第一章 総則
(目的)第一条 この規則は、原子力施設の保安のための業務に係る品質管理に必要な体制の基準を定めることにより、原子力の安全を確保することを目的とする。
(定義)第二条 この規則において使用する用語は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律において使用する用語の例による。
2 この規則において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。一 「保安活動」とは、原子力施設の保安のための業務として行われる一切の活動をいう。
二 「不適合」とは、要求事項に適合していないことをいう。
三 「プロセス」とは、意図した結果を生み出すための相互に関連し、又は作用する一連の活動及び手順をいう。
四 「品質マネジメントシステム」とは、保安活動の計画、実施、評価及び改善に関し、原子力事業者等が自らの組織の管理監督を行うための仕組みをいう。
五 「原子力の安全のためのリーダーシップ」とは、原子力の安全を確保することの重要性を認識し、組織の品質方針及び品質目標を定めて要員(保安活動を実施する者をいう。以下同じ。)がこれらを達成すること並びに組織の安全文化のあるべき姿を定めて要員が健全な安全文化を育成し、及び維持することに主体的に取り組むことができるよう先導的な役割を果たす能力をいう。
六 「是正処置」とは、不適合その他の事象の原因を除去し、その再発を防止するために講ずる措置をいう。
七 「未然防止処置」とは、原子力施設その他の施設における不適合その他の事象から得られた知見を踏まえて、自らの組織で起こり得る不適合の発生を防止するために講ずる措置をいう。
八 「一般産業用工業品」とは、原子力施設の安全機能に係る機器、構造物及びシステム並びにそれらの部品(以下「機器等」という。)であって、専ら原子力施設において用いるために設計開発及び製造されたもの以外の工業品をいう。
九 「妥当性確認」とは、原子力施設の保安のための業務に係る品質管理に関して、機器等又は保安活動を構成する個別の業務(以下「個別業務」という。)及びプロセスが実際の使用環境又は活動において要求事項に適合していることを確認することをいう。
(適用範囲)第三条 次章から第六章までの規定は、原子力施設(使用施設等であって、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(昭和三十二年政令第三百二十四号。以下「令」という。)第四十一条各号に掲げる核燃料物質を使用しないものを除く。以下同じ。)について適用する。
2 第七章の規定は、使用施設等(令第四十一条各号に掲げる核燃料物質を使用しないものに限る。)について適用する。第二章 品質マネジメントシステム
(品質マネジメントシステムに係る要求事項)第四条 原子力事業者等(使用者であって、令第四十一条各号に掲げる核燃料物質を使用しないものを除く。以下同じ。)は、品質マネジメントシステムを確立し、実施するとともに、その実効性を維持するため、その改善を継続的に行わなければならない。
2 原子力事業者等は、保安活動の重要度に応じて、品質マネジメントシステムを確立し、運用しなければならない。 この場合において、次に掲げる事項を適切に考慮しなければならない。一 原子力施設、組織又は個別業務の重要度及びこれらの複雑さの程度
二 原子力施設若しくは機器等の品質又は保安活動に関連する原子力の安全に影響を及ぼすおそれのあるもの及びこれらに関連する潜在的影響の大きさ
三 機器等の故障若しくは通常想定されない事象の発生又は保安活動が不適切に計画され、若しくは実行されたことにより起こり得る影響
3 原子力事業者等は、自らの原子力施設に適用される関係法令(以下単に「関係法令」という。)を明確に認識し、この規則に規定する文書その他品質マネジメントシステムに必要な文書(記録を除く。以下「品質マネジメント文書」という。)に明記しなければならない。 4 原子力事業者等は、品質マネジメントシステムに必要なプロセスを明確にするとともに、そのプロセスを組織に適用することを決定し、次に掲げる業務を行わなければならない。一 プロセスの運用に必要な情報及び当該プロセスの運用により達成される結果を明確に定めること。
二 プロセスの順序及び相互の関係を明確に定めること。
三 プロセスの運用及び管理の実効性の確保に必要な原子力事業者等の保安活動の状況を示す指標(以下「保安活動指標」という。)並びに当該指標に係る判定基準を明確に定めること。
四 プロセスの運用並びに監視及び測定(以下「監視測定」という。)に必要な資源及び情報が利用できる体制を確保すること(責任及び権限の明確化を含む。)。
五 プロセスの運用状況を監視測定し、分析すること。 ただし、監視測定することが困難である場合は、この限りでない。
六 プロセスについて、意図した結果を得、及び実効性を維持するための措置を講ずること。
七 プロセス及び組織を品質マネジメントシステムと整合的なものとすること。
八 原子力の安全とそれ以外の事項において意思決定の際に対立が生じた場合には、原子力の安全が確保されるようにすること。
5 原子力事業者等は、健全な安全文化を育成し、及び維持しなければならない。 6 原子力事業者等は、機器等又は個別業務に係る要求事項(関係法令を含む。以下「個別業務等要求事項」という。)への適合に影響を及ぼすプロセスを外部委託することとしたときは、当該プロセスが管理されているようにしなければならない。 7 原子力事業者等は、保安活動の重要度に応じて、資源の適切な配分を行わなければならない。 (品質マネジメントシステムの文書化)第五条 原子力事業者等は、前条第一項の規定により品質マネジメントシステムを確立するときは、保安活動の重要度に応じて次に掲げる文書を作成し、当該文書に規定する事項を実施しなければならない。
一 品質方針及び品質目標
二 品質マネジメントシステムを規定する文書(以下「品質マニュアル」という。)
三 実効性のあるプロセスの計画的な実施及び管理がなされるようにするために必要な文書
四 この規則に規定する手順書、指示書、図面等(以下「手順書等」という。)
(品質マニュアル)第六条 原子力事業者等は、品質マニュアルに次に掲げる事項を定めなければならない。
一 品質マネジメントシステムの運用に係る組織に関する事項
二 保安活動の計画、実施、評価及び改善に関する事項
三 品質マネジメントシステムの適用範囲
四 品質マネジメントシステムのために作成した手順書等の参照情報
五 プロセスの相互の関係
(文書の管理)第七条 原子力事業者等は、品質マネジメント文書を管理しなければならない。
2 原子力事業者等は、要員が判断及び決定をするに当たり、適切な品質マネジメント文書を利用できるよう、品質マネジメント文書に関する次に掲げる事項を定めた手順書等を作成しなければならない。一 品質マネジメント文書を発行するに当たり、その妥当性を審査し、発行を承認すること。
二 品質マネジメント文書の改訂の必要性について評価するとともに、改訂に当たり、その妥当性を審査し、改訂を承認すること。
三 前二号の審査及び前号の評価には、その対象となる文書に定められた活動を実施する部門の要員を参画させること。
四 品質マネジメント文書の改訂内容及び最新の改訂状況を識別できるようにすること。
五 改訂のあった品質マネジメント文書を利用する場合においては、当該文書の適切な制定版又は改訂版が利用しやすい体制を確保すること。
六 品質マネジメント文書を、読みやすく容易に内容を把握することができるようにすること。
七 組織の外部で作成された品質マネジメント文書を識別し、その配付を管理すること。
八 廃止した品質マネジメント文書が使用されることを防止すること。 この場合において、当該文書を保持するときは、その目的にかかわらず、これを識別し、管理すること。
(記録の管理)第八条 原子力事業者等は、この規則に規定する個別業務等要求事項への適合及び品質マネジメントシステムの実効性を実証する記録を明確にするとともに、当該記録を、読みやすく容易に内容を把握することができ、かつ、検索することができるように作成し、保安活動の重要度に応じてこれを管理しなければならない。
2 原子力事業者等は、前項の記録の識別、保存、保護、検索及び廃棄に関し、所要の管理の方法を定めた手順書等を作成しなければならない。第三章 経営責任者等の責任
(経営責任者の原子力の安全のためのリーダーシップ)第九条 経営責任者は、原子力の安全のためのリーダーシップを発揮し、責任を持って品質マネジメントシステムを確立させ、実施させるとともに、その実効性を維持していることを、次に掲げる業務を行うことによって実証しなければならない。
一 品質方針を定めること。
二 品質目標が定められているようにすること。
三 要員が、健全な安全文化を育成し、及び維持することに貢献できるようにすること。
四 第十八条に規定するマネジメントレビューを実施すること。
五 資源が利用できる体制を確保すること。
六 関係法令を遵守することその他原子力の安全を確保することの重要性を要員に周知すること。
七 保安活動に関する担当業務を理解し、遂行する責任を有することを要員に認識させること。
八 全ての階層で行われる決定が、原子力の安全の確保について、その優先順位及び説明する責任を考慮して確実に行われるようにすること。
(原子力の安全の確保の重視)第十条 経営責任者は、組織の意思決定に当たり、機器等及び個別業務が個別業務等要求事項に適合し、かつ、原子力の安全がそれ以外の事由により損なわれないようにしなければならない。
(品質方針)第十一条 経営責任者は、品質方針が次に掲げる事項に適合しているようにしなければならない。
一 組織の目的及び状況に対して適切なものであること。
二 要求事項への適合及び品質マネジメントシステムの実効性の維持に経営責任者が責任を持って関与すること。
三 品質目標を定め、評価するに当たっての枠組みとなるものであること。
四 要員に周知され、理解されていること。
五 品質マネジメントシステムの継続的な改善に経営責任者が責任を持って関与すること。
(品質目標)第十二条 経営責任者は、部門において、品質目標(個別業務等要求事項への適合のために必要な目標を含む。)が定められているようにしなければならない。
2 経営責任者は、品質目標が、その達成状況を評価し得るものであって、かつ、品質方針と整合的なものとなるようにしなければならない。 (品質マネジメントシステムの計画)第十三条 経営責任者は、品質マネジメントシステムが第四条の規定に適合するよう、その実施に当たっての計画が策定されているようにしなければならない。
2 経営責任者は、品質マネジメントシステムの変更が計画され、それが実施される場合においては、当該品質マネジメントシステムが不備のない状態に維持されているようにしなければならない。 この場合において、保安活動の重要度に応じて、次に掲げる事項を適切に考慮しなければならない。一 品質マネジメントシステムの変更の目的及び当該変更により起こり得る結果
二 品質マネジメントシステムの実効性の維持
三 資源の利用可能性
四 責任及び権限の割当て
(責任及び権限)第十四条 経営責任者は、部門及び要員の責任及び権限並びに部門相互間の業務の手順を定めさせ、関係する要員が責任を持って業務を遂行できるようにしなければならない。
(品質マネジメントシステム管理責任者)第十五条 経営責任者は、品質マネジメントシステムを管理する責任者に、次に掲げる業務に係る責任及び権限を与えなければならない。
一 プロセスが確立され、実施されるとともに、その実効性が維持されているようにすること。
二 品質マネジメントシステムの運用状況及びその改善の必要性について経営責任者に報告すること。
三 健全な安全文化を育成し、及び維持することにより、原子力の安全の確保についての認識が向上するようにすること。
四 関係法令を遵守すること。
(管理者)第十六条 経営責任者は、次に掲げる業務を管理監督する地位にある者(以下「管理者」という。)に、当該管理者が管理監督する業務に係る責任及び権限を与えなければならない。
一 個別業務のプロセスが確立され、実施されるとともに、その実効性が維持されているようにすること。
二 要員の個別業務等要求事項についての認識が向上するようにすること。
三 個別業務の実施状況に関する評価を行うこと。
四 健全な安全文化を育成し、及び維持すること。
五 関係法令を遵守すること。
2 管理者は、前項の責任及び権限の範囲において、原子力の安全のためのリーダーシップを発揮し、次に掲げる事項を確実に実施しなければならない。一 品質目標を設定し、その目標の達成状況を確認するため、業務の実施状況を監視測定すること。
二 要員が、原子力の安全に対する意識を向上し、かつ、原子力の安全への取組を積極的に行えるようにすること。
三 原子力の安全に係る意思決定の理由及びその内容を、関係する要員に確実に伝達すること。
四 常に問いかける姿勢及び学習する姿勢を要員に定着させるとともに、要員が、積極的に原子力施設の保安に関する問題の報告を行えるようにすること。
五 要員が、積極的に業務の改善に対する貢献を行えるようにすること。
3 管理者は、管理監督する業務に関する自己評価を、あらかじめ定められた間隔で行わなければならない。 (組織の内部の情報の伝達)第十七条 経営責任者は、組織の内部の情報が適切に伝達される仕組みが確立されているようにするとともに、品質マネジメントシステムの実効性に関する情報が確実に伝達されるようにしなければならない。
(マネジメントレビュー)第十八条 経営責任者は、品質マネジメントシステムの実効性を評価するとともに、改善の機会を得て、保安活動の改善に必要な措置を講ずるため、品質マネジメントシステムの評価(以下「マネジメントレビュー」という。)を、あらかじめ定められた間隔で行わなければならない。
(マネジメントレビューに用いる情報)第十九条 原子力事業者等は、マネジメントレビューにおいて、少なくとも次に掲げる情報を報告しなければならない。
一 内部監査の結果
二 組織の外部の者の意見
三 プロセスの運用状況
四 使用前事業者検査、定期事業者検査及び使用前検査(以下「使用前事業者検査等」という。)並びに自主検査等の結果
五 品質目標の達成状況
六 健全な安全文化の育成及び維持の状況
七 関係法令の遵守状況
八 不適合並びに是正処置及び未然防止処置の状況
九 従前のマネジメントレビューの結果を受けて講じた措置
十 品質マネジメントシステムに影響を及ぼすおそれのある変更
十一 部門又は要員からの改善のための提案
十二 資源の妥当性
十三 保安活動の改善のために講じた措置の実効性
(マネジメントレビューの結果を受けて行う措置)第二十条 原子力事業者等は、マネジメントレビューの結果を受けて、少なくとも次に掲げる事項について決定しなければならない。
一 品質マネジメントシステム及びプロセスの実効性の維持に必要な改善
二 個別業務に関する計画及び個別業務の実施に関連する保安活動の改善
三 品質マネジメントシステムの実効性の維持及び継続的な改善のために必要な資源
四 健全な安全文化の育成及び維持に関する改善
五 関係法令の遵守に関する改善
2 原子力事業者等は、マネジメントレビューの結果の記録を作成し、これを管理しなければならない。 3 原子力事業者等は、第一項の決定をした事項について、必要な措置を講じなければならない。第四章 資源の管理
(資源の確保)第二十一条 原子力事業者等は、原子力の安全を確実なものにするために必要な次に掲げる資源を明確に定め、これを確保し、及び管理しなければならない。
一 要員
二 個別業務に必要な施設、設備及びサービスの体系
三 作業環境
四 その他必要な資源
(要員の力量の確保及び教育訓練)第二十二条 原子力事業者等は、個別業務の実施に必要な技能及び経験を有し、意図した結果を達成するために必要な知識及び技能並びにそれを適用する能力(以下「力量」という。)が実証された者を要員に充てなければならない。
2 原子力事業者等は、要員の力量を確保するために、保安活動の重要度に応じて、次に掲げる業務を行わなければならない。一 要員にどのような力量が必要かを明確に定めること。
二 要員の力量を確保するために教育訓練その他の措置を講ずること。
三 前号の措置の実効性を評価すること。
四 要員が、自らの個別業務について次に掲げる事項を認識しているようにすること。
イ 品質目標の達成に向けた自らの貢献
ロ 品質マネジメントシステムの実効性を維持するための自らの貢献
ハ 原子力の安全に対する当該個別業務の重要性
五 要員の力量及び教育訓練その他の措置に係る記録を作成し、これを管理すること。
第五章 個別業務に関する計画の策定及び個別業務の実施
(個別業務に必要なプロセスの計画)第二十三条 原子力事業者等は、個別業務に必要なプロセスについて、計画を策定するとともに、そのプロセスを確立しなければならない。
2 原子力事業者等は、前項の計画と当該個別業務以外のプロセスに係る個別業務等要求事項との整合性を確保しなければならない。 3 原子力事業者等は、個別業務に関する計画(以下「個別業務計画」という。)の策定又は変更を行うに当たり、次に掲げる事項を明確にしなければならない。一 個別業務計画の策定又は変更の目的及び当該計画の策定又は変更により起こり得る結果
二 機器等又は個別業務に係る品質目標及び個別業務等要求事項
三 機器等又は個別業務に固有のプロセス、品質マネジメント文書及び資源
四 使用前事業者検査等、検証、妥当性確認及び監視測定並びにこれらの個別業務等要求事項への適合性を判定するための基準(以下「合否判定基準」という。)
五 個別業務に必要なプロセス及び当該プロセスを実施した結果が個別業務等要求事項に適合することを実証するために必要な記録
4 原子力事業者等は、策定した個別業務計画を、その個別業務の作業方法に適したものとしなければならない。 (個別業務等要求事項として明確にすべき事項)第二十四条 原子力事業者等は、次に掲げる事項を個別業務等要求事項として明確に定めなければならない。
一 組織の外部の者が明示してはいないものの、機器等又は個別業務に必要な要求事項
二 関係法令
三 前二号に掲げるもののほか、原子力事業者等が必要とする要求事項
(個別業務等要求事項の審査)第二十五条 原子力事業者等は、機器等の使用又は個別業務の実施に当たり、あらかじめ、個別業務等要求事項の審査を実施しなければならない。
2 原子力事業者等は、前項の審査を実施するに当たり、次に掲げる事項を確認しなければならない。一 当該個別業務等要求事項が定められていること。
二 当該個別業務等要求事項が、あらかじめ定められた個別業務等要求事項と相違する場合においては、その相違点が解明されていること。
三 原子力事業者等が、あらかじめ定められた個別業務等要求事項に適合するための能力を有していること。
3 原子力事業者等は、第一項の審査の結果の記録及び当該審査の結果に基づき講じた措置に係る記録を作成し、これを管理しなければならない。 4 原子力事業者等は、個別業務等要求事項が変更された場合においては、関連する文書が改訂されるようにするとともに、関連する要員に対し変更後の個別業務等要求事項が周知されるようにしなければならない。 (組織の外部の者との情報の伝達等)第二十六条 原子力事業者等は、組織の外部の者からの情報の収集及び組織の外部の者への情報の伝達のために、実効性のある方法を明確に定め、これを実施しなければならない。
(設計開発計画)第二十七条 原子力事業者等は、設計開発(専ら原子力施設において用いるための設計開発に限る。)の計画(以下「設計開発計画」という。)を策定するとともに、設計開発を管理しなければならない。
2 原子力事業者等は、設計開発計画の策定において、次に掲げる事項を明確にしなければならない。一 設計開発の性質、期間及び複雑さの程度
二 設計開発の各段階における適切な審査、検証及び妥当性確認の方法並びに管理体制
三 設計開発に係る部門及び要員の責任及び権限
四 設計開発に必要な組織の内部及び外部の資源
3 原子力事業者等は、実効性のある情報の伝達並びに責任及び権限の明確な割当てがなされるようにするために、設計開発に関与する各者間の連絡を管理しなければならない。 4 原子力事業者等は、第一項の規定により策定された設計開発計画を、設計開発の進行に応じて適切に変更しなければならない。 (設計開発に用いる情報)第二十八条 原子力事業者等は、個別業務等要求事項として設計開発に用いる情報であって、次に掲げるものを明確に定めるとともに、当該情報に係る記録を作成し、これを管理しなければならない。
一 機能及び性能に係る要求事項
二 従前の類似した設計開発から得られた情報であって、当該設計開発に用いる情報として適用可能なもの
三 関係法令
四 その他設計開発に必要な要求事項
2 原子力事業者等は、設計開発に用いる情報について、その妥当性を評価し、承認しなければならない。 (設計開発の結果に係る情報)第二十九条 原子力事業者等は、設計開発の結果に係る情報を、設計開発に用いた情報と対比して検証することができる形式により管理しなければならない。
2 原子力事業者等は、設計開発の次の段階のプロセスに進むに当たり、あらかじめ、当該設計開発の結果に係る情報を承認しなければならない。 3 原子力事業者等は、設計開発の結果に係る情報を、次に掲げる事項に適合するものとしなければならない。一 設計開発に係る個別業務等要求事項に適合するものであること。
二 調達、機器等の使用及び個別業務の実施のために適切な情報を提供するものであること。
三 合否判定基準を含むものであること。
四 機器等を安全かつ適正に使用するために不可欠な当該機器等の特性が明確であること。
(設計開発レビュー)第三十条 原子力事業者等は、設計開発の適切な段階において、設計開発計画に従って、次に掲げる事項を目的とした体系的な審査(以下「設計開発レビュー」という。)を実施しなければならない。
一 設計開発の結果の個別業務等要求事項への適合性について評価すること。
二 設計開発に問題がある場合においては、当該問題の内容を明確にし、必要な措置を提案すること。
2 原子力事業者等は、設計開発レビューに、当該設計開発レビューの対象となっている設計開発段階に関連する部門の代表者及び当該設計開発に係る専門家を参加させなければならない。 3 原子力事業者等は、設計開発レビューの結果の記録及び当該設計開発レビューの結果に基づき講じた措置に係る記録を作成し、これを管理しなければならない。 (設計開発の検証)第三十一条 原子力事業者等は、設計開発の結果が個別業務等要求事項に適合している状態を確保するために、設計開発計画に従って検証を実施しなければならない。
2 原子力事業者等は、前項の検証の結果の記録及び当該検証の結果に基づき講じた措置に係る記録を作成し、これを管理しなければならない。 3 原子力事業者等は、当該設計開発を行った要員に第一項の検証をさせてはならない。 (設計開発の妥当性確認)第三十二条 原子力事業者等は、設計開発の結果の個別業務等要求事項への適合性を確認するために、設計開発計画に従って、当該設計開発の妥当性確認(以下この条において「設計開発妥当性確認」という。)を実施しなければならない。
2 原子力事業者等は、機器等の使用又は個別業務の実施に当たり、あらかじめ、設計開発妥当性確認を完了しなければならない。 3 原子力事業者等は、設計開発妥当性確認の結果の記録及び当該設計開発妥当性確認の結果に基づき講じた措置に係る記録を作成し、これを管理しなければならない。 (設計開発の変更の管理)第三十三条 原子力事業者等は、設計開発の変更を行った場合においては、当該変更の内容を識別することができるようにするとともに、当該変更に係る記録を作成し、これを管理しなければならない。
2 原子力事業者等は、設計開発の変更を行うに当たり、あらかじめ、審査、検証及び妥当性確認を行い、変更を承認しなければならない。 3 原子力事業者等は、前項の審査において、設計開発の変更が原子力施設に及ぼす影響の評価(当該原子力施設を構成する材料又は部品に及ぼす影響の評価を含む。)を行わなければならない。 4 原子力事業者等は、第二項の審査、検証及び妥当性確認の結果の記録及びその結果に基づき講じた措置に係る記録を作成し、これを管理しなければならない。 (調達プロセス)第三十四条 原子力事業者等は、調達する物品又は役務(以下「調達物品等」という。)が、自ら規定する調達物品等に係る要求事項(以下「調達物品等要求事項」という。)に適合するようにしなければならない。
2 原子力事業者等は、保安活動の重要度に応じて、調達物品等の供給者及び調達物品等に適用される管理の方法及び程度を定めなければならない。 この場合において、一般産業用工業品については、調達物品等の供給者等から必要な情報を入手し当該一般産業用工業品が調達物品等要求事項に適合していることを確認できるように、管理の方法及び程度を定めなければならない。 3 原子力事業者等は、調達物品等要求事項に従い、調達物品等を供給する能力を根拠として調達物品等の供給者を評価し、選定しなければならない。 4 原子力事業者等は、調達物品等の供給者の評価及び選定に係る判定基準を定めなければならない。 5 原子力事業者等は、第三項の評価の結果の記録及び当該評価の結果に基づき講じた措置に係る記録を作成し、これを管理しなければならない。 6 原子力事業者等は、調達物品等を調達する場合には、個別業務計画において、適切な調達の実施に必要な事項(当該調達物品等の調達後におけるこれらの維持又は運用に必要な技術情報(原子力施設の保安に係るものに限る。)の取得及び当該情報を他の原子力事業者等と共有するために必要な措置に関する事項を含む。)を定めなければならない。 (調達物品等要求事項)第三十五条 原子力事業者等は、調達物品等に関する情報に、次に掲げる調達物品等要求事項のうち、該当するものを含めなければならない。
一 調達物品等の供給者の業務のプロセス及び設備に係る要求事項
二 調達物品等の供給者の要員の力量に係る要求事項
三 調達物品等の供給者の品質マネジメントシステムに係る要求事項
四 調達物品等の不適合の報告及び処理に係る要求事項
五 調達物品等の供給者が健全な安全文化を育成し、及び維持するために必要な要求事項
六 一般産業用工業品を機器等に使用するに当たっての評価に必要な要求事項
七 その他調達物品等に必要な要求事項
2 原子力事業者等は、調達物品等要求事項として、原子力事業者等が調達物品等の供給者の工場等において使用前事業者検査等その他の個別業務を行う際の原子力規制委員会の職員による当該工場等への立入りに関することを含めなければならない。 3 原子力事業者等は、調達物品等の供給者に対し調達物品等に関する情報を提供するに当たり、あらかじめ、当該調達物品等要求事項の妥当性を確認しなければならない。 4 原子力事業者等は、調達物品等を受領する場合には、調達物品等の供給者に対し、調達物品等要求事項への適合状況を記録した文書を提出させなければならない。 (調達物品等の検証)第三十六条 原子力事業者等は、調達物品等が調達物品等要求事項に適合しているようにするために必要な検証の方法を定め、実施しなければならない。
2 原子力事業者等は、調達物品等の供給者の工場等において調達物品等の検証を実施することとしたときは、当該検証の実施要領及び調達物品等の供給者からの出荷の可否の決定の方法について調達物品等要求事項の中で明確に定めなければならない。 (個別業務の管理)第三十七条 原子力事業者等は、個別業務計画に基づき、個別業務を次に掲げる事項(当該個別業務の内容等から該当しないと認められるものを除く。)に適合するように実施しなければならない。
一 原子力施設の保安のために必要な情報が利用できる体制にあること。
二 手順書等が必要な時に利用できる体制にあること。
三 当該個別業務に見合う設備を使用していること。
四 監視測定のための設備が利用できる体制にあり、かつ、当該設備を使用していること。
五 第四十七条の規定に基づき監視測定を実施していること。
六 この規則の規定に基づき、プロセスの次の段階に進むことの承認を行っていること。
(個別業務の実施に係るプロセスの妥当性確認)第三十八条 原子力事業者等は、個別業務の実施に係るプロセスについて、それ以降の監視測定では当該プロセスの結果を検証することができない場合(個別業務が実施された後にのみ不適合その他の事象が明確になる場合を含む。)においては、妥当性確認を行わなければならない。
2 原子力事業者等は、前項のプロセスが個別業務計画に定めた結果を得ることができることを、同項の妥当性確認によって実証しなければならない。 3 原子力事業者等は、妥当性確認を行った場合は、その結果の記録を作成し、これを管理しなければならない。 4 原子力事業者等は、第一項の妥当性確認の対象とされたプロセスについて、次に掲げる事項(当該プロセスの内容等から該当しないと認められるものを除く。)を明確にしなければならない。一 当該プロセスの審査及び承認のための判定基準
二 妥当性確認に用いる設備の承認及び要員の力量を確認する方法
三 妥当性確認の方法
(識別管理)第三十九条 原子力事業者等は、個別業務計画及び個別業務の実施に係る全てのプロセスにおいて、適切な手段により、機器等及び個別業務の状態を識別し、管理しなければならない。
(トレーサビリティの確保)第四十条 原子力事業者等は、トレーサビリティ(機器等の使用又は個別業務の実施に係る履歴、適用又は所在を追跡できる状態をいう。)の確保が個別業務等要求事項である場合においては、機器等又は個別業務を識別し、これを記録するとともに、当該記録を管理しなければならない。
(組織の外部の者の物品)第四十一条 原子力事業者等は、組織の外部の者の物品を所持している場合においては、必要に応じ、記録を作成し、これを管理しなければならない。
(調達物品の管理)第四十二条 原子力事業者等は、調達した物品が使用されるまでの間、当該物品を調達物品等要求事項に適合するように管理(識別表示、取扱い、包装、保管及び保護を含む。)しなければならない。
(監視測定のための設備の管理)第四十三条 原子力事業者等は、機器等又は個別業務の個別業務等要求事項への適合性の実証に必要な監視測定及び当該監視測定のための設備を明確に定めなければならない。
2 原子力事業者等は、前項の監視測定について、実施可能であり、かつ、当該監視測定に係る要求事項と整合性のとれた方法で実施しなければならない。 3 原子力事業者等は、監視測定の結果の妥当性を確保するために、監視測定のために必要な設備を、次に掲げる事項に適合するものとしなければならない。一 あらかじめ定められた間隔で、又は使用の前に、計量の標準まで追跡することが可能な方法(当該計量の標準が存在しない場合にあっては、校正又は検証の根拠について記録する方法)により校正又は検証がなされていること。
二 校正の状態が明確になるよう、識別されていること。
三 所要の調整がなされていること。
四 監視測定の結果を無効とする操作から保護されていること。
五 取扱い、維持及び保管の間、損傷及び劣化から保護されていること。
4 原子力事業者等は、監視測定のための設備に係る要求事項への不適合が判明した場合においては、従前の監視測定の結果の妥当性を評価し、これを記録しなければならない。 5 原子力事業者等は、前項の場合において、当該監視測定のための設備及び同項の不適合により影響を受けた機器等又は個別業務について、適切な措置を講じなければならない。 6 原子力事業者等は、監視測定のための設備の校正及び検証の結果の記録を作成し、これを管理しなければならない。 7 原子力事業者等は、監視測定においてソフトウェアを使用することとしたときは、その初回の使用に当たり、あらかじめ、当該ソフトウェアが意図したとおりに当該監視測定に適用されていることを確認しなければならない。第六章 評価及び改善
(監視測定、分析、評価及び改善)第四十四条 原子力事業者等は、監視測定、分析、評価及び改善に係るプロセスを計画し、実施しなければならない。
2 原子力事業者等は、要員が前項の監視測定の結果を利用できるようにしなければならない。 (組織の外部の者の意見)第四十五条 原子力事業者等は、監視測定の一環として、原子力の安全の確保に対する組織の外部の者の意見を把握しなければならない。
2 原子力事業者等は、前項の意見の把握及び当該意見の反映に係る方法を明確に定めなければならない。 (内部監査)第四十六条 原子力事業者等は、品質マネジメントシステムについて、次に掲げる要件への適合性を確認するために、保安活動の重要度に応じて、あらかじめ定められた間隔で、客観的な評価を行う部門その他の体制により内部監査を実施しなければならない。
一 この規則の規定に基づく品質マネジメントシステムに係る要求事項
二 実効性のある実施及び実効性の維持
2 原子力事業者等は、内部監査の判定基準、監査範囲、頻度、方法及び責任を定めなければならない。 3 原子力事業者等は、内部監査の対象となり得る部門、個別業務、プロセスその他の領域(以下単に「領域」という。)の状態及び重要性並びに従前の監査の結果を考慮して内部監査の対象を選定し、かつ、内部監査の実施に関する計画(以下「内部監査実施計画」という。)を策定し、及び実施することにより、内部監査の実効性を維持しなければならない。 4 原子力事業者等は、内部監査を行う要員(以下「内部監査員」という。)の選定及び内部監査の実施においては、客観性及び公平性を確保しなければならない。 5 原子力事業者等は、内部監査員又は管理者に自らの個別業務又は管理下にある個別業務に関する内部監査をさせてはならない。 6 原子力事業者等は、内部監査実施計画の策定及び実施並びに内部監査結果の報告並びに記録の作成及び管理について、その責任及び権限並びに内部監査に係る要求事項を手順書等に定めなければならない。 7 原子力事業者等は、内部監査の対象として選定された領域に責任を有する管理者に内部監査結果を通知しなければならない。 8 原子力事業者等は、不適合が発見された場合には、前項の通知を受けた管理者に、不適合を除去するための措置及び是正処置を遅滞なく講じさせるとともに、当該措置の検証を行わせ、その結果を報告させなければならない。 (プロセスの監視測定)第四十七条 原子力事業者等は、プロセスの監視測定を行う場合においては、当該プロセスの監視測定に見合う方法により、これを行わなければならない。
2 原子力事業者等は、前項の監視測定の実施に当たり、保安活動の重要度に応じて、保安活動指標を用いなければならない。 3 原子力事業者等は、第一項の方法により、プロセスが第十三条第一項及び第二十三条第一項の計画に定めた結果を得ることができることを実証しなければならない。 4 原子力事業者等は、第一項の監視測定の結果に基づき、保安活動の改善のために、必要な措置を講じなければならない。 5 原子力事業者等は、第十三条第一項及び第二十三条第一項の計画に定めた結果を得ることができない場合又は当該結果を得ることができないおそれがある場合においては、個別業務等要求事項への適合性を確保するために、当該プロセスの問題を特定し、当該問題に対して適切な措置を講じなければならない。 (機器等の検査等)第四十八条 原子力事業者等は、機器等に係る要求事項への適合性を検証するために、個別業務計画に従って、個別業務の実施に係るプロセスの適切な段階において、使用前事業者検査等又は自主検査等を実施しなければならない。
2 原子力事業者等は、使用前事業者検査等又は自主検査等の結果に係る記録を作成し、これを管理しなければならない。 3 原子力事業者等は、プロセスの次の段階に進むことの承認を行った要員を特定することができる記録を作成し、これを管理しなければならない。 4 原子力事業者等は、個別業務計画に基づく使用前事業者検査等又は自主検査等を支障なく完了するまでは、プロセスの次の段階に進むことの承認をしてはならない。 ただし、当該承認の権限を持つ要員が、個別業務計画に定める手順により特に承認をする場合は、この限りでない。 5 原子力事業者等は、保安活動の重要度に応じて、使用前事業者検査等の独立性(使用前事業者検査等を実施する要員をその対象となる機器等を所管する部門に属する要員と部門を異にする要員とすることその他の方法により、使用前事業者検査等の中立性及び信頼性が損なわれないことをいう。)を確保しなければならない。 6 前項の規定は、自主検査等について準用する。 この場合において、「部門を異にする要員」とあるのは「必要に応じて部門を異にする要員」と読み替えるものとする。 (不適合の管理)第四十九条 原子力事業者等は、個別業務等要求事項に適合しない機器等が使用され、又は個別業務が実施されることがないよう、当該機器等又は個別業務を特定し、これを管理しなければならない。
2 原子力事業者等は、不適合の処理に係る管理並びにそれに関連する責任及び権限を手順書等に定めなければならない。 3 原子力事業者等は、次に掲げる方法のいずれかにより、不適合を処理しなければならない。一 発見された不適合を除去するための措置を講ずること。
二 不適合について、あらかじめ定められた手順により原子力の安全に及ぼす影響について評価し、機器等の使用又は個別業務の実施についての承認を行うこと(以下「特別採用」という。)。
三 機器等の使用又は個別業務の実施ができないようにするための措置を講ずること。
四 機器等の使用又は個別業務の実施後に発見した不適合については、その不適合による影響又は起こり得る影響に応じて適切な措置を講ずること。
4 原子力事業者等は、不適合の内容の記録及び当該不適合に対して講じた措置(特別採用を含む。)に係る記録を作成し、これを管理しなければならない。 5 原子力事業者等は、第三項第一号の措置を講じた場合においては、個別業務等要求事項への適合性を実証するための検証を行わなければならない。 (データの分析及び評価)第五十条 原子力事業者等は、品質マネジメントシステムが実効性のあるものであることを実証するため、及び当該品質マネジメントシステムの実効性の改善の必要性を評価するために、適切なデータ(監視測定の結果から得られたデータ及びそれ以外の関連情報源からのデータを含む。)を明確にし、収集し、及び分析しなければならない。
2 原子力事業者等は、前項のデータの分析及びこれに基づく評価を行い、次に掲げる事項に係る情報を得なければならない。一 組織の外部の者からの意見の傾向及び特徴その他分析により得られる知見
二 個別業務等要求事項への適合性
三 機器等及びプロセスの特性及び傾向(是正処置を行う端緒となるものを含む。)
四 調達物品等の供給者の供給能力
(継続的な改善)第五十一条 原子力事業者等は、品質マネジメントシステムの継続的な改善を行うために、品質方針及び品質目標の設定、マネジメントレビュー及び内部監査の結果の活用、データの分析並びに是正処置及び未然防止処置の評価を通じて改善が必要な事項を明確にするとともに、当該改善の実施その他の措置を講じなければならない。
(是正処置等)第五十二条 原子力事業者等は、個々の不適合その他の事象が原子力の安全に及ぼす影響に応じて、次に掲げるところにより、速やかに適切な是正処置を講じなければならない。
一 是正処置を講ずる必要性について、次に掲げる手順により評価を行うこと。
イ 不適合その他の事象の分析及び当該不適合の原因の明確化
ロ 類似の不適合その他の事象の有無又は当該類似の不適合その他の事象が発生する可能性の明確化
二 必要な是正処置を明確にし、実施すること。
三 講じた全ての是正処置の実効性の評価を行うこと。
四 必要に応じ、計画において決定した保安活動の改善のために講じた措置を変更すること。
五 必要に応じ、品質マネジメントシステムを変更すること。
六 原子力の安全に及ぼす影響の程度が大きい不適合に関して、根本的な原因を究明するために行う分析の手順を確立し、実施すること。
七 講じた全ての是正処置及びその結果の記録を作成し、これを管理すること。
2 原子力事業者等は、前項各号に掲げる事項について、手順書等に定めなければならない。 3 原子力事業者等は、手順書等に基づき、複数の不適合その他の事象に係る情報から類似する事象に係る情報を抽出し、その分析を行い、当該類似の事象に共通する原因を明確にした上で、適切な措置を講じなければならない。 (未然防止処置)第五十三条 原子力事業者等は、原子力施設その他の施設の運転経験等の知見を収集し、自らの組織で起こり得る不適合の重要性に応じて、次に掲げるところにより、適切な未然防止処置を講じなければならない。
一 起こり得る不適合及びその原因について調査すること。
二 未然防止処置を講ずる必要性について評価すること。
三 必要な未然防止処置を明確にし、実施すること。
四 講じた全ての未然防止処置の実効性の評価を行うこと。
五 講じた全ての未然防止処置及びその結果の記録を作成し、これを管理すること。
2 原子力事業者等は、前項各号に掲げる事項について、手順書等に定めなければならない。第七章 使用者に関する特例
(令第四十一条各号に掲げる核燃料物質を使用しない使用施設等に係る品質管理に必要な体制)第五十四条 使用者(令第四十一条各号に掲げる核燃料物質を使用しない者に限る。以下同じ。)は、使用施設等の保安のための業務に係る品質管理に関し、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 個別業務に関し、継続的な改善を計画的に実施し、これを評価すること。
二 前号の措置に係る記録を作成し、これを管理すること。
2 使用者は、前項に規定する措置に関し、原子力の安全を確保することの重要性を認識し、原子力の安全がそれ以外の事由により損なわれないようにしなければならない。