第一章 総則
(目的)第一条 この法律は、厚生労働大臣が行う新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済に関する特別の措置を講ずることにより、新型インフルエンザ予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的とする。
(定義)第二条 この法律において「新型インフルエンザ」とは、インフルエンザであって、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第七項第一号に掲げる新型インフルエンザに該当するものとして感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(令和四年法律第 号)第一条の規定による改正前の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第四十四条の二第一項の規定により厚生労働大臣が平成二十一年四月二十八日にその発生に係る情報を公表したものをいう。
2 この法律において「新型インフルエンザワクチン」とは、新型インフルエンザに係るワクチンをいう。 3 この法律において「新型インフルエンザ予防接種」とは、新型インフルエンザに対して免疫の効果を得させるため、新型インフルエンザワクチンを、人体に注射し、又は接種することをいう。第二章 新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済措置
(新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済のための給付)第三条 厚生労働大臣は、自らが行う新型インフルエンザ予防接種を受けた者が、疾病にかかり、障害の状態となり、又は死亡した場合において、当該疾病、障害又は死亡が当該新型インフルエンザ予防接種を受けたことによるものであると認定したときは、次条及び第五条に定めるところにより、給付を行う。
2 厚生労働大臣は、前項の認定を行うに当たっては、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。 (給付の範囲)第四条 前条第一項の規定による給付(以下この章において「給付」という。)は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める者に対して行う。
一 医療費及び医療手当 新型インフルエンザ予防接種を受けたことによる疾病について政令で定める程度の医療を受ける者
二 障害児養育年金 新型インフルエンザ予防接種を受けたことにより政令で定める程度の障害の状態にある十八歳未満の者を養育する者
三 障害年金 新型インフルエンザ予防接種を受けたことにより政令で定める程度の障害の状態にある十八歳以上の者
四 遺族年金又は遺族一時金 新型インフルエンザ予防接種を受けたことにより死亡した者の政令で定める遺族
五 葬祭料 新型インフルエンザ予防接種を受けたことにより死亡した者の葬祭を行う者
(政令への委任)第五条 前条に定めるもののほか、給付の額、支給方法その他給付に関して必要な事項は、政令で定める。
(損害賠償との調整)第六条 厚生労働大臣は、給付を受けるべき者が同一の事由について損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、給付を行わないことができる。
2 厚生労働大臣は、給付を受けた者が同一の事由について損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、その受けた給付の額に相当する金額を返還させることができる。 (不正利得の徴収)第七条 厚生労働大臣は、偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、国税徴収の例により、その者から、その受けた給付の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。 (受給権の保護)第八条 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
(公課の禁止)第九条 租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
(保健福祉事業の推進)第十条 国は、第四条第一号から第三号までに掲げる給付の支給に係る者であって居宅において介護を受けるものの医療、介護等に関し、その家庭からの相談に応ずる事業その他の保健福祉事業の推進を図るものとする。
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(施行前に新型インフルエンザ予防接種を受けた者についての適用等)
第二条 第二章の規定は、次条に規定する場合を除き、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に厚生労働大臣が行った新型インフルエンザ予防接種を受けた者についても適用する。 前項の場合において、同項に規定する者に係る当該新型インフルエンザ予防接種を受けたことによる疾病、障害又は死亡について、この法律の施行の際現に独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対してされている副作用救済給付(独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成十四年法律第百九十二号)第十五条第一項第一号イに規定する副作用救済給付をいう。以下同じ。)又は感染救済給付(同条第一項第二号イに規定する感染救済給付をいう。以下同じ。)の請求は、厚生労働大臣に対してされた第三条第一項の規定による給付の請求とみなす。 第一項の場合において、同項に規定する者に係る当該新型インフルエンザ予防接種を受けたことによる疾病、障害又は死亡について、施行日前に副作用救済給付又は感染救済給付を支給しない旨の決定がされている場合における当該新型インフルエンザ予防接種を受けた者についての第三条第一項の規定の適用については、同項中「受けたことによるもの」とあるのは、「受けたことによるもの(薬事法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第八十四号)第五条の規定による改正前の独立行政法人医薬品医療機器総合機構法第四条第六項に規定する医薬品の副作用又は同条第九項に規定する生物由来製品を介した感染等による疾病、障害又は死亡に該当するものを除く。)」とする。
第三条 施行日前に厚生労働大臣が行った新型インフルエンザ予防接種を受けた者に係る当該新型インフルエンザ予防接種を受けたことによる疾病、障害又は死亡について、施行日前に副作用救済給付又は感染救済給付を支給する旨の決定がされている場合における当該新型インフルエンザ予防接種を受けた者については、第三条第一項の規定は、適用しない。
(検討)
第六条 政府は、厚生労働大臣が行う新型インフルエンザ予防接種の実施状況、新型インフルエンザ予防接種の有効性及び安全性に関する調査研究の結果等を勘案し、将来発生が見込まれる新型インフルエンザ等感染症(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第七項に規定する新型インフルエンザ等感染症をいう。)に係る予防接種の在り方、当該予防接種に係る健康被害の救済措置の在り方等について、速やかに検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(政令への委任)
第七条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則(平成二三年七月二二日法律第八五号)
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。 ただし、第一条中予防接種法第六条に二項を加える改正規定、同法第七条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定並びに同法第八条、第九条、第二十二条第二項、第二十四条及び第二十五条の改正規定、第二条中新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法第五条第二項を削る改正規定及び同法附則第二条第二項の改正規定並びに附則第三条及び第四条の規定は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部改正に伴う経過措置)
第二条 この法律の施行前に締結された第二条の規定による改正前の新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法第十一条の規定による契約については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第七条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則(平成二五年一一月二七日法律第八四号)
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、附則第六十四条、第六十六条及び第百二条の規定は、公布の日から施行する。
(処分等の効力)
第百条 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。
(政令への委任)
第百二条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
附則(平成二五年一二月一三日法律第一〇三号)
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
附則(令和四年一二月九日法律第九六号)
(施行期日)
第一条 この法律は、令和六年四月一日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
(政令への委任)
第四十二条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。