第一章 総則
(目的)第一条 この法律は、世界的規模でエネルギーの脱炭素化に向けた取組等が進められる中で、我が国における低炭素水素等の供給及び利用を早期に促進するため、低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する基本方針の策定、低炭素水素等供給等事業に関する計画の認定等の措置を講ずることにより、エネルギーの安定的かつ低廉な供給を確保しつつ、脱炭素成長型経済構造(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和五年法律第三十二号)第二条第一項に規定する脱炭素成長型経済構造をいう。第三条第二項第二号ロ及びハ並びに附則第二条第二項において同じ。)への円滑な移行を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)第二条 この法律において「低炭素水素等」とは、水素等(水素及びその化合物であって経済産業省令で定めるものをいう。以下同じ。)であって、その製造に伴って排出される二酸化炭素の量が一定の値以下であること、二酸化炭素の排出量の算定に関する国際的な決定に照らしてその利用が我が国における二酸化炭素の排出量の削減に寄与すると認められることその他の経済産業省令で定める要件に該当するものをいう。
2 この法律において「低炭素水素等供給事業」とは、低炭素水素等の供給(国内で製造し、又は輸入して供給することをいう。以下同じ。)及びこれに伴う低炭素水素等の貯蔵又は輸送を行う事業をいう。 3 この法律において「低炭素水素等利用事業」とは、エネルギー又は原材料としての低炭素水素等の利用(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車又は同条第三項に規定する原動機付自転車に充塡することを含む。以下同じ。)及びこれに伴う低炭素水素等の貯蔵又は輸送を行う事業をいう。 4 この法律において「低炭素水素等供給等事業」とは、低炭素水素等供給事業又は低炭素水素等利用事業をいう。第二章 基本方針等
(基本方針)第三条 主務大臣は、低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。一 低炭素水素等の供給及び利用の促進の意義及び目標に関する事項
二 低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する次に掲げる事項
イ 低炭素水素等の利用を特に促進すべき事業分野に関する事項
ロ エネルギーの安定的かつ低廉な供給を確保しつつ脱炭素成長型経済構造への円滑な移行を図るために重点的に実施すべき低炭素水素等供給等事業の内容及び実施方法に関する事項
ハ 低炭素水素等供給等事業により得た知見を活用して行う脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する取組に関する事項
ニ 低炭素水素等の供給及び利用の促進のための方策に関する事項
三 低炭素水素等供給等事業の用に供する施設の適正な整備その他の低炭素水素等の供給及び利用の促進に際し配慮すべき重要事項
3 主務大臣は、経済事情の変動その他の情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更するものとする。 4 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更するときは、あらかじめ、環境大臣その他関係行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては、当該行政機関。第七条第八項において同じ。)に協議するものとする。 5 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。 (国の責務)第四条 国は、基本方針に即して、低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する施策を総合的かつ効果的に推進する責務を有する。
2 国は、事業者による低炭素水素等の供給及び利用の促進のための取組が積極的に行われるよう、規制の見直しその他の必要な事業環境の整備及び事業者に対する支援措置を講ずるよう努めるものとする。 (関係地方公共団体の責務)第五条 低炭素水素等の供給又は利用に関係する地方公共団体は、前条第一項に規定する国の施策に協力して、低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する施策を推進するよう努めるものとする。
(事業者の責務)第六条 水素等の供給又は利用を行う事業者は、基本方針の定めるところに留意して、低炭素水素等の供給又は利用に伴う安全を確保しつつ、低炭素水素等の供給又は利用の促進に資する投資その他の事業活動を積極的に行うよう努めるものとする。
2 事業者は、国又は関係地方公共団体が実施する低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。第三章 低炭素水素等供給等事業計画の認定
(計画の認定)第七条 低炭素水素等供給事業を行い、若しくは行おうとする者(以下「低炭素水素等供給事業者」という。)又は低炭素水素等利用事業を行い、若しくは行おうとする者(以下「低炭素水素等利用事業者」という。)は、単独で又は共同して、低炭素水素等供給等事業に関する計画(以下「低炭素水素等供給等事業計画」という。)を作成し、主務省令で定めるところにより、主務大臣に提出して、その認定を受けることができる。
2 低炭素水素等供給等事業計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。一 低炭素水素等供給等事業の目標
二 低炭素水素等供給等事業の内容及び実施期間
三 低炭素水素等供給等事業の実施体制
四 低炭素水素等供給等事業を行うために必要な資金の額及びその調達方法
五 第十条(第一号に係る部分に限る。)の規定による助成金の交付を受けようとする場合にあっては、その旨
六 低炭素水素等供給等事業の用に供する施設の規模及び場所に関する事項その他の主務省令で定める事項
七 前各号に掲げるもののほか、低炭素水素等供給等事業に関し必要な事項
3 低炭素水素等供給等事業計画には、第一項の認定を受けようとする低炭素水素等供給事業者又は低炭素水素等利用事業者以外の者が行い、又は行おうとする低炭素水素等の貯蔵、輸送又は販売(以下「貯蔵等」という。)に関する次に掲げる事項を含めることができる。一 低炭素水素等の貯蔵等の内容及び実施期間
二 低炭素水素等の貯蔵等の実施体制
三 低炭素水素等の貯蔵等を行うために必要な資金の額及びその調達方法
四 当該者が行う低炭素水素等の貯蔵等の用に供する施設の規模及び場所に関する事項その他の主務省令で定める事項
五 前各号に掲げるもののほか、当該者が行う低炭素水素等の貯蔵等に関し必要な事項
4 第二項第二号若しくは第六号又は前項第一号若しくは第四号に掲げる事項には、低炭素水素等供給事業者若しくは低炭素水素等利用事業者が行う低炭素水素等供給等事業又は同項に規定する者が行う低炭素水素等の貯蔵等に係る次に掲げる事項を記載することができる。一 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第三十七条第一項の許可を要する行為に関する事項
二 港湾法第三十八条の二第一項又は第四項の規定による届出を要する行為に関する事項
5 主務大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、当該申請に係る低炭素水素等供給等事業計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をすることができる。一 当該低炭素水素等供給等事業計画の内容が基本方針及び第三十二条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして適切なものであること。
二 当該低炭素水素等供給等事業計画に係る低炭素水素等供給等事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。
三 当該低炭素水素等供給等事業計画に第三項に規定する事項が含まれている場合にあっては、同項に規定する者が行う低炭素水素等の貯蔵等が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。
四 当該低炭素水素等供給等事業計画の内容が経済的かつ合理的であり、かつ、我が国全体における低炭素水素等の供給又は利用の促進に資するものその他の我が国における低炭素水素等の供給又は利用に関係する産業の国際競争力の強化に相当程度寄与するものであると認められること。
五 当該低炭素水素等供給等事業計画に第二項第五号に掲げる事項が記載されている場合にあっては、次のいずれにも適合するものであること。
イ 当該低炭素水素等供給等事業計画が低炭素水素等供給事業者及び低炭素水素等利用事業者が共同して作成したものであること。
ロ 当該低炭素水素等供給等事業計画に従って行う低炭素水素等供給事業者による低炭素水素等の供給が、低炭素水素等の供給及び利用の促進の目標を勘案して経済産業大臣が定める年度までに開始され、かつ、経済産業省令で定める期間以上継続的に行われると見込まれるものであること。
ハ 当該低炭素水素等供給等事業計画に従って供給が行われる低炭素水素等の利用を行うための新たな設備投資その他の事業活動が低炭素水素等利用事業者により行われると見込まれるものであること。
六 当該低炭素水素等供給等事業計画に従って供給等施設(第二項第六号に規定する施設及び第三項第四号に規定する施設をいう。以下同じ。)を整備しようとする場合にあっては、当該供給等施設を整備する港湾(港湾法の規定による港湾をいう。第四十二条第二項において同じ。)、道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路をいう。以下同じ。)その他の場所が港湾法第三条の三第一項に規定する港湾計画、道路の事情その他の土地の利用の状況に照らして適切なものであること。
6 主務大臣は、第一項の認定の申請に係る低炭素水素等供給等事業計画に第二項第五号に掲げる事項が記載されている場合において、第一項の認定をするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。 7 主務大臣は、第一項の認定の申請に係る低炭素水素等供給等事業計画に第四項各号に掲げる事項が記載されている場合において、第一項の認定をするときは、あらかじめ、当該事項について港湾法第二条第一項に規定する港湾管理者に協議し、その同意を得なければならない。 8 主務大臣は、第一項の認定に当たり必要があると認めるときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議することができる。 9 主務大臣は、第一項の認定をしたときは、主務省令で定めるところにより、当該認定に係る低炭素水素等供給等事業計画の概要を公表するものとする。 10 主務大臣は、第二項第五号に掲げる事項が記載された低炭素水素等供給等事業計画について第一項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨及び当該低炭素水素等供給等事業計画に記載された事項を独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(次条第六項及び第十条において「機構」という。)に通知するものとする。 (計画の変更等)第八条 前条第一項の認定を受けた者は、当該認定に係る低炭素水素等供給等事業計画を変更するときは、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認定を受けなければならない。 ただし、主務省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
2 前条第一項の認定を受けた者は、前項ただし書の主務省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。 3 主務大臣は、前条第一項の認定を受けた者が当該認定に係る低炭素水素等供給等事業計画(第一項の規定による変更の認定又は前項の規定による変更の届出があったときは、その変更後のもの。以下「認定供給等事業計画」という。)に従って低炭素水素等供給等事業を実施していないと認めるとき、又は認定供給等事業計画に同条第三項に規定する事項が含まれている場合において同項に規定する者が当該認定供給等事業計画に従って低炭素水素等の貯蔵等を実施していないと認めるときは、当該認定を取り消すことができる。 4 主務大臣は、認定供給等事業計画が前条第五項各号のいずれかに適合しないものとなったと認めるときは、同条第一項の認定を受けた者に対して、当該認定供給等事業計画の変更を指示し、又は当該認定を取り消すことができる。 5 主務大臣は、前二項の規定により前条第一項の認定を取り消したときは、その旨を公表するものとする。 6 主務大臣は、前条第十項の規定による通知に係る低炭素水素等供給等事業計画の認定を第三項又は第四項の規定により取り消したときは、遅滞なく、その旨を機構に通知するものとする。 7 前条第五項から第十項までの規定は、第一項の規定による変更の認定について準用する。 (地位の承継)第九条 次に掲げる者は、主務省令で定めるところにより、主務大臣の承認を受けて、認定供給等事業計画に係る低炭素水素等供給事業者又は低炭素水素等利用事業者の地位を承継することができる。
一 当該低炭素水素等供給事業者又は低炭素水素等利用事業者の一般承継人
二 当該低炭素水素等供給事業者又は低炭素水素等利用事業者から、認定供給等事業計画に従って設置及び維持管理が行われ、又は行われた供給等施設の所有権その他認定供給等事業計画に従って行う事業の実施に必要な権原を取得した者
第四章 認定供給等事業計画に係る支援措置
第一節 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の業務
第十条 機構は、低炭素水素等の供給及び利用を促進するため、次の業務を行う。
一 次に掲げる資金に充てるための助成金を交付すること。
イ 第七条第一項の認定を受けた低炭素水素等供給事業者が認定供給等事業計画に従って継続的に低炭素水素等の供給を行うために必要な資金
ロ 認定供給等事業者(認定供給等事業計画に係る低炭素水素等供給事業者、低炭素水素等利用事業者又は第七条第三項に規定する者をいう。以下同じ。)が共同して使用する供給等施設であって、認定供給等事業計画に従って供給が行われる低炭素水素等の貯蔵又は輸送の用に供する施設その他の認定供給等事業計画の実施に必要な施設の整備に必要な資金
二 前号の業務に附帯する業務を行うこと。
第二節 港湾法の特例
第十一条 第七条第四項第一号に掲げる事項が記載された低炭素水素等供給等事業計画が同条第一項又は第八条第一項の認定を受けたときは、当該認定の日に当該事項に係る認定供給等事業者に対する港湾法第三十七条第一項の許可があったものとみなす。
2 港湾法第三十八条の二第一項及び第四項の規定は、認定供給等事業者が第七条第四項第二号に掲げる事項が記載された認定供給等事業計画に従って同号に規定する行為をする場合については、適用しない。第三節 高圧ガス保安法の特例
(製造の承認)第十二条 認定供給等事業計画に従って高圧低炭素水素等ガス(低炭素水素等である高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第二条に規定する高圧ガスをいう。以下同じ。)の製造(容器に充塡することを含む。以下この節及び第七章において同じ。)をしようとする認定供給等事業者であって同法第五条第一項第一号に該当するものは、事業所ごとに、経済産業大臣の承認を受けることができる。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、前項の承認を受けることができない。一 第二十三条第二項の規定により前項又は第十七条第一項の承認を取り消され、取消しの日から二年を経過しない者
二 この法律(この節、第三十七条第二項及び第三十八条第一項の規定に限る。以下この号において同じ。)又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
三 心身の故障により高圧低炭素水素等ガスの製造を適正に行うことができない者として経済産業省令で定める者
四 法人であって、その業務を行う役員のうちに前三号のいずれかに該当する者があるもの
五 高圧ガス保安法第七条第一号、第二号又は第六号(同条第一号及び第二号に係る部分に限る。)に該当する者
3 経済産業大臣は、第一項の承認に係る製造(製造に係る貯蔵及び導管による輸送を含む。第二十五条第一項及び第四十九条第二号を除き、以下この節及び第七章において同じ。)の申請が高圧ガス保安法第八条各号のいずれにも適合していると認めるときは、当該承認をするものとする。 (製造の承認の地位の承継)第十三条 前条第一項の承認を受けた者(以下「承認製造者」という。)について、その特定製造期間(当該承認の日から当該承認に係る高圧低炭素水素等ガスの製造を開始した日以後三年を経過した日の前日までの期間をいう。以下同じ。)において、相続、合併又は分割(当該承認製造者のその承認に係る事業所を承継させるものに限る。)があった場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により承継すべき相続人を選定したときは、その者)、合併後存続し、若しくは合併により設立された法人又は分割によりその事業所を承継した法人であって、認定供給等事業者であるものは、承認製造者の地位を承継する。
2 前項の規定により承認製造者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。 (製造の変更の承認)第十四条 承認製造者は、その特定製造期間において、認定供給等事業計画に従って、当該承認に係る高圧低炭素水素等ガスの製造のための施設の位置、構造若しくは設備の変更の工事(高圧ガス保安法第十四条第一項ただし書の軽微な変更の工事を除く。)をし、又は製造をする高圧低炭素水素等ガスの種類若しくは製造の方法を変更しようとするときは、経済産業大臣の承認を受けなければならない。
2 承認製造者は、その特定製造期間において、高圧ガス保安法第十四条第一項ただし書の軽微な変更の工事をしたときは、その完成後遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。 3 第十二条第三項の規定は、第一項の承認について準用する。 (製造の開始等の届出)第十五条 承認製造者は、当該承認に係る高圧低炭素水素等ガスの製造を開始し、又はその特定製造期間において当該製造を廃止したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
(承認製造者等に関する高圧ガス保安法の準用)第十六条 高圧ガス保安法第十一条、第二十六条、第二十七条第一項から第三項まで及び第五項、第二十七条の二第一項(第二号を除く。)、第二項及び第三項から第七項まで(同条第一項第一号に係る部分に限る。)、第二十七条の三、第三十二条第九項及び第十項、第三十三条第一項(同号に係る部分に限る。)、第二項及び第三項、第三十四条(同号に係る部分に限る。)、第三十五条並びに第六十条第一項の規定は特定製造期間における承認製造者について、同法第二十条第一項、第二項並びに第四項及び第五項(同条第一項に係る部分に限る。)、第三十五条の二並びに第三十九条(第二号及び第三号を除く。)の規定は特定製造期間における承認製造者及び製造のための施設について、同法第二十条第三項並びに第四項及び第五項(同条第三項に係る部分に限る。)の規定は特定製造期間における変更承認製造者(第十四条第一項の承認を受けた者をいう。以下この項において同じ。)及び製造のための施設について、同法第二十条の二及び第二十条の三の規定は承認製造者又は変更承認製造者について、同法第三十七条の規定は特定製造期間における承認製造者及び第十二条第一項の承認に係る事業所について、それぞれ準用する。 この場合において、これらの規定(同法第三十九条を除く。)中「都道府県知事」とあるのは「経済産業大臣」と読み替えるほか、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
2 前項に規定するもののほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。 (貯蔵所の承認)第十七条 認定供給等事業計画に従って高圧ガス保安法第十六条第一項(同条第三項の規定によりみなして適用する場合を含む。)に規定する容積以上の高圧低炭素水素等ガスを貯蔵するため貯蔵所を設置しようとする認定供給等事業者は、当該貯蔵所につき、経済産業大臣の承認を受けることができる。
2 経済産業大臣は、前項の承認の申請に係る貯蔵所の位置、構造及び設備が高圧ガス保安法第十六条第二項の技術上の基準に適合すると認めるときは、当該承認をするものとする。 (貯蔵所の承認の地位の承継)第十八条 前条第一項の承認を受けて設置する貯蔵所(以下「承認貯蔵所」という。)について、当該承認貯蔵所に係る特定貯蔵期間(当該承認の日から当該承認貯蔵所において貯蔵を開始した日以後三年を経過した日の前日までの期間をいう。以下同じ。)において、譲渡又は引渡しがあったときは、譲渡又は引渡しを受けた者(認定供給等事業者であるものに限る。)は、当該承認貯蔵所に係る同項の承認を受けた者(以下「承認貯蔵者」という。)の地位を承継する。
2 前項の規定により承認貯蔵所に係る承認貯蔵者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。 (貯蔵所の変更の承認)第十九条 承認貯蔵所の所有者又は占有者は、当該承認貯蔵所に係る特定貯蔵期間において、認定供給等事業計画に従って、承認貯蔵所の位置、構造又は設備の変更の工事(高圧ガス保安法第十九条第一項ただし書の軽微な変更の工事を除く。)をしようとするときは、経済産業大臣の承認を受けなければならない。
2 承認貯蔵所の所有者又は占有者は、当該承認貯蔵所に係る特定貯蔵期間において、高圧ガス保安法第十九条第一項ただし書の軽微な変更の工事をしたときは、その完成後遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。 3 第十七条第二項の規定は、第一項の承認について準用する。 (貯蔵の開始等の届出)第二十条 承認貯蔵所の所有者又は占有者は、当該承認貯蔵所における高圧低炭素水素等ガスの貯蔵を開始し、又は当該承認貯蔵所に係る特定貯蔵期間において承認貯蔵所の用途を廃止したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
(承認貯蔵所の所有者又は占有者等に関する高圧ガス保安法の準用)第二十一条 高圧ガス保安法第十五条第二項、第十八条第一項及び第三項、第二十七条第四項及び第五項、第三十七条、第三十九条(第二号及び第三号を除く。)並びに第六十条第一項の規定は特定貯蔵期間における承認貯蔵所及びその所有者又は占有者について、同法第二十条第一項並びに第四項及び第五項(同条第一項に係る部分に限る。)の規定は承認貯蔵者及び特定貯蔵期間における承認貯蔵所について、同条第三項並びに第四項及び第五項(同条第三項に係る部分に限る。)の規定は第十九条第一項の承認を受けた者及び特定貯蔵期間における承認貯蔵所について、それぞれ準用する。 この場合において、これらの規定(同法第三十九条を除く。)中「都道府県知事」とあるのは「経済産業大臣」と、同法第二十条第一項ただし書中「経済産業大臣が指定する者(以下」とあるのは「高圧ガス保安法第二十条第一項ただし書に規定する指定完成検査機関(以下単に」と、同法第六十条第一項中「高圧ガス若しくは容器の製造、販売若しくは出納又は容器再検査若しくは附属品再検査」とあるのは「高圧ガスの出納」と読み替えるほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
(輸入検査の認定等)第二十二条 認定供給等事業計画に従って高圧低炭素水素等ガスの輸入をした認定供給等事業者は、輸入をした高圧低炭素水素等ガス及びその容器について、その特定輸入期間(第七条第一項の認定の日から認定供給等事業計画に従って高圧低炭素水素等ガスの輸入を開始した日以後三年を経過した日の前日までの期間をいう。第三十七条第二項及び第三十八条第一項において同じ。)において、経済産業大臣が行う輸入検査を受け、これらが輸入検査技術基準(高圧ガス保安法第二十二条第一項に規定する輸入検査技術基準をいう。第三項において同じ。)に適合していることにつき、経済産業大臣の認定を受けることができる。
2 前項の経済産業大臣が行う輸入検査の方法は、経済産業省令で定める。 3 経済産業大臣は、第一項の輸入検査に係る高圧低炭素水素等ガス又はその容器が輸入検査技術基準に適合していないと認めるときは、当該高圧低炭素水素等ガスの輸入をした認定供給等事業者に対し、当該高圧低炭素水素等ガス及びその容器の廃棄その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 (承認の取消し等)第二十三条 経済産業大臣は、承認製造者が、正当な事由がなく、当該承認の日から一年以内に当該承認に係る高圧低炭素水素等ガスの製造を開始せず、又は一年以上引き続きその製造を休止したときは、当該承認を取り消すことができる。
2 経済産業大臣は、特定製造期間における承認製造者又は特定貯蔵期間における承認貯蔵所の所有者若しくは占有者が次の各号(承認貯蔵所の所有者又は占有者にあっては、第六号を除く。)のいずれかに該当するときは、第十二条第一項若しくは第十七条第一項の承認を取り消し、又は期間を定めてその高圧低炭素水素等ガスの製造若しくは貯蔵の停止を命ずることができる。一 第十四条第一項又は第十九条第一項の規定により承認を受けなければならない事項を承認を受けないでしたとき。
二 第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第十一条第三項、第二十六条第二項若しくは第四項、第二十七条第二項、第三十四条若しくは第三十九条第一号又は第二十一条において準用する同法第十五条第二項、第十八条第三項若しくは第三十九条第一号の規定による命令に違反したとき。
三 第十六条第一項又は第二十一条において準用する高圧ガス保安法(以下「準用高圧ガス保安法」という。)第二十条第一項又は第三項の完成検査を受けないで、高圧低炭素水素等ガスの製造のための施設又は承認貯蔵所を使用したとき。
四 第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第二十七条の二第一項、第三項、第四項若しくは第七項(第十六条第一項において準用する同法第二十七条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第二十七条の三第一項若しくは第二項の規定に違反したとき。
五 第三十六条第一項の規定により付された条件に違反したとき。
六 第十二条第二項第二号から第五号までのいずれかに該当するに至ったとき。
(通知等)第二十四条 経済産業大臣は、次に掲げる場合においては、遅滞なく、経済産業省令で定めるところにより、関係都道府県知事にその旨その他経済産業省令で定める事項を通知するものとする。
一 第十二条第一項、第十四条第一項、第十七条第一項又は第十九条第一項の承認をしたとき。
二 第十三条第二項、第十四条第二項、第十五条、準用高圧ガス保安法第二十条第一項ただし書若しくは第三項ただし書、第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第二十六条第一項、第二十七条の二第五項(第十六条第一項において準用する同法第三十三条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第六項(第十六条第一項において準用する同法第二十七条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第三十五条第一項ただし書、第十八条第二項、第十九条第二項又は第二十条の規定による届出を受理したとき。
三 第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第十一条第三項、第二十六条第二項若しくは第四項、第二十七条第二項若しくは第五項、第三十四条若しくは第三十九条第一号、第二十一条において準用する同法第十五条第二項、第十八条第三項、第二十七条第五項若しくは第三十九条第一号、第二十二条第三項又は前条第二項の規定による命令又は勧告をしたとき。
四 準用高圧ガス保安法第二十条第一項若しくは第三項の完成検査をして高圧ガス保安法第八条第一号若しくは第十六条第二項の技術上の基準に適合していると認めたとき、第十六条第一項において準用する同法第三十五条第一項の保安検査をしたとき、又は第二十二条第一項の輸入検査をして同項の認定をしたとき。
五 前条の規定により第十二条第一項又は第十七条第一項の承認の取消しをしたとき。
2 都道府県知事は、前項(第一号(第十二条第一項及び第十七条第一項に係る部分に限る。)、第二号(第十五条及び第二十条に係る部分に限る。)及び第五号に係る部分に限る。)の規定による通知を受けたときは、経済産業省令で定めるところにより、その旨を都道府県公安委員会、消防長(消防本部を置かない市町村にあっては、市町村長)又は管区海上保安本部長に通報しなければならない。 (高圧ガス保安法の特例)第二十五条 承認製造者は、高圧ガス保安法第五条第一項の規定にかかわらず、その特定製造期間において、同項の許可を受けないで、第十二条第一項の承認に係る高圧低炭素水素等ガスの製造を行うことができる。
2 特定製造期間における承認製造者についての高圧ガス保安法第十五条第一項、第十六条第一項、第十七条の二第一項、第二十条の四(第二号を除く。)、第二十条の五第一項及び第二十三条第三項の規定の適用については、当該承認製造者は、第一種製造者(同法第九条に規定する第一種製造者をいう。次項において同じ。)とみなす。 この場合において、同法第十五条第一項ただし書、第十六条第一項ただし書、第十七条の二第一項ただし書及び第二十三条第三項ただし書中「第五条第一項の許可」とあるのは、「水素等供給等促進法第十二条第一項の承認」とする。 3 第十二条第一項の承認に係る高圧低炭素水素等ガスの製造を開始した日から二年を経過した日以後特定製造期間を経過した日の前日までの間における承認製造者についての高圧ガス保安法第三十九条の二及び第三十九条の四第二項の規定の適用については、当該承認製造者は、第一種製造者とみなす。 この場合において、同法第三十九条の二中「第五条第一項の許可」とあるのは「水素等供給等促進法第十二条第一項の承認」と、同項中「第十条第一項」とあるのは「水素等供給等促進法第十三条第一項」と、「第二十一条第一項」とあるのは「水素等供給等促進法第十五条」とする。 4 承認製造者は、その特定製造期間を経過した日において、高圧ガス保安法第五条第一項の許可を受けたものとみなして、同法の規定を適用する。 この場合において、当該承認製造者が第十四条第一項の承認を受けていたときは、同日において同法第十四条第一項の許可を受けたものと、第十四条第二項又は第十五条の規定による届出をしていたときは、同日において同法第十四条第二項又は第二十一条第一項の規定による届出をしたものと、第十六条第一項において準用する同法第二十条第一項又は第三項の完成検査を受けて同法第八条第一号の技術上の基準に適合していると認められていたときは、同日において同法第二十条第一項又は第三項の完成検査を受けて当該基準に適合していると認められたものと、第十六条第一項において準用する同法第二十条第一項ただし書若しくは第三項ただし書、第二十六条第一項、第二十七条の二第五項(第十六条第一項において準用する同法第三十三条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第六項(第十六条第一項において準用する同法第二十七条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第三十五条第一項ただし書の規定による届出をしていたときは、同日において同法第二十条第一項ただし書若しくは第三項ただし書、第二十六条第一項、第二十七条の二第五項(同法第三十三条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第六項(同法第二十七条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第三十五条第一項ただし書の規定による届出をしたものとみなす。 5 前項の場合における高圧ガス保安法第三十四条、第三十八条第一項第一号及び第七十六条第二項の規定の適用については、同法第三十四条中「この法律若しくはこの法律」とあるのは「この法律若しくは水素等供給等促進法(第四章第三節、第三十七条第二項及び第三十八条第一項の規定に限る。)若しくはこれらの法律」と、同号及び同項中「第三十四条」とあるのは「第三十四条(水素等供給等促進法第二十五条第五項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とする。 6 承認製造者は、その特定製造期間において、第三項の規定により読み替えて適用する高圧ガス保安法第三十九条の二の規定により認定を受けたときは、当該承認製造者は、当該認定を受けた日において、その特定製造期間を経過したものとみなして、第四項の規定を適用する。 7 承認貯蔵所の所有者又は占有者は、高圧ガス保安法第十六条第一項の規定にかかわらず、当該承認貯蔵所に係る特定貯蔵期間において、同項の許可を受けないで、承認貯蔵所において第十七条第一項の承認に係る高圧低炭素水素等ガスの貯蔵を行うことができる。 8 承認貯蔵所は、当該承認貯蔵所に係る特定貯蔵期間を経過した日以後においては、高圧ガス保安法第十六条第一項に規定する第一種貯蔵所と、承認貯蔵者は、同日において、同項の許可を受けたものとみなして、同法の規定を適用する。 この場合において、当該承認貯蔵所の所有者又は占有者が第十九条第一項の承認を受けていたときは、同日において同法第十九条第一項の許可を受けたものと、第十九条第二項又は第二十条(承認貯蔵所の用途を廃止したときに係る部分に限る。)の規定による届出をしていたときは、同日において同法第十九条第二項又は第二十一条第四項の規定による届出をしたものと、第二十一条において準用する同法第二十条第三項の完成検査を受けて同法第十六条第二項の技術上の基準に適合していると認められていたときは、同日において同法第二十条第三項の完成検査を受けて当該基準に適合していると認められたものと、第二十一条において準用する同法第二十条第三項ただし書の規定による届出をしていたときは、同日において同法第二十条第三項ただし書の規定による届出をしたものとみなし、当該承認貯蔵者が第二十一条において準用する同法第二十条第一項の完成検査を受けて同法第十六条第二項の技術上の基準に適合していると認められていたときは、同日において同法第二十条第一項の完成検査を受けて当該基準に適合していると認められたものと、第二十一条において準用する同法第二十条第一項ただし書の規定による届出をしていたときは、同日において同法第二十条第一項ただし書の規定による届出をしたものとみなす。 9 第二十二条第一項の認定を受けた者は、高圧ガス保安法第二十二条第一項の規定にかかわらず、輸入をした高圧低炭素水素等ガス及びその容器を移動することができる。 (完成検査等に関する高圧ガス保安法の適用)第二十六条 指定完成検査機関(高圧ガス保安法第二十条第一項ただし書に規定する指定完成検査機関をいう。次項において同じ。)は、同条第一項ただし書又は第三項ただし書の完成検査のほか、準用高圧ガス保安法第二十条第一項ただし書又は第三項ただし書の完成検査を行うことができる。
2 前項の規定により指定完成検査機関が準用高圧ガス保安法第二十条第一項ただし書又は第三項ただし書の完成検査を行う場合には、次の表の上欄に掲げる高圧ガス保安法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。 3 指定保安検査機関(高圧ガス保安法第三十五条第一項ただし書に規定する指定保安検査機関をいう。次項において同じ。)は、同条第一項ただし書の保安検査のほか、第十六条第一項において準用する同法第三十五条第一項ただし書の保安検査を行うことができる。 4 前項の規定により指定保安検査機関が第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第三十五条第一項ただし書の保安検査を行う場合には、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。 (高圧ガス保安協会の業務等)第二十七条 高圧ガス保安協会は、高圧ガス保安法第五十九条の二十八第一項及び第三項に規定する業務のほか、準用高圧ガス保安法第二十条第一項ただし書又は第三項ただし書の完成検査及び第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第三十五条第一項ただし書の保安検査並びにこれらに附帯する業務を行うことができる。
2 前項の規定により高圧ガス保安協会が同項に規定する業務を行う場合には、次の表の上欄に掲げる高圧ガス保安法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。 (聴聞の特例)第二十八条 高圧ガス保安法第七十六条第一項の規定は第二十三条第二項の規定による命令について、同法第七十六条第二項及び第三項の規定は第十六条第一項において準用する同法第三十四条又は第二十三条の規定による処分について、それぞれ準用する。
(審査請求の手続における意見の聴取)第二十九条 高圧ガス保安法第七十八条の規定は、この節、第三十七条第二項若しくは第三十八条第一項の規定又はこれらの規定に基づく命令の規定による処分又はその不作為について準用する。
(審査請求の制限)第三十条 高圧ガス保安法第七十八条の二の規定は、準用高圧ガス保安法第三十九条第一号の規定による処分について準用する。
第四節 道路の占用の特例
第三十一条 国土交通大臣は、第七条第一項又は第八条第一項の認定の申請があった場合において、当該申請に係る低炭素水素等供給事業者若しくは低炭素水素等利用事業者が行う低炭素水素等供給等事業又は第七条第三項に規定する者が行う低炭素水素等の貯蔵等の用に供する導管(ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第二条第二項に規定するガス小売事業の用に供するものに限る。次項及び第四十二条第二項において単に「導管」という。)がこれらの者により道路に設置されるものであるときは、あらかじめ、当該道路の道路管理者(道路法第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。次項及び第三項において同じ。)の意見を聴かなければならない。
2 道路管理者は、認定供給等事業計画に従って認定供給等事業者が設置する導管について、道路法第三十二条第一項又は第三項の規定による道路の占用の許可の申請があった場合において、当該申請に係る道路の占用が同法第三十三条第一項の政令で定める基準に適合するときは、その許可を与えなければならない。 3 認定供給等事業者は、前項の許可を受けようとするときは、その工事をしようとする日の一月前までに、当該工事の計画書を道路管理者に提出しておかなければならない。 ただし、災害による復旧工事その他緊急を要する工事又は政令で定める軽微な工事については、この限りでない。第五章 水素等供給事業者の判断の基準となるべき事項等
(水素等供給事業者の判断の基準となるべき事項)第三十二条 経済産業大臣は、低炭素水素等の供給を促進するため、水素等の供給を行う事業を行う者(以下「水素等供給事業者」という。)が低炭素水素等の供給を促進するために取り組むべき措置に関し、当該水素等供給事業者の判断の基準となるべき事項を定めるものとする。
2 前項に規定する判断の基準となるべき事項は、基本方針に即し、かつ、水素等供給事業者による低炭素水素等の供給の状況、低炭素水素等の供給、貯蔵、輸送及び利用に関する技術水準、低炭素水素等の利用に係る経済性その他の事情を勘案して定めるものとし、これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとする。 3 経済産業大臣は、第一項に規定する判断の基準となるべき事項を定め、又はその改定をしたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 (指導及び助言)第三十三条 経済産業大臣は、低炭素水素等の供給を促進するため必要があると認めるときは、水素等供給事業者に対し、前条第一項に規定する判断の基準となるべき事項を勘案して、低炭素水素等の供給の促進について必要な指導及び助言をすることができる。
(勧告及び命令)第三十四条 経済産業大臣は、水素等供給事業者であって、その事業において供給を行う水素等の量が政令で定める要件に該当するもの(以下「特定水素等供給事業者」という。)の低炭素水素等の供給の状況が第三十二条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該特定水素等供給事業者に対し、その判断の根拠を示して、低炭素水素等の供給の促進に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。
2 経済産業大臣は、前項に規定する勧告を受けた特定水素等供給事業者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。 3 経済産業大臣は、第一項に規定する勧告を受けた特定水素等供給事業者が、前項の規定によりその勧告に従わなかった旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、低炭素水素等の供給の促進を著しく害すると認めるときは、総合資源エネルギー調査会の意見を聴いて、当該特定水素等供給事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。第六章 雑則
(資金の確保)第三十五条 国は、第七条第一項の認定を受けた者が認定供給等事業計画に従って低炭素水素等供給等事業を行い、又は同条第三項に規定する者が認定供給等事業計画に従って低炭素水素等の貯蔵等を行うために必要な資金の確保に努めるものとする。
(承認の条件)第三十六条 第十二条第一項、第十四条第一項、第十七条第一項及び第十九条第一項の承認には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、承認を受ける者に不当の義務を課することとならないものでなければならない。 (報告の徴収)第三十七条 主務大臣は、認定供給等事業者に対し、認定供給等事業計画の実施状況に関し報告を求めることができる。
2 経済産業大臣又は都道府県知事は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、承認製造者に対しその特定製造期間において、承認貯蔵者若しくは承認貯蔵所の所有者若しくは占有者に対しその承認貯蔵所に係る特定貯蔵期間において、又は第二十二条第一項の認定を受けた者に対しその特定輸入期間において、その業務に関し報告を求めることができる。 3 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、特定水素等供給事業者に対し、低炭素水素等の供給の状況に関し報告を求めることができる。 (立入検査)第三十八条 経済産業大臣又は都道府県知事は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その職員に、承認製造者についてその特定製造期間において、承認貯蔵者若しくは承認貯蔵所の所有者若しくは占有者についてその承認貯蔵所に係る特定貯蔵期間において、又は第二十二条第一項の認定を受けた者についてその特定輸入期間において、これらの者の事務所、営業所、工場、事業場又は高圧低炭素水素等ガス若しくは容器の保管場所に立ち入り、これらの者の帳簿、書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、又は試験のため必要な最小限度の容積に限り高圧低炭素水素等ガスを収去させることができる。
2 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、特定水素等供給事業者の事務所、営業所、工場、事業場又は倉庫に立ち入り、その者の帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。 3 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 4 第一項及び第二項の規定による立入検査、質問及び収去の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 (手数料)第三十九条 次に掲げる者(経済産業大臣に対して手続を行おうとする者に限る。)は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
一 第十二条第一項、第十四条第一項、第十七条第一項又は第十九条第一項の承認を受けようとする者
二 準用高圧ガス保安法第二十条第一項又は第三項の完成検査を受けようとする者
三 第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第三十五条第一項の保安検査を受けようとする者
四 第二十二条第一項の認定を受けようとする者
(大都市の特例)第四十条 準用高圧ガス保安法第三十九条(第二号及び第三号を除く。)又は第二十四条、第三十七条第二項若しくは第三十八条第一項の規定により都道府県知事が処理することとされている事務(公共の安全の維持又は災害の発生の防止の観点から都道府県知事が当該都道府県の区域にわたり一体的に処理することが指定都市(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市をいう。以下この条において同じ。)の長が処理することに比して適当であるものとして政令で定めるものを除く。)は、指定都市においては、指定都市の長が処理するものとする。 この場合においては、この法律中前段に規定する事務に係る都道府県知事に関する規定は、指定都市の長に関する規定として指定都市の長に適用があるものとする。
(協議)第四十一条 経済産業大臣は、第二条第一項の要件を定める経済産業省令を定め、又はこれを変更するときは、あらかじめ、環境大臣に協議するものとする。
(主務大臣等)第四十二条 第三条第一項及び第三項から第五項までにおける主務大臣は、基本方針のうち、同条第二項第三号に掲げる事項に係る部分については経済産業大臣及び国土交通大臣とし、その他の部分については経済産業大臣とする。
2 第七条第一項並びに第五項、第八項及び第九項(これらの規定を第八条第七項において準用する場合を含む。)、第八条第一項から第五項まで、第九条並びに第三十七条第一項における主務大臣は、経済産業大臣とする。 ただし、供給等施設(導管を除く。)を港湾に整備する場合及び導管を設置する場合における低炭素水素等供給等事業計画に関する事項については、経済産業大臣及び国土交通大臣とする。 3 第七条第六項及び第十項(これらの規定を第八条第七項において準用する場合を含む。)並びに第八条第六項における主務大臣は、経済産業大臣とする。 4 第七条第七項(第八条第七項において準用する場合を含む。)における主務大臣は、国土交通大臣とする。 5 第三章における主務省令は、政令で定めるところにより、経済産業大臣又は国土交通大臣の発する命令とする。 (環境大臣との関係)第四十三条 経済産業大臣は、低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する施策の実施に当たり、当該施策の実施が環境の保全に関する施策に関連する場合には、環境大臣と緊密に連絡し、及び協力して行うものとする。
(権限の委任)第四十四条 この法律に規定する経済産業大臣、国土交通大臣及び主務大臣の権限は、経済産業大臣の権限にあっては経済産業省令で定めるところにより、国土交通大臣の権限にあっては国土交通省令で定めるところにより、主務大臣の権限にあっては主務省令で定めるところにより、地方支分部局の長にそれぞれ委任することができる。
(省令への委任)第四十五条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、経済産業省令、国土交通省令又は主務省令で定める。
(経過措置)第四十六条 この法律に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第七章 罰則
第四十七条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第三十九条第一号の規定による製造のための施設の使用の停止の命令に違反したとき。
二 第二十三条第二項の規定による製造の停止の命令に違反したとき。
第四十八条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 承認製造者が、その特定製造期間において、第十四条第一項の承認を受けないで高圧低炭素水素等ガスの製造のための施設の位置、構造若しくは設備の変更の工事をし、又は製造をする高圧低炭素水素等ガスの種類若しくは製造の方法を変更したとき。
二 準用高圧ガス保安法第二十条第一項若しくは第三項又は第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第二十七条の二第一項(第二号を除く。)若しくは第三項若しくは第四項(第十六条第一項において準用する同法第二十七条の二第一項第一号に係る部分に限る。)、第二十七条の三第一項若しくは第二項若しくは第三十三条第一項(第十六条第一項において準用する同法第二十七条の二第一項第一号に係る部分に限る。)の規定に違反したとき。
三 承認貯蔵所の所有者又は占有者が、当該承認貯蔵所に係る特定貯蔵期間において、第十九条第一項の承認を受けないで承認貯蔵所の位置、構造又は設備の変更の工事をしたとき。
四 第二十一条において準用する高圧ガス保安法第三十九条第一号の規定による承認貯蔵所の使用の停止の命令に違反したとき。
五 第二十二条第三項の規定による命令に違反したとき。
六 第二十三条第二項の規定による貯蔵の停止の命令に違反したとき。
七 第三十六条第一項の規定により付された条件に違反したとき。
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第十一条第一項若しくは第二項、準用高圧ガス保安法第三十七条又は第二十一条において準用する高圧ガス保安法第十八条第一項の規定に違反したとき。
二 承認製造者が、その特定製造期間において、第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第二十六条第一項に規定する危害予防規程を定めないで高圧低炭素水素等ガスの製造をしたとき。
三 第三十四条第三項の規定による命令に違反したとき。
第五十条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 特定製造期間における承認製造者又は特定貯蔵期間における承認貯蔵所の所有者若しくは占有者が、第十三条第二項、第十四条第二項、第十五条、第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第二十六条第一項若しくは第二十七条の二第五項(第十六条第一項において準用する同法第二十七条の二第一項第一号に係る部分に限り、第十六条第一項において準用する同法第三十三条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第六項(第十六条第一項において準用する同法第二十七条の二第一項第一号に係る部分に限り、第十六条第一項において準用する同法第二十七条の三第三項において準用する場合を含む。)、第十八条第二項、第十九条第二項又は第二十条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第三十五条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
三 第十六条第一項において準用する高圧ガス保安法第三十五条の二の規定による検査記録を作成せず、虚偽の検査記録を作成し、又は検査記録を保存しなかったとき。
四 準用高圧ガス保安法第六十条第一項の規定による帳簿の記載をせず、虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
五 第三十七条第一項又は第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
六 第三十八条第一項の規定による検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対し、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
第五十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第三十七条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
二 第三十八条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第五十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第四十七条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、附則第十四条の規定は、公布の日から施行する。
(検討)
第二条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 政府は、前項の規定による検討とともに、低炭素水素等の供給及び利用を促進し、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行を図るため、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律第二条第六項に規定する化石燃料賦課金及び特定事業者負担金に係る制度との整合性の確保、低炭素水素等の利用に係る技術水準及び経済性等に留意しつつ、電気事業及びガス事業並びに石油精製業、製造業、運輸業等の産業における低炭素水素等の利用を促進するための制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(調整規定)
第三条 高圧ガス保安法等の一部を改正する法律(令和四年法律第七十四号)附則第一条第四号に掲げる規定の施行の日(附則第六条において「高圧ガス保安法等改正法施行日」という。)の前日までの間における第十六条第一項、第二十四条第一項第二号、第二十五条第三項、第四項、第六項及び第八項、第二十六条並びに第二十七条の規定の適用については、第十六条第一項、同号、第二十五条第四項、第二十六条第三項及び第四項並びに第二十七条中「第三十五条第一項ただし書」とあるのは「第三十五条第一項第一号」と、同号、第二十五条第四項、第二十六条第一項及び第二項並びに第二十七条中「第三項ただし書」とあるのは「第三項第一号」と、第二十五条第三項及び第六項中「第三十九条の二」とあるのは「第三十九条の十三」と、同条第三項中「第三十九条の四第二項」とあるのは「第三十九条の十五第二項」と、同条第八項中「第二十条第三項ただし書」とあるのは「第二十条第三項第一号」と、第二十六条第三項中「同条第一項ただし書」とあるのは「同条第一項第一号」とする。
第四条 刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日(以下この条において「刑法施行日」という。)の前日までの間における第四十七条及び第四十八条の規定の適用については、これらの規定中「拘禁刑」とあるのは、「懲役」とする。 刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対するこれらの規定の適用についても、同様とする。
(政令への委任)
第十四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。