会社法(正式名称:会社法、法令ID:417AC0000000086)は、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社など、日本の会社に関する基本的な規律を定めた法律です。会社の設立から解散・清算に至るまでの手続のほか、株主・社員の権利義務、機関設計、組織再編、外国会社の規制など、会社に関わる幅広い事項を一元的に規定しています。条文全文は法令全集の会社法ページまたはe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/)で無料で閲覧できます。
基本情報
会社法は、それまで商法第二編および有限会社法等に分散していた会社関連規定を統合・再編した法律として平成17年(2005年)に制定されました(出典:e-Gov法令検索)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 会社法 |
| 法令番号 | 平成十七年法律第八十六号 |
| 公布日 | 平成17年(2005年)7月26日 |
| 施行日 | 平成18年(2006年)5月1日 |
| 所管省庁 | 法務省 |
| 法令ID | 417AC0000000086 |
会社法の施行にあわせて有限会社法は廃止され、施行前に設立されていた有限会社は「特例有限会社」として会社法の規律のもとで存続することとなりました。条文数は九百七十九条(附則を除く)にのぼり、日本の民事法分野でも特に大規模な法律のひとつです。会社の設立・組織・運営・解散に関する基本ルールが網羅的に定められており、株式会社の設立・経営・株主対応を行う場面や、M&A・組織再編を検討する場面など、企業法務の実務において幅広く参照される法律です。
制定の背景
会社法が制定される以前、会社に関する規律は商法典の第二編(会社)を中心に、有限会社法・株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(いわゆる商法特例法)など複数の法令に分散して規定されていました。これらの法令は戦後から数十年にわたって個別の改正が積み重ねられた結果、相互に重複する規定や参照関係の複雑化が生じており、利用者にとって把握しにくい状態になっていました。
平成17年の会社法制定では、こうした分散した会社関連規定を一本化することが主要な目的とされ、条文の整理と現代語化が図られています(出典:e-Gov法令検索 掲載の法令情報)。あわせて、機関設計の柔軟化・資金調達手段の多様化・合併手続の合理化など、当時の経済環境の変化に対応した実質的な規律の見直しも行われました。
その後も会社法は数次の改正を経ており、平成26年(2014年)改正では社外取締役に関する規律の強化などが、令和元年(2019年)改正では株主総会資料の電子提供制度・株式交付制度の新設などが行われています(出典:e-Gov法令検索)。
会社法が定める会社の種類
会社法第2条は、「会社」を株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の4種類と定義しています(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。このうち合名会社・合資会社・合同会社は第三編において「持分会社」として共通の規律が置かれています。
| 種類 | 社員(出資者)の責任 |
|---|---|
| 株式会社 | 株主は出資額を限度とする有限責任 |
| 合名会社 | 社員全員が無限責任 |
| 合資会社 | 無限責任社員と有限責任社員が混在 |
| 合同会社 | 社員全員が有限責任(出資額を限度) |
旧有限会社法の廃止により、現行の会社法に「有限会社」という会社の種類は存在しません。会社法施行前に設立された有限会社は、会社法施行後も特例有限会社として存続していますが、新たに有限会社を設立することはできません。
条文の編別構成
会社法は8つの編と附則で構成されています。第一編の総則で基本的な定義・通則を定め、第二編の株式会社と第三編の持分会社でそれぞれの会社形態に固有の規律を置いています。第四編以降は会社の形態を横断するテーマ(社債・組織再編・外国会社)や手続・罰則が置かれています。条文の大部分は第二編の株式会社に関する規定が占めており、設立から機関設計・計算・解散・清算に至る一連の手続が詳細に規定されています。持分会社(第三編)は株式会社と比べて条文数は少ないものの、合同会社を含む持分会社形態の基本ルールが定められており、スタートアップや外資系企業の子会社形態として用いられることもあります。各編の条文番号の所在を把握しておくと、e-Gov法令検索で目的の条文を参照する際に役立ちます。以下は各編の名称と主な内容の概要です(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。
第一編 総則
会社法全体に共通する定義・通則を定めています。まず「会社」の種類の定義が置かれ、続いて「子会社」「親会社」の概念が規定されています。子会社とは他の会社がその財務・事業の方針の決定を支配している会社を指し、議決権の過半数の保有のほか実質支配の観点からも判定されます(出典:e-Gov法令検索)。
商業登記については、会社が設立に際して本店の所在地を管轄する法務局に登記する義務が基本として定められており、登記された事項は取引の相手方に対して主張できる旨の規定が置かれています。公告の方法として、官報・日刊新聞紙・電子公告のいずれかを選択できることや、電子公告を選択した場合に必要となる調査機関による調査の仕組みも総則に規定されています。また、会社に関する書類の電磁的記録による作成・送付・保存についての通則規定も含まれています。
第二編 株式会社
会社法の中で最も条文数が多い編で、全体の大部分を占めます。株式会社に関する規律は、設立・株式・新株予約権・機関・計算・定款変更・解散・清算の各章から構成されています(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。
設立の章では、定款の作成・公証人による認証・発起人の出資・役員の選任・設立登記に至るまでの手続が規定されています。設立の方法には、発起人のみが株式を引き受ける「発起設立」と、発起人以外の者にも株式の引受けを募集する「募集設立」の2種類があります。設立段階での検査役による調査、設立無効の訴えに関する規定も置かれています。
株式の章では、株式の内容(普通株式)・種類(優先株式・劣後株式・議決権制限株式・譲渡制限株式・取得請求権付株式・取得条項付株式・全部取得条項付種類株式等の種類株式)・株主名簿・株式の売渡請求・単元株・株式の分割・無償割当て・消却・自己株式の取得・処分など幅広い事項が規定されています。
新株予約権の章では、予め定められた価格で株式を取得できる権利である新株予約権の発行・内容・取得に関する手続が規定されており、ストックオプションなどへの活用が念頭に置かれています。
機関の章では、株主総会・取締役・取締役会・会計参与・監査役・監査役会・会計監査人・監査等委員会・指名委員会等の各機関の権限・選任・解任・任期・報酬・責任が規定されています。会社の規模や公開会社か否か(株式の譲渡制限の有無)に応じて異なる機関設計の組み合わせが認められており、中小規模の非公開会社から上場企業まで幅広い形態に対応できる構造となっています。
計算の章では、会計帳簿の作成・保存・開示に関する義務のほか、計算書類(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表)の作成・監査・株主への提供・定時株主総会での承認・公告に関する手続が定められています。剰余金の配当・資本金の額・準備金の積立てに関する規定も本章に含まれています。
第三編 持分会社
合名会社・合資会社・合同会社(いわゆる持分会社)に関する規定をまとめた編です。持分会社は株式会社とは異なり、社員(出資者)が直接経営に参画する形態を基本としており、定款による自治の範囲が広い点が特徴です(出典:e-Gov法令検索)。
合名会社は社員全員が無限責任(会社の債務について個人財産をもって弁済する義務)を負います。合資会社は無限責任社員と有限責任社員が混在する形態で、有限責任社員は出資額を限度として責任を負います。合同会社は社員全員が有限責任を負う形態で、株式会社と責任構造が同様ですが、設立費用が低く、利益・権限の分配を定款で柔軟に設計できる点が異なります。
本編では、設立・社員の加入・退社・持分の譲渡・業務の執行・社員間の競業禁止・解散・清算について規定されています。持分の譲渡には原則として他の社員全員の承認が必要とされる点で、株式の譲渡自由を原則とする株式会社とは異なっています。
第四編 社債
会社が資金調達のために発行する社債に関する規定です。社債の募集(応募・申込み・割当て)・社債原簿・社債の振替・利息・償還・社債管理者・社債管理補助者・社債権者集会について定めています(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。
社債管理者は、社債権者全体の利益を代表して元利金の支払を監督し、必要な場合には社債権者のために法律行為を行う機関です。一定の条件を満たす社債については社債管理補助者を置くことも可能とされています。社債権者集会は、社債の元利金の減額・社債権者の利害に関する事項について決議を行う社債権者の意思決定機関で、社債管理者または発行会社が招集します。なお、社債は会社の信用力に基づく借入金融の手段として機能しており、普通社債・新株予約権付社債(転換社債型を含む)・劣後社債など様々な形態があります。
第五編 組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付
会社の組織再編に関する各種手続を定めた編です。各手続について、法律的効果・作成すべき書面・株主総会による承認・反対株主の株式買取請求権・債権者保護手続(異議を述べる機会の付与)が規定されています(出典:e-Gov法令検索 掲載の条文に基づく)。
組織変更は、株式会社から合名会社・合資会社・合同会社のいずれかへ、またはこれらから株式会社へ変更する手続です。吸収合併では存続会社が消滅会社の権利義務を包括的に承継し、新設合併では両当事者の会社が消滅して新たに設立された会社が権利義務を承継します。吸収分割・新設分割では、会社の事業の一部または全部を他の会社(または新設会社)に承継させることができます。株式交換・株式移転は完全親子会社関係(発行済株式の100%を他の会社が保有する関係)を形成するための手続です。株式交付は、令和元年改正で新設された制度で、他の会社を子会社(50%超の議決権保有)にする際に自社の株式を対価として使用できる仕組みです。
第六編 外国会社
外国の法令に準拠して設立された会社(外国会社)が日本において継続して取引を行う場合のルールを定めています。外国会社は、日本において取引を継続して行う場合には、日本における代表者を定め、その会社の日本法における相当類型に従った登記を行う義務があります(出典:e-Gov法令検索)。
日本に営業所を設ける場合にも登記が必要とされており、登記を行う前に継続して取引を行った外国会社は、その取引によって生じた債務について無限責任を負う旨の規定や、登記懈怠に対する過料の制裁が設けられています。また、外国会社が日本で行う継続取引から生じた債権者を保護するため、清算に準じた手続きに関する規定も含まれています。日本で設立された国内会社とは異なり、外国会社は本国法に準拠して設立された法人であるため、会社の組織・内部関係は原則として本国法による点が特徴です。会社法は日本での活動に必要な登記・代表者・公告等の最低限のルールを定めるにとどまります。
第七編 雑則
訴訟手続・非訟事件・登記・公告・電子情報処理組織の使用等に関する規定を含む編です。会社関係の訴えとして、取締役等の任務懈怠責任を株主が会社に代わって追及する株主代表訴訟、組織再編の無効を求める訴え、株主総会の決議の取消・無効・不存在確認の訴えなどが規定されており、これらの訴訟の専属管轄・担保提供・判決の効力等についての特則が定められています(出典:e-Gov法令検索)。
商業登記については、登記の申請手続・登記事項の詳細・登記の更正・抹消に関する規定が置かれています。電子公告に関しては、調査機関による調査の方法・調査記録の保存期間・調査機関の登録要件など詳細な手続規定が設けられています。株主代表訴訟では、株主が会社に代わって取締役等の責任を追及する際の担保提供・訴訟参加・和解に関する手続規定も本編に置かれています。
第八編 罰則
会社法に違反した場合の刑事罰(懲役・罰金)および秩序罰(過料)を規定しています。代表的な刑事罰として、取締役・執行役・監査役等の役員が自己もしくは第三者の利益を図る目的で任務に背き会社に財産上の損害を加える行為を処罰する特別背任罪があります(出典:e-Gov法令検索)。
そのほか、株主等の権利行使に関連して財産上の利益を供与・要求する行為(いわゆる総会屋への利益提供等)を処罰する規定、虚偽の内容で登記や公告を行った場合の罰則、会計帳簿の閲覧請求に正当な理由なく応じなかった役員への過料なども規定されています。罰則の多くは行為者個人の懲役・罰金だけでなく、法人に対しても罰金刑を科す両罰規定が設けられており、役員の違反行為について会社自体も制裁の対象となりえます。
条文の閲覧方法
会社法の条文は、以下から無料で閲覧・検索できます。
条文は施行日時点の現行版が表示されます。会社法はこれまでに数次の改正が行われており、適用される時点に応じた施行日の確認が必要です。改正の経緯については、e-Gov法令検索の「沿革」情報も参照できます。条文を実務や学習に活用する際は、参照している版が最新の施行状況と一致しているかを確認したうえで利用してください。条文の量が多いため、目的とする条番号が分かっている場合は検索機能を使うと効率よく参照できます。また、会社法は施行規則・計算規則など多くの政省令と一体となって運用されており、各条文が委任している省令も合わせて確認することが重要です。