金融庁設置法
第一章 総則
(目的)
第一条目的
第一条 この法律は、金融庁の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織を定めることを目的とする。
第二章 金融庁の設置並びに任務及び所掌事務等
第一節 金融庁の設置
(設置)
第二条設置
第二条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第三項の規定に基づいて、内閣府の外局として、金融庁を設置する。
2 金融庁の長は、金融庁長官(以下「長官」という。)とする。
第二節 金融庁の任務及び所掌事務等
(任務)
第三条任務
第三条 金融庁は、我が国の金融の機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者その他これらに準ずる者の保護を図るとともに、金融の円滑を図ることを任務とする。
2 前項に定めるもののほか、金融庁は、同項の任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする。
3 金融庁は、前項の任務を遂行するに当たり、内閣官房を助けるものとする。
(所掌事務)
第四条所掌事務
第四条 金融庁は、前条第一項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
一 国内金融に関する制度の企画及び立案に関すること。
二 次号イからヱまでに掲げる者の行う国際業務に関する制度の企画及び立案に関すること。
三 次に掲げる者の検査その他の監督に関すること。
イ 銀行業又は無尽業を営む者
ロ 銀行持株会社
ハ 信用金庫、労働金庫、信用協同組合、農業協同組合、水産業協同組合、農林中央金庫その他の預金又は貯金の受入れを業とする民間事業者
ニ 銀行代理業、長期信用銀行代理業、信用金庫代理業、労働金庫代理業、信用協同組合代理業、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第九十二条の二第二項に規定する特定信用事業代理業、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第百六条第二項に規定する特定信用事業代理業又は農林中央金庫代理業を行う者
ホ 電子決済等取扱業、信用金庫電子決済等取扱業又は信用協同組合電子決済等取扱業を行う者
ヘ 認定電子決済等取扱事業者協会、認定信用金庫電子決済等取扱事業者協会又は認定信用協同組合電子決済等取扱事業者協会
ト 電子決済等代行業、信用金庫電子決済等代行業、労働金庫電子決済等代行業、信用協同組合電子決済等代行業、農業協同組合法第九十二条の五の二第二項に規定する特定信用事業電子決済等代行業、水産業協同組合法第百十条第二項に規定する特定信用事業電子決済等代行業、農林中央金庫電子決済等代行業又は商工組合中央金庫電子決済等代行業を営む者
チ 認定電子決済等代行事業者協会、認定信用金庫電子決済等代行事業者協会、認定労働金庫電子決済等代行事業者協会、認定信用協同組合電子決済等代行事業者協会、農業協同組合法第九十二条の五の七に規定する認定特定信用事業電子決済等代行事業者協会、水産業協同組合法第百十五条に規定する認定特定信用事業電子決済等代行事業者協会、認定農林中央金庫電子決済等代行事業者協会又は認定商工組合中央金庫電子決済等代行事業者協会
リ 信用保証協会、農業信用基金協会及び漁業信用基金協会
ヌ 保険業を行う者
ル 保険持株会社
ヲ 船主相互保険組合
ワ 金融商品取引業(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第八項に規定する金融商品取引業をいう。)を行う者
カ 指定親会社(金融商品取引法第五十七条の十二第三項に規定する指定親会社をいう。)
ヨ 金融商品債務引受業を行う者
タ 証券金融会社
レ 投資法人
ソ 信用格付業者
ツ 高速取引行為者(金融商品取引法第二条第四十二項に規定する高速取引行為者をいう。)
ネ 投資運用関係業務受託業者
ナ 金融商品市場を開設する者
ラ 金融商品取引所持株会社
ム 認可金融商品取引業協会、認定金融商品取引業協会及び認定投資者保護団体
ウ 取引情報蓄積機関(金融商品取引法第百五十六条の六十三第一項に規定する取引情報蓄積機関をいう。)
ヰ 特定金融指標算出者(金融商品取引法第百五十六条の八十五第一項に規定する特定金融指標算出者をいう。)
ノ 信託業(担保付社債に関する信託事業及び企業価値担保権に関する信託業務を含む。)又は信託契約代理業を営む者
オ 貸金業を営む者
ク 貸金業協会
ヤ 貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)第二条第十六項に規定する指定信用情報機関、同法第二十四条の九第二項に規定する指定試験機関及び同法第二十四条の二十五第二項に規定する登録講習機関
マ 特定金融会社等(金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律(平成十一年法律第三十二号)第二条第三項に規定する特定金融会社等をいう。)
ケ 特定目的会社、特定譲渡人及び原委託者(それぞれ資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項、第二百八条第一項及び第二百二十四条に規定する特定目的会社、特定譲渡人及び原委託者をいう。)
フ 不動産特定共同事業を営む者
コ 確定拠出年金運営管理業を営む者
エ 指定紛争解決機関(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第五十二条の六十二第一項の規定による指定を受けた者その他の政令で定めるものをいう。)
テ 前払式支払手段発行者
ア 資金移動業を営む者
サ 電子決済手段等取引業を行う者
キ 暗号資産交換業を行う者
ユ 為替取引分析業を行う者
メ 資金清算業を行う者
ミ 認定資金決済事業者協会
シ 金融サービス仲介業を行う者
ヱ 認定金融サービス仲介業協会
四 預金保険機構及び農水産業協同組合貯金保険機構の業務及び組織の適正な運営の確保に関すること。
五 預金保険機構による資金援助に係る金融機関の合併等(預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第五十九条第二項に規定する合併等をいう。)の適格性の認定及びあっせんを行うこと。
六 農水産業協同組合貯金保険機構による資金援助に係る農水産業協同組合の合併等(農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)第六十一条第二項に規定する合併等をいう。)の適格性の認定及びあっせんを行うこと。
七 保険契約者保護機構の業務及び組織の適正な運営の確保に関すること。
八 保険契約者保護機構による資金援助に係る保険契約の移転等(保険業法(平成七年法律第百五号)第二百六十条第一項に規定する保険契約の移転等をいう。)の適格性の認定及び保険契約の引受けの適格性の認定を行うこと。
九 投資者保護基金の業務及び組織の適正な運営の確保に関すること。
十 投資者保護基金による返還資金融資に係る適格性の認定を行うこと。
十一 日本銀行の国内金融業務の適正な運営の確保に関すること。
十二 準備預金制度に関すること。
十三 金融機関の金利の調整に関すること。
十四 損害保険料率算出団体の業務及び組織の適正な運営の確保に関すること。
十五 自動車損害賠償責任共済に関すること。
十六 金融商品取引法第二章から第二章の六までの規定による有価証券届出書、有価証券報告書その他の書類の審査及び処分に関すること。
十七 企業会計の基準の設定その他企業の財務に関すること。
十八 公認会計士及び監査法人に関すること。
十九 株式、社債その他の有価証券の振替に関すること。
二十 電子記録債権の電子記録に関すること。
二十一 金融に係る知識の普及に関すること。
二十二 勤労者の貯蓄に係る勤労者財産形成政策基本方針の策定に関すること。
二十三 金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(平成十二年法律第百一号)第八十二条第一項に規定する基本方針の策定及び推進に関すること。
二十四 金融経済教育推進機構の業務及び組織の適正な運営の確保に関すること。
二十五 事業性融資(事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第五十二号)第二条第一項に規定する事業性融資をいう。)の推進に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)。
二十六 金融商品取引法及び公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金に関すること。
二十七 金融商品取引に係る犯則事件の調査に関すること。
二十八 所掌事務に係る国際協力に関すること。
二十九 政令で定める文教研修施設において所掌事務に関する研修を行うこと。
三十 金融の円滑化を図るための環境の整備に関する基本的な政策に関する企画及び立案並びに推進に関すること。
三十一 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき金融庁に属させられた事務
2 前項に定めるもののほか、金融庁は、前条第二項の任務を達成するため、行政各部の施策の統一を図るために必要となる国民の安定的な資産形成(金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律第一条の二第六項に規定する資産形成をいう。)の支援に関する施策の総合的な推進を図るための基本的な政策に関する事項の企画及び立案並びに総合調整に関する事務(内閣官房が行う内閣法(昭和二十二年法律第五号)第十二条第二項第二号に掲げる事務を除く。)をつかさどる。
3 前二項に定めるもののほか、金融庁は、前条第二項の任務を達成するため、内閣府設置法第四条第二項に規定する事務のうち、前条第一項の任務に関連する特定の内閣の重要政策について、当該重要政策に関して閣議において決定された基本的な方針に基づいて、行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務をつかさどる。
(関係行政機関との協力)
第五条関係行政機関との協力
第五条 長官は、金融庁の所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他の必要な協力を求めることができる。
2 長官及び金融関連業者(金融庁の所掌に係る金融業に類似し、又は密接に関連する事業を営む者をいう。)に対する検査を所掌する行政機関の長は、効率的な検査の実施のため、意見の交換を図るとともに、それぞれの求めに応じ、それぞれの職員に協力させることができる。
第三章 金融庁に置かれる機関
第一節 審議会等
(設置)
第六条設置
第六条 金融庁に、次の審議会等を置く。
金融審議会
証券取引等監視委員会
2 前項に定めるもののほか、別に法律で定めるところにより金融庁に置かれる審議会等は、次の表の上欄に掲げるものとし、それぞれ同表の下欄に掲げる法律(これらに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
| 名称 | 法律 |
| 自動車損害賠償責任保険審議会 | 自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号) |
| 公認会計士・監査審査会 | 公認会計士法 |
(金融審議会)
第七条金融審議会
第七条 金融審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 内閣総理大臣、長官又は財務大臣の諮問に応じて国内金融に関する制度等の改善に関する事項その他の国内金融等に関する重要事項を調査審議すること。
二 前号に規定する重要事項に関し、内閣総理大臣、長官又は財務大臣に意見を述べること。
三 内閣総理大臣又は長官の諮問に応じて責任保険(自動車損害賠償保障法第五条に規定する責任保険をいう。)に関する重要事項を調査審議すること。
四 前号に規定する重要事項に関し、関係各大臣又は長官に意見を述べること。
五 金融機関の金利に関し、内閣総理大臣、長官、財務大臣又は日本銀行の政策委員会(日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第十四条に規定する政策委員会をいう。)に意見を述べること。
六 内閣総理大臣又は長官の諮問に応じて公認会計士制度に関する重要事項を調査審議すること。
七 臨時金利調整法(昭和二十二年法律第百八十一号)第二条第三項及び第六条の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。
2 金融審議会の委員その他の職員で政令で定めるものは、内閣総理大臣が任命する。
3 前二項に定めるもののほか、金融審議会の組織及び委員その他の職員その他金融審議会に関し必要な事項については、政令で定める。
(証券取引等監視委員会)
第八条証券取引等監視委員会
第八条 証券取引等監視委員会(以下「委員会」という。)は、金融商品取引法、投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)、預金保険法、資産の流動化に関する法律、金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律、社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)及び犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
(職権の行使)
第九条職権の行使
第九条 委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。
(組織)
第十条組織
第十条 委員会は、委員長及び委員二人をもって組織する。
(委員長)
第十一条委員長
第十一条 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
2 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
(委員長及び委員の任命)
第十二条委員長及び委員の任命
第十二条 委員長及び委員は、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
2 委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員が生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、委員長又は委員を任命することができる。
3 前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。 この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員長又は委員を罷免しなければならない。
(委員長及び委員の任期)
第十三条委員長及び委員の任期
第十三条 委員長及び委員の任期は、三年とする。 ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員長及び委員は、再任されることができる。
3 委員長及び委員の任期が満了したときは、当該委員長及び委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。
(委員長及び委員の身分保障)
第十四条委員長及び委員の身分保障
第十四条 委員長及び委員は、委員会により、心身の故障のため職務の執行ができないと認められた場合又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められた場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。
(委員長及び委員の罷免)
第十五条委員長及び委員の罷免
第十五条 内閣総理大臣は、委員長又は委員が前条に該当する場合は、その委員長又は委員を罷免しなければならない。
(委員長及び委員の服務等)
第十六条委員長及び委員の服務等
第十六条 委員長及び委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。 その職を退いた後も同様とする。
2 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。
3 委員長及び委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。
(委員長及び委員の給与)
第十七条委員長及び委員の給与
第十七条 委員長及び委員の給与は、別に法律で定める。
(会議)
第十八条会議
第十八条 委員会は、委員長が招集する。
2 委員会の議事は、出席した委員長又は委員のうち、二人以上の賛成をもってこれを決する。
(事務局)
第十九条事務局
第十九条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。
2 事務局に、事務局長及び所要の職員を置く。
3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。
4 事務局の内部組織は、政令で定める。
(勧告)
第二十条勧告
第二十条 委員会は、金融商品取引法、投資信託及び投資法人に関する法律、預金保険法、資産の流動化に関する法律、金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律、社債、株式等の振替に関する法律又は犯罪による収益の移転防止に関する法律(これらの法律に基づく命令を含む。)の規定に基づき、検査、報告若しくは資料の提出の命令、質問若しくは意見の徴取又は犯則事件の調査(次条において「証券取引検査等」という。)を行った場合において、必要があると認めるときは、その結果に基づき、金融商品取引の公正を確保するため、又は投資者の保護その他の公益を確保するため行うべき行政処分その他の措置について内閣総理大臣及び長官に勧告することができる。
2 委員会は、前項の勧告をした場合には、内閣総理大臣及び長官に対し、当該勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。
(建議)
第二十一条建議
第二十一条 委員会は、証券取引検査等の結果に基づき、必要があると認めるときは、金融商品取引の公正を確保するため、又は投資者の保護その他の公益を確保するために必要と認められる施策について内閣総理大臣、長官又は財務大臣に建議することができる。
(公表)
第二十二条公表
第二十二条 委員会は、毎年、その事務の処理状況を公表しなければならない。
(政令への委任)
第二十三条政令への委任
第二十三条 第八条から前条までに規定するもののほか、委員会の所掌事務その他委員会に関し必要な事項は、政令で定める。
第二節 特別の機関
(事業性融資推進本部)
第二十四条事業性融資推進本部
第二十四条 別に法律の定めるところにより金融庁に置かれる特別の機関は、事業性融資推進本部とする。
2 事業性融資推進本部については、事業性融資の推進等に関する法律(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
第四章 雑則
(官房及び局の数等)
第二十五条官房及び局の数等
第二十五条 金融庁は、内閣府設置法第五十三条第二項に規定する庁とする。
2 内閣府設置法第五十三条第二項の規定に基づき金融庁に置かれる官房及び局の数は、三以内とする。
(審判官)
第二十六条審判官
第二十六条 金融商品取引法第六章の二第二節及び公認会計士法第五章の六の規定による審判手続の一部を行わせるため、金融庁に審判官五人以内を置く。
2 審判官は、金融庁の職員のうちから、審判手続を行うについて必要な法律及び金融に関する知識経験を有し、かつ、公正な判断をすることができると認められる者について、長官が命ずる。