布日昭和40年(1965年)3月31日
所管省庁財務省(執行機関:国税庁)
法令ID340AC0000000034

法人税の税率・課税所得の計算方法・申告・納付・還付の手続はすべて法人税法に基づいています。実務上は法人税法本体のほか、法人税法施行令・法人税法施行規則・租税特別措置法なども合わせて参照されます。法人が事業から利益を得た場合に課税される根拠法として法人税法は機能しており、各事業年度の決算作業・申告書の作成・税務調査への対応など法人の税務実務において継続的に参照される法律です。

制定の背景

現行の法人税法が制定される以前は、昭和22年(1947年)制定の旧法人税法が存在していましたが、昭和40年の改正においてより体系的・現代的な条文構造に改められ、実質的に全面改正に近い形で現行法が制定されました(出典:e-Gov法令検索 掲載の法令情報)。

制定後も法人税法は頻繁に改正が行われており、経済環境の変化・国際的な租税条約の整備・税制の公平化といった観点から、各事業年度に対応した規定の見直しが続けられています。平成14年(2002年)には連結納税制度が導入され、令和4年(2022年)にはグループ通算制度へと移行しました。また、受取配当の益金不算入・交際費の損金不算入・繰越欠損金の控除制限といった主要な規定は、その後の改正で内容が変化してきています(出典:e-Gov法令検索)。

法人税が課される法人の種類

法人税法は、課税の対象となる法人を内国法人と外国法人に大別しています。内国法人とは、国内に本店または主たる事務所を有する法人を指し、外国法人はそれ以外の法人です(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。

内国法人はさらにその性質に応じて以下のように区分され、納税義務の範囲が異なります。

法人の区分主な例
普通法人株式会社・合同会社・相互会社 等
公益法人等公益社団法人・公益財団法人・学校法人 等
協同組合等農業協同組合・消費生活協同組合 等
人格のない社団等PTA・同窓会 等(一定の要件を満たすもの)
公共法人国・地方公共団体・日本銀行 等

公共法人は法人税が非課税とされており、公益法人等は収益事業から生じた所得のみが課税対象とされています。普通法人は全所得が課税対象となります。

条文の編別構成

法人税法は複数の編で構成されています。第一編の総則で法人の種類・納税義務・事業年度等の基本概念を定め、第二編と第三編でそれぞれ内国法人・外国法人の税額計算方法を規定しています。第四編以降は申告・納付・更正・雑則・罰則など手続・執行に関する規定が続きます。このうち第二編の内国法人の税額の計算が全体の中で最も条文数が多く、益金・損金の算入・不算入の詳細規定や減価償却・繰越欠損金・各種の税額控除制度が網羅されています。内国法人(国内に本店を置く法人)への課税が第二編の対象であり、外国法人は第三編にて国内源泉所得の範囲に限って課税される仕組みが規定されている点で区別されます。以下は各編の名称と主な内容の概要です(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。

第一編 総則

法人税法全体に共通する用語の定義・適用範囲・通則を定めています。まず納税義務者として、内国法人・外国法人それぞれについて法人税が課される所得の範囲が規定されています。内国法人のうち公共法人は納税義務が免除され、公益法人等・協同組合等・人格のない社団等についてはそれぞれの区分に応じた規定が設けられています(出典:e-Gov法令検索)。

「事業年度」の定義も本編に置かれており、定款等で定めた期間が事業年度とされる原則のほか、設立・解散・合併があった場合の事業年度の区切りについても規定されています。また、法人税法で頻出する「益金」「損金」「所得の金額」といった概念の基本的な定義が本編で示されています。国内源泉所得の範囲・外国法人の課税関係の基礎も総則に規定されています。

第二編 内国法人の税額の計算

日本国内に本店または主たる事務所を置く法人(内国法人)の課税所得・税額の計算方法を定めた編です。法人税法の中で最も条文数が多く、実務上も最も参照頻度が高い部分です(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。

益金の額としては、商品・製品の販売による収益・受取利息・受取配当・資産の譲渡益等が該当します。ただし、受取配当等の一定額については、二重課税排除の観点から益金に算入しない(益金不算入)制度が設けられています。

損金の額としては、販売した商品・製品の原価・業務に関連する費用・損失が認められます。ただし、交際費等については損金に算入できる金額に上限が設けられており、役員給与のうち一定のものは損金不算入とされています。また、寄附金については相手先に応じて損金算入の限度額が異なります。

減価償却については、建物・機械・車両等の有形固定資産や特許権等の無形固定資産の償却費が損金として認められます。償却方法(定額法・定率法等)や耐用年数は財務省令(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)で定められており、法人税法はその根拠規定を置いています。

繰越欠損金の制度では、各事業年度に生じた欠損金(所得がマイナスになった場合)を翌事業年度以降に繰り越して、将来の所得と相殺することが認められています。繰越期間・控除できる金額の上限については、その時々の法令規定による制限があります。

税額の計算については、課税所得の金額に税率を乗じて算出した法人税額から、所得税額控除・外国税額控除等の各種税額控除を差し引いた金額が納付すべき法人税額となります。また、グループ通算制度(令和4年度以降)に関する規定も本編に設けられており、企業グループ内の損益を通算して課税する仕組みが規定されています。

第三編 外国法人の税額の計算

外国の法令に基づいて設立された法人(外国法人)が日本国内で得た所得に対する課税について定めた編です(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。

外国法人に対する法人税は、国内源泉所得の範囲に限って課税されます。国内源泉所得とは、国内にある恒久的施設(事務所・支店・工場等に相当するもの)を通じて行う事業から生じた所得や、国内にある土地・建物の譲渡から生じた所得などが該当します。国内源泉所得の具体的な区分・計算方法・申告義務の有無については、日本と相手国の間で締結された租税条約の内容によっても影響を受けます。恒久的施設(Permanent Establishment, PE)を有しない外国法人が受け取る国内源泉所得については、支払者による源泉徴収によって課税関係を完結させる仕組みが設けられている場合があります。また、外国法人に適用される税率・計算方法は内国法人と一部異なる点があり、詳細は法人税法の第三編の各条文を参照する必要があります(出典:e-Gov法令検索)。

第四編 申告、納付及び還付

法人税の確定申告・中間申告・修正申告の手続、および税額の納付・延納・還付に関する規定をまとめた編です(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。

確定申告は、事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に所轄の税務署長に対して申告書を提出するとともに法人税額を納付することが原則とされています。一定の要件を満たす場合には申告期限の延長が認められます。中間申告は、事業年度が6ヶ月を超える法人に対して事業年度開始の日以後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に申告・納付することを求めるもので、前事業年度の確定税額の2分の1に相当する金額(予定申告)または仮決算による金額のいずれかを選択することができます。

修正申告は、確定申告後に申告額が過少であったことが判明した場合に行う手続で、自発的に行う修正申告と税務署長の調査による更正処分とは区別されます。還付については、中間申告で納付した税額が確定申告の税額を超える場合や、欠損金の繰戻による還付の制度が設けられています。

第五編 更正及び決定

税務署長による更正・決定・再更正の手続を定めた編です(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。申告された税額が過少・過大であると認める場合や申告がなされていない場合に、税務署長が職権で税額を確定する処分に関する手続・除斥期間・更正の請求が規定されています。更正の請求とは、申告した税額が過大であった場合に法人が還付を求める手続です。税務署長が行う更正・決定に対しては、法人が不服申立て(審査請求)や税務訴訟を通じて争う手続が別途税務通則法等に設けられており、本編はその前提となる更正・決定処分そのものの手続を定めています。更正の除斥期間は原則として申告期限から5年(偽りその他不正行為がある場合は7年)とされています。

第六編 納税の告知及び督促

源泉徴収に係る所得税等の告知・督促に関する規定です(出典:e-Gov法令検索)。一定の所得の支払いに際して源泉徴収が行われた金額について、税務署長が納付を求める告知の手続と、納付がされない場合の督促状の発送に関する手続が定められています。法人は他者への支払いに際して源泉徴収義務を負う場合があり(例:役員への報酬、非居住者への支払等)、徴収した税額を指定の期限内に国に納付する義務があります。この納付が適切に行われない場合に税務署長が行う告知の手続が本編に位置付けられています。督促状が発送された後も納付がない場合には、滞納処分(財産の差押え等)が行われることがあります。なお、告知処分に不服がある場合には、国税通則法に基づく審査請求等の不服申立て手続を経ることになります。

第七編 雑則

税務調査への協力義務・帳簿書類の保存義務・電子申告・電子帳簿等に関する雑則規定をまとめた編です(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。

帳簿書類の保存については、法人税の申告に関連する帳簿・決算書類・取引書類等を一定期間(原則7年)保存する義務が定められています。税務調査については、税務署職員による質問検査権の範囲・手続が規定されています。また、電子申告(e-Tax)による申告書の提出・電磁的記録による帳簿書類の保存(電子帳簿保存法と連動する部分)に関する規定も含まれています。これらの義務は法人の規模・業種を問わず適用される基本的な義務であり、帳簿書類の不備・保存期間の懈怠は税務調査において問題となる場合があります。なお、保存すべき書類の具体的な種類・方法については法人税法施行規則にも規定があります。

第八編 罰則

法人税法に違反した場合の刑事罰(懲役・罰金)を規定しています(出典:e-Gov法令検索)。主な罰則として、申告書に虚偽の記載をして税額を免れる行為(いわゆる脱税)への懲役・罰金の規定、調査を妨害したり帳簿書類を隠滅・偽造した場合の罰則などが設けられています。また、法人の代表者・代理人等が違反行為を行った場合には、行為者のほか法人自体に対しても罰金刑を科す両罰規定が置かれています。脱税行為に対する刑事責任は、法人税法上の罰則だけでなく、租税犯則事件の調査手続を定める国税犯則取締法(現在は国税通則法に統合)とも連動して運用されています。悪質な脱税事件については、国税局査察部による調査(マルサ)が行われ、刑事告発に至る場合があります。

条文の閲覧方法

法人税法の条文は、以下から無料で閲覧・検索できます。

条文は施行日時点の現行版が表示されます。法人税法は毎年度の税制改正で改正されることが多く、適用される事業年度の施行日と条文の内容を確認したうえでご参照ください。各改正の内容・施行日については、e-Gov法令検索の沿革情報からも確認できます。実務での税額計算・申告書の作成については、法人税法本体のほか施行令・施行規則・租税特別措置法も合わせて参照する必要があります。法人税法の条文は専門的な用語を多く含み、解釈には通達(法人税基本通達等)も参照されることがあります。通達は国税庁が公表しており、e-Gov法令検索とは別の検索手段として国税庁ウェブサイト等が参考となります。実務上の税務判断については税理士等の専門家への相談を推奨します。