予算決算及び会計令(法令ID:322IO0000000165)は、国の予算、決算、歳入歳出、支出、契約、出納官吏などに関する手続を定める勅令です。条文全文は法令全集の予算決算及び会計令ページまたはe-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/)で無料で閲覧できます。

国の財政・会計に関する法令は、財政法(昭和22年法律第34号)が予算の基本原則を定め、会計法(昭和22年法律第35号)が歳入・歳出の基本手続を定め、予算決算及び会計令がその施行に必要な詳細手続を定めるという三層構造で成り立っています。さらに各府省の会計規程や財務省の通知・通達が実務上の指針を示します。

予算決算及び会計令は、国の調達(入札・契約)手続について特に詳細な規定を置いており、政府の公共調達に携わる事業者や実務担当者が参照する機会の多い法令です。この記事では、予算決算及び会計令の基本情報、条文の章別構成、主要制度の確認ポイントを整理します。個別の契約・支出の適否を判断するものではありません。

基本情報

予算決算及び会計令は、昭和22年(1947年)勅令第165号として制定された法令です。財政法や会計法とあわせて、国の予算執行・会計手続を確認する際に参照されます。日本国憲法施行・財政法・会計法の制定と同年に勅令として公布されており、旧憲法下の会計手続法令を引き継ぎつつ新たな財政制度に対応した内容となっています。

項目内容
正式名称予算決算及び会計令
法令番号昭和二十二年勅令第百六十五号
法令ID322IO0000000165
制定年1947年(昭和22年)
主な分野予算、決算、会計年度、歳入、歳出、支出、契約、出納

財政法が国の予算に関する基本原則(単一予算主義・健全財政原則等)を定め、会計法が歳入・歳出の基本手続を定めるのに対し、予算決算及び会計令はその施行に必要な手続の細目を補完する役割を担っています。三法を組み合わせて参照することで、国の予算執行・会計処理の全体像を把握できます。

財務省は、予算・決算に関する情報として、毎年度の予算・決算、財政状況の報告、予算書・決算書データベースなどを公開しています。また財務省主計局が各府省の概算要求から閣議決定・国会提出・執行管理まで一連の予算プロセスを所管しています。

条文構成

予算決算及び会計令は、国の会計手続を広く扱う法令です。会計年度所属区分、予算、歳入、歳出、支出、契約、出納官吏などに関する規定が置かれています。各章の規定は財政法・会計法の委任を受けた施行令としての位置付けを持ち、条文を読む際はその根拠となる上位法令もあわせて確認することが重要です。

章・区分主な内容
第一章 総則用語定義、会計年度所属区分、予算の区分等
第二章 予算概算、予算の配賦、予備費使用、繰越し等
第三章 歳入歳入の調定、納入告知、収納等
第四章 歳出支出負担行為、支出命令、支払等
第五章 契約一般競争、指名競争、随意契約、入札、契約書等
第六章以降出納官吏、帳簿、検査、雑則等

第四章(歳出)と第五章(契約)は、国の調達・支払手続を調べる際に最もよく参照される部分です。支出負担行為・支出命令・支払の手続の流れ、一般競争入札・指名競争入札・随意契約の要件と手続がそれぞれ詳細に定められています。

国の契約や支出の手続を調べる場合、会計法、予算決算及び会計令、各府省の会計規程や調達情報をあわせて確認する必要があります。第一章(総則)の用語定義は以降の条文全体の基礎となるため、まず確認しておくことを推奨します。

会計年度と予算

第一章は、会計年度所属区分や予算の区分に関する規定を置いています。歳入や歳出をどの年度に属させるかは、国の会計処理の基本になります。

第1条は、各省各庁の長、官署支出官、センター支出官、契約担当官等などの用語を定義しています。第1条の2は、歳入の会計年度所属区分を定めています。財政法第11条により会計年度は毎年4月1日から翌年3月31日までと定められており、収入・支出をその年度の歳入・歳出として処理するために、会計年度所属区分の規定が重要な意味を持ちます。

予算に関する規定では、歳入・歳出、継続費、繰越明許費、国庫債務負担行為など、財政法上の予算制度と関係する事項が扱われます。第二章では、各省各庁の長が主任の大臣から配賦を受けた予算の範囲内で支出負担行為等を行う手続が定められています。予備費の使用(財政法第35条に基づく閣議決定後の充用手続)、繰越明許費の繰越し手続、国庫債務負担行為の管理なども、予算決算及び会計令の規定に基づいて処理されます。

予算の流用(同一款内での目の変更)は財政法第33条・第34条の要件に従い、流用・移用の際には予算決算及び会計令に定める手続が必要です。予算科目の体系(款・項・目・節)を理解することで、予算書や決算書の読み方も整理されます。

歳入・歳出・支出

歳入と歳出の章では、収入の調定・収納、支出負担行為、支出命令、支払などの手続が定められています。国の会計処理を確認するうえで中心となる部分です。

歳入では、納入告知書、収納、歳入金の取扱いなどが問題になります。歳入の収納手続では、まず収入の原因となる事実の確認(調定)が行われ、収入官吏が納入告知書を発行します。歳入金の収納は国の収納代理金融機関等を通じて行われ、最終的に日本銀行の国庫に収納されます。

歳出では、支出負担行為、支出官、支払手続などが問題になります。歳出の支出手続は、支出負担行為(支出の原因となる契約等の締結)から始まり、支出命令(支出官が行う支払の指示)、実際の支払(口座振込等)という流れで処理されます。財政法第36条により、支出は支出負担行為の範囲内で行わなければならないため、支出負担行為の時点で予算の拘束が生じます。

これらの規定は、国の機関の内部手続と関係します。実際の手続では、会計法、財政法、各府省の会計関係規程、財務省通知等もあわせて確認されます。支出の種類(一般支出・概算払・前金払等)や特例も規定されており、実務上は財務省主計局の通知や各府省の運用基準も参照されます。

契約手続

予算決算及び会計令は、国の契約手続に関する規定も含んでいます。一般競争契約、指名競争契約、随意契約、入札保証金、契約保証金、契約書などが確認ポイントです。

会計法第29条の3は、国が締結する契約は一般競争に付することを原則とすると定めており、予算決算及び会計令はこの原則のもとで一般競争の手続を詳細に規定しています。指名競争契約は同令第94条各号の要件を満たす場合(少額案件・特殊技術を要する場合等)に認められます。随意契約は同令第99条各号の要件を満たす場合(緊急案件・特許権のある物件等)に認められ、その根拠条号を契約書等に明示することが求められます。

国の調達や契約では、会計法が基本的な枠組みを定め、予算決算及び会計令が手続の詳細を定めています。各府省の調達情報や入札公告では、これらの法令に基づく手続が前提になります。契約締結にあたっては原則として契約書の作成が義務付けられており(同令第100条の2)、入札保証金・契約保証金の納付とその免除要件も規定されています。

個別の入札参加資格、契約方式、予定価格、随意契約の可否などは、案件ごとの公告、仕様書、会計法令、各府省の運用によって確認する必要があります。国の調達公告は政府電子調達(GEPS)システムで一元的に公開されています。

出納官吏と会計検査

予算決算及び会計令第六章では、出納官吏に関する規定が置かれています。出納官吏とは、現金(歳入歳出外現金を含む)の出納保管を行う国家公務員であり、収入官吏・支出官とは区別されます。現金の受領・払渡し・保管が主な職務であり、会計上の責任が厳格に定められています。

出納官吏が故意または過失により国に損害を与えた場合、弁償責任を負うことがあります(会計法第41条以下)。出納官吏の任免・監督は各省各庁の長が行い、出納官吏の事務引継ぎ手続も規定されています。帳簿の記録・保存についても同令に規定が置かれており、証拠書類の保管期間や会計検査院への提出手続が定められています。

会計検査院は国会・内閣から独立した機関として、国の収入・支出の決算を検査します(日本国憲法第90条・会計検査院法)。決算は内閣が毎年国会に提出し、会計検査院の検査を経た歳入歳出決算が国会の審議に付されます。国の会計経理は、会計検査院法とあわせた事後的なチェックを受ける仕組みになっており、予算決算及び会計令はその基礎となる手続を定めています。

電子調達と調達情報の公開

国の調達手続は、政府電子調達(GEPS:Government Electronic Procurement System)を通じてオンライン化が進んでいます。GEPSは財務省が運営するシステムであり、各府省が発注する物品・役務・工事等の入札公告、開札結果、随意契約情報などを一元的に公開しています。

入札に参加するためには、各府省の競争参加資格(全省庁統一資格を含む)を事前に取得することが必要です。全省庁統一資格は財務省が窓口となり、一定期間ごとに申請受付が行われます。資格の等級(A・B・C・D等)は企業規模や実績等に基づいて決定され、等級によって入札参加できる案件の規模が異なります。

予算決算及び会計令の契約手続の規定は、こうした電子調達の実務と結びついています。条文の手続要件と実際の電子システムの操作手順の関係については、財務省や各府省が公開している調達実務の手引き等も参照することが有用です。

国の随意契約については、会計法令上の透明性確保の観点から、一定額以上の随意契約情報を各府省がウェブサイト上に公表することが求められています。随意契約情報の公表は、不透明な調達の防止と説明責任の確保を目的とするものです。入札参加に関心のある事業者は、GEPSによる公告確認と競争参加資格の取得手続を事前に進めておくことが重要です。また、特定の企業のみを繰り返し指名したり、競争を回避するための案件分割を行うことは会計法令上問題となりうるため、実務担当者はこれらの点にも注意が必要です。

読むときの注意点

予算決算及び会計令は、国の予算・会計・契約手続に関する基本法令の一つですが、単独で完結するものではありません。財政法、会計法、各府省の会計規程、調達公告、財務省資料をあわせて確認することが重要です。

条文を読む際は、各規定が委任根拠とする財政法・会計法の対応条文もあわせて確認することで、制度の趣旨・目的を理解しやすくなります。また予算決算及び会計令は改正が行われることがあり、e-Gov法令検索で現行法令の最新版を確認することを推奨します。財務省・総務省から各府省への通知等もあわせて参照することで、法令の解釈・運用上の考え方を把握しやすくなります。

国の調達に参加する場合は、競争参加資格の取得・更新手続、各府省の調達公告の確認、仕様書・契約書の内容確認など、複数の手続が必要です。入札手続や随意契約の適用、支出処理の具体的な判断については、所管府省の調達担当や会計担当に確認してください。

この記事は制度構成の案内であり、特定契約の適法性、入札参加可否、支出処理の可否を判断するものではありません。具体的な手続では、所管府省の調達担当、会計担当、弁護士等の専門家に確認してください。

参考リンク

この記事は、以下の公式資料等を参照して作成しています。

予算決算及び会計令の条文は、e-Gov法令検索および法令全集(このサイトの予算決算及び会計令ページ)で無料で閲覧できます。財政法・会計法とあわせて参照することで、国の予算執行・会計手続の全体像を把握しやすくなります。国の調達や会計手続に関する実務上の判断が必要な場合は、所管府省の担当部局や弁護士・公認会計士等の専門家に相談することをお勧めします。