第一条 この省令において使用する用語は、展覧会における美術品損害の補償に関する法律(以下「法」という。)において使用する用語の例による。
(展覧会の要件)第二条 法第三条第二項の文部科学省令で定める要件は、次の各号のいずれにも該当するものであることとする。
一 不特定かつ多数の者に美術品を鑑賞する機会を提供するものであること。
二 開催を予定する期間が二十日を超えるものであること。
三 対象美術品の約定評価額総額が五十億円を超えるものとなるものであること。
四 展示を予定する美術品のうち主要なものが海外から借り受けるものであること。
五 利益の分配、物品の販売その他営利を主たる目的とするものでないこと。
六 利益が生じたときは、当該利益を文化の振興その他の公益を目的とする事業に充てることとしていること。
(展覧会の主催者の要件)第三条 補償契約に係る展覧会の主催者は、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する者でなければならない。
一 当該展覧会を安全かつ適切に実施するために必要な資金を確保する見込みがあること。
二 当該展覧会の開催に関する業務の執行及び会計の経理を適正に行うための体制が整備されていること。
三 当該展覧会に相当する規模及び内容の展覧会を主催した実績を有すること。
(展覧会の開催施設の要件)第四条 補償契約に係る展覧会を開催する施設(以下「開催施設」という。)は、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当するものでなければならない。
一 開催施設の建物が、その設置されている場所の状況に応じた必要な耐火性能及び耐震性能を有する構造のものであること。
二 次に掲げる設備が設けられていること。 イ 当該展覧会のために借り受ける美術品の性質に応じた適正な温度、湿度及び照度(第七条第一号ロにおいて「温度等」という。)を保つことができる設備
ロ 防火及び防犯のために常時作動する設備
三 開催施設の建物内に当該開催施設以外の施設が設けられているときは、当該開催施設が当該開催施設以外の施設から独立した専用の施設として区画されていること。
(損害保険契約の締結)第五条 補償契約に係る展覧会の主催者が、当該補償契約に係る対象美術品について、当該対象美術品に補償対象損害が生じた場合における当該補償対象損害の額のうち当該補償契約により補償される額を控除した額を填補するための損害保険契約(保険法(平成二十年法律第五十六号)第二条第六号に規定する損害保険契約をいう。)を締結する場合には、対象美術品ごとの約定保険価額(保険法第九条に規定する約定保険価額をいう。)を定めるとともに、当該約定保険価額が当該対象美術品の約定評価額と同一の額となるものでなければならない。
(補償契約の締結の手続)第六条 補償契約を締結しようとする展覧会の主催者は、次に掲げる事項を記載した補償契約の申込書を文部科学大臣に提出しなければならない。
一 当該展覧会の名称
二 当該展覧会の趣旨及び内容
三 当該展覧会の開催を予定する期間
四 当該展覧会のために借り受ける美術品の名称、所在地、所有者の氏名又は名称及び価額(当該美術品の価額として当該美術品の所有者が算定した価額をいう。)
五 当該展覧会の主催者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
六 当該展覧会の開催に関する業務の体制に関する事項
七 当該展覧会の主催者が過去に主催した展覧会の実績に関する事項
八 開催施設の名称、所在地及び建物の構造並びに第四条第二号イ及びロの設備に関する事項
2 前項の申込書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。一 当該展覧会に係る収支予算書
二 当該展覧会のために借り受ける美術品についての次に掲げる事項を記載した書面 イ 前項第四号の価額の算定の根拠を明らかにする事項
ロ 種別、寸法、重量、材質、形状その他の特徴
三 当該展覧会の主催者の最近における財産の状況を知ることができる書面
四 当該展覧会の開催に関する業務について知識及び経験を有する学芸員その他の使用人の確保の状況を記載した書面
五 開催施設の建物の位置及び構造並びに第四条第二号イ及びロの設備に関する図面
六 開催施設において過去に発生した美術品に係る事故に関する情報を記載した書面
七 当該展覧会のために借り受ける美術品の陳列、当該美術品の監視及び開催施設の警備、第四条第二号イ及びロの設備の運用その他の美術品の展示に関する業務の実施計画を記載した書面
八 当該展覧会のために借り受ける美術品の運搬の経路、方法、開始時期及び予定終了時期その他の美術品の運搬に関する業務の実施計画を記載した書面
九 前条の損害保険契約を締結する場合においては、当該展覧会のために借り受ける美術品の約定保険価額の見込みを記載した書面
十 その他参考となるべき事項を記載した書面
3 補償契約を締結しようとする展覧会の主催者は、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、前二項の規定にかかわらず、第一項各号に掲げる記載事項又は前項各号に掲げる添付書類の一部を省略することができる。一 前二項の規定に従って開催施設に係る直近の補償契約が締結された日(以下この項において「特定補償契約締結日」という。)以後五年以内に当該開催施設における当該展覧会の開催を予定する期間が終了すること。
二 特定補償契約締結日以後において当該開催施設における美術品に係る事故が発生していないこと。
三 特定補償契約締結日以後において当該開催施設に係る前項第五号に掲げる図面に変更がないこと。
(対象美術品の取扱いに関する基準)第七条 法第六条の文部科学省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 対象美術品の展示に当たっては、次によること。 イ 対象美術品の監視、開催施設の警備その他の対象美術品の損害を防止するための措置を適切に行うために必要な体制を整備すること。
ロ 補償契約に係る展覧会の開催期間中、対象美術品の性質に応じた適正な温度等を保つとともに、温度等の測定値の記録を作成し、これを保管すること。
ハ 第四条第二号イ及びロの設備について保守及び管理に関する責任者を定め、当該責任者の指揮監督の下に定期的に点検整備(計器の較正を含む。)を行うとともに、その記録を作成し、これを保管すること。
ニ 対象美術品の陳列、対象美術品の監視及び開催施設の警備、第四条第二号イ及びロの設備の運用その他の美術品の展示に関する業務のマニュアルを作成し、その内容について、当該業務を担当する者に周知徹底を図ること。
二 対象美術品の運搬に当たっては、次によること。 イ 対象美術品の搬出入等の作業を行う場合には、次によること。
ロ 対象美術品の約定評価額総額に応じて二回以上に分けて運搬を行うこと。
ハ 道路上を走行する場合には、美術品を運搬するための専用の車両を使用すること。
三 前二号に掲げるもののほか、対象美術品の損害の防止のために文部科学大臣が必要と認める措置を講ずること。
(業務の委託)第八条 展覧会における美術品損害の補償に関する法律施行令第四条第三号の文部科学省令で定める業務は、次に掲げるものとする。
一 補償金の支払の請求に係る書類の確認及び補正の指示
二 補償金の額の算定
三 政府が支払うべき補償金の送金
四 前各号に掲げるもののほか、補償金の支払に関し必要な業務のうち軽微なもの
(補償金の額の算定方法)第九条 法第四条第三項の文部科学省令で定めるところにより算定する対象美術品ごとの補償金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額とする。
一 法第四条第一項第一号に掲げる場合(第三号に掲げる場合に該当する場合を除く。)における通常損害(補償対象損害のうち特定損害に該当するもの以外の損害をいう。以下この号において同じ。)が生じた対象美術品ごとの補償金の額
法第四条第一項第一号に定める額(当該額が補償上限額を超える場合にあっては補償上限額)に当該対象美術品について生じた通常損害の額が当該補償契約に係る対象美術品について生じた通常損害の額の合計額に占める割合を乗じて得た額
二 法第四条第一項第二号に掲げる場合(第三号に掲げる場合に該当する場合を除く。)における特定損害が生じた対象美術品ごとの補償金の額
法第四条第一項第二号に定める額(当該額が補償上限額を超える場合にあっては補償上限額)に当該対象美術品について生じた特定損害の額が当該補償契約に係る対象美術品について生じた特定損害の額の合計額に占める割合を乗じて得た額
三 法第四条第一項第一号及び第二号に掲げる場合のいずれにも該当する場合における補償対象損害が生じた対象美術品ごとの補償金の額
法第四条第一項第一号及び第二号に定める額の合計額(当該額が補償上限額を超える場合にあっては補償上限額)に当該対象美術品について生じた補償対象損害の額が当該補償契約に係る対象美術品について生じた補償対象損害の額の合計額に占める割合を乗じて得た額
第十条 対象美術品の約定評価額を外国通貨で定めた場合における補償金の支払は、当該外国通貨で行うものとする。
2 前項の場合における法第四条及び第五条の規定の適用に係る当該外国通貨と本邦通貨との間の換算は、補償契約締結時の外国貨幣換算率(支出官事務規程(昭和二十二年大蔵省令第九十四号)第十一条第二項第四号の規定により定められた外国貨幣換算率をいう。)を用いて行うものとする。