第一章 総則
(目的)第一条 この法律は、こども家庭庁の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するため必要な組織を定めることを目的とする。
第二章 こども家庭庁の設置並びに任務及び所掌事務等
第一節 こども家庭庁の設置
(設置)第二条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第三項の規定に基づいて、内閣府の外局として、こども家庭庁を設置する。
2 こども家庭庁の長は、こども家庭庁長官(以下「長官」という。)とする。第二節 こども家庭庁の任務及び所掌事務等
(任務)第三条 こども家庭庁は、心身の発達の過程にある者(以下「こども」という。)が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向け、子育てにおける家庭の役割の重要性を踏まえつつ、こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、こども及びこどものある家庭の福祉の増進及び保健の向上その他のこどもの健やかな成長及びこどものある家庭における子育てに対する支援並びにこどもの権利利益の擁護に関する事務を行うことを任務とする。
2 前項に定めるもののほか、こども家庭庁は、同項の任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする。 3 こども家庭庁は、前項の任務を遂行するに当たり、内閣官房を助けるものとする。 (所掌事務)第四条 こども家庭庁は、前条第一項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
一 小学校就学前のこどもの健やかな成長のための環境の確保及び小学校就学前のこどものある家庭における子育て支援に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
二 子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)の規定による子ども・子育て支援給付その他の子ども及び子どもを養育している者に必要な支援に関すること(同法第六十九条第一項の規定による拠出金の徴収に関することを除く。)。
三 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)に規定する認定こども園に関する制度に関すること。
四 こどもの保育及び養護に関すること。
五 こどものある家庭における子育ての支援体制の整備並びに地域におけるこどもの適切な遊び及び生活の場の確保に関すること。
六 こどもの福祉のための文化の向上に関すること。
七 母子家庭及び父子家庭並びに寡婦の福祉の増進に関すること。
八 第四号から前号までに掲げるもののほか、こども、こどものある家庭及び妊産婦その他母性の福祉の増進に関すること。
九 こどもの安全で安心な生活環境の整備に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
十 独立行政法人日本スポーツ振興センターが行う独立行政法人日本スポーツ振興センター法(平成十四年法律第百六十二号)第十五条第一項第七号に規定する災害共済給付に関すること。
十一 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第七十九号)第八条第一項に規定する基本計画の作成及び推進に関すること。
十二 こどもの保健の向上に関すること(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)の規定による小児慢性特定疾病医療費の支給等に関することを除く。)。
十三 妊産婦その他母性の保健の向上に関すること。
十四 成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律(平成三十年法律第百四号)第十一条第一項に規定する成育医療等基本方針の策定及び推進に関すること。
十五 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律(平成三十一年法律第十四号)の規定による一時金の支給等に関すること。
十六 こどもの虐待の防止に関すること。
十七 いじめ防止対策推進法(平成二十五年法律第七十一号)の規定によるいじめの防止等に関する相談の体制その他の地域における体制の整備に関すること。
十八 前二号に掲げるもののほか、こどもの権利利益の擁護に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)。
十八の二 こども基本法(令和四年法律第七十七号)第九条第一項に規定するこども大綱の策定及び推進に関すること。
十九 少子化社会対策基本法(平成十五年法律第百三十三号)第七条第一項に規定する大綱の策定及び推進に関すること。
二十 子ども・若者育成支援推進法(平成二十一年法律第七十一号)第八条第一項に規定する子ども・若者育成支援推進大綱の策定及び推進に関すること。
二十一 前号に掲げるもののほか、子ども・若者育成支援(子ども・若者育成支援推進法第一条に規定する子ども・若者育成支援をいう。次項第三号において同じ。)に関する関係行政機関の事務の連絡調整及びこれに伴い必要となる当該事務の実施の推進に関すること。
二十二 こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十四号)第九条第一項に規定する大綱の策定及び推進に関すること。
二十三 大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第八号)の規定による大学等における修学の支援に関する関係行政機関の経費の配分計画に関すること。
二十四 こども、こどものある家庭及び妊産婦その他母性に関する総合的な調査に関すること。
二十五 所掌事務に係る国際協力に関すること。
二十六 政令で定める文教研修施設において所掌事務に関する研修を行うこと。
二十七 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づきこども家庭庁に属させられた事務
2 前項に定めるもののほか、こども家庭庁は、前条第二項の任務を達成するため、行政各部の施策の統一を図るために必要となる次に掲げる事項の企画及び立案並びに総合調整に関する事務(内閣官房が行う内閣法(昭和二十二年法律第五号)第十二条第二項第二号に掲げる事務を除く。)をつかさどる。一 こどもが自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向けた基本的な政策に関する事項
二 結婚、出産又は育児に希望を持つことができる社会環境の整備等少子化の克服に向けた基本的な政策に関する事項
三 子ども・若者育成支援に関する事項
3 前二項に定めるもののほか、こども家庭庁は、前条第二項の任務を達成するため、内閣府設置法第四条第二項に規定する事務のうち、前条第一項の任務に関連する特定の内閣の重要政策について、当該重要政策に関して閣議において決定された基本的な方針に基づいて、行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務をつかさどる。 (資料の提出要求等)第五条 長官は、こども家庭庁の所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる。
第三章 こども家庭庁に置かれる機関
第一節 審議会等
(設置)第六条 こども家庭庁に、こども家庭審議会を置く。
2 前項に定めるもののほか、別に法律で定めるところによりこども家庭庁に置かれる審議会等は、旧優生保護法一時金認定審査会とし、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。 (こども家庭審議会)第七条 こども家庭審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 内閣総理大臣、関係各大臣又は長官の諮問に応じて、こどもが自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向けた基本的な政策に関する重要事項を調査審議すること。
二 前号に規定する重要事項に関し、内閣総理大臣、関係各大臣又は長官に意見を述べること。
三 内閣総理大臣又は長官の諮問に応じて、次に掲げる重要事項を調査審議すること。
イ 子ども・子育て支援法の施行に関する重要事項
ロ こども、こどものある家庭及び妊産婦その他母性の福祉の増進に関する重要事項
ハ こども及び妊産婦その他母性の保健の向上に関する重要事項
ニ こどもの権利利益の擁護に関する重要事項
四 前号イに掲げる重要事項に関し内閣総理大臣、関係各大臣又は長官に、同号ロからニまでに掲げる重要事項に関し内閣総理大臣又は長官に、それぞれ意見を述べること。
五 次に掲げる法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。
イ 児童福祉法
ロ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)
ハ 次世代育成支援対策推進法(平成十五年法律第百二十号)
ニ 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律
ホ 子ども・子育て支援法
ヘ 成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律
第二節 特別の機関
(こども政策推進会議)第八条 別に法律の定めるところによりこども家庭庁に置かれる特別の機関は、こども政策推進会議とする。
2 こども政策推進会議については、こども基本法(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。第四章 雑則
(官房及び局の数等)第九条 こども家庭庁は、内閣府設置法第五十三条第二項に規定する庁とする。
2 内閣府設置法第五十三条第二項の規定に基づきこども家庭庁に置かれる官房及び局の数は、三以内とする。附則
この法律は、令和五年四月一日から施行する。 政府は、この法律の施行後五年を目途として、小学校就学前のこどもに対する質の高い教育及び保育の提供その他のこどもの健やかな成長及びこどものある家庭における子育てに対する支援に関する施策の実施の状況を勘案し、これらの施策を総合的かつ効果的に実施するための組織及び体制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。附則(令和四年六月二二日法律第七七号)
(施行期日)
第一条 この法律は、令和五年四月一日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、この法律の公布の日又は当該各号に定める法律の公布の日のいずれか遅い日から施行する。
附則(令和四年一二月一六日法律第一〇四号)
(施行期日)
第一条 この法律は、令和六年四月一日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
(政令への委任)
第四十三条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
附則(令和六年六月一二日法律第四七号)
(施行期日)
第一条 この法律は、令和六年十月一日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
(その他の経過措置の政令への委任)
第四十六条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
附則(令和六年六月二六日法律第六八号)
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。