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平成二十一年法律第七十一号
子ども・若者育成支援推進法

施行日:

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第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、子ども・若者が次代の社会を担い、その健やかな成長が我が国社会の発展の基礎をなすものであることにかんがみ、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子ども・若者をめぐる環境が悪化し、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者の問題が深刻な状況にあることを踏まえ、子ども・若者の健やかな育成、子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援その他の取組(以下「子ども・若者育成支援」という。)について、その基本理念、国及び地方公共団体の責務並びに施策の基本となる事項を定めること等により、他の関係法律による施策と相まって、総合的な子ども・若者育成支援のための施策(以下「子ども・若者育成支援施策」という。)を推進することを目的とする。

(基本理念)

第二条 子ども・若者育成支援は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

一人一人の子ども・若者が、健やかに成長し、社会とのかかわりを自覚しつつ、自立した個人としての自己を確立し、他者とともに次代の社会を担うことができるようになることを目指すこと。

子ども・若者について、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な差別的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分に尊重しつつ、その最善の利益を考慮すること。

子ども・若者が成長する過程においては、様々な社会的要因が影響を及ぼすものであるとともに、とりわけ良好な家庭的環境で生活することが重要であることを旨とすること。

子ども・若者育成支援において、家庭、学校、職域、地域その他の社会のあらゆる分野における全ての構成員が、各々の役割を果たすとともに、相互に協力しながら一体的に取り組むこと。

子ども・若者の発達段階、生活環境、特性その他の状況に応じてその健やかな成長が図られるよう、良好な社会環境(教育、医療及び雇用に係る環境を含む。以下同じ。)の整備その他必要な配慮を行うこと。

教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用その他の各関連分野における知見を総合して行うこと。

修学及び就業のいずれもしていない子ども・若者、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者その他の社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者に対しては、その困難の内容及び程度に応じ、当該子ども・若者の意思を十分に尊重しつつ、必要な支援を行うこと。

(国の責務)

第三条 国は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子ども・若者育成支援施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)

第四条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、子ども・若者育成支援に関し、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その区域内における子ども・若者の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(法制上の措置等)

第五条 政府は、子ども・若者育成支援施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

(年次報告)

第六条 政府は、毎年、国会に、我が国における子ども・若者の状況及び政府が講じた子ども・若者育成支援施策の実施の状況に関する報告を提出するとともに、これを公表しなければならない。

2 こども基本法(令和四年法律第七十七号)第八条第一項の規定による国会への報告及び公表がされたときは、前項の規定による国会への報告及び公表がされたものとみなす。

第二章 子ども・若者育成支援施策

(子ども・若者育成支援施策の基本)

第七条 子ども・若者育成支援施策は、基本理念にのっとり、国及び地方公共団体の関係機関相互の密接な連携並びに民間の団体及び国民一般の理解と協力の下に、関連分野における総合的な取組として行われなければならない。

(子ども・若者育成支援推進大綱)

第八条 政府は、子ども・若者育成支援施策の推進を図るための大綱(以下「子ども・若者育成支援推進大綱」という。)を定めなければならない。

2 子ども・若者育成支援推進大綱は、次に掲げる事項について定めるものとする。

子ども・若者育成支援施策に関する基本的な方針

子ども・若者育成支援施策に関する次に掲げる事項

教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用その他の各関連分野における施策に関する事項

子ども・若者の健やかな成長に資する良好な社会環境の整備に関する事項

第二条第七号に規定する支援に関する事項

イからハまでに掲げるもののほか、子ども・若者育成支援施策に関する重要事項

子ども・若者育成支援施策を総合的に実施するために必要な国の関係行政機関、地方公共団体及び民間の団体の連携及び協力に関する事項

子ども・若者育成支援に関する国民の理解の増進に関する事項

子ども・若者育成支援施策を推進するために必要な調査研究に関する事項

子ども・若者育成支援に関する人材の養成及び資質の向上に関する事項

子ども・若者育成支援に関する国際的な協力に関する事項

前各号に掲げるもののほか、子ども・若者育成支援施策を推進するために必要な事項

3 こども基本法第九条第一項の規定により定められた同項のこども大綱のうち前項各号に掲げる事項に係る部分は、第一項の規定により定められた子ども・若者育成支援推進大綱とみなす。

(都道府県子ども・若者計画等)

第九条 都道府県は、子ども・若者育成支援推進大綱を勘案して、当該都道府県の区域内における子ども・若者育成支援についての計画(以下この条において「都道府県子ども・若者計画」という。)を定めるよう努めるものとする。

2 市町村は、子ども・若者育成支援推進大綱(都道府県子ども・若者計画が定められているときは、子ども・若者育成支援推進大綱及び都道府県子ども・若者計画)を勘案して、当該市町村の区域内における子ども・若者育成支援についての計画(次項において「市町村子ども・若者計画」という。)を定めるよう努めるものとする。

3 都道府県又は市町村は、都道府県子ども・若者計画又は市町村子ども・若者計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 これを変更したときも、同様とする。

(国民の理解の増進等)

第十条 国及び地方公共団体は、子ども・若者育成支援に関し、広く国民一般の関心を高め、その理解と協力を得るとともに、社会を構成する多様な主体の参加による自主的な活動に資するよう、必要な啓発活動を積極的に行うものとする。

(社会環境の整備)

第十一条 国及び地方公共団体は、子ども・若者の健やかな成長を阻害する行為の防止その他の子ども・若者の健やかな成長に資する良好な社会環境の整備について、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(意見の反映)

第十二条 国は、子ども・若者育成支援施策の策定及び実施に関して、子ども・若者を含めた国民の意見をその施策に反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

(子ども・若者総合相談センター)

第十三条 地方公共団体は、子ども・若者育成支援に関する相談に応じ、関係機関の紹介その他の必要な情報の提供及び助言を行う拠点(第二十条第三項において「子ども・若者総合相談センター」という。)としての機能を担う体制を、単独で又は共同して、確保するよう努めるものとする。

(地方公共団体及び民間の団体に対する支援)

第十四条 国は、子ども・若者育成支援施策に関し、地方公共団体が実施する施策及び民間の団体が行う子ども・若者の社会参加の促進その他の活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

第三章 子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援

(関係機関等による支援)

第十五条 国及び地方公共団体の機関、公益社団法人及び公益財団法人、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の団体並びに学識経験者その他の者であって、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用その他の子ども・若者育成支援に関連する分野の事務に従事するもの(以下「関係機関等」という。)は、修学及び就業のいずれもしていない子ども・若者、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者その他の社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者に対する次に掲げる支援(以下この章において単に「支援」という。)を行うよう努めるものとする。

社会生活を円滑に営むことができるようにするために、関係機関等の施設、子ども・若者の住居その他の適切な場所において、必要な相談、助言又は指導を行うこと。

医療及び療養を受けることを助けること。

生活環境を改善すること。

修学又は就業を助けること。

前号に掲げるもののほか、社会生活を営むために必要な知識技能の習得を助けること。

前各号に掲げるもののほか、社会生活を円滑に営むことができるようにするための援助を行うこと。

2 関係機関等は、前項に規定する子ども・若者に対する支援に寄与するため、当該子ども・若者の家族その他子ども・若者が円滑な社会生活を営むことに関係する者に対し、相談及び助言その他の援助を行うよう努めるものとする。

(関係機関等の責務)

第十六条 関係機関等は、必要な支援が早期かつ円滑に行われるよう、次に掲げる措置をとるとともに、必要な支援を継続的に行うよう努めるものとする。

前条第一項に規定する子ども・若者の状況を把握すること。

相互に連携を図るとともに、前条第一項に規定する子ども・若者又は当該子ども・若者の家族その他子ども・若者が円滑な社会生活を営むことに関係する者を必要に応じて速やかに適切な関係機関等に誘導すること。

関係機関等が行う支援について、地域住民に周知すること。

(調査研究の推進)

第十七条 国及び地方公共団体は、第十五条第一項に規定する子ども・若者が社会生活を円滑に営む上での困難を有することとなった原因の究明、支援の方法等に関する必要な調査研究を行うよう努めるものとする。

(人材の養成等)

第十八条 国及び地方公共団体は、支援が適切に行われるよう、必要な知見を有する人材の養成及び資質の向上並びに第十五条第一項各号に掲げる支援を実施するための体制の整備に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(子ども・若者支援地域協議会)

第十九条 地方公共団体は、関係機関等が行う支援を適切に組み合わせることによりその効果的かつ円滑な実施を図るため、単独で又は共同して、関係機関等により構成される子ども・若者支援地域協議会(以下「協議会」という。)を置くよう努めるものとする。

2 地方公共団体の長は、協議会を設置したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。

(協議会の事務等)

第二十条 協議会は、前条第一項の目的を達するため、必要な情報の交換を行うとともに、支援の内容に関する協議を行うものとする。

2 協議会を構成する関係機関等(以下「構成機関等」という。)は、前項の協議の結果に基づき、支援を行うものとする。

3 協議会は、第一項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるとき、又は構成機関等による支援の実施に関し他の構成機関等から要請があった場合において必要があると認めるときは、構成機関等(構成機関等に該当しない子ども・若者総合相談センターとしての機能を担う者を含む。)に対し、支援の対象となる子ども・若者に関する情報の提供、意見の開陳その他の必要な協力を求めることができる。

(子ども・若者支援調整機関)

第二十一条 協議会を設置した地方公共団体の長は、構成機関等のうちから一の機関又は団体を限り子ども・若者支援調整機関(以下「調整機関」という。)として指定することができる。

2 調整機関は、協議会に関する事務を総括するとともに、必要な支援が適切に行われるよう、協議会の定めるところにより、構成機関等が行う支援の状況を把握しつつ、必要に応じて他の構成機関等が行う支援を組み合わせるなど構成機関等相互の連絡調整を行うものとする。

3 調整機関は、第十五条第一項に規定する子ども・若者のうち児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十五条の二第一項に規定する要保護児童又は同法第六条の三第五項に規定する要支援児童であるものに対し、協議会及び同法第二十五条の二第一項に規定する要保護児童対策地域協議会が協働して効果的に支援を行うことができるよう、同条第四項に規定する要保護児童対策調整機関と連携を図るよう努めるものとする。

(子ども・若者指定支援機関)

第二十二条 協議会を設置した地方公共団体の長は、当該協議会において行われる支援の全般について主導的な役割を果たす者を定めることにより必要な支援が適切に行われることを確保するため、構成機関等(調整機関を含む。)のうちから一の団体を限り子ども・若者指定支援機関(以下「指定支援機関」という。)として指定することができる。

2 指定支援機関は、協議会の定めるところにより、調整機関と連携し、構成機関等が行う支援の状況を把握しつつ、必要に応じ、第十五条第一項第一号に掲げる支援その他の支援を実施するものとする。

(指定支援機関への援助等)

第二十三条 国及び地方公共団体は、指定支援機関が前条第二項の業務を適切に行うことができるようにするため、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。

2 国は、必要な支援があまねく全国において効果的かつ円滑に行われるよう、前項に掲げるもののほか、指定支援機関の指定を行っていない地方公共団体(協議会を設置していない地方公共団体を含む。)に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うものとする。

3 協議会及び構成機関等は、指定支援機関に対し、支援の対象となる子ども・若者に関する情報の提供その他必要な協力を行うよう努めるものとする。

(秘密保持義務)

第二十四条 協議会の事務(調整機関及び指定支援機関としての事務を含む。以下この条において同じ。)に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(協議会の定める事項)

第二十五条 第十九条から前条までに定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

第四章 削除

第二十六条から第三十三条まで 削除

第五章 罰則

第三十四条 第二十四条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

附則

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(検討)
第二条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、我が国における子ども・若者をめぐる状況及びこの法律の施行の状況を踏まえ、子ども・若者育成支援施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

附則(平成二七年九月一一日法律第六六号)

(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。

附則(令和四年六月一七日法律第六八号)

この法律は、刑法等一部改正法施行日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第五百九条の規定 公布の日

附則(令和四年六月二二日法律第七七号)

(施行期日)
第一条 この法律は、令和五年四月一日から施行する。

(子ども・若者育成支援推進法の一部改正に伴う経過措置)
第七条 前条の規定による改正前の子ども・若者育成支援推進法第二十六条に規定する本部が同法第八条第一項の規定により作成した同項の子ども・若者育成支援推進大綱は、この法律の施行後は、政府が前条の規定による改正後の子ども・若者育成支援推進法第八条第一項の規定により定めた同項の子ども・若者育成支援推進大綱とみなす。

附則(令和六年六月一二日法律第四七号)

(施行期日)
第一条 この法律は、令和六年十月一日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(罰則に関する経過措置)
第四十五条 この法律(附則第一条第四号から第六号までに掲げる規定については、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及び附則第十三条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第四十六条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

(検討)
第四十八条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、少子化の進展に対処するための子ども及び子育ての支援に関する施策の在り方について、加速化プラン実施施策の実施状況及びその効果並びに前条第二項の観点を踏まえて検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。