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平成二十五年法律第四十八号
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律

施行日:

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第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、不法な連れ去り又は不法な留置がされた場合において子をその常居所を有していた国に返還すること等を定めた国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「条約」という。)の的確な実施を確保するため、我が国における中央当局を指定し、その権限等を定めるとともに、子をその常居所を有していた国に迅速に返還するために必要な裁判手続等を定め、もって子の利益に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

条約締約国 日本国及び日本国との間で条約が効力を有している条約の締約国(当該締約国が条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該締約国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。

子 父母その他の者に監護される者をいう。

連れ去り 子をその常居所を有する国から離脱させることを目的として当該子を当該国から出国させることをいう。

留置 子が常居所を有する国からの当該子の出国の後において、当該子の当該国への渡航が妨げられていることをいう。

常居所地国 連れ去りの時又は留置の開始の直前に子が常居所を有していた国(当該国が条約の締約国であり、かつ、条約第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定による宣言をしている場合にあっては、当該宣言により条約が適用される当該国の領域の一部又は領域内の地域)をいう。

不法な連れ去り 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する連れ去りであって、当該連れ去りの時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該連れ去りがなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。

不法な留置 常居所地国の法令によれば監護の権利を有する者の当該権利を侵害する留置であって、当該留置の開始の時に当該権利が現実に行使されていたもの又は当該留置がなければ当該権利が現実に行使されていたと認められるものをいう。

子の返還 子の常居所地国である条約締約国への返還をいう。

第二章 子の返還及び子との面会その他の交流に関する援助

第一節 中央当局の指定

第三条 我が国の条約第六条第一項の中央当局は、外務大臣とする。

第二節 子の返還に関する援助

第一款 外国返還援助

(外国返還援助申請)

第四条 日本国への連れ去りをされ、又は日本国において留置をされている子であって、その常居所地国が条約締約国であるものについて、当該常居所地国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国からの子の返還を実現するための援助(以下「外国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。

外国返還援助の申請(以下「外国返還援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。

外国返還援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は事務所(外国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の常居所地国におけるものに限る。第七条第一項第四号において同じ。)の所在地

申請に係る子の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項

申請に係る子の連れ去りをし、又は留置をしていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項

申請に係る子の常居所地国が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項

申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有し、かつ、申請に係る子の連れ去り又は留置により当該監護の権利が侵害されていることを明らかにするために必要な事項

申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨)

前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。

外国返還援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局(条約第六条に規定する中央当局をいう。以下同じ。)を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。

(子の住所等に関する情報の提供の求め等)

第五条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合において、必要と認めるときは、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の氏名及び住所又は居所を特定するため、政令で定めるところにより、次に掲げる機関及び法人(第十五条第一項において「国の行政機関等」という。)の長、地方公共団体の長その他の執行機関並びに申請に係る子及び申請に係る子と同居している者に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該氏名又は当該住所若しくは居所に関する情報の提供を求めることができる。

法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)

内閣府並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関

国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関

内閣府設置法第四十条第二項及び第五十六条の特別の機関

国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関

独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人

国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人

前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。

外務大臣は、前項の規定により提供された情報が、申請に係る子が日本国内に所在していることを示すものであるが、申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の所在を特定するために十分でない場合には、外務省令で定めるところにより、都道府県警察に対し、当該情報を提供して、これらの者の所在を特定するために必要な措置をとることを求めることができる。

前項に規定するもののほか、外務大臣からの第二項の規定により提供された情報及び前項の規定による都道府県警察の措置によって得られた情報の提供は、次に掲げる場合に限り、行うことができる。

第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との面会その他の交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは家事調停の申立てをするために申請に係る子と同居している者の氏名を必要とする申請者から当該氏名の開示を求められた場合において、当該氏名を当該申請者に開示するとき。

申請に係る子についての第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との面会その他の交流に関する事件若しくは子との面会その他の交流の強制執行に係る事件が係属している裁判所から、その手続を行うために申請に係る子及び申請に係る子と同居している者の住所又は居所の確認を求められた場合において、当該住所又は居所をこれらの裁判所に開示するとき。

第十条第一項の規定により、市町村、都道府県の設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所をいう。以下この号及び同項において同じ。)又は児童相談所(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に規定する児童相談所をいう。同号及び同項において同じ。)に対し、申請に係る子が虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由がある旨を通告する場合において、申請に係る子及び申請に係る子と同居していると思料される者の氏名及び住所又は居所を当該市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に通知するとき。

(外国返還援助の決定及び通知)

第六条 外務大臣は、外国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第八条第一項の規定により当該外国返還援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、外国返還援助の決定(以下「外国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が第四条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して外国返還援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第八条第二項において同じ。)をしなければならない。

外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。

第九条又は第十条に規定する措置

条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡

この法律に定める手続その他子の返還又は子との面会その他の交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供

(外国返還援助申請の却下)

第七条 外務大臣は、外国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国返還援助申請を却下する。

申請に係る子が十六歳に達していること。

申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。

申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。

申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。

申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子の常居所地国が条約締約国でなかったこと。

申請に係る子の常居所地国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。

外務大臣は、前項の規定により外国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。

(外国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付)

第八条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、外国返還援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第四条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により外国返還援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。

外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。

(合意による子の返還等の促進)

第九条 外務大臣は、外国返還援助決定をした場合には、申請に係る子について子の返還又は申請者との面会その他の交流を申請者及び申請に係る子を監護している者の合意により実現するため、これらの者の間の協議のあっせんその他の必要な措置をとることができる。

(子の虐待に係る通告)

第十条 外務大臣は、申請に係る子が日本国内に所在している場合において、虐待を受けているおそれがあると信ずるに足りる相当な理由があるときは、市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所に対し、その旨を通告しなければならない。

前項の規定による通告は、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第六条第一項の規定による通告とみなして、同条第二項及び第三項並びに同法第七条及び第八条の規定を適用する。

第二款 日本国返還援助

(日本国返還援助申請)

第十一条 日本国以外の条約締約国への連れ去りをされ、又は日本国以外の条約締約国において留置をされている子であって、その常居所地国が日本国であるものについて、日本国の法令に基づき監護の権利を有する者は、当該連れ去り又は留置によって当該監護の権利が侵害されていると思料する場合には、日本国への子の返還を実現するための援助(以下「日本国返還援助」という。)を外務大臣に申請することができる。

第四条第二項及び第三項の規定は、日本国返還援助の申請(以下「日本国返還援助申請」という。)について準用する。 この場合において、同条第二項第一号中「第七条第一項第四号」とあるのは「第十三条第一項第四号」と、同項第四号中「条約締約国」とあり、及び同項第五号中「申請に係る子の常居所地国」とあるのは「日本国」と読み替えるものとする。

(日本国返還援助の決定及び通知)

第十二条 外務大臣は、日本国返還援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、日本国返還援助の決定(以下「日本国返還援助決定」という。)をし、遅滞なく、日本国返還援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。

外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十四条に規定する措置をとるものとする。

外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。

第十五条に規定する措置

条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡

(日本国返還援助申請の却下)

第十三条 外務大臣は、日本国返還援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国返還援助申請を却下する。

日本国返還援助申請において返還を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。

申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。

申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。

申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所(申請者が法人その他の団体である場合にあっては、事務所の所在地)が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。

申請に係る子の常居所地国が日本国でないことが明らかであること。

申請に係る子の連れ去りの時又は留置の開始の時に、申請に係る子が所在していると思料される国又は地域が条約締約国でなかったこと。

日本国の法令に基づき申請者が申請に係る子についての監護の権利を有していないことが明らかであり、又は申請に係る子の連れ去り若しくは留置により当該監護の権利が侵害されていないことが明らかであること。

外務大臣は、前項の規定により日本国返還援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。

(日本国返還援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付)

第十四条 外務大臣は、日本国返還援助決定をした場合には、第十一条第二項において準用する第四条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。

外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。

(子の社会的背景に関する情報の条約締約国の中央当局への提供)

第十五条 外務大臣は、日本国への子の返還に関する事件が日本国以外の条約締約国の裁判所又はその他の審判を行う機関(以下この項及び次項において「外国裁判所等」という。)に係属しており、当該条約締約国の中央当局から当該子の返還に係る子の日本国内における心身、養育及び就学の状況その他の生活及び取り巻く環境の状況に関する情報の提供を求められた場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該条約締約国の中央当局に提供するために、政令で定めるところにより、国の行政機関等の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び当該子に関する情報を有している者として政令で定める者に対し、その有する当該情報の提供を求めることができる。

当該中央当局が、当該外国裁判所等の依頼を受けて当該事件に関する調査を行うために外務大臣に対し当該情報の提供を求めており、かつ、当該調査以外の目的のために当該情報を利用するおそれがないと認められるとき。

当該事件に係る外国裁判所等の手続の当事者(当該子が当該手続の当事者である場合にあっては、当該子を除く。)が当該情報を当該中央当局に提供することに同意しているとき。

前項の場合において、同項に規定する情報の提供を求められた者は、次の各号のいずれにも該当するときは、遅滞なく、当該情報を外務大臣に提供するものとする。

当該情報を前項に規定する中央当局に提供することによって同項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認めるとき。

当該情報が、前項に規定する子及び同項に規定する事件に係る外国裁判所等の手続の当事者の知り得る状態にあり、かつ、これらの者以外の特定の個人を識別することができる情報を含まないとき。

外務大臣は、前項の規定により提供された情報を、第一項に規定する中央当局に対してのみ提供することができる。

第三節 子との面会その他の交流に関する援助

第一款 日本国面会交流援助

(日本国面会交流援助申請)

第十六条 日本国内に所在している子であって、面会その他の交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき面会その他の交流をすることができる者(日本国以外の条約締約国に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との面会その他の交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との面会その他の交流を実現するための援助(以下「日本国面会交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。

日本国面会交流援助の申請(以下「日本国面会交流援助申請」という。)を行おうとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書(日本語又は英語により記載したものに限る。)を外務大臣に提出しなければならない。

日本国面会交流援助申請をする者(以下この款において「申請者」という。)の氏名及び住所又は居所

日本国面会交流援助申請において面会その他の交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)の氏名、生年月日及び住所又は居所(これらの事項が明らかでないときは、その旨)その他申請に係る子を特定するために必要な事項

申請に係る子との面会その他の交流を妨げていると思料される者の氏名その他当該者を特定するために必要な事項

申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国であることを明らかにするために必要な事項

申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができ、かつ、申請者の申請に係る子との面会その他の交流が妨げられていることを明らかにするために必要な事項

申請に係る子と同居していると思料される者の氏名、住所又は居所その他当該者を特定するために必要な事項(これらの事項が明らかでないときは、その旨)

前項の申請書には、同項第五号に掲げる事項を証明する書類その他外務省令で定める書類を添付しなければならない。

日本国面会交流援助申請は、日本国以外の条約締約国の中央当局を経由してすることができる。 この場合において、申請者は、第二項各号に掲げる事項を記載した書面(日本語若しくは英語により記載したもの又は日本語若しくは英語による翻訳文を添付したものに限る。)及び前項に規定する書類を外務大臣に提出しなければならない。

(日本国面会交流援助の決定及び通知)

第十七条 外務大臣は、日本国面会交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合及び第十九条第一項の規定により当該日本国面会交流援助申請に係る書類の写しを送付する場合を除き、日本国面会交流援助の決定(以下「日本国面会交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、申請者にその旨の通知(申請者が前条第四項の規定により日本国以外の条約締約国の中央当局を経由して日本国面会交流援助申請をした場合にあっては、当該中央当局を経由してする通知。次条第二項及び第十九条第二項において同じ。)をしなければならない。

外務大臣は、日本国面会交流援助決定をした場合には、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。

第二十条において準用する第九条又は第十条に規定する措置

条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡

この法律に定める手続その他子との面会その他の交流の実現に関連する日本国の法令に基づく制度に関する情報の申請者への提供

(日本国面会交流援助申請の却下)

第十八条 外務大臣は、日本国面会交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該日本国面会交流援助申請を却下する。

申請に係る子が十六歳に達していること。

申請に係る子が日本国内に所在していないことが明らかであり、かつ、申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。

申請に係る子が条約締約国以外の国又は地域に所在していることが明らかであること。

申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。

申請者が日本国内に住所若しくは居所を有していることが明らかであり、又は日本国以外の条約締約国に住所若しくは居所を有していないことが明らかであること。

申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。

申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との面会その他の交流が妨げられていないことが明らかであること。

外務大臣は、前項の規定により日本国面会交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由の通知をしなければならない。

(日本国面会交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付)

第十九条 外務大臣は、申請に係る子が日本国以外の条約締約国に所在していることが明らかである場合において、日本国面会交流援助申請が前条第一項第四号に該当しないときは、第十六条第二項の申請書(申請者が同条第四項の規定により日本国面会交流援助申請をした場合にあっては、同項に規定する書面)及び同条第三項に規定する書類の写しを当該条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。

外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨の通知をしなければならない。

(日本国面会交流援助に関する準用規定)

第二十条 第五条、第九条及び第十条の規定は、外務大臣に対し日本国面会交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、第五条第四項第一号中「第二十六条の規定による子の返還の申立て又は子との面会その他の交流の定めをすること若しくはその変更を求める家事審判若しくは」とあるのは「子との面会その他の交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は」と、同項第二号中「第二十九条に規定する子の返還に関する事件若しくは子の返還の強制執行に係る事件が係属している裁判所又は申請に係る子についての子との面会その他の交流に関する事件若しくは」とあるのは「子との面会その他の交流に関する事件又は」と、「これらの」とあるのは「当該」と、第九条中「子の返還又は申請者」とあるのは「申請者」と読み替えるものとする。

第二款 外国面会交流援助

(外国面会交流援助申請)

第二十一条 日本国以外の条約締約国に所在している子であって、面会その他の交流をすることができなくなる直前に常居所を有していた国又は地域が条約締約国であるものについて、当該国又は地域の法令に基づき面会その他の交流をすることができる者(日本国内に住所又は居所を有しているものに限る。)は、当該子との面会その他の交流が妨げられていると思料する場合には、当該子との面会その他の交流を実現するための援助(以下「外国面会交流援助」という。)を外務大臣に申請することができる。

第十六条第二項及び第三項の規定は、外国面会交流援助の申請(以下「外国面会交流援助申請」という。)について準用する。

(外国面会交流援助の決定及び通知)

第二十二条 外務大臣は、外国面会交流援助申請があった場合には、次条第一項の規定によりこれを却下する場合を除き、外国面会交流援助の決定(以下「外国面会交流援助決定」という。)をし、遅滞なく、外国面会交流援助申請をした者(以下この款において「申請者」という。)にその旨を通知しなければならない。

外務大臣は、外国面会交流援助決定をした場合には、第二十四条に規定する措置をとるものとする。

外務大臣は、外国面会交流援助決定をした場合には、前項に規定するもののほか、必要に応じ、次に掲げる措置をとるものとする。

第二十五条において準用する第十五条に規定する措置

条約の実施のための日本国以外の条約締約国の中央当局との連絡

(外国面会交流援助申請の却下)

第二十三条 外務大臣は、外国面会交流援助申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国面会交流援助申請を却下する。

外国面会交流援助申請において面会その他の交流を求められている子(以下この款において「申請に係る子」という。)が十六歳に達していること。

申請に係る子が所在している国又は地域が明らかでないこと。

申請に係る子が日本国又は条約締約国以外の国若しくは地域に所在していることが明らかであること。

申請に係る子の所在地及び申請者の住所又は居所が同一の条約締約国内にあることが明らかであること。

申請者が日本国内に住所又は居所を有していないことが明らかであること。

申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国又は地域が条約締約国でないこと。

申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができなくなる直前に申請に係る子が常居所を有していた国若しくは地域の法令に基づき申請者が申請に係る子と面会その他の交流をすることができないことが明らかであり、又は申請者の申請に係る子との面会その他の交流が妨げられていないことが明らかであること。

外務大臣は、前項の規定により外国面会交流援助申請を却下した場合には、申請者に直ちにその旨及びその理由を通知しなければならない。

(外国面会交流援助申請に係る書類の写しの条約締約国の中央当局への送付)

第二十四条 外務大臣は、外国面会交流援助決定をした場合には、第二十一条第二項において準用する第十六条第二項の申請書及び同条第三項に規定する書類の写しを申請に係る子が所在している条約締約国の中央当局に遅滞なく送付しなければならない。

外務大臣は、前項の規定による送付をした場合には、申請者にその旨を通知しなければならない。

(外国面会交流援助に関する準用規定)

第二十五条 第十五条の規定は、外務大臣に対し外国面会交流援助申請があった場合について準用する。 この場合において、同条第一項中「日本国への子の返還」とあるのは「申請に係る子についての子との面会その他の交流」と、「当該子の返還に係る子」とあるのは「申請に係る子」と読み替えるものとする。

第三章 子の返還に関する事件の手続等

第一節 返還事由等

(条約に基づく子の返還)

第二十六条 日本国への連れ去り又は日本国における留置により子についての監護の権利を侵害された者は、子を監護している者に対し、この法律の定めるところにより、常居所地国に子を返還することを命ずるよう家庭裁判所に申し立てることができる。

(子の返還事由)

第二十七条 裁判所は、子の返還の申立てが次の各号に掲げる事由のいずれにも該当すると認めるときは、子の返還を命じなければならない。

子が十六歳に達していないこと。

子が日本国内に所在していること。

常居所地国の法令によれば、当該連れ去り又は留置が申立人の有する子についての監護の権利を侵害するものであること。

当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に、常居所地国が条約締約国であったこと。

(子の返還拒否事由等)

第二十八条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、子の返還を命じてはならない。 ただし、第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは、子の返還を命ずることができる。

子の返還の申立てが当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時から一年を経過した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。

申立人が当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に子に対して現実に監護の権利を行使していなかったこと(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)。

申立人が当該連れ去りの前若しくは当該留置の開始の前にこれに同意し、又は当該連れ去りの後若しくは当該留置の開始の後にこれを承諾したこと。

常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。

子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること。

常居所地国に子を返還することが日本国における人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められないものであること。

2 裁判所は、前項第四号に掲げる事由の有無を判断するに当たっては、次に掲げる事情その他の一切の事情を考慮するものとする。

常居所地国において子が申立人から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次号において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無

相手方及び子が常居所地国に入国した場合に相手方が申立人から子に心理的外傷を与えることとなる暴力等を受けるおそれの有無

申立人又は相手方が常居所地国において子を監護することが困難な事情の有無

3 裁判所は、日本国において子の監護に関する裁判があったこと又は外国においてされた子の監護に関する裁判が日本国で効力を有する可能性があることのみを理由として、子の返還の申立てを却下する裁判をしてはならない。 ただし、これらの子の監護に関する裁判の理由を子の返還の申立てについての裁判において考慮することを妨げない。

第二節 子の返還に関する事件の手続の通則

(子の返還に関する事件の手続)

第二十九条 子の返還に関する事件(第三十二条第一項に規定する子の返還申立事件、第百二十一条の規定による調査及び勧告の事件並びに第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件をいう。以下同じ。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

(裁判所及び当事者の責務)

第三十条 裁判所は、子の返還に関する事件の手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に子の返還に関する事件の手続を追行しなければならない。

(最高裁判所規則)

第三十一条 この法律に定めるもののほか、子の返還に関する事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

第三節 子の返還申立事件の手続

第一款 総則

第二款 第一審裁判所における子の返還申立事件の手続

第三款 不服申立て

第四款 終局決定の変更

(終局決定の変更)

第百十七条 子の返還を命ずる終局決定をした裁判所(その決定に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定(第百七条第二項の規定による決定を除く。以下この項において同じ。)をしたときは、当該抗告裁判所)は、子の返還を命ずる終局決定が確定した後に、事情の変更によりその決定を維持することを不当と認めるに至ったときは、当事者の申立てにより、その決定(当該抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定をした場合にあっては、当該終局決定)を変更することができる。 ただし、子が常居所地国に返還された後は、この限りでない。

前項の規定による終局決定の変更の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

当事者及び法定代理人

変更を求める終局決定の表示及びその決定に対して変更を求める旨

終局決定の変更を求める理由

裁判所は、第一項の規定により終局決定を変更するときは、当事者(同項の申立てをした者を除く。)の陳述を聴かなければならない。

第一項の申立てを却下する終局決定に対しては、当該申立てをした者は、即時抗告をすることができる。

第一項の規定により終局決定を変更する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

前各項に規定するもののほか、第一項の規定による終局決定の変更の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。

(執行停止の裁判)

第百十八条 裁判所は、前条第一項の申立てがあった場合において、同項の規定による変更の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点につき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。

前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。

第五款 再審

(再審)

第百十九条 確定した終局決定その他の裁判(事件を完結するものに限る。第五項において同じ。)に対しては、再審の申立てをすることができる。

再審の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。

民事訴訟法第四編の規定(同法第三百四十一条及び第三百四十九条の規定を除く。)は、第一項の再審の申立て及びこれに関する手続について準用する。 この場合において、同法第三百四十八条第一項中「不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする」とあるのは、「本案の審理及び裁判をする」と読み替えるものとする。

前項において準用する民事訴訟法第三百四十六条第一項の再審開始の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。

第三項において準用する民事訴訟法第三百四十八条第二項の規定により終局決定その他の裁判に対する再審の申立てを棄却する決定に対しては、当該終局決定その他の裁判に対し即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。

(執行停止の裁判)

第百二十条 裁判所は、前条第一項の再審の申立てがあった場合において、不服の理由として主張した事情が法律上理由があるとみえ、事実上の点につき疎明があり、かつ、執行により償うことができない損害が生ずるおそれがあることにつき疎明があったときは、申立てにより、担保を立てさせて、若しくは立てさせないで強制執行の一時の停止を命じ、又は担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。

前項の規定による申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

第百九条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。

第四節 義務の履行状況の調査及び履行の勧告

第百二十一条 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所(抗告裁判所が子の返還を命ずる終局決定をした場合にあっては、第一審裁判所である家庭裁判所。以下同じ。)は、権利者の申出があるときは、子の返還の義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる。

2 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所は、前項の規定による調査及び勧告を他の家庭裁判所に嘱託することができる。

3 子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所並びに前項の規定により調査及び勧告の嘱託を受けた家庭裁判所(次項及び第五項においてこれらの家庭裁判所を「調査及び勧告をする家庭裁判所」という。)は、家庭裁判所調査官に第一項の規定による調査及び勧告をさせることができる。

4 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告に必要な調査を外務大臣に嘱託するほか、官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は学校、保育所その他適当と認める者に対し子の生活の状況その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。

5 調査及び勧告をする家庭裁判所は、第一項の規定による調査及び勧告の事件の関係人から当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求があった場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。

6 第一項の規定による調査及び勧告の手続には、その性質に反しない限り、前節第一款の規定を準用する。

7 前各項の規定は、和解によって定められた義務の履行について準用する。

第五節 出国禁止命令

(出国禁止命令)

第百二十二条 子の返還申立事件が係属する家庭裁判所は、子の返還申立事件の当事者が子を日本国外に出国させるおそれがあるときは、子の返還申立事件の一方の当事者の申立てにより、他方の当事者に対し、子を出国させてはならないことを命ずることができる。

2 家庭裁判所は、前項の規定による申立てに係る事件の相手方が子が名義人となっている旅券を所持すると認めるときは、申立てにより、同項の規定による裁判において、当該旅券の外務大臣への提出を命じなければならない。

3 子の返還申立事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前二項の規定による裁判(以下「出国禁止命令」という。)をする。

4 出国禁止命令は、子の返還の申立てについての終局決定の確定により、その効力を失う。

(出国禁止命令の申立て等)

第百二十三条 出国禁止命令の申立ては、その趣旨及び出国禁止命令を求める事由を明らかにしてしなければならない。

2 出国禁止命令を求める事由については、出国禁止命令の申立てに係る事件(以下「出国禁止命令事件」という。)の申立人が資料を提出しなければならない。

3 前条第二項の規定による裁判の申立ては、出国禁止命令があるまで、取り下げることができる。

4 民事訴訟法第二百六十一条第三項及び第二百六十二条第一項の規定は、出国禁止命令の申立ての取下げについて準用する。 この場合において、同法第二百六十一条第三項ただし書中「口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)」とあるのは、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百二十三条第二項に規定する出国禁止命令事件の手続の期日」と読み替えるものとする。

(陳述の聴取)

第百二十四条 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方の陳述を聴かなければ、することができない。 ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより出国禁止命令の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

(記録の閲覧等)

第百二十五条 裁判所は、第百三十三条において準用する第六十二条第三項の規定にかかわらず、出国禁止命令事件について、出国禁止命令事件の当事者から同条第一項又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、出国禁止命令事件の相手方に対し、出国禁止命令事件が係属したことを通知し、又は出国禁止命令を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。

(出国禁止命令の告知及び効力)

第百二十六条 出国禁止命令の申立てについての裁判は、出国禁止命令事件の当事者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。

2 出国禁止命令は、出国禁止命令事件の相手方に告知することによってその効力を生じ、出国禁止命令の申立てを却下する裁判は、出国禁止命令事件の申立人に告知することによってその効力を生ずる。

(即時抗告)

第百二十七条 出国禁止命令事件の当事者は、出国禁止命令の申立てについての裁判に対し、即時抗告をすることができる。

(即時抗告に伴う執行停止)

第百二十八条 前条の規定により即時抗告が提起された場合において、原裁判の取消しの原因となることが明らかな事情及び原裁判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、又は担保を立てさせないで原裁判の執行の停止を命ずることができる。 出国禁止命令事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、この処分を命ずることができる。

2 第百二十三条第二項の規定は前項の申立てについて、第百九条第二項及び第三項の規定は前項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について、それぞれ準用する。

(出国禁止命令の取消し)

第百二十九条 第百二十二条第一項の規定による裁判が確定した後に、当該裁判を求める事由の消滅その他の事情の変更があるときは、子の返還申立事件が係属する裁判所は、当該裁判を受けた者の申立てにより、当該裁判の取消しの裁判をすることができる。

2 裁判所が、第百二十二条第一項の規定による裁判を取り消す場合において、同条第二項の規定による裁判がされているときは、裁判所は、当該裁判をも取り消さなければならない。

3 第百二十三条及び前三条の規定は、第一項の申立て及び当該申立てについての裁判について準用する。

(調書の作成)

第百三十条 裁判所書記官は、出国禁止命令事件及び前条第一項の規定による申立てに係る事件(第百三十三条において「出国禁止命令取消事件」という。)の手続の期日について、調書を作成しなければならない。 ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。

(外務大臣による旅券の保管)

第百三十一条 外務大臣は、第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者から当該裁判に係る旅券の提出を受けたときは、当該旅券を保管しなければならない。

2 外務大臣は、出国禁止命令が効力を失ったときは、前項の旅券の提出を行った者の求めにより、当該旅券を返還しなければならない。

(過料の裁判)

第百三十二条 第百二十二条第二項の規定による裁判を受けた者が当該裁判に従わないときは、裁判所は、二十万円以下の過料に処する。

(子の返還申立事件の手続規定の準用)

第百三十三条 出国禁止命令事件及び出国禁止命令取消事件の手続については、特別の定めがある場合を除き、第三節第一款から第三款まで及び第五款(第七十二条、第八十四条、第八十五条、第八十七条、第八十九条、第九十条、第九十九条及び第百条を除く。)の規定を準用する。 この場合において、第九十四条第二項第二号中「理由」とあるのは、「理由の要旨」と読み替えるものとする。

第四章 子の返還の執行手続に関する民事執行法の特則

(子の返還の強制執行)

第百三十四条 子の返還の強制執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百七十一条第一項の規定により執行裁判所が第三者に子の返還を実施させる決定をする方法により行うほか、同法第百七十二条第一項に規定する方法により行う。

2 前項の強制執行は、確定した子の返還を命ずる終局決定(確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有するものを含む。)の正本に基づいて実施する。

(子の年齢による子の返還の強制執行の制限)

第百三十五条 子が十六歳に達した場合には、民事執行法第百七十一条第一項の規定による子の返還の強制執行(同項の規定による決定に基づく子の返還の実施を含む。以下「子の返還の代替執行」という。)は、することができない。

2 民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による子の返還の強制執行の手続において、執行裁判所は、子が十六歳に達した日の翌日以降に子を返還しないことを理由として、同項の規定による金銭の支払を命じてはならない。

(子の返還の代替執行と間接強制との関係)

第百三十六条 子の返還の代替執行の申立ては、次の各号のいずれかに該当するときでなければすることができない。

民事執行法第百七十二条第一項の規定による決定が確定した日から二週間を経過したとき(当該決定において定められた債務を履行すべき一定の期間の経過がこれより後である場合にあっては、その期間を経過したとき)。

民事執行法第百七十二条第一項に規定する方法による強制執行を実施しても、債務者が常居所地国に子を返還する見込みがあるとは認められないとき。

子の急迫の危険を防止するため直ちに子の返還の代替執行をする必要があるとき。

(子の返還の代替執行の申立て)

第百三十七条 子の返還の代替執行の申立ては、債務者に代わって常居所地国に子を返還する者(以下「返還実施者」という。)となるべき者を特定してしなければならない。

(子の返還を実施させる決定)

第百三十八条 第百三十四条第一項の決定は、債務者による子の監護を解くために必要な行為をする者として執行官を指定し、かつ、返還実施者を指定してしなければならない。

2 執行裁判所は、民事執行法第百七十一条第三項の規定にかかわらず、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときは、債務者を審尋しないで第百三十四条第一項の決定をすることができる。

(子の返還の代替執行の申立ての却下)

第百三十九条 執行裁判所は、第百三十七条の返還実施者となるべき者を前条の規定により返還実施者として指定することが子の利益に照らして相当でないと認めるときは、第百三十七条の申立てを却下しなければならない。

(執行官の権限等)

第百四十条 民事執行法第百七十五条(第八項を除く。)の規定は子の返還の代替執行における執行官の権限及び当該権限の行使に係る執行裁判所の裁判について、同法第百七十六条の規定は子の返還の代替執行の手続について、それぞれ準用する。 この場合において、同法第百七十五条第一項第二号中「債権者若しくはその代理人と子」とあるのは「返還実施者(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第百三十七条に規定する返還実施者をいう。以下同じ。)、債権者若しくは同法第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人と子」と、「又は債権者若しくはその代理人」とあるのは「又は返還実施者、債権者若しくは同項に規定する代理人」と、同項第三号及び同条第九項中「債権者又はその代理人」とあるのは「返還実施者、債権者又は国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百四十条第一項において準用する第六項に規定する代理人」と読み替えるものとする。

2 執行官は、前項において準用する民事執行法第百七十五条第一項又は第二項の規定による子の監護を解くために必要な行為をするに際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。

3 執行官は、前項の規定にかかわらず、子に対して威力を用いることはできない。 子以外の者に対して威力を用いることが子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合においては、当該子以外の者についても、同様とする。

(返還実施者の権限等)

第百四十一条 返還実施者は、常居所地国に子を返還するために、子の監護その他の必要な行為をすることができる。

2 子の返還の代替執行の手続については、民事執行法第百七十一条第六項の規定は、適用しない。

3 前条第一項において準用する民事執行法第百七十六条の規定は、返還実施者について準用する。

(外務大臣の協力)

第百四十二条 外務大臣は、子の返還の代替執行に関し、立会いその他の必要な協力をすることができる。

(執行事件の記録の閲覧等)

第百四十三条 子の返還の強制執行に係る事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。

第五章 家事事件の手続に関する特則

第一節 子の返還申立事件に係る家事調停の手続等

(付調停)

第百四十四条 家庭裁判所及び高等裁判所は、当事者の同意を得て、いつでも、職権で、子の返還申立事件を家事調停に付することができる。

(家事事件手続法の特則)

第百四十五条 裁判所は、前条の規定により事件を家事調停に付する場合においては、家事調停事件を自ら処理しなければならない。 ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を当該裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に処理させることができる。

2 第四十三条第二項の規定は、前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続における手続上の行為をすることができる能力について準用する。

3 前条の規定により事件を家事調停に付した場合において、当事者間に子の返還の合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、子の返還の合意に係る記載部分は、家事事件手続法第二百六十八条第一項の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。

4 前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続においてされた家事事件手続法第二百八十四条第一項の規定による審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判に代わる裁判を含む。以下この項及び第百四十七条において「調停に代わる審判」という。)について、同法第二百八十六条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十七条に規定する異議の申立てを却下する審判に代わる裁判を含む。)が確定したときは、当該調停に代わる審判のうち子の返還を命ずる部分は、同法第二百八十七条の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。

(子の返還申立事件の手続の中止)

第百四十六条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付したときは、当該裁判所は、家事調停事件が終了するまで子の返還申立事件の手続を中止することができる。

(子の返還の申立ての取下げの擬制)

第百四十七条 裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、又は調停に代わる審判が確定したときは、子の返還申立事件について申立ての取下げがあったものとみなす。

第二節 面会その他の交流についての家事審判及び家事調停の手続等に関する特則

(管轄の特則)

第百四十八条 外国返還援助決定若しくは日本国面会交流援助決定を受けた者又は子の返還の申立てをした者が、子との面会その他の交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判又は家事調停の申立てをする場合において、次の各号に掲げるときには、当該各号に定める家庭裁判所にも、これらの申立てをすることができる。

子の住所地(日本国内に子の住所がないとき、又は住所が知れないときは、その居所地。次号において同じ。)が東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内にあるとき 東京家庭裁判所

子の住所地が大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内にあるとき 大阪家庭裁判所

2 前項の申立てに係る審判事件及び調停事件は、日本国内に子の住所がない場合又は住所が知れない場合であって、日本国内に子の居所がないとき又は居所が知れないときは、東京家庭裁判所の管轄に属する。

(記録の閲覧等の特則)

第百四十九条 子との面会その他の交流の定めをすること又はその変更を求める家事審判の申立てに係る事件の記録中に住所等表示部分がある場合には、裁判所は、当該住所等表示部分については、家事事件手続法第四十七条第三項の規定にかかわらず、同項の申立てに係る許可をしないものとする。 ただし、第六十二条第四項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、この限りでない。

2 子との面会その他の交流について定め、又はその変更について定める審判書又は調停調書の正本に基づく強制執行の申立てに係る事件の記録中に第五条第四項(第二号に係る部分に限る。)の規定により外務大臣から提供を受けた情報が記載され、又は記録されたものがある場合には、当該事件の記録の閲覧、謄写若しくは複製、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は当該事件に関する事項の証明書の交付の請求については、第六十二条の規定を準用する。

第六章 過料の裁判の執行等

第百五十条 この法律の規定による過料の裁判は、裁判官の命令で執行する。 この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。

2 この法律に規定するもののほか、過料についての裁判に関しては、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第五編の規定(同法第百十九条並びに第百二十一条第一項及び第三項の規定並びに同法第百二十条及び第百二十二条の規定中検察官に関する部分を除く。)並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第五百八条第一項本文及び第二項並びに第五百十四条の規定を準用する。

第七章 雑則

(審理の状況についての説明)

第百五十一条 子の返還申立事件の申立人又は外務大臣は、子の返還の申立てから六週間が経過したときは、当該子の返還申立事件が係属している裁判所に対し、審理の状況について説明を求めることができる。

(親権者の指定等についての審判事件の取扱い)

第百五十二条 親権者の指定若しくは変更又は子の監護に関する処分についての審判事件(人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第三十二条第一項に規定する附帯処分についての裁判及び同条第三項の親権者の指定についての裁判に係る事件を含む。以下この条において同じ。)が係属している場合において、当該審判事件が係属している裁判所に対し、当該審判事件に係る子について不法な連れ去り又は不法な留置と主張される連れ去り又は留置があったことが外務大臣又は当該子についての子の返還申立事件が係属する裁判所から通知されたときは、当該審判事件が係属している裁判所は、当該審判事件について裁判をしてはならない。 ただし、子の返還の申立てが相当の期間内にされないとき、又は子の返還の申立てを却下する裁判が確定したときは、この限りでない。

(総合法律支援法の適用に関する特例)

第百五十三条 条約締約国の国民又は条約締約国に常居所を有する者(日本国民又は我が国に住所を有し適法に在留する者を除く。)であって、連れ去り又は留置に係る子についての子の返還、子との面会その他の交流その他条約の適用に関係のある事項について民事裁判等手続(我が国の裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続をいう。)を利用するものは、当該事項に関する限り、総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)の適用については、同法第三十条第一項第二号に規定する国民等とみなす。

附則

(施行期日)
第一条 この法律は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

(経過措置)
第二条 この法律は、この法律の施行前にされた不法な連れ去り又はこの法律の施行前に開始された不法な留置には、適用しない。

附則(令和元年五月一七日法律第二号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第八条 施行日前に申し立てられた子の返還の強制執行の事件については、第二条の規定による改正後の国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第百三十六条、第百三十八条第二項、第百四十条及び第百四十一条第三項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(政令への委任)
第二十条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(令和四年五月二五日法律第四八号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して四年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(政令への委任)
第百二十五条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(令和五年五月一七日法律第二八号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(罰則に関する経過措置)
第四十条 第二号施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附則(令和五年六月一四日法律第五三号)

この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第三十二章の規定及び第三百八十八条の規定 公布の日

第一条中民事執行法第二十二条第五号の改正規定、同法第二十五条の改正規定、同法第二十六条の改正規定、同法第二十九条の改正規定(「の謄本」の下に「又は電磁的記録に記録されている事項の全部を記録した電磁的記録」を加える部分を除く。)、同法第九十一条第一項第三号の改正規定、同法第百四十一条第一項第三号の改正規定、同法第百八十一条第一項の改正規定、同条第四項の改正規定、同法第百八十三条の改正規定、同法第百八十九条の改正規定及び同法第百九十三条第一項の改正規定、第十二条、第三十三条、第三十四条、第三十六条及び第三十七条の規定、第四十二条中組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第三十九条第二項の改正規定、第四十五条の規定(民法第九十八条第二項及び第百五十一条第四項の改正規定を除く。)、第四十七条中鉄道抵当法第四十一条の改正規定及び同法第四十三条第三項の改正規定、第四十八条及び第四章の規定、第八十八条中民事訴訟費用等に関する法律第二条の改正規定、第九十一条の規定、第百八十五条中配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第十二条第三項の改正規定、第百九十八条の規定並びに第三百八十七条の規定 公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日

第一条中民事執行法第十八条の次に一条を加える改正規定、同法第二十七条の改正規定、同法第二十九条の改正規定(「の謄本」の下に「又は電磁的記録に記録されている事項の全部を記録した電磁的記録」を加える部分に限る。)、同法第三十三条第一項の改正規定、同法中第八十六条を第八十六条の二とし、第八十五条の次に三条を加える改正規定(同法第八十五条の二及び第八十五条の三を加える部分を除く。)、同法第九十二条に五項を加える改正規定、同法第百十一条の改正規定(「第八十五条並びに」を「第八十五条から第八十六条まで及び」に改める部分に限る。)、同法第百四十二条第二項の改正規定、同法第百六十六条第二項の改正規定、同法第百六十七条の十一第七項の改正規定(「第九十二条第一項」の下に「及び第三項から第七項まで」を加える部分に限る。)、同法第百九十九条の次に二条を加える改正規定、同法第二百条第一項の改正規定及び同法附則に六条を加える改正規定、第三十五条及び第四十条の規定、第四十七条中鉄道抵当法第五十九条に二項を加える改正規定、第六十三条中民事調停法の目次の改正規定、同法第二十七条に一項を加える改正規定及び同法第二章に一節を加える改正規定、第六十七条中企業担保法第十七条第二項の改正規定(「第十八条」の下に「、第十八条の二」を加える部分に限る。)及び同法第五十五条の改正規定、第八十八条中民事訴訟費用等に関する法律附則を同法附則第一条とし、同条に見出しを付し、同法附則に十二条を加える改正規定、第九十四条中船舶の所有者等の責任の制限に関する法律第五十九条の次に一条を加える改正規定、第百十条中民事保全法第四十六条の改正規定(「第十八条」の下に「、第十八条の二」を加える部分に限る。)、第百三十条中金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第六十六条の改正規定及び同法第二百三十二条の改正規定、第百四十五条中民事再生法第百十五条の次に一条を加える改正規定及び同法第百五十三条第三項の改正規定(「民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第八十五条」を「民事執行法第八十五条から第八十六条まで」に改める部分に限る。)、第百六十一条第一項の規定、第二百二条中会社更生法第百十条第三項の改正規定(「民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第八十五条」を「民事執行法第八十五条から第八十六条まで」に改める部分に限る。)及び同法第百十五条の次に一条を加える改正規定、第二百十六条第一項の規定、第二百十九条中人事訴訟法第九条に一項を加える改正規定及び同法第三十三条に二項を加える改正規定、第二百四十九条中破産法第百二十一条の次に一条を加える改正規定、同法第百二十二条第二項の改正規定、同法第百三十六条の次に一条を加える改正規定及び同法第百九十一条第三項の改正規定(「第八十五条」の下に「から第八十六条まで」を加える部分に限る。)、第二百六十五条第一項の規定、第三百四条中非訟事件手続法第三十三条第四項の改正規定、同法第四十三条の改正規定及び同法第四十七条第一項の改正規定、第三百二十六条中家事事件手続法第四十条の改正規定、同法第四十九条の改正規定、同法第五十四条第一項の改正規定、同法第五十九条の改正規定、同法第六十条第二項の改正規定(「及び第二項」を「から第三項まで」に改める部分に限る。)、同法第八十四条第一項の改正規定(「第三項まで、」を「第四項まで、」に改める部分及び「高等裁判所に」と」の下に「、第五十九条第三項中「家庭裁判所及び」とあるのは「高等裁判所及び」と」を加える部分に限る。)、同法第二百六十条第一項第六号の改正規定及び同法第二百六十一条第五項の改正規定、第三百四十一条中国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第七十条の改正規定、同法第七十五条第一項の改正規定、同法第八十条に一項を加える改正規定及び同法第百三条第六項の改正規定並びに第三百五十六条中消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律第五十三条の改正規定(「、第八十七条の二」を削る部分に限る。) 民事訴訟法等の一部を改正する法律の施行の日

附則(令和六年五月二四日法律第三三号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、附則第十六条から第十八条まで及び第十九条第一項の規定は、公布の日から施行する。

(政令への委任)
第十六条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。