第一章 総則
第一条 この法律は、性的な姿態を撮影する行為、これにより生成された記録を提供する行為等を処罰するとともに、性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収を可能とし、あわせて、押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等の措置をすることによって、性的な姿態を撮影する行為等による被害の発生及び拡大を防止することを目的とする。
第二章 性的な姿態を撮影する行為等の処罰
(性的姿態等撮影)第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは門若しくはこれらの周辺部、部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2 前項の罪の未遂は、罰する。 3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。 (性的影像記録提供等)第三条 性的影像記録(前条第一項各号に掲げる行為若しくは第六条第一項の行為により生成された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録又は当該記録の全部若しくは一部(対象性的姿態等(前条第一項第四号に掲げる行為により生成された電磁的記録その他の記録又は第五条第一項第四号に掲げる行為により同項第一号に規定する影像送信をされた影像を記録する行為により生成された電磁的記録その他の記録にあっては、性的姿態等)の影像が記録された部分に限る。)を複写したものをいう。以下同じ。)を提供した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2 性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 (性的影像記録保管)第四条 前条の行為をする目的で、性的影像記録を保管した者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金に処する。
(性的姿態等影像送信)第五条 不特定又は多数の者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 正当な理由がないのに、送信されることの情を知らない者の対象性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。次号及び第三号において同じ。)の影像送信(電気通信回線を通じて、影像を送ることをいう。以下同じ。)をする行為
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは不特定若しくは多数の者に送信されないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者の性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。以下この号において同じ。)の影像送信をし、又は十三歳以上十六歳未満の者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、当該十三歳以上十六歳未満の者の性的姿態等の影像の影像送信をする行為
2 情を知って、不特定又は多数の者に対し、前項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像の影像送信をした者も、同項と同様とする。 3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。 (性的姿態等影像記録)第六条 情を知って、前条第一項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像を記録した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。 (国外犯)第七条 第二条から前条までの罪は、刑法第三条の例に従う。
第三章 性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収
第八条 次に掲げる物は、没収することができる。
一 第二条第一項又は第六条第一項の罪の犯罪行為により生じた物を複写した物
二 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(平成二十六年法律第百二十六号)第三条第一項から第三項までの罪の犯罪行為を組成し、若しくは当該犯罪行為の用に供した私事性的画像記録(同法第二条第一項に規定する私事性的画像記録をいう。次条第一項第二号及び第十条第一項第一号ロにおいて同じ。)が記録されている物若しくはこれを複写した物又は当該犯罪行為を組成し、若しくは当該犯罪行為の用に供した私事性的画像記録物(同法第二条第二項に規定する私事性的画像記録物をいう。第十条第一項第一号ロにおいて同じ。)を複写した物
2 前項の規定による没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。 ただし、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って保有するに至ったものであるときは、これを没収することができる。第四章 押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等
第一節 通則
第九条 この章において「対象電磁的記録」とは、次に掲げるものをいう。
一 次に掲げる対象性的姿態等又は性的姿態等の影像を記録した電磁的記録
イ 第二条第一項第一号から第三号までに掲げる行為により生成された電磁的記録に係る対象性的姿態等
ロ 第五条第一項第一号から第三号までに掲げる行為により影像送信をされた影像を記録する行為により生成された電磁的記録に係る対象性的姿態等
ハ 第二条第一項第四号に掲げる行為により生成された電磁的記録に係る性的姿態等
ニ 第五条第一項第四号に掲げる行為により影像送信をされた影像を記録する行為により生成された電磁的記録に係る性的姿態等
二 私事性的画像記録に係る電磁的記録
三 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第三条の二に規定する電磁的記録
2 この章において「撮影対象者等」とは、次の各号に掲げるものの区分に応じ、当該各号に定める者又はその法定代理人をいう。一 前項第一号に掲げる電磁的記録又は次条第一項第一号イに掲げる物 第二条第一項各号に掲げる行為の対象とされた者又は第五条第一項各号に掲げる行為により影像送信をされた影像の内容である対象性的姿態等(同項第四号に掲げる行為により影像送信された影像の場合にあっては、性的姿態等)に係る者
二 前項第二号に掲げる電磁的記録又は次条第一項第一号ロに掲げる物 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律第二条第一項に規定する撮影対象者
三 前項第三号に掲げる電磁的記録又は次条第一項第一号ハに掲げる物 当該電磁的記録又は当該物に姿態を描写された児童
3 この章において「対象姿態等」とは、次に掲げるものをいう。一 第二条第一項第一号から第三号までに掲げる行為の対象とされた対象性的姿態等、第五条第一項第一号から第三号までに掲げる行為により影像送信をされた影像の内容である対象性的姿態等、第二条第一項第四号に掲げる行為の対象とされた性的姿態等又は第五条第一項第四号に掲げる行為により影像送信をされた影像の内容である性的姿態等
二 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律第二条第一項に規定する画像に撮影された同項各号に掲げる人の姿態
三 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第二条第三項各号に掲げる児童の姿態
第二節 消去等の措置
(押収物に記録された電磁的記録の消去及び押収物の廃棄)第十条 検察官は、その保管している押収物が第一号に掲げる物である場合において、当該押収物が対象電磁的記録を記録したものであるときは、次節に定める手続に従い、第二号に掲げる措置をとることができる。
一 次に掲げる物
イ 第二条第一項各号に掲げる行為により生じた物若しくは第五条第一項各号に掲げる行為により影像送信をされた影像を記録する行為により生じた物又はこれらを複写した物
ロ 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律第三条第一項から第三項までに規定する行為を組成し、若しくは当該行為の用に供した私事性的画像記録が記録されている物若しくは当該行為を組成し、若しくは当該行為の用に供した私事性的画像記録物又はこれらを複写した物
ハ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第二条第三項に規定する物
二 次に掲げる措置
イ 当該押収物に記録されている対象電磁的記録を全て消去すること。
ロ 当該押収物に記録されている電磁的記録が大量であることその他の事由により当該押収物に記録されている全ての電磁的記録の内容を確認することができないため、イに掲げる措置をとることが困難であると認めるときは、当該押収物に記録されている電磁的記録を全て消去すること。
ハ 技術的理由その他の事由により、イ及びロに掲げる措置をとることが困難であると認めるときは、当該押収物を廃棄すること。
第十一条 検察官は、前条第一項に規定する場合において、同項の対象電磁的記録が刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百十八条第二項又は第五百九条第二項の規定により複写されたものであって、これらの項に規定する電気通信回線で接続している記録媒体に当該複写の対象とされた対象電磁的記録が記録されているときは、次節に定める手続に従い、これらの項の電子計算機で当該対象電磁的記録の消去をする権限を有する者に対し、法務省令で定めるところにより、次に掲げる対象電磁的記録の消去を命ずることができる。
一 当該複写の対象とされた対象電磁的記録
二 前号に掲げる対象電磁的記録を複写した対象電磁的記録であって、当該者によって複写されたものであり、かつ、当該記録媒体に記録されているもの
第三節 消去等の手続
(消去等措置のための領置等)第十二条 検察官は、その保管している押収物が第十条第一項第一号に掲げる物に該当すると思料する場合において、当該押収物について同条の規定による措置(以下「消去等措置」という。)をするときは、刑事訴訟法の規定による押収を解いた上、これを領置するものとする。 この場合において、当該押収物は、同法の規定により還付することを要しない。
第十三条 刑事被告事件の係属する裁判所は、次に掲げる押収物について、留置の必要がないと認める場合において、当該押収物が第十条第一項第一号に掲げる物に該当すると思料するときは、その旨を検察官に通知しなければならない。 この場合において、当該押収物は、刑事訴訟法の規定により還付することを要しない。
一 刑事訴訟法第九十九条第一項の規定により差し押さえた物であって、その差押えの時まで検察官により保管されていたもの
二 刑事訴訟法第九十九条第三項の規定により提出を受けた物であって、その提出を受ける時まで検察官により保管されていたもの
三 刑事訴訟法第百一条の規定により領置した物であって、検察官が同法第三百十条の規定により裁判所に提出したもの
2 家庭裁判所は、次に掲げる押収物について、留置の必要がないと認める場合において、当該押収物が第十条第一項第一号に掲げる物に該当すると思料するときは、その旨を検察官に通知しなければならない。 この場合において、当該押収物は、少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第十五条第二項において準用する刑事訴訟法の規定により還付することを要しない。一 少年法第十五条第二項において準用する刑事訴訟法第九十九条第一項の規定により差し押さえた物であって、その差押えの時まで検察官により保管されていたもの
二 少年法第十五条第二項において準用する刑事訴訟法第九十九条第三項の規定により提出を受けた物であって、その提出を受ける時まで検察官により保管されていたもの
三 少年法第十五条第二項において準用する刑事訴訟法第百一条の規定により領置した物であって、少年の保護事件の処理に関する法令の規定により検察官が家庭裁判所に送付したもの
3 検察官は、第一項前段又は前項前段の規定による通知に係る押収物について、当該押収物が第十条第一項第一号に掲げる物に該当すると思料するときは、これを領置することができる。 この場合において、裁判所は、検察官が当該押収物を領置するときは、その押収を解くものとし、検察官が当該押収物を領置しないときは、これを還付するものとする。 4 刑事被告事件の係属する裁判所は、第一項各号に掲げる押収物について、終局裁判又は略式命令をする場合において、没収の言渡しをしない場合(略式命令の場合にあっては、没収を科さない場合)であって、当該押収物が第十条第一項第一号に掲げる物に該当すると思料するときは、これを検察官に引き渡す旨の言渡し(略式命令の場合にあっては、検察官に引き渡す旨の裁判)をしなければならない。 5 家庭裁判所は、第二項各号に掲げる押収物について、少年法第十八条、第十九条第一項、第二十三条第二項又は第二十四条第一項の決定をする場合において、同法第二十四条の二第一項又は第二項の決定をしない場合であって、当該押収物が第十条第一項第一号に掲げる物に該当すると思料するときは、これを検察官に引き渡す旨の決定をしなければならない。 6 第四項の言渡し又は前項の決定については、行政事件訴訟に関する法令の規定は、適用しない。 7 検察官は、第四項の言渡し又は第五項の決定に係る押収物について、当該押収物が第十条第一項第一号に掲げる物に該当すると思料するときは、これを領置することができる。 この場合において、検察官は、当該押収物を領置しないときは、これを還付するものとする。 8 検察官は、第二項各号に掲げる押収物について、第二十六条第一項各号に掲げる処分等又は当該処分等に係る第二十九条第一項各号に定める裁決をするため必要な限度で、最高裁判所規則の定めるところにより、当該押収物に係る少年の保護事件の記録及び証拠物を閲覧し、及び謄写することができる。 (領置目録の作成等)第十四条 検察官は、第十二条前段又は前条第三項前段若しくは第七項前段の規定による領置をしたときは、その目録を作成し、所有者、所持者若しくは保管者(同条第一項若しくは第四項に規定する刑事被告事件の係属する裁判所又は同条第二項若しくは第五項に規定する家庭裁判所を除く。)又はこれらの者に代わるべき者に交付しなければならない。
(対象領置物件の保管等)第十五条 検察官は、第十二条前段又は第十三条第三項前段若しくは第七項前段の規定により領置した物(以下「対象領置物件」という。)のうち、運搬又は保管に不便な対象領置物件については、看守者を置き、又は所有者その他の者に、その承諾を得て、これを保管させることができる。
2 保管上危険を生じるおそれがある対象領置物件は、廃棄することができる。 (消去等決定)第十六条 検察官は、消去等措置をするときは、第二十三条第五号に掲げる場合を除き、あらかじめ、とるべき措置の内容を明らかにして、その旨の決定(以下「消去等決定」という。)をしなければならない。
(消去等決定及び消去命令の名宛人並びに聴聞の特例等)第十七条 消去等決定又は第十一条の規定による命令(以下「消去命令」という。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者に対してするものとする。
一 電磁的記録を消去する措置をとる旨の消去等決定をする場合 当該電磁的記録が帰属する者
二 対象領置物件を廃棄する措置をとる旨の消去等決定をする場合 当該対象領置物件の所有者その他の権利者
三 消去命令をする場合 第十一条に規定する者
2 検察官は、消去等決定又は消去命令をするときは、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定にかかわらず、聴聞を行わなければならない。 3 前項の規定による聴聞を行う場合における行政手続法第十五条第四項及び第二十二条第三項の規定の適用については、同法第十五条第四項中「(以下この項において「公示事項」という。)を総務省令で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くとともに、公示事項が記載された書面を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示し、又は公示事項を当該事務所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとる」とあるのは「を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示する」と、同項及び同法第二十二条第三項中「当該措置を開始した」とあるのは「掲示を始めた」とする。 4 第二項の規定による聴聞を行う場合において、行政手続法第十八条第一項に規定する当事者等は、同項に規定する資料中対象姿態等が記録された部分については謄写を求めることができない。 5 検察官は、第二項の規定による聴聞を行った後、消去等決定又は消去命令をすることが必要であると認めるときは、遅滞なく、消去等決定又は消去命令をするものとする。 6 検察官は、第一項第一号又は第二号に定める者が複数である場合において、これらの者の一部を知ることができないときは、これらの者に該当する旨を二週間以内に申し出るべき旨を政令で定める方法によって公告しなければならない。 この場合において、検察官は、当該期間を経過したときにこれらの者として判明している者について第二項の規定による聴聞及び消去等決定を行えば消去等措置を実施することができる。 7 第二項の規定による聴聞を行う場合における行政手続法第三章第二節の規定に基づく処分又はその不作為については、第二十六条の規定による審査の申立てをすることができない。 (対象電磁的記録ではない電磁的記録の複写)第十八条 検察官は、第十条第一項第二号ロ又はハに掲げる措置に係る消去等決定をする場合において、前条第一項第一号又は第二号に定める者から、法務省令で定めるところにより、対象領置物件に記録されている電磁的記録を特定してこれを複写した他の記録媒体の交付を受けたい旨の申出があり、当該電磁的記録が対象電磁的記録ではないと認めるときは、当該措置を実施する前に、当該電磁的記録を他の記録媒体に複写し、これを交付するものとする。
2 前項の規定にかかわらず、検察官は、次の各号のいずれかに該当するときは、同項の規定による交付をしないことができる。一 前項の申出をした者が対象電磁的記録ではない電磁的記録を複写する他の記録媒体を提供しないときその他同項の規定による交付に関する検察官の指示に従わないとき。
二 技術的理由その他の事由により、複写をすることが困難であると認められるとき。
三 前二号に定めるもののほか、前項の申出が権利の濫用と認められるとき。
3 検察官は、第一項に規定する者が同項の申出をするに当たり、必要があると認めるときは、その者に対し、対象領置物件に記録されている電磁的記録を確認する機会を与えるものとする。 4 第一項の規定により複写すべき電磁的記録の範囲は、消去等決定において定めるものとする。 (合理的な根拠を示す資料の提出)第十九条 検察官は、前条第一項の申出に係る電磁的記録が対象電磁的記録であるか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該申出をした者に対し、期間を定めて、当該申出に係る電磁的記録が対象電磁的記録ではないことの裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。 この場合において、当該申出をした者が当該資料を提出しないときは、同項の規定の適用については、当該申出に係る電磁的記録は対象電磁的記録とみなす。
(消去等決定及び消去命令の方式等)第二十条 消去等決定及び消去命令は、書面でしなければならない。
2 検察官は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者に前項の書面の謄本を送達しなければならない。一 電磁的記録を消去する措置をとる旨の消去等決定をした場合 第十七条第一項第一号に定める者
二 対象領置物件を廃棄する措置をとる旨の消去等決定をした場合 第十七条第一項第二号に定める者
三 消去命令をした場合 第十七条第一項第三号に定める者
3 前項の規定にかかわらず、送達を受けるべき者の所在が知れないとき、その他第一項の書面の謄本を送達することができないときは、検察官が当該書面の謄本を保管し、いつでもその送達を受けるべき者に交付すべき旨を当該検察官が所属する検察庁の掲示場に掲示することをもって前項の規定による送達に代えることができる。 この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過した時に同項の規定による送達があったものとみなす。 (権利者を知ることができない場合の公告)第二十一条 検察官は、第十七条第一項第一号又は第二号に定める者を知ることができないため、消去等決定をすることができないときは、その旨及び六月が経過してもこれらの者が判明しないときは消去等措置を実施することを政令で定める方法によって公告しなければならない。
第四節 消去等の実施等
(消去等措置の実施)第二十二条 消去等措置は、検察官が実施しなければならない。
第二十三条 消去等措置は、次の各号のいずれかに掲げる場合でなければ、実施することができない。
一 当該消去等措置に係る消去等決定について第二十六条の規定による審査の申立てがなくて同条第一項(第一号に係る部分に限る。)に規定する審査の申立てをすることができる期間を経過したとき。
二 当該消去等措置に係る消去等決定の取消しの訴え及び当該消去等決定に係る第二十九条第一項第一号から第三号までに定める裁決の取消しの訴えの提起がなくてこれらの取消しの訴えを提起することができる期間を経過したとき。
三 前号に規定する取消しの訴えに係る請求を棄却する判決が確定したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、当該消去等措置に係る消去等決定をした後、当該消去等措置の対象とすべき対象電磁的記録が帰属する者又は対象領置物件の所有者その他の権利者が、消去等措置を実施することに同意したとき。
五 第十七条第一項第一号又は第二号に定める者が判明することなく第二十一条の規定による公告をした日から六月が経過したとき。
(対象領置物件の還付等)第二十四条 検察官は、次の各号のいずれかに該当するときは、対象領置物件を還付しなければならない。
一 第十七条第二項の規定による聴聞を行った後、消去等決定をする必要がないと認めたとき。
二 消去等措置(第十条第一項第二号イ及びロに掲げる措置に限る。)の実施を終えたとき。
三 第二十九条第一項(第三号に係る部分に限る。)の規定により消去等決定の全部を取り消す旨の裁決がされた場合であって、当該裁決の取消しの訴えの提起がなくてその取消しの訴えを提起することができる期間を経過したとき。
四 消去等決定の取消しの訴え又は消去等決定に係る第二十九条第一項第二号に定める裁決の取消しの訴えに係る請求を認容する判決が確定したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、検察官が、対象領置物件について、留置の必要がないと認めたとき。
2 検察官は、対象領置物件の還付を受けるべき者の住所若しくは居所が分からないため、又はその他の事由により、これを還付することができない場合には、その旨を政令で定める方法によって公告しなければならない。 3 前項の規定による公告に係る対象領置物件について、公告の日から六月を経過しても還付の請求がないときは、検察官は、これを廃棄することができる。 4 検察官は、第十七条第二項の規定による聴聞を行った者以外の者に対象領置物件を還付すべきことが明らかな場合には、これをその者に還付しなければならない。 5 前項の規定は、民事訴訟の手続に従い、利害関係人がその権利を主張することを妨げない。 (対象領置物件等の引取りをしない場合の廃棄)第二十五条 検察官は、対象領置物件又は第十八条第一項の規定による複写をした他の記録媒体について、その引取りを求めた日から起算して六月を経過する日までに、その還付又は交付を受けるべき者がその引取りをしないときは、これを廃棄することができる。
第五節 不服申立て等
(検察庁の長に対する審査の申立て)第二十六条 次の各号に掲げる処分その他の行為(以下「処分等」という。)に不服がある者は、当該各号に定める日から起算して三十日以内に、当該処分等をした検察官が所属する検察庁の長(当該検察官が区検察庁の検察官である場合については、その庁の対応する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所に対応する地方検察庁の検事正。以下同じ。)に対し、審査の申立てをすることができる。
一 消去等決定又は消去命令 第二十条第一項の書面の謄本の送達があった日の翌日
二 第十二条前段又は第十三条第三項前段若しくは第七項前段の規定による領置 法務省令で定める日
三 前二号に掲げるもののほか、この章の規定に基づく手続に係る検察官の行為であって法務省令で定めるもの 法務省令で定める日
2 天災その他前項の期間内に審査の申立てをしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その理由がやんだ日の翌日から起算して一週間以内に限り、審査の申立てをすることができる。 3 検察官が誤って法定の期間よりも長い期間を審査の申立てをすることができる期間として教示した場合において、その教示された期間内に審査の申立てがされたときは、その審査の申立ては、法定の期間内にされたものとみなす。 (審査申立書の提出)第二十七条 前条の規定による審査の申立ては、法務省令で定めるところにより、審査申立書を提出してしなければならない。
2 前項の審査申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。一 審査の申立てに係る処分等の内容
二 審査の申立ての趣旨及び理由
三 その他法務省令で定める事項
(審理の方式)第二十八条 審査の申立ての審理は、書面による。
(裁決)第二十九条 検察庁の長は、第二十六条の規定による審査の申立てについては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める裁決をしなければならない。
一 当該審査の申立てが第二十六条第一項に規定する審査の申立てをすることができる期間が経過した後にされたものである場合その他不適法である場合 当該審査の申立てを却下する裁決
二 当該審査の申立てに理由がない場合 当該審査の申立てを棄却する裁決
三 当該審査の申立てに係る処分等が事実上の行為以外のものである場合において、当該審査の申立てに理由があるとき 当該審査の申立てに係る処分等の全部又は一部を取り消し、又は変更する裁決
四 当該審査の申立てに係る処分等が検察官のした事実上の行為である場合において、当該審査の申立てに理由があるとき 当該事実上の行為の全部又は一部が違法である旨を宣言するとともに、当該事実上の行為をした検察官に対し、当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃し、又は変更すべき旨を命ずる裁決(当該事実上の行為が検察庁の長のしたものである場合にあっては、当該事実上の行為の全部又は一部が違法である旨を宣言するとともに、当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃し、又は変更する裁決)
2 前項第三号又は第四号に定める裁決においては、検察庁の長は、審査申立人の不利益に当該処分等を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべきことを命じ、若しくはこれを変更することはできない。 (裁決の方式等)第三十条 前条第一項各号に定める裁決は、書面でしなければならない。
2 検察庁の長は、審査申立人に裁決書の謄本を送達しなければならない。 3 第二十条第三項の規定は、前項の規定による送達について準用する。 この場合において、同条第三項中「前項の規定にかかわらず」とあるのは「第三十条第二項の規定にかかわらず」と、「第一項の書面」とあり、及び「当該書面」とあるのは「裁決書」と、「検察官」とあるのは「検察庁の長」と、「前項の規定による」とあるのは「同項の規定による」と読み替えるものとする。 (行政不服審査法の準用)第三十一条 行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十条から第十五条まで、第十八条第三項、第二十一条、第二十二条第一項及び第五項、第二十三条、第二十五条第一項、第二項及び第四項から第七項まで、第二十六条から第二十八条まで、第三十条第二項及び第三項、第三十二条から第三十六条まで、第三十八条第一項から第五項まで、第三十九条、第五十一条第四項、第五十二条第一項並びに第五十三条の規定は、第二十六条の規定による審査の申立てについて準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
2 前項において読み替えて準用する行政不服審査法(以下この項において「準用行政不服審査法」という。)第三十八条第一項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者は、当該各号に定めるものについて交付を求めることができない。一 審査申立人又は参加人(次号に掲げる者を除く。) 準用行政不服審査法第三十八条第一項に規定する書類の写しのうち対象姿態等が記載された部分又は同項に規定する書面のうち対象姿態等が記載された部分
二 撮影対象者等である参加人 準用行政不服審査法第三十八条第一項に規定する書類の写しのうち対象姿態等(当該参加人(当該参加人が第九条第二項各号に定める者の法定代理人である場合にあっては、当該同項各号に定める者)のものを除く。以下この号において同じ。)が記載された部分又は準用行政不服審査法第三十八条第一項に規定する書面のうち対象姿態等が記載された部分
(審査請求の制限)第三十二条 第二十六条第一項各号に掲げる処分等については、審査請求をすることができない。
(訴訟との関係)第三十三条 第二十六条第一項各号に掲げる処分等の取消しの訴えは、当該処分等についての審査の申立てに対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。
(訴訟の特例)第三十四条 第二十六条第一項各号に掲げる処分等の取消しの訴え及び当該処分等に係る第二十九条第一項各号に定める裁決の取消しの訴えは、当該処分等をした検察官が所属する検察庁の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
2 前項に規定する取消しの訴えは、第三十条第二項の規定による裁決書の謄本の送達を受けた日から三十日を経過したときは、提起することができない。 3 前項の期間は、不変期間とする。第六節 消去等に係る裁判手続の特例
(撮影対象者等の住所、氏名等の秘匿等)第三十五条 第二十六条第一項各号に掲げる処分等の取消しの訴え又は当該処分等に係る第二十九条第一項各号に定める裁決の取消しの訴えの提起があった場合において、当該処分等の対象である対象領置物件又は対象電磁的記録に係る撮影対象者等の住所、居所その他当該撮影対象者等の通常所在する場所(以下この項において「住所等」という。)の全部又は一部が明らかにされることによって当該撮影対象者等が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、裁判所は、被告の申立てにより、決定で、住所等の全部又は一部を秘匿する旨の裁判をすることができる。 撮影対象者等の氏名その他当該撮影対象者等を特定するに足りる事項についても、同様とする。
2 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百三十三条第二項の規定は前項の申立てをする場合について、同条第三項及び第四項の規定は前項の申立てがあった場合について、同条第五項の規定は前項の決定をする場合について、同法第百三十三条の二及び第百三十三条の四の規定は同項の決定があった場合について、それぞれ準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 (対象領置物件及び対象電磁的記録等の閲覧等の制限)第三十六条 第二十六条第一項各号に掲げる処分等の取消しの訴え又は当該処分等に係る第二十九条第一項各号に定める裁決の取消しの訴えの提起があった場合において、対象領置物件若しくは対象領置物件を複写した記録媒体又は対象電磁的記録若しくは対象電磁的記録を複写し若しくは印刷した記録媒体について証拠の申出があったときは、裁判所は、被告の申立てにより、決定で、訴訟記録等(民事訴訟法第百三十三条第三項に規定する訴訟記録等をいう。以下この項及び第三項において同じ。)中当該対象領置物件若しくは当該対象領置物件を複写した記録媒体又は当該対象電磁的記録若しくは当該対象電磁的記録を複写し若しくは印刷した記録媒体に係る部分であって対象姿態等が記録された部分(第三項において「対象姿態等該当部分」という。)について、訴訟記録等の閲覧の請求をすることができる者を原告、被告及び当該対象領置物件又は対象電磁的記録に係る撮影対象者等に限るとともに、訴訟記録等の閲覧等(同法第百三十三条第三項に規定する訴訟記録等の閲覧等をいう。第三項において同じ。)の請求のうち閲覧の請求以外の請求をすることができる者を被告及び当該対象領置物件又は対象電磁的記録に係る撮影対象者等に限ることができる。
2 前項の決定は、疎明に基づいてする。 3 第一項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、原告、被告及び当該対象領置物件又は対象電磁的記録に係る撮影対象者等以外の者は、対象姿態等該当部分に係る訴訟記録等の閲覧の請求をすることができない。 被告及び当該対象領置物件又は対象電磁的記録に係る撮影対象者等以外の者による対象姿態等該当部分に係る訴訟記録等の閲覧等の請求(閲覧の請求を除く。)についても同様とする。 4 第一項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。 (取消訴訟以外の国を被告とする訴訟についての準用)第三十七条 前二条の規定は、第二十六条第一項各号に掲げる処分等又は当該処分等に係る第二十九条第一項各号に定める裁決に関する国を被告とする訴訟(行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第九条第一項に規定する取消訴訟を除く。)について準用する。 この場合において、第三十五条第二項の表のうち第百三十三条第五項の項の下欄中「仮差押え」とあるのは、「仮差押え、仮処分」と読み替えるものとする。
(最高裁判所規則への委任)第三十八条 この節に定めるもののほか、前三条の規定の実施に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第七節 雑則
(管轄区域外における職務)第三十九条 検察官及び検察事務官は、この節の規定による調査のため必要があるときは、管轄区域外で職務を行うことができる。
(調査等)第四十条 検察官は、第二十六条第一項各号に掲げる処分等又は当該処分等に係る第二十九条第一項各号に定める裁決をするため必要があると認めるときは、次に掲げる調査をすることができる。
一 第十七条第一項各号に定める者その他の関係人に対して、報告、文書その他の物件の提出若しくは出頭を命じ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して、必要な事項の報告を求めること。
二 対象領置物件の錠を外し、封を開き、対象電磁的記録を確認し、その他必要な処分をすること。
三 対象領置物件についての鑑定を嘱託し、又は通訳若しくは翻訳を嘱託すること。
2 検察官は、消去命令に従って対象電磁的記録の消去がされたかどうかを確かめるため必要があると認めるときは、第十七条第一項第三号に定める者その他の関係人に対して、報告、文書その他の物件の提出若しくは出頭を命じ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して、必要な事項の報告を求めることができる。 3 検察官は、検察事務官に前二項の規定による調査をさせることができる。 4 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 (刑事手続に関する手続等との関係)第四十一条 この章の規定は、対象領置物件又は対象電磁的記録について、刑事事件又は少年の保護事件の処理に関する法令の規定による手続を行うことを妨げない。
(法務省令への委任)第四十二条 この章に定めるもののほか、この章の規定を実施するための手続その他必要な事項は、法務省令で定める。
第八節 罰則
第四十三条 消去命令に違反したときは、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
第四十四条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十八条第一項の申出をするに当たり、虚偽の陳述をし、又は事実を隠したとき。
二 第四十条第一項(第一号に係る部分に限る。)又は第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は文書その他の物件を提出せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をした文書その他の物件を提出したとき。
第四十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。 ただし、第四章及び附則第三条から第六条までの規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(刑法の一部改正に伴う経過措置)
第二条 刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日(以下この条及び次条において「刑法施行日」という。)の前日までの間における第二条から第六条までの規定の適用については、これらの規定(第二条第二項及び第三項、第五条第二項及び第三項並びに第六条第二項を除く。)中「拘禁刑」とあるのは、「懲役」とする。 刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対するこれらの規定の適用についても、同様とする。
第三条 附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日(附則第六条において「一部施行日」という。)から刑法施行日の前日までの間における第四十三条の規定の適用については、同条中「拘禁刑」とあるのは、「懲役」とする。 刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対する同条の規定の適用についても、同様とする。
(押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する経過措置)
第四条 第四章の規定は、当該規定の施行の際現に検察官が保管している押収物についても適用する。
(聴聞の特例に関する経過措置)
第五条 デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律(令和五年法律第六十三号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日の前日までの間は、第十七条第三項の規定は、適用しない。
(消去等に係る裁判手続の特例に関する経過措置)
第六条 一部施行日から民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和四年法律第四十八号)の施行の日(次項において「民事訴訟法施行日」という。)の前日までの間における第三十五条第二項の規定の適用については、同項の表のうち第百三十三条の二第二項の項中「申立て」とあるのは「申立てにより」と、第百三十三条の四第一項の項及び第百三十三条の四第二項の項の中欄中「前条第一項」とあるのは「前条」とする。 一部施行日から民事訴訟法施行日の前日までの間における第三十六条第一項及び第三項の規定の適用については、同条第一項中「又は対象電磁的記録若しくは」とあるのは「又は」と、「第百三十三条第三項に規定する訴訟記録等を」とあるのは「第百三十三条の二第二項に規定する訴訟記録等を」と、「又は当該対象電磁的記録若しくは」とあるのは「又は」と、「係る部分であって対象姿態等が記録された」とあるのは「記録された対象姿態等に係る」と、「訴訟記録等の閲覧等(同法第百三十三条第三項に規定する訴訟記録等の閲覧等をいう。第三項において同じ。)の請求のうち閲覧の請求以外」とあるのは「訴訟記録等の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製」と、同条第三項中「訴訟記録等の閲覧等の請求(閲覧の請求を除く。)」とあるのは「訴訟記録等の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製の請求」とする。