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平成二十三年法律第五十四号
関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律

施行日:

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第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、関西国際空港及び大阪国際空港(以下「両空港」という。)の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する基本方針の策定、新関西国際空港株式会社の事業の適正な運営を確保するために必要な措置、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号。以下「民間資金法」という。)の規定により両空港に係る特定事業(民間資金法第二条第二項に規定する特定事業をいう。以下同じ。)が実施される場合における関係法律の特例その他の両空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に必要な措置を定めることにより、関西国際空港の整備に要した費用に係る債務の早期の確実な返済を図りつつ、関西国際空港の我が国の国際航空輸送網の拠点となる空港(以下「国際拠点空港」という。)としての機能の再生及び強化並びに両空港の適切かつ有効な活用を通じた関西における航空輸送需要の拡大を図り、もって航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化及び関西における経済の活性化に寄与することを目的とする。

(基本方針)

第二条 国土交通大臣は、両空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。

2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

両空港の一体的かつ効率的な設置及び管理の意義及び目標に関する事項

両空港の一体的かつ効率的な運営に関する基本的な事項

両空港の一体的かつ効率的な運営に資する事業との連携に関する基本的な事項

前三号に掲げるもののほか、両空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する基本的な事項

3 国土交通大臣は、第三十四条第一項の協議会が組織されている場合において、基本方針を定めようとするときは、当該協議会の意見を聴くものとする。

4 国土交通大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。

(設置管理基本計画)

第三条 両空港及び両空港航空保安施設(両空港における航空機の離陸又は着陸の安全を確保するために必要な航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第五項に規定する航空保安施設をいう。以下同じ。)の設置及び管理は、国土交通大臣が定める設置管理基本計画に適合するものでなければならない。

2 前項の設置管理基本計画は、両空港の滑走路の数及び長さ、両空港航空保安施設の種類、両空港の運用時間その他の政令で定める事項について定めるものとする。

(国の責務)

第四条 国は、この法律の目的を達成するため、新関西国際空港株式会社、関係地方公共団体その他の関係者との連携及び協力を確保しつつ、関西国際空港の我が国の国際拠点空港としての機能の再生及び強化並びに両空港の適切かつ有効な活用を通じた関西における航空輸送需要の拡大を図るために必要な措置を確実かつ円滑に実施しなければならない。

2 国は、両空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に資するため、両空港に係る公共施設等運営権(民間資金法第二条第七項に規定する公共施設等運営権をいう。以下同じ。)の設定が適時に、かつ、適切な条件で行われるとともに、当該公共施設等運営権が設定された場合における第二十九条第一項に規定する特定空港運営事業が適切かつ円滑に実施されるよう必要な環境の整備に努めなければならない。

(地方公共団体等の協力)

第五条 関係地方公共団体その他の関係者は、新関西国際空港株式会社が行う両空港の一体的かつ効率的な設置及び管理と相まって、両空港の適切かつ有効な活用を通じた関西における航空輸送需要の拡大に資するため、両空港の利用の促進及び利用者の利便の確保を図るために必要な措置を相互に連携を図りながら協力しつつ実施するよう努めなければならない。

第二章 新関西国際空港株式会社

第一節 総則

(会社の目的)

第六条 新関西国際空港株式会社(以下「会社」という。)は、関西国際空港の我が国の国際拠点空港としての機能の再生及び強化並びに両空港の適切かつ有効な活用を通じた関西における航空輸送需要の拡大を図ることにより、航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化及び関西における経済の活性化に寄与するため、特定事業の活用その他の両空港の設置及び管理の効率化に資する措置を講じつつ、両空港の設置及び管理を一体的かつ効率的に行うこと等を目的とする株式会社とする。

(株式の政府保有)

第七条 政府は、常時、会社の発行済株式の総数を保有していなければならない。

(商号の使用制限)

第八条 会社以外の者は、その商号中に新関西国際空港株式会社という文字を使用してはならない。

第二節 事業等

(事業の範囲)

第九条 会社は、その目的を達成するため、次の事業を営むものとする。

両空港の設置及び管理

両空港航空保安施設の設置及び管理

両空港の機能を確保するために必要な航空旅客及び航空貨物の取扱施設、航空機給油施設その他の政令で定める施設並びにこれらの施設以外の施設で、両空港を利用する者の利便に資するために両空港の敷地内に建設することが適当であると認められる事務所、店舗その他の政令で定めるものの建設及び管理

大阪国際空港の周辺における航空機の騒音その他の航空機の運航により生ずる障害を防止し、若しくはその損失を補償するため、又は大阪国際空港の周辺における生活環境の改善に資するために行う次に掲げる事業
 イ 緑地帯その他の緩衝地帯の造成及び管理
 ロ 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(昭和四十二年法律第百十号。以下「航空機騒音障害防止法」という。)第五条及び第八条の二に規定する工事に関する助成
 ハ 航空機騒音障害防止法第六条に規定する共同利用施設の整備に関する助成
 ニ 航空機騒音障害防止法第九条第一項の規定による同項に規定する建物等の移転又は除却により生ずる損失の補償及び同条第二項の規定による土地の買入れ並びに航空機騒音障害防止法第十条第一項の規定による損失の補償
 ホ 航空機の騒音によりその機能が害されるおそれの少ない施設の建設及び管理

前号に掲げるもののほか、大阪国際空港の周辺における航空機の騒音その他の航空機の運航により生ずる障害を防止するため、又は大阪国際空港の周辺における生活環境の改善に資するために行う事業

関西国際空港と最寄りの陸岸との間の連絡橋その他これに類する施設の建設及び管理

前各号の事業に附帯する事業

2 会社は、前項の事業を営むほか、同項の事業の遂行に支障のない範囲内で、同項の事業以外の事業を営むことができる。 この場合において、会社は、あらかじめ、国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に届け出なければならない。

(会社の責務)

第十条 会社は、常にその事業を適正かつ効率的に営むことに配意するとともに、関西国際空港の整備に要した費用に係る債務の早期の確実な返済その他の会社の経営基盤を強化するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 会社は、その目的を達成するため、両空港に係る公共施設等運営権の設定を適時に、かつ、適切な条件で実施するとともに、当該公共施設等運営権を設定した場合における第二十九条第一項に規定する特定空港運営事業が適切かつ円滑に実施されるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(生活環境の改善に対する配慮等)

第十一条 会社は、その周辺地域が市街化されている大阪国際空港については、当該周辺地域の住民その他の者の理解と協力を得ることがその事業の円滑な実施を図る上で特に必要であることに鑑み、その事業の実施に当たり大阪国際空港の周辺における生活環境の改善に配慮するとともに、第九条第一項第四号及び第五号の事業が適切かつ確実に営まれるようにしなければならない。

2 国は、第九条第一項第四号及び第五号の事業が円滑に実施されるよう配慮するものとする。

(事業の実施の特例)

第十二条 関西国際空港に係る第九条第一項第一号の事業のうち、国土交通大臣が関西国際空港の空港用地(以下単に「空港用地」という。)の維持その他の管理の特殊性その他の事情を勘案して、空港用地の適正かつ確実な管理の実施及び会社の経営基盤の強化を図るため空港用地の保有及び管理を会社以外の者に行わせる必要があると認めて告示した区域において行われるものは、当該事業に係る空港用地の保有及び管理(以下「特定空港用地保有管理事業」という。)について次に掲げるところに従って行われなければならない。

国土交通大臣が指定する株式会社(以下「指定会社」という。)が当該空港用地を保有し、その管理を行うこと。

指定会社は、当該空港用地を会社に貸し付けること。

2 特定空港用地保有管理事業は、第三条第一項の設置管理基本計画に適合するものでなければならない。

(指定会社)

第十三条 前条第一項第一号の規定による指定は、次に掲げる要件を備える者の申請があった場合において、行うものとする。

会社がその発行済株式(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式を含む。第八項において同じ。)の総数の二分の一以上に当たる株式を保有している株式会社であって、特定空港用地保有管理事業を行うことを目的とするものであること。

基本方針に従って特定空港用地保有管理事業を行うことについて適正かつ確実な計画を有すると認められること。

基本方針に従って特定空港用地保有管理事業を行うことについて十分な経理的基礎及び技術的能力を有すると認められること。

2 指定会社は、特定空港用地保有管理事業の開始前に、国土交通省令で定めるところにより、会社と協議して、基本方針に即して、特定空港用地保有管理事業の実施に関する計画を定め、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。

3 指定会社は、会社に対する空港用地の貸付けに係る貸付料その他の政令で定める貸付けの条件について、あらかじめ、国土交通大臣の認可を受けなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。

4 国土交通大臣は、前項の貸付料その他の貸付けの条件が、空港用地の整備に要した費用に係る債務の返済の確実かつ円滑な実施が図られるものとして政令で定める基準に適合する場合でなければ、同項の認可をしてはならない。

5 指定会社は、毎事業年度の開始前に(前条第一項第一号の規定による指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後速やかに)、国土交通省令で定めるところにより、基本方針に即して、その事業年度の事業計画を定め、これを国土交通大臣に提出しなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。

6 指定会社は、国土交通省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。

7 指定会社の定款の変更、合併、分割及び解散の決議は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

8 会社は、常時、指定会社の発行済株式の総数の二分の一以上に当たる株式を保有していなければならない。

9 国土交通大臣は、特定空港用地保有管理事業の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

(資金の貸付け)

第十四条 政府は、予算の範囲内において、指定会社に対し、特定空港用地保有管理事業に要する経費に充てる資金を無利子で貸し付けることができる。

(関西国際空港用地整備準備金)

第十五条 指定会社は、毎事業年度末において、空港用地の整備に要する費用の支出に備えるために必要な金額を、国土交通省令で定めるところにより、関西国際空港用地整備準備金として積み立てなければならない。

(指定の取消し)

第十六条 国土交通大臣は、指定会社が次の各号のいずれかに該当するときは、第十二条第一項第一号の規定による指定を取り消すことができる。

特定空港用地保有管理事業を適正に行うことができないと認めるとき。

この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき。

第十三条第九項の規定による命令に違反したとき。

(指定を取り消した場合における措置)

第十七条 前条の規定により第十二条第一項第一号の規定による指定を取り消した場合における当該取消しに係る指定会社の権利及び義務の取扱いその他必要な措置については、別に法律で定める。

2 前条の規定により第十二条第一項第一号の規定による指定を取り消した場合において、前項の法律に基づく必要な措置がとられるまでの間は、国土交通大臣が、政令で定めるところにより、特定空港用地保有管理事業に係る財産の管理その他の業務を行うものとする。

(一般担保)

第十八条 会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 指定会社の社債権者は、指定会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

3 前二項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

(債務保証)

第十九条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、会社又は指定会社の債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について、保証契約をすることができる。

2 政府は、前項の規定によるほか、会社又は指定会社が社債券又はその利札を失った者に交付するために政令で定めるところにより発行する社債券又は利札に係る債務について、保証契約をすることができる。

(国及び地方公共団体の配慮)

第二十条 国及び地方公共団体は、会社の事業の円滑かつ効率的な遂行を図るため、適当と認める人的及び技術的援助について必要な配慮を加えるものとする。

(代表取締役等の選定等の決議)

第二十一条 会社の代表取締役又は代表執行役の選定及び解職並びに監査等委員である取締役若しくは監査役の選任及び解任又は監査委員の選定及び解職の決議は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(事業計画)

第二十二条 会社は、毎事業年度の開始前に、国土交通省令で定めるところにより、基本方針に即して、その事業年度の事業計画を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。

(社債及び借入金)

第二十三条 会社は、会社法第六百七十六条に規定する募集社債(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第六十六条第一号に規定する短期社債を除く。第三項並びに第四十一条第一項第三号及び第二項第四号において「募集社債」という。)を引き受ける者の募集をし、株式交換若しくは株式交付に際して社債(社債、株式等の振替に関する法律第六十六条第一号に規定する短期社債を除く。第三項並びに第四十一条第一項第三号及び第二項第四号において同じ。)を発行し、又は弁済期限が一年を超える資金を借り入れようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。

2 前項の規定は、会社が、社債券を失った者に交付するために政令で定めるところにより社債券を発行し、当該社債券の発行により新たに債務を負担することとなる場合には、適用しない。

3 前二項の規定は、指定会社が募集社債を引き受ける者の募集をし、株式交換若しくは株式交付に際して社債を発行し、又は弁済期限が一年を超える資金を借り入れようとする場合について準用する。

(重要な財産の譲渡等)

第二十四条 会社は、国土交通省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。

(定款の変更等)

第二十五条 会社の定款の変更、剰余金の配当その他の剰余金の処分、合併、分割及び解散の決議は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(財務諸表)

第二十六条 会社は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を国土交通大臣に提出しなければならない。

第三節 雑則

(監督)

第二十七条 会社は、国土交通大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。

2 国土交通大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

(報告及び検査)

第二十八条 国土交通大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 国土交通大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定会社から特定空港用地保有管理事業に関し報告をさせ、又はその職員に、指定会社の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

3 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

4 第一項又は第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第三章 特定空港運営事業に係る関係法律の特例等

(民間資金法の特例等)

第二十九条 会社が、民間資金法第七条の規定により、第九条第一項の事業に係る特定事業(関西国際空港又は大阪国際空港の運営等(民間資金法第二条第六項に規定する運営等をいう。第三十二条第二項において同じ。)を行い、空港法(昭和三十一年法律第八十号)第十三条第一項に規定する着陸料等を自らの収入として収受する事業を含むものに限る。以下「特定空港運営事業」という。)を選定する場合には、当該特定事業は、公共施設等運営権を設定することにより実施されるものでなければならない。

2 特定空港運営事業に係る公共施設等運営権を有する者(以下「空港運営権者」という。)が第九条第一項第四号の事業を含む特定空港運営事業を実施する場合には、当該特定空港運営事業には、同号イからホまでの事業のいずれもが含まれなければならない。 この場合において、会社は、同項の規定にかかわらず、同号の事業を行わないものとする。

第三十条 会社は、次に掲げる場合には、あらかじめ、国土交通大臣の承認を受けなければならない。

特定空港運営事業に係る民間資金法第五条第一項に規定する実施方針を定めようとするとき。

民間資金法第七条の規定により特定空港運営事業を選定しようとするとき。

民間資金法第八条第一項の規定により特定空港運営事業を実施する民間事業者を選定しようとするとき。

民間資金法第十九条第一項の規定により特定空港運営事業に係る公共施設等運営権を設定しようとするとき。

特定空港運営事業に係る民間資金法第二十六条第二項の許可をしようとするとき。

特定空港運営事業に係る民間資金法第二十八条の規定による指示をしようとするとき。

民間資金法第二十九条第一項の規定により、特定空港運営事業に係る公共施設等運営権を取り消し、又はその行使の停止を命じようとするとき。

2 前項の承認は、基本方針に照らして適切であると認められる場合でなければ、これを行わないものとする。

3 前項に定めるもののほか、第一項(第三号及び第五号に係る部分に限る。)の承認は、特定空港運営事業を行うこととなる者が次の要件を満たしていると認められる場合でなければ、これを行わないものとする。

基本方針に従って特定空港運営事業を行うことについて適正かつ確実な計画を有すると認められること。

基本方針に従って特定空港運営事業を行うことについて十分な経理的基礎及び技術的能力を有すると認められること。

4 会社は、民間資金法第二十条の規定により同条に規定する費用に相当する金額の全部又は一部を徴収する場合には、その金額(第四十一条第一項第八号において「費用相当金額」という。)について、国土交通大臣の認可を受けなければならない。

5 空港運営権者及び会社が特定空港運営事業に関し締結する民間資金法第二十二条第一項に規定する公共施設等運営権実施契約は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

6 前二項の認可は、基本方針に照らして適切であると認められる場合でなければ、これを行わないものとする。

7 空港運営権者が民間資金法第二十三条第一項の規定により空港法第十三条第一項に規定する着陸料等、同法第十六条第一項に規定する旅客取扱施設利用料及び航空法第五十四条第一項の使用料金を収受する場合における民間資金法第二十三条第二項の規定の適用については、同項中「利用料金は、実施方針に従い」とあるのは「利用料金は」とし、同項後段の規定は、適用しない。

8 会社は、民間資金法第二十八条の規定により、空港運営権者に対して、報告を求め、又は実地について調査した場合には、遅滞なく、その結果を国土交通大臣に報告しなければならない。

9 国土交通大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社に対し、次に掲げる事項を命ずることができる。

民間資金法第二十八条の規定により、空港運営権者に対して、報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすること。

民間資金法第二十九条第一項の規定により、特定空港運営事業に係る公共施設等運営権を取り消し、又はその行使の停止を命ずること。

(航空法の特例)

第三十一条 空港運営権者が特定空港運営事業を実施する場合における航空法の規定の適用については、同法第四十七条第一項中「空港等の設置者又は航空保安施設の設置者」とあるのは「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(平成二十三年法律第五十四号)第二十九条第二項に規定する空港運営権者(以下「空港運営権者」という。)」と、「当該施設」とあるのは「、同法第一条に規定する両空港及び同法第三条第一項に規定する両空港航空保安施設のうち、当該空港運営権者が有する民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号)第二条第七項に規定する公共施設等運営権に係るもの」と、同条第三項中「空港等又は航空保安施設」とあるのは「施設」と、同法第四十七条の二第一項及び第三項並びに第四十七条の三第一項中「空港の設置者」とあるのは「空港運営権者」と、同法第四十七条の二第二項中「空港の設置者が遵守すべき」とあるのは「空港運営権者が遵守すべき」と、同法第四十八条ただし書中「管理すべきこと」とあるのは「管理し、若しくは空港運営権者が管理するために必要な措置を講ずべきこと」と、同法第百三十一条の二の五第一項及び第二項中「空港等の設置者」とあるのは「空港運営権者」と、同条第一項中「当該空港等」とあるのは「当該空港」と、同法第百三十四条第一項第四号中「空港等又は航空保安施設の設置者」とあるのは「空港等若しくは航空保安施設の設置者又は空港運営権者」とする。

2 空港運営権者が第九条第一項第二号の事業を含む特定空港運営事業を実施する場合における航空法の規定の適用については、同法第五十四条及び第百四十八条の二中「航空保安施設の設置者」とあるのは、「空港運営権者」とする。

(空港法の特例等)

第三十二条 空港運営権者が特定空港運営事業を実施する場合における空港法の規定の適用については、同法第十二条第一項中「空港管理者」とあるのは「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(平成二十三年法律第五十四号)第二十九条第二項に規定する空港運営権者(以下「空港運営権者」という。)」と、同条第三項中「空港管理者(国土交通大臣を除く。次項及び次条において同じ。)」とあり、同条第四項及び同法第十三条中「空港管理者」とあり、同法第十四条第二項第二号中「次条第三項に規定する指定空港機能施設事業者」とあり、同法第二十六条第二項第二号及び第五項中「指定空港機能施設事業者」とあり、同法第三十九条第一項中「空港管理者(国土交通大臣を除く。次項及び次条において同じ。)及び指定空港機能施設事業者」とあり、並びに同条第二項中「空港管理者及び指定空港機能施設事業者」とあるのは「空港運営権者」と、同法第四十条中「空港管理者、指定空港機能施設事業者」とあるのは「空港管理者(国土交通大臣を除く。)、空港運営権者」とする。

2 空港法第十六条及び第三十九条の規定は、第九条第一項第三号の事業のうち航空旅客の取扱施設の運営等を行うものを含む特定空港運営事業を行う空港運営権者について準用する。 この場合において、同法第三十九条第一項及び第二項中「この法律」とあるのは、「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律第三十二条第二項において準用する第十六条の規定」と読み替えるものとする。

(航空機騒音障害防止法の特例)

第三十三条 空港運営権者が第九条第一項第四号の事業を含む特定空港運営事業を実施する場合における航空機騒音障害防止法の規定の適用については、航空機騒音障害防止法第四条の見出し、第五条、第六条、第八条の二、第九条第一項及び第二項、第九条の二並びに第十条第一項中「特定飛行場の設置者」とあるのは「空港運営権者」と、航空機騒音障害防止法第四条中「特定飛行場の設置者は」とあるのは「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(平成二十三年法律第五十四号)第二十九条第二項に規定する空港運営権者(以下「空港運営権者」という。)は」と、「特定飛行場の設置者が」とあるのは「空港運営権者が」と、航空機騒音障害防止法第五条及び第六条中「補助する」とあるのは「助成する」とする。

第四章 雑則

(協議会)

第三十四条 会社は、両空港の一体的かつ効率的な設置及び管理の円滑な実施を図るために必要な協議を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。

2 協議会は、次に掲げる者をもって構成する。

会社

指定会社

関係行政機関、関係地方公共団体、航空運送事業者(航空法第二条第十八項に規定する航空運送事業を経営する者をいう。)、学識経験者、観光関係団体、商工関係団体その他の会社が必要と認める者

3 空港法第十四条第三項から第七項までの規定は、協議会について準用する。 この場合において、同条第三項中「第一項」とあるのは「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律第三十四条第一項」と、「空港管理者」とあるのは「新関西国際空港株式会社」と、「前項第二号」とあるのは「同条第二項第二号」と読み替えるものとする。

4 空港運営権者が特定空港運営事業を実施する場合における第二項の規定の適用については、同項第二号中「指定会社」とあるのは、「指定会社及び空港運営権者」とする。

(協議)

第三十五条 国土交通大臣は、次に掲げる場合には、財務大臣に協議しなければならない。

基本方針を定め、又は変更しようとするとき。

第三条第一項の設置管理基本計画を定め、又は変更しようとするとき。

第十二条第一項の規定により告示する区域を定めようとするとき。

第十二条第一項第一号の規定による指定又は第十六条の規定による指定の取消しをしようとするとき。

第十三条第三項、第六項若しくは第七項(指定会社の定款の変更の決議に係るものについては、指定会社が発行することができる株式の総数を変更するものに限る。)、第二十二条、第二十三条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第二十四条、第二十五条(会社の定款の変更の決議に係るものについては、会社が発行することができる株式の総数を変更するものに限る。)又は第三十条第四項の認可をしようとするとき。

第三十条第一項(同項第四号に係る部分に限る。)の承認をしようとするとき。

2 国土交通大臣は、第三十条第一項(第三号及び第五号に係る部分に限る。)の承認をしようとするときは、財務大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。

第五章 罰則

第三十六条 会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。 これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。

2 前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。 その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

第三十七条 前条第一項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

第三十八条 第三十六条第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。

2 前条第一項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。

第三十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした空港運営権者の役員又は職員は、百万円以下の罰金に処する。

第三十二条第二項において準用する空港法第十六条第三項の規定による届出をしないで、又は届け出た旅客取扱施設利用料によらないで、旅客取扱施設利用料を収受したとき。

第三十二条第二項において準用する空港法第十六条第四項の規定による命令に違反して、旅客取扱施設利用料を収受したとき。

第三十二条第二項において準用する空港法第三十九条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

第三十二条第二項において準用する空港法第三十九条第二項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

第四十条 第二十八条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。

2 第二十八条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした指定会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。

第四十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。

第九条第二項後段の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

第二十二条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。

第二十三条第一項の規定に違反して、募集社債を引き受ける者の募集をし、株式交換若しくは株式交付に際して社債を発行し、又は資金を借り入れたとき。

第二十四条の規定に違反して、財産を譲渡し、又は担保に供したとき。

第二十六条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書若しくは事業報告書を提出せず、又は不実の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。

第二十七条第二項又は第三十条第九項の規定による命令に違反したとき。

第三十条第一項の規定により国土交通大臣の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかったとき。

第三十条第四項の規定による認可を受けないで、費用相当金額を徴収したとき。

第三十条第八項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

2 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした指定会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。

第十三条第三項の規定に違反して、貸付料その他の貸付けの条件の認可を受けなかったとき。

第十三条第六項の規定に違反して、財産を譲渡し、又は担保に供したとき。

第十三条第九項の規定による命令に違反したとき。

第二十三条第三項において準用する同条第一項の規定に違反して、募集社債を引き受ける者の募集をし、株式交換若しくは株式交付に際して社債を発行し、又は資金を借り入れたとき。

第四十二条 第三十二条第二項において準用する空港法第十六条第五項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をした空港運営権者の役員又は職員は、五十万円以下の過料に処する。

第四十三条 第八条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

附則

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(会社の設立等)
第二条 国土交通大臣は、設立委員を命じ、会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。 設立委員は、定款を作成して、国土交通大臣の認可を受けなければならない。 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。 会社の設立に際して発行する株式に関する次に掲げる事項及び会社が発行することができる株式の総数は、定款で定めなければならない。 会社の設立に際して発行する株式の総数は、政府が引き受けるものとし、設立委員は、これを政府に割り当てるものとする。 政府は、会社の設立に際し、会社に対し、政府の保有する関西国際空港株式会社(以下「関西空港会社」という。)の株式の一部を出資するものとする。 会社の設立に係る会社法第六十五条第一項の規定の適用については、同項中「第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後」とあるのは、「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(平成二十三年法律第五十四号)附則第二条第五項の規定による株式の割当後」とする。 第六項の規定により政府が行う出資に係る給付は、前条第二号に掲げる規定の施行の日に行われるものとし、会社は、会社法第四十九条の規定にかかわらず、その時に成立する。 会社は、会社法第九百十一条第一項の規定にかかわらず、会社の成立後遅滞なく、その設立の登記をしなければならない。 会社法第三十条及び第二編第一章第三節の規定は、会社の設立については、適用しない。 会社は、その成立後施行日の前日までの間は、次に掲げる業務を行うものとする。 関西国際空港株式会社法(昭和五十九年法律第五十三号)第五条の規定は、会社の商号については、適用しない。

(承継方針)
第三条 国土交通大臣は、関西空港会社が営んでいる事業並びに関西空港会社の権利及び義務(以下「関西空港会社の事業等」という。)並びに独立行政法人空港周辺整備機構(以下「機構」という。)が行っている業務並びに機構の権利及び義務(以下「機構の業務等」という。)の会社への適正かつ円滑な承継を図るため、関西空港会社の事業等及び機構の業務等の承継に関する方針(以下この条及び次条において「承継方針」という。)を定めなければならない。 承継方針は、次に掲げる事項に関する基本的な事項について定めることとする。 承継方針は、関西空港会社の事業等のうち、空港用地の保有及び管理以外の事業並びに当該事業に係る権利及び義務を、次に掲げるところにより会社に承継させるよう定めなければならない。 承継方針は、前項に規定するもののほか、機構の業務等のうち、大阪国際空港に係るもの(附則第六条第四項の規定により同項の政令で定める関係地方公共団体に対して分配される財産を除く。)を会社に承継させるよう定めなければならない。 国土交通大臣は、承継方針を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

(実施計画)
第四条 国土交通大臣は、承継方針を定めたときは、関西空港会社及び機構に対し、関西空港会社の事業等又は機構の業務等の承継に関する実施計画(以下「実施計画」という。)を国土交通省令で定めるところにより作成すべきことを指示しなければならない。 実施計画には、前条第二項各号に掲げる事項(関西空港会社にあっては関西空港会社に係る事項に限り、機構にあっては機構に係る事項に限る。)について記載するものとする。 関西空港会社又は機構は、第一項の規定による指示があったときは、国土交通大臣が定める期間内に承継方針に従い実施計画を作成し、国土交通大臣の認可を受けなければならない。 関西空港会社又は機構は、実施計画を変更しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。 国土交通大臣は、前二項の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

(承継時の出資)
第五条 国土交通大臣は、機構に係る前条第三項の認可をしたときは、会社に対し、次条第一項及び第三項の規定による承継に際しての株式の発行に関する計画を国土交通省令で定めるところにより作成すべきことを指示しなければならない。 前項の計画には、次条第一項又は第三項の規定による承継に際して発行する株式の数その他の国土交通省令で定める事項について記載するものとする。 会社は、第一項の規定による指示があったときは、国土交通大臣が定める期間内に同項の計画を作成し、国土交通大臣の認可を受けなければならない。 国土交通大臣は、機構に係る前条第四項の認可(附則第三条第二項第二号に掲げる事項の変更に係るものに限る。)をしたとき又は国土交通省令で定める事由が生じたときは、会社に対し、第一項の計画を国土交通省令で定めるところにより変更すべきことを指示しなければならない。 第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。 会社が第三項の認可を受けた計画(前項において準用する第三項の認可があったときは、変更後のもの)において定めるところに従い発行する株式の総数は、政府及び機構が引き受けるものとし、会社は、これを当該計画において定めるところに従い政府及び機構に割り当てるものとする。 前項の株式については、会社法第四百四十五条第二項の規定にかかわらず、その発行に際して次項及び第九項の規定により政府及び機構が出資した財産の額の二分の一を超える額を資本金として計上しないことができる。 この場合において、同条第一項中「この法律」とあるのは、「この法律又は関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(平成二十三年法律第五十四号)」とする。 政府は、第六項の規定による株式の引受けに際し、会社に対し、政府の保有する関西空港会社の株式及び社会資本整備事業特別会計の空港整備勘定に所属する国有財産のうち大阪国際空港に係るものを出資するものとする。 機構は、第六項の規定による株式の引受けに際し、会社に対し、機構が前条第三項の認可を受けた実施計画(同条第四項の認可があったときは、変更後のもの。次条第三項において「機構承継計画」という。)において定めるところに従い、その財産のうち大阪国際空港に係るもの(次条第四項の規定により同項の政令で定める関係地方公共団体に対して分配される財産を除く。)を出資するものとする。 前二項の規定により政府及び機構が行う出資に係る給付は、この法律の施行の時に行われるものとする。 機構が第九項の規定による出資によって取得する会社の株式は、この法律の施行の時に、政府に無償譲渡されるものとする。 政府が第八項の規定による出資によって取得する会社の株式及び前項の規定により政府に無償譲渡される会社の株式は、政令で定めるところにより、財政投融資特別会計の投資勘定又は社会資本整備事業特別会計の空港整備勘定に帰属するものとする。 会社法第二百七条の規定は、会社が第六項の株式を発行する場合については、適用しない。

(権利義務の承継等)
第六条 この法律の施行の際現に国が有する権利及び義務のうち、国土交通省設置法(平成十一年法律第百号)第四条第百九号に掲げる事務(大阪国際空港に係るものに限る。)に関するものは、政令で定めるところにより、政令で定めるものを除き、会社が承継する。 会社は、この法律の施行の時において、関西空港会社が附則第四条第三項の認可を受けた実施計画(同条第四項の認可があったときは、変更後のもの。以下「会社承継計画」という。)において定めるところに従い、会社承継計画において定められた関西空港会社の事業等を承継する。 会社は、この法律の施行の時において、機構承継計画において定めるところに従い、機構承継計画において定められた機構の業務等を承継する。 前項の規定による承継に際し、機構は、その業務(大阪国際空港に係るものに限る。)に係る資産から当該業務に係る負債の金額を控除して残額を生ずるときは、当該残額に相当する額の財産を、出資者である政令で定める関係地方公共団体に対し、その出資額の機構の資本金の額に対する割合に応じて分配するものとする。 この場合において、当該関係地方公共団体に分配する財産の額は、その出資額を限度とする。 機構が前項の規定により財産の分配をしたときは、機構の資本金のうち当該分配をした財産の額については、機構に対する同項の政令で定める関係地方公共団体からの出資はなかったものとし、機構は、その額により資本金を減少するものとする。 機構が前条第十一項の規定により会社の株式を政府に無償譲渡したときは、施行日の前日における機構に対する政府の出資金のうち大阪国際空港に係る業務に係る部分として国土交通大臣が定める金額については、機構に対する政府からの出資はなかったものとし、機構は、その額により資本金を減少するものとする。 第一項から第三項までの規定により会社が国、関西空港会社及び機構から承継する資産及び負債(次項において「承継財産」という。)の価額は、評価委員が評価した価額とする。 評価委員は、前項の規定による評価をしようとするときは、施行日現在における承継財産の時価を基準とするものとする。 ただし、承継財産の種類、用途その他の事項を勘案して時価によることが適当でないと認めるときは、承継財産の時価によらないことができる。 前二項に規定するもののほか、評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。

(連帯債務)
第七条 この法律の施行の時までに関西空港会社が借り入れた借入金に係る債務及びこの法律の施行の時において発行されている関西空港会社の社債に係る債務については、会社及び関西空港会社が連帯して弁済の責めに任ずる。 ただし、関西空港会社が国から借り入れた借入金に係る債務について、国が弁済の請求をする場合にあっては、この限りでない。 前項の場合には、その社債権者は、会社及び関西空港会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

(権利及び義務の承継に伴う経過措置)
第八条 附則第六条第三項の規定により会社が承継する債務に係る空港周辺整備債券についての第十八条第一項の規定の適用については、これを会社の社債とみなす。 附則第六条第二項の規定により会社が承継する関西空港会社の社債に係る債務について附則第十九条の規定による廃止前の関西国際空港株式会社法(以下「旧関西空港会社法」という。)第九条の規定により政府がした保証契約は、その承継後においても、当該社債に係る債務について従前の条件により存続するものとする。 附則第六条第三項の規定により会社が承継する機構の長期借入金又は空港周辺整備債券に係る債務について航空機騒音障害防止法第三十一条の規定により政府がした保証契約は、その承継後においても、当該長期借入金又は空港周辺整備債券に係る債務について従前の条件により存続するものとする。

(租税関係法令の適用に関する経過措置)
第九条 附則第二条第九項の規定により会社が受ける設立の登記、附則第五条第八項又は第九項の規定により政府又は機構が行う出資に係る財産の給付に伴い会社が受ける登記又は登録及び附則第六条第二項の規定により会社が関西空港会社の権利の承継をする場合における当該承継に伴う登記又は登録については、会社の成立後三年以内に登記又は登録を受けるものに限り、登録免許税を課さない。 附則第五条第八項又は第九項の規定により政府又は機構が行う出資に係る不動産又は自動車の取得に対しては、不動産取得税又は自動車取得税を課することができない。 附則第六条第二項の規定により会社が関西空港会社の事業等を承継する場合における当該承継に係る不動産又は自動車の取得に対しては、不動産取得税又は自動車取得税を課することができない。

(航空法の適用に関する経過措置)
第十条 会社は、この法律の施行の時において、航空法に基づく関西国際空港の設置者の地位及び会社承継計画において定めるところに従い関西空港会社から承継した航空保安施設(同法第二条第五項に規定する航空保安施設をいう。次項において同じ。)の設置者の地位の関西空港会社からの承継について同法第五十五条第一項の許可を受けたものとみなす。 会社は、この法律の施行の時において、大阪国際空港及び附則第六条第一項の規定により国から承継した航空保安施設の設置について航空法第三十八条第一項の許可を受けたものとみなす。 会社は、施行日前においても、航空法第四十七条の二第一項の規定の例により、両空港に係る同項の空港保安管理規程を定め、国土交通大臣に届け出ることができる。 前項の規定による届出は、施行日以後は、航空法第四十七条の二第一項の規定による届出とみなす。 施行日前に会社が大阪国際空港に係る航空法第四十七条の二第一項の空港保安管理規程について第三項の規定による届出をしなかった場合にあっては、施行日前に国土交通大臣が同法第五十五条の二第二項の規定により定めた大阪国際空港に係る同項の空港保安管理規程は、施行日以後は、同法第四十七条の二第一項の規定により会社が届け出た大阪国際空港に係る同項の空港保安管理規程とみなす。 施行日前に航空法第五十五条の二第三項において準用する同法第四十九条第一項若しくは第三項又は第五十一条第二項の規定により国土交通大臣が大阪国際空港に関して行った承認その他の行為は、この法律の施行の時においてこれらの規定により会社が行った承認その他の行為とみなす。

(空港法の適用に関する経過措置)
第十一条 会社は、施行日前においても、空港法第十二条第一項の規定の例により、両空港に係る空港供用規程(同項の空港供用規程をいう。以下この条において同じ。)を定め、同法第十二条第三項の規定の例により、国土交通大臣に届け出ることができる。 前項の規定による届出は、施行日以後は、空港法第十二条第三項の規定による届出とみなす。 施行日前に会社が関西国際空港に係る空港供用規程について第一項の規定による届出をしなかった場合にあっては、施行日前に関西空港会社が空港法第十二条第三項の規定により届け出た関西国際空港に係る空港供用規程は、施行日以後は、同項の規定により会社が届け出た関西国際空港に係る空港供用規程とみなす。 施行日前に会社が大阪国際空港に係る空港供用規程について第一項の規定による届出をしなかった場合にあっては、施行日前に国土交通大臣が空港法第十二条第一項の規定により定めた大阪国際空港に係る空港供用規程は、施行日以後は、同条第三項の規定により会社が届け出た大阪国際空港に係る空港供用規程とみなす。 会社は、施行日前に、空港法第十三条第一項の規定の例により、両空港に係る同項に規定する着陸料等を定め、国土交通大臣に届け出なければならない。 前項の規定による届出は、施行日以後は、空港法第十三条第一項の規定による届出とみなす。

(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律の適用に関する経過措置)
第十二条 この法律の施行前に独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)の規定に基づき機構がした行為及び機構に対してなされた行為(附則第六条第三項の規定により会社が承継することとなる権利及び義務に関するものに限る。)については、会社を同法第二条第一項に規定する独立行政法人等とみなす。

(事業等又は業務等の承継に関する命令)
第十三条 国土交通大臣は、附則第四条から第六条までの規定を施行するため特に必要があると認めるときは、関西空港会社又は機構に対し、その必要の限度において命令をすることができる。

(罰則)
第十四条 前条の規定による命令に違反した場合には、その違反行為をした関西空港会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員若しくは監査役又は機構の役員は百万円以下の過料に処する。

(設置管理基本計画に関する経過措置)
第十五条 国土交通大臣は、この法律の施行前において、第三条の規定の例により、同条第一項の設置管理基本計画を定めるものとする。

(会社の事業範囲についての経過措置)
第十六条 この法律の施行の際現に旧関西空港会社法第六条第三項の認可を受けて関西空港会社が営んでいる事業であって、会社承継計画において会社に引き継ぐものとされたものについては、会社によりこの法律の施行の時において第九条第二項後段の規定による届出がなされたものとみなす。

(事業計画に関する経過措置)
第十七条 会社の成立の日の属する事業年度の事業計画については、第二十二条中「毎事業年度の開始前に」とあるのは、「会社の成立後遅滞なく」とする。

(大阪国際空港における空港機能施設事業に関する経過措置)
第十八条 大阪国際空港において空港機能施設事業(空港法第十五条第一項に規定する空港機能施設事業をいう。以下この条において同じ。)を行う者として同項の規定による指定を受けている者(以下この条において「大阪国際空港機能施設事業者」という。)が、施行日前に、施行日以後引き続き当該空港機能施設事業を行う旨を国土交通大臣に申し出た場合(施行日前において、当該申出を行った大阪国際空港機能施設事業者が同法第二十一条第一項又は第二項の規定により同法第十五条第一項の規定による指定を取り消された場合を除く。)には、施行日以後は、大阪国際空港を同項に規定する国管理空港と、当該申出を行った大阪国際空港機能施設事業者をこの法律の施行の時において同項の規定による指定を受けた者と、それぞれみなして、当分の間、同法の規定を適用する。 この場合において、同法第二十二条第一項中「国土交通大臣又は当該空港機能施設事業の全部を承継するものとして国土交通大臣が指定する指定空港機能施設事業者」とあるのは、「新関西国際空港株式会社」とする。 会社は、施行日の前日までに、前項の規定による申出を行った大阪国際空港機能施設事業者(施行日前に空港法第二十一条第一項又は第二項の規定により同法第十五条第一項の規定による指定を取り消されたものを除く。以下この条において「特定大阪国際空港機能施設事業者」という。)と次に掲げる事項を定めた協定を締結し、国土交通大臣の認可を受けなければならない。 会社は、前項の協定を変更しようとする場合には、あらかじめ、国土交通大臣の認可を受けなければならない。 前二項の認可は、両空港の一体的かつ効率的な設置及び管理の円滑な実施に支障を及ぼさないと認められる場合でなければ、これを行わないものする。 施行日前にされた大阪国際空港における空港機能施設事業に係る空港法第十五条第一項の規定による指定は、施行日の前日限り、その効力を失う。 この場合において、特定大阪国際空港機能施設事業者以外の大阪国際空港機能施設事業者は、この法律の施行の時において、その空港機能施設事業の全部を会社に引き継がなければならない。 前項に規定するもののほか、同項に規定する場合における空港機能施設事業の引継ぎその他の必要な事項は、国土交通省令で定める。 特定大阪国際空港機能施設事業者についての第三十四条第二項の規定の適用については、同項第二号中「指定会社」とあるのは、「指定会社及び附則第十八条第二項に規定する特定大阪国際空港機能施設事業者」とする。 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。

(関西国際空港株式会社法の廃止)
第十九条 関西国際空港株式会社法は、廃止する。

(関西空港会社に対する指定会社のみなし指定等)
第二十条 関西空港会社は、この法律の施行の時において第十二条第一項第一号の規定による指定を受けたものとみなす。 この場合において、第十三条第一項の規定は適用せず、同条第二項中「特定空港用地保有管理事業の開始前に」とあり、及び同条第三項中「あらかじめ」とあるのは「この法律の施行の日以後遅滞なく」と、同条第五項中「前条第一項第一号の規定による指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後」とあるのは「この法律の施行の日の属する事業年度にあっては、同日以後」とする。 この法律の施行の際現に関西空港会社が保有している空港用地の区域は、この法律の施行の時において第十二条第一項の規定に基づき告示された区域とみなす。 附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日から施行日の前日までの間における第三十四条第二項の規定の適用については、同項第二号中「指定会社」とあるのは、「関西国際空港株式会社」とする。

(関西空港会社の最終事業年度)
第二十一条 関西空港会社の施行日の前日を含む事業年度は、その日に終わるものとする。 関西空港会社の施行日の前日を含む事業年度に係る貸借対照表、損益計算書及び事業報告書については、なお従前の例による。

(罰則の適用に関する経過措置)
第二十二条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第二十三条 附則第二条から前条までに規定するもののほか、会社の設立に伴い必要な経過措置その他この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

附則(平成二三年八月三〇日法律第一〇五号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(設置管理法の一部改正に伴う調整規定)
第百二十一条 附則第一条第五号に掲げる規定の施行の日が設置管理法の施行の日以後である場合には、前条のうち次の表の上欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とする。 附則第一条第五号に掲げる規定の施行の日が設置管理法附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日から設置管理法の施行の日の前日までの間である場合には、前条の規定による改正前の設置管理法附則第十一条第一項の規定により新関西国際空港株式会社が認可を受けた空港供用規程は、附則第一条第五号に掲げる規定の施行の日において、前条の規定による改正後の設置管理法附則第十一条第一項の規定により新関西国際空港株式会社が届け出た空港供用規程とみなす。

附則(平成二五年六月一二日法律第三四号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(平成二六年六月二七日法律第九一号)

この法律は、会社法の一部を改正する法律の施行の日から施行する。

附則(令和元年一二月一一日法律第七一号)

この法律は、会社法改正法の施行の日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第九条中社債、株式等の振替に関する法律第二百六十九条の改正規定(「第六十八条第二項」を「第八十六条第一項」に改める部分に限る。)、第二十一条中民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律第五十六条第二項及び附則第四条の改正規定、第四十一条中保険業法附則第一条の二の十四第一項の改正規定、第四十七条中保険業法等の一部を改正する法律附則第十六条第一項の改正規定、第五十一条中株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法第二十七条の改正規定、第七十八条及び第七十九条の規定、第八十九条中農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律附則第二十六条第一項の改正規定並びに第百二十四条及び第百二十五条の規定 公布の日

附則(令和二年六月二四日法律第六一号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

附則(令和三年六月一一日法律第六五号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

附則(令和四年六月一〇日法律第六二号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(政令への委任)
第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(検討)
第四条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

附則(令和四年六月一七日法律第六八号)

この法律は、刑法等一部改正法施行日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第五百九条の規定 公布の日