第一条 この府令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 有価証券
金融商品取引法(以下「法」という。)第二条第一項に規定する有価証券及び同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利をいう。
二 オプション
法第二条第一項第十九号に規定するオプションをいう。
三 店頭売買有価証券
法第二条第八項第十号ハに規定する店頭売買有価証券をいう。
四 登録金融機関
法第二条第十一項に規定する登録金融機関をいう。
五 登録金融機関業務
法第三十三条の三第一項第六号イに規定する登録金融機関業務をいう。
六 取扱有価証券
法第六十七条の十八第四号に規定する取扱有価証券をいう。
七 投資法人
投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十二項に規定する投資法人をいう。
第二条 金融商品取引法施行令(以下この条及び第十条において「令」という。)第十四条の十五第一号に規定する内閣府令で定めるものは、法第二条第一項第五号に掲げる有価証券のうち、次に掲げる要件の全てを満たすものとする。
一 当該有価証券の発行を目的として設立又は運営される法人(次号において「特別目的法人」という。)に直接又は間接に所有者から譲渡(取得を含む。)される金銭債権その他の資産(次号において「譲渡資産」という。)が存在すること。
二 特別目的法人が当該有価証券を発行し、当該有価証券(当該有価証券の借換えのために発行されるものを含む。)上の債務の履行について譲渡資産の管理、運用又は処分を行うことにより得られる金銭を当てること。
2 令第十四条の十五第二号イに規定する不動産その他の内閣府令で定める資産は、投資信託及び投資法人に関する法律施行規則(平成十二年総理府令第百二十九号)第百五条第一号ヘに規定する不動産等資産とする。 3 令第十四条の十五第二号ロに規定する投資法人として内閣府令で定めるものは、最近営業期間(投資信託及び投資法人に関する法律第百二十九条第二項に規定する営業期間をいう。以下この項において同じ。)の決算又は公表された情報(最近営業期間がない場合又は最近営業期間の決算が確定していない場合に限る。)において投資法人の資産の総額のうちに占める前項に規定する不動産等資産の価額の合計額の割合が百分の五十を超える投資法人とする。 (売買等に当たらないもの)第三条 法第二十七条の三十六第一項ただし書に規定する内閣府令で定めるものは、取引関係者(上場会社等若しくは上場投資法人等の資産運用会社又はこれらの役員等が、その業務に関して、取引関係者に、重要情報を伝達(法第二十七条の三十六第一項に規定する伝達をいう。第十条第二号イを除き、以下同じ。)した場合における、当該取引関係者に限る。)が、当該重要情報が公表される前に行う行為のうち、次の各号のいずれかに該当する行為であって、当該取引関係者が当該行為を行ったとしても上場会社等に関する情報の開示に対する投資者の信頼を損なうおそれが少ないものとする。
一 上場有価証券等に係るオプションを取得している者が当該オプションを行使することにより上場有価証券等を取得することその他当該重要情報の伝達を受けたことと無関係に行うことが明らかな売買、権利の行使その他これに類する行為
二 会社法(平成十七年法律第八十六号)第百十六条第一項の規定による株式の買取りの請求若しくはこれに類する行為又は法令上の義務に基づく行為
三 投資者を保護するための法令上の手続に従い行う行為であって、上場会社等において、当該行為以前に、当該取引関係者に対して重要情報を伝達する合理的な理由があり、かつ、当該重要情報を公表することができない事情があるもの
四 合併、分割又は事業の全部若しくは一部の譲渡若しくは譲受けにより上場有価証券等を承継させ、又は承継する行為
(取引関係者)第四条 法第二十七条の三十六第一項第一号に規定する金融商品取引業者、登録金融機関、信用格付業者又は投資法人その他の内閣府令で定める者は、次に掲げる者とする。
一 金融商品取引業者(投資法人である上場会社等又はその役員等が、その業務に関して、当該上場会社等の資産の運用に係る業務の委託先である上場投資法人等の資産運用会社に重要情報を伝達する場合における、当該上場投資法人等の資産運用会社を除く。)
二 登録金融機関
三 信用格付業者その他信用格付業を行う者
四 投資法人(上場投資法人等の資産運用会社又はその役員等が、その業務に関して、当該上場投資法人等の資産運用会社に資産の運用に係る業務を委託している投資法人である上場会社等に重要情報を伝達する場合における、当該投資法人を除く。)
五 専門的知識及び技能を用いて有価証券の価値等(法第二条第八項第十一号イに規定する有価証券の価値等をいう。)又は金融商品の価値等(同号ロに規定する金融商品の価値等をいう。)の分析及びこれに基づく評価を行い、特定の投資者に当該分析又は当該評価の内容の提供を行う業務により継続的な報酬を受けている者
六 高速取引行為者
七 外国の法令に準拠して設立された法人で外国において金融商品取引業、登録金融機関業務、信用格付業、第五号に規定する業務若しくは高速取引行為と同種類の業務を行う者又は投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二十五項に規定する外国投資法人
(重要情報の適切な管理のために必要な措置)第五条 法第二十七条の三十六第一項第一号に規定する内閣府令で定める措置は、前条各号(第四号を除く。)に掲げる者において、金融商品取引業等(金融商品取引業、有価証券に関連する情報の提供若しくは助言を行う業務、登録金融機関業務、信用格付業、前条第五号に規定する業務、高速取引行為又は外国の法令に準拠して設立された法人が外国において行うこれらの業務と同種類の業務をいう。以下この条及び次条において同じ。)以外の業務を遂行する過程において、上場会社等若しくは上場投資法人等の資産運用会社又はこれらの役員等から伝達を受けた重要情報を、当該重要情報が公表される前に金融商品取引業等において利用しないための的確な措置とする。
(金融商品取引業に係る業務に従事していない者)第六条 法第二十七条の三十六第一項第一号に規定する金融商品取引業に係る業務に従事していない者として内閣府令で定める者は、前条に規定する措置を講じている第四条各号(第四号を除く。)に掲げる者において、金融商品取引業等以外の業務に従事する者が金融商品取引業等以外の業務を遂行する過程において重要情報の伝達を受けた場合における当該者とする。
(上場有価証券等に係る売買等を行う蓋然性の高い者)第七条 法第二十七条の三十六第一項第二号に規定する内閣府令で定める者は、上場会社等の投資者に対する広報に係る業務に関して重要情報の伝達を受ける次に掲げる者(第一号から第三号までにあっては、当該者が法人その他の団体である場合における当該法人その他の団体の役員等(上場有価証券等に投資をするのに必要な権限を有する者及び当該者に対して有価証券に関連する情報の提供又は助言を行う者に限る。)を含む。)とする。
一 当該上場会社等に係る上場有価証券等(当該上場会社等が発行するものに限る。)の保有者(当該者が第四条各号に掲げる者である場合にあっては、前条に規定する金融商品取引業に係る業務に従事していない者に限る。)
二 法第二条第三項第一号に規定する適格機関投資家(当該者が第四条各号に掲げる者である場合にあっては、前条に規定する金融商品取引業に係る業務に従事していない者に限る。)
三 有価証券に対する投資を行うことを主たる目的とする法人その他の団体(外国の法令に準拠して設立されたものを含む。)
四 上場会社等の運営、業務又は財産に関する情報を特定の投資者等に提供することを目的とした会合の出席者(当該会合に出席している間に限る。)
(重要情報の伝達と同時にこれを公表することが困難な場合)第八条 法第二十七条の三十六第二項に規定する内閣府令で定める場合とは、次の各号のいずれかに該当する場合とする。
一 上場会社等又は上場投資法人等の資産運用会社の役員等が、その業務に関して、取引関係者に意図せず重要情報を伝達した場合
二 上場会社等若しくは上場投資法人等の資産運用会社又はこれらの役員等が、その業務に関して、取引関係者に重要情報の伝達を行った時において、当該伝達の相手方が取引関係者であることを知らなかった場合
(やむを得ない理由により公表することができない場合)第九条 法第二十七条の三十六第三項ただし書に規定する内閣府令で定める場合は、同条第一項ただし書の場合において、次に掲げるやむを得ない理由により重要情報を公表することができないときとする。
一 取引関係者が受領した重要情報が、上場会社等若しくはその親会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和三十八年大蔵省令第五十九号)第八条第三項に規定する親会社をいう。)若しくは子会社(同項に規定する子会社(同条第七項の規定により子会社に該当しないものと推定される特別目的会社を除く。)をいう。以下この号並びに次条第一号及び第二号において同じ。)又は上場投資法人等の資産運用会社が行い、又は行おうとしている次に掲げる行為に係るものであって、当該重要情報を公表することにより、当該行為の遂行に重大な支障が生ずるおそれがあるとき。 イ 合併
ロ 会社の分割
ハ 株式交換
ニ 株式移転
ホ 株式交付
ヘ 事業の全部又は一部の譲渡又は譲受け
ト 法第二十七条の二第一項に規定する公開買付け又は法第二十七条の二十二の二第一項に規定する公開買付け
チ 子会社(上場会社等の子会社が当該行為を行い、又は行おうとしている場合にあっては、孫会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第八条第三項の規定に基づき上場会社等の子会社としてみなされる会社のうち同項及び同条第四項により当該子会社が意思決定機関を支配しているものとされる会社をいう。))の異動を伴う株式又は持分の譲渡又は取得
リ 破産手続開始、再生手続開始又は更生手続開始の申立て
ヌ 資本若しくは業務上の提携又は資本若しくは業務上の提携の解消
二 取引関係者が受領した重要情報が、上場会社等が発行する法第二条第一項第七号、第九号若しくは第十一号に掲げる有価証券の募集若しくは売出し又はこれに類する行為に係るものであって、当該重要情報を公表することにより、当該行為の遂行に重大な支障が生ずるおそれがあるとき。
(重要情報の公表の方法)第十条 法第二十七条の三十六第一項から第三項までの規定により重要情報を公表しようとする上場会社等は、次に掲げる方法のいずれかにより行わなければならない。
一 上場会社等、当該上場会社等の子会社又は上場投資法人等の資産運用会社が、重要情報が記載された法第二十五条第一項(法第二十七条において準用する場合を含む。)に規定する書類(同項第九号に掲げる書類を除く。)を提出する方法(当該書類が同項の規定により公衆の縦覧に供された場合に限る。)
二 上場会社等、当該上場会社等の子会社若しくは上場投資法人等の資産運用会社を代表すべき取締役、執行役若しくは執行役員(協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号)第二条第一項に規定する協同組織金融機関を代表すべき役員を含む。以下この号において同じ。)又は当該取締役、執行役若しくは執行役員から重要情報を公開することを委任された者が、当該重要情報を次に掲げる報道機関の二以上を含む報道機関に対して公開する方法(次に掲げる報道機関のうち少なくとも二の報道機関に対して公開した時から十二時間が経過した場合に限る。) イ 国内において時事に関する事項を総合して報道する日刊新聞紙の販売を業とする新聞社及び当該新聞社に時事に関する事項を総合して伝達することを業とする通信社
ロ 国内において産業及び経済に関する事項を全般的に報道する日刊新聞紙の販売を業とする新聞社
ハ 日本放送協会及び基幹放送事業者(令第九条の四第三号に規定する基幹放送事業者をいう。)
三 上場会社等の発行する有価証券を上場する各金融商品取引所(当該有価証券が店頭売買有価証券である場合にあっては当該有価証券を登録する各認可金融商品取引業協会とし、当該有価証券が取扱有価証券である場合にあっては当該有価証券の取扱有価証券としての指定を行う各認可金融商品取引業協会とする。以下この号及び次号において同じ。)の規則で定めるところにより、当該上場会社等又は上場投資法人等の資産運用会社が、重要情報を当該金融商品取引所に通知する方法(当該通知された重要情報が、当該金融商品取引所において日本語で公衆の縦覧に供された場合に限る。)
四 上場会社等であってその発行する令第十四条の十六各号に掲げる有価証券が全て特定投資家向け有価証券(法第四条第三項に規定する特定投資家向け有価証券をいう。)である者の発行する有価証券を上場する各金融商品取引所の規則で定めるところにより、当該上場会社等又は上場投資法人等の資産運用会社が、重要情報を当該金融商品取引所に通知する方法(当該通知された重要情報が、当該金融商品取引所において英語で公衆の縦覧に供された場合に限る。)
五 上場会社等がそのウェブサイトに重要情報を掲載する方法(当該ウェブサイトに掲載された重要情報が集約されている場合であって、掲載した時から少なくとも一年以上投資者が無償でかつ容易に重要情報を閲覧することができるようにされているときに限る。)
附則
この府令は、平成三十年四月一日から施行する。附則(令和三年二月三日内閣府令第五号)
(施行期日)
第一条 この府令は、会社法の一部を改正する法律の施行の日(令和三年三月一日)から施行する。
附則(令和六年三月二七日内閣府令第二九号)
(施行期日)
第一条 この府令は、令和六年四月一日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第十九条 この府令の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの府令の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。