国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法
第一章 総則
(目的)
第一条目的
第一条 この法律は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。
(定義)
第二条定義
第二条 この法律において「生物系特定産業技術」とは、その業務において生物の機能を維持増進し、若しくは利用し、又は生物の機能の発現の成果を獲得し、若しくは利用する事業で次に掲げる業種に属するものに関する技術(基盤技術研究円滑化法(昭和六十年法律第六十五号)第二条に規定する基盤技術に該当するものを除く。)のうち当該事業を所管する省の所掌に係るものであって、その開発に当たり生物の機能又はその発現の成果の特性に密接に関連する試験研究を必要とするものをいう。
一 農林漁業
二 飲食料品製造業及びたばこ製造業
三 前二号に掲げるもののほか、その業種に属する事業に関する技術の性格を勘案し、その技術の高度化を図ることが特に必要でかつ適切と認められる業種として政令で定めるもの
(名称)
第三条名称
第三条 この法律及び独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第二条第一項に規定する独立行政法人の名称は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構とする。
(研究機構の目的)
第四条研究機構の目的
第四条 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「研究機構」という。)は、農業及び食品産業に関する技術(蚕糸に関する技術を含む。以下「農業等に関する技術」という。)上の試験及び研究等を行うことにより、農業等に関する技術の向上に寄与するとともに、生物系特定産業技術に関する基礎的な試験及び研究を行うことにより、生物系特定産業技術の高度化に資することを目的とする。
2 研究機構は、前項に規定するもののほか、種苗法(平成十年法律第八十三号)に基づき適正な農林水産植物の品種登録の実施を図るための現地調査又は栽培試験を行うとともに、優良な種苗の流通の確保を図るための農作物の種苗の検査並びにばれいしょ及びさとうきびの増殖に必要な種苗の生産及び配布を行うことを目的とする。
(国立研究開発法人)
第四条の二国立研究開発法人
第四条の二 研究機構は、通則法第二条第三項に規定する国立研究開発法人とする。
(事務所)
第五条事務所
第五条 研究機構は、主たる事務所を茨城県に置く。
(資本金)
第六条資本金
第六条 研究機構の資本金は、附則第五条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。
2 研究機構は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3 政府は、前項の規定により研究機構がその資本金を増加するときは、予算で定める金額の範囲内において、研究機構に追加して出資することができる。 この場合において、政府は、第十五条各号に掲げる業務のそれぞれに必要な資金に充てるべき金額を示すものとする。
4 政府以外の者は、研究機構に出資しようとする場合は、第十五条第二号及び第三号に掲げる業務に必要な資金に充てるべきものとして示して出資しなければならない。 この場合において、当該政府以外の者は、同条第二号及び第三号に掲げる業務のそれぞれに必要な資金に充てるべき金額を示すものとする。
(持分の払戻し等の禁止)
第七条持分の払戻し等の禁止
第七条 研究機構は、通則法第四十六条の二第一項若しくは第二項の規定による国庫への納付又は通則法第四十六条の三第三項の規定による払戻しをする場合を除くほか、出資者に対し、その持分を払い戻すことができない。
2 研究機構は、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(持分の譲渡し等)
第八条持分の譲渡し等
第八条 政府以外の出資者は、その持分を譲り渡すことができる。
2 政府以外の出資者の持分の移転は、取得者の氏名又は名称及びその住所を出資者原簿に記載した後でなければ、これをもって研究機構その他の第三者に対抗することができない。
3 出資者の持分については、当該持分が信託財産に属する旨を出資者原簿に記載した後でなければ、当該持分が信託財産に属することを研究機構その他の第三者に対抗することができない。
第二章 役員及び職員
(役員)
第九条役員
第九条 研究機構に、役員として、その長である理事長及び監事三人を置く。
2 研究機構に、役員として、副理事長一人及び理事八人以内を置くことができる。
(副理事長及び理事の職務及び権限等)
第十条副理事長及び理事の職務及び権限等
第十条 副理事長は、理事長の定めるところにより、研究機構を代表し、理事長を補佐して研究機構の業務を掌理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長(副理事長が置かれているときは、理事長及び副理事長)を補佐して研究機構の業務を掌理する。
3 理事のうちから理事長が指名する者一人は、第十四条第二項に規定する業務及び同条第三項第一号に掲げる業務について、理事長の定めるところにより、研究機構を代表する。
4 通則法第十九条第二項の個別法で定める役員は、副理事長とする。 ただし、副理事長が置かれていない場合であって理事が置かれているときは理事、副理事長及び理事が置かれていないときは監事とする。
5 前項ただし書の場合において、通則法第十九条第二項の規定により理事長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。
(副理事長及び理事の任期)
第十一条副理事長及び理事の任期
第十一条 副理事長の任期は、理事長の任期(補欠の理事長の任期を含む。以下この項において同じ。)と対応するものとし、任命の日から、当該対応する理事長の任期の末日までとする。
2 理事の任期は、二年とする。
(役員及び職員の秘密保持義務)
第十二条役員及び職員の秘密保持義務
第十二条 研究機構の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。 その職を退いた後も、同様とする。
(役員及び職員の地位)
第十三条役員及び職員の地位
第十三条 研究機構の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務等
(業務の範囲)
第十四条業務の範囲
第十四条 研究機構は、第四条第一項の目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
一 農業等に関する技術上の試験及び研究、調査、分析、鑑定、検査(農機具についての検査に限る。)並びに講習を行うこと。
二 家畜及び家きん専用の血清類及び薬品の製造及び配布を行うこと。
三 試験及び研究のため加工した食品並びにその原料又は材料の配布を行うこと。
四 原蚕種並びに桑の接穂及び苗木の生産及び配布を行うこと。
五 生物系特定産業技術に関する基礎的な試験及び研究を他に委託して行い、その成果を普及すること。
六 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第三十四条の六第一項の規定による出資並びに人的及び技術的援助のうち政令で定めるものを行うこと。
七 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
2 研究機構は、第四条第二項の目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
一 種苗法第十五条の二第一項(同法第十七条の二第六項、第三十五条の三第三項及び第四十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定による現地調査又は栽培試験を行うこと。
二 農作物(飼料作物を除く。)の種苗の検査を行うこと。
三 ばれいしょ及びさとうきびの増殖に必要な種苗の生産及び配布を行うこと。
四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
3 研究機構は、前二項に規定する業務のほか、次に掲げる業務を行う。
一 種苗法第六十三条第一項の規定による集取
二 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成十五年法律第九十七号)第三十二条第一項の規定による立入り、質問、検査及び収去
4 研究機構は、前三項に規定する業務のほか、これらの業務の遂行に支障のない範囲内で、食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律(平成三年法律第五十九号)第十四条に規定する業務、農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律(令和六年法律第六十三号)第十七条に規定する業務並びに林木の品種改良のための放射線の利用に関する試験及び研究を行うことができる。
(株式等の取得及び保有)
第十四条の二株式等の取得及び保有
第十四条の二 研究機構は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第三十四条の五第一項及び第二項の規定による株式又は新株予約権の取得及び保有を行うことができる。
(区分経理)
第十五条区分経理
第十五条 研究機構は、次に掲げる業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。 ただし、第四号に掲げる業務に係る勘定については、第十七条の二第一項の規定により基金を設けた場合に限り、設けるものとする。
一 第十四条に規定する業務(次号から第四号までに掲げるものを除く。)
二 第十四条第一項第一号及び第六号に掲げる業務並びに同条第四項(農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律第十七条に規定する業務に係る部分に限る。)に規定する業務(いずれも農機具及び農機具を使用した農作業を効率的に行うのに必要な性状を有する農業資材に係るものに限る。)並びにこれらに附帯する業務
三 第十四条第一項第五号及び第六号(同項第五号に掲げる業務に係る部分に限る。)に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務(次号に掲げるものを除く。)
四 第十七条の二第一項に規定する基金に係る業務
(積立金の処分)
第十六条積立金の処分
第十六条 研究機構は、通則法第三十五条の四第二項第一号に規定する中長期目標の期間(以下この項において「中長期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち主務大臣の承認を受けた金額を、当該中長期目標の期間の次の中長期目標の期間に係る通則法第三十五条の五第一項の認可を受けた中長期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中長期目標の期間における第十四条に規定する業務の財源に充てることができる。
2 研究機構は、前項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
(余裕金の運用の特例)
第十七条余裕金の運用の特例
第十七条 研究機構は、第十五条第二号に掲げる業務に係る業務上の余裕金については、通則法第四十七条に規定する方法によるほか、財政融資資金への預託により運用することができる。
(基金の設置等)
第十七条の二基金の設置等
第十七条の二 研究機構は、主務大臣が通則法第三十五条の四第一項に規定する中長期目標において第十四条第一項第五号に掲げる業務及びこれに附帯する業務のうち科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第二十七条の二第一項に規定する特定公募型研究開発業務として行うものに関する事項を定めた場合には、同項に規定する基金(次項において「基金」という。)を設け、次項の規定により交付を受けた補助金をもってこれに充てるものとする。
2 政府は、予算の範囲内において、研究機構に対し、基金に充てる資金を補助することができる。
第四章 雑則
(緊急時の要請)
第十八条緊急時の要請
第十八条 農林水産大臣は、次に掲げるときは、研究機構に対し、第十四条第一項第一号に掲げる業務のうち必要な試験及び研究、調査、分析又は鑑定を実施すべきことを要請することができる。
一 農作物、家畜又は家きんに重大な被害が生じ、又は生ずるおそれがあると認められる場合において、当該被害の拡大又は発生を防止するため緊急の必要があると認めるとき。
二 品質が適正でない食品が流通し、又は流通するおそれがあり、これを放置しては一般消費者の利益を著しく害すると認められる場合において、一般消費者の利益を保護するため緊急の必要があると認めるとき。
2 研究機構は、前項の規定による農林水産大臣の要請があったときは、速やかにその要請された試験及び研究、調査、分析又は鑑定を実施しなければならない。
(出資者原簿)
第十九条出資者原簿
第十九条 研究機構は、出資者原簿を備えて置かなければならない。
2 出資者原簿には、第十五条第二号及び第三号に掲げる業務に係る出資ごとに、各出資者について次の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 出資の引受け及び出資金の払込みの年月日
三 出資額
3 出資者は、出資者原簿の閲覧を求めることができる。
(残余財産の分配)
第二十条残余財産の分配
第二十条 研究機構は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、当該残余財産の額のうち、第十五条第一号に掲げる業務に係る勘定に属する額に相当する額を政府に対し、同条第二号に掲げる業務に係る勘定に属する額に相当する額を同号に掲げる業務に係る各出資者に対し、同条第三号に掲げる業務に係る勘定に属する額に相当する額を同号に掲げる業務に係る各出資者に対し、それぞれ、その出資額に応じて分配するものとする。
2 前項の規定により第十五条第二号及び第三号に掲げる業務に係る各出資者に分配することができる額は、その出資額を限度とする。
3 第一項の規定による分配の結果なお残余財産があるときは、その財産は、国庫に帰属する。
(協議)
第二十一条協議
第二十一条 主務大臣は、次の場合には、財務大臣に協議しなければならない。
一 第六条第二項の規定による認可をしようとするとき。
二 第十六条第一項の規定による承認をしようとするとき。
2 主務大臣は、通則法第二十八条第一項の規定による認可(第十五条第三号及び第四号に掲げる業務に係る部分に限る。)をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
(主務大臣等)
第二十二条主務大臣等
第二十二条 この法律及び研究機構に係る通則法における主務大臣は、次のとおりとする。
一 役員及び職員並びに財務及び会計その他管理業務に関する事項(次号に掲げるものを除く。)については、農林水産大臣
二 第十五条第三号及び第四号に掲げる業務に係る財務及び会計に関する事項については、農林水産大臣、財務大臣及び第二条第三号の政令で定める業種に属する事業を所管する大臣
三 第十五条第一号及び第二号に掲げる業務に関する事項については、農林水産大臣
四 第十五条第三号及び第四号に掲げる業務であって、農林漁業及び飲食料品製造業(酒類製造業を除く。)に係るものに関する事項については、農林水産大臣
五 第十五条第三号及び第四号に掲げる業務であって、酒類製造業及びたばこ製造業に係るものに関する事項については、財務大臣
六 第十五条第三号及び第四号に掲げる業務であって、第二条第三号の政令で定める業種に属する事業に係るものに関する事項については、当該事業を所管する大臣
2 研究機構に係る通則法における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。
第五章 罰則
第二十三条
第二十三条 第十二条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
第二十四条
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした研究機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により主務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
二 第十四条に規定する業務以外の業務を行ったとき。