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平成二十年法律第八十一号
障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律

施行日:

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第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、教育の機会均等の趣旨にのっとり、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の発行の促進を図るとともに、その使用の支援について必要な措置を講ずること等により、教科用特定図書等の普及の促進等を図り、もって障害その他の特性の有無にかかわらず児童及び生徒が十分な教育を受けることができる学校教育の推進に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「教科用特定図書等」とは、視覚障害のある児童及び生徒の学習の用に供するため文字、図形等を拡大して検定教科用図書等を複製した図書(以下「教科用拡大図書」という。)、点字により検定教科用図書等を複製した図書その他障害のある児童及び生徒の学習の用に供するため作成した教材であって検定教科用図書等に代えて使用し得るものをいう。

2 この法律において「検定教科用図書等」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第三十四条第一項(同法第四十九条、第四十九条の八、第六十二条及び第七十条第一項において準用する場合を含む。)に規定する教科用図書をいう。

3 この法律において「発行」とは、図書その他の教材を製造供給することをいう。

4 この法律において「教科用図書発行者」とは、検定教科用図書等の発行を担当する者であって、教科書の発行に関する臨時措置法(昭和二十三年法律第百三十二号)第八条の発行の指示を承諾したものをいう。

5 この法律において「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。

(国の責務)

第三条 国は、児童及び生徒が障害その他の特性の有無にかかわらず十分な教育を受けることができるよう、教科用特定図書等の供給の促進並びに児童及び生徒への給与その他教科用特定図書等の普及の促進等のために必要な措置を講じなければならない。

(教科用図書発行者の責務)

第四条 教科用図書発行者は、児童及び生徒が障害その他の特性の有無にかかわらず十分な教育を受けることができるよう、その発行をする検定教科用図書等について、適切な配慮をするよう努めるものとする。

第二章 教科用特定図書等の発行の促進等

(教科用図書発行者による電磁的記録の提供等)

第五条 教科用図書発行者は、文部科学省令で定めるところにより、その発行をする検定教科用図書等に係る電磁的記録を文部科学大臣又は当該電磁的記録を教科用特定図書等の発行をする者に適切に提供することができる者として文部科学大臣が指定する者(次項において「文部科学大臣等」という。)に提供しなければならない。

2 教科用図書発行者から前項の規定による電磁的記録の提供を受けた文部科学大臣等は、文部科学省令で定めるところにより、教科用特定図書等の発行をする者に対して、その発行に必要な電磁的記録の提供を行うことができる。

3 国は、教科用図書発行者による検定教科用図書等に係る電磁的記録の提供の方法及び当該電磁的記録の教科用特定図書等の作成への活用に関して、助言その他の必要な援助を行うものとする。

(教科用特定図書等の標準的な規格の策定等)

第六条 文部科学大臣は、教科用拡大図書その他教科用特定図書等のうち必要と認められるものについて標準的な規格を定め、これを公表しなければならない。

2 教科用図書発行者は、指定種目(検定教科用図書等の教科ごとに分類された単位のうち文部科学大臣が指定するものをいう。次項において同じ。)の検定教科用図書等に係る標準教科用特定図書等(前項の規格に適合する教科用特定図書等をいう。以下同じ。)の発行に努めなければならない。

3 国は、教科用図書発行者による指定種目の検定教科用図書等に係る標準教科用特定図書等の発行に関して、助言その他の必要な援助を行うものとする。

(発達障害等のある児童及び生徒が使用する教科用特定図書等に関する調査研究等の推進)

第七条 国は、発達障害その他の障害のある児童及び生徒であって検定教科用図書等において一般的に使用される文字、図形等を認識することが困難なものが使用する教科用特定図書等の整備及び充実を図るため、必要な調査研究等を推進するものとする。

(障害その他の特性に適切な配慮がなされた検定教科用図書等の普及)

第八条 国は、障害その他の特性の有無にかかわらずできる限り多くの児童及び生徒が検定教科用図書等を使用して学習することができるよう適切な配慮がなされた検定教科用図書等の普及のために必要な措置を講ずるものとする。

第三章 小中学校及び高等学校における教科用特定図書等の使用の支援

(小中学校及び高等学校における教科用特定図書等の使用等)

第九条 小中学校(小学校、中学校(中等教育学校の前期課程を含む。以下同じ。)及び義務教育学校をいい、学校教育法第八十一条第二項及び第三項に規定する特別支援学級(以下単に「特別支援学級」という。)を除く。以下同じ。)及び高等学校(中等教育学校の後期課程を含み、特別支援学級を除く。以下同じ。)においては、当該学校に在学する視覚障害その他の障害のある児童及び生徒が、その障害の状態に応じ、採択された検定教科用図書等に代えて、当該検定教科用図書等に係る教科用特定図書等を使用することができるよう、必要な配慮をしなければならない。

2 国及び地方公共団体は、前項の規定による配慮がなされるよう、発行が予定される教科用特定図書等に関する情報の収集及び提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(小中学校の設置者に対する教科用特定図書等の無償給付)

第十条 国は、毎年度、小中学校に在学する視覚障害その他の障害のある児童及び生徒が検定教科用図書等に代えて使用する教科用特定図書等を購入し、小中学校の設置者に無償で給付するものとする。

(契約の締結)

第十一条 文部科学大臣は、教科用特定図書等の発行をする者と、前条の規定により購入すべき教科用特定図書等を購入する旨の契約を締結するものとする。

(教科用特定図書等の給与)

第十二条 小中学校の設置者は、第十条の規定により国から無償で給付された教科用特定図書等を、それぞれ当該学校の校長を通じて、当該学校に在学する視覚障害その他の障害のある児童又は生徒に給与するものとする。

2 学年の中途において転学した視覚障害その他の障害のある児童又は生徒については、その転学後において使用する教科用特定図書等は、前項の規定にかかわらず、文部科学省令で定める場合を除き、給与しないものとする。

(都道府県の教育委員会の責務)

第十三条 都道府県の教育委員会は、政令で定めるところにより、教科用特定図書等の無償給付及び給与の実施に関し必要な事務を行うものとする。

(給付の完了の確認の時期の特例)

第十四条 第十一条の規定による契約に係る政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十六号)第四条第一号に掲げる時期については、同法第五条第一項中「十日以内の日」とあるのは、「二十日以内の日」と読み替えて同項の規定を適用する。

(政令への委任)

第十五条 第十条から前条までに規定するもののほか、教科用特定図書等の無償給付及び給与に関し必要な事項は、政令で定める。

第四章 標準教科用特定図書等の円滑な発行の確保

(標準教科用特定図書等の需要数の報告)

第十六条 市町村の教育委員会並びに学校教育法第二条第二項に規定する国立学校、公立学校(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第六十八条第一項に規定する公立大学法人が設置するものに限る。)及び私立学校の長は、次に掲げる標準教科用特定図書等の需要数を、文部科学省令で定めるところにより、都道府県の教育委員会に報告しなければならない。

小中学校について採択された検定教科用図書等に係る標準教科用特定図書等であって、当該標準教科用特定図書等を使用する年度において発行が予定されているもののうち、小中学校に在学する視覚障害その他の障害のある児童及び生徒が当該検定教科用図書等に代えて使用するもの

特別支援学校の小学部及び中学部並びに小学校、中学校及び義務教育学校に置かれる特別支援学級について学校教育法附則第九条第一項に規定する教科用図書として採択された標準教科用特定図書等であって、当該標準教科用特定図書等を使用する年度において発行が予定されているもの

2 都道府県の教育委員会は、前項各号に掲げる標準教科用特定図書等の都道府県内の需要数を、文部科学省令で定めるところにより、文部科学大臣に報告しなければならない。

(標準教科用特定図書等の発行の通知等)

第十七条 文部科学大臣は、前条第二項の規定による報告に基づき、標準教科用特定図書等の発行を予定している者にその発行をすべき標準教科用特定図書等の種類及び部数を通知しなければならない。

2 文部科学大臣は、必要に応じ、前項の通知を受けた者に対し報告を求めることができる。

(事務の区分)

第十八条 第十六条第二項の規定により都道府県が処理することとされている事務及び同条第一項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

附則

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行し、平成二十一年度において使用される検定教科用図書等及び教科用特定図書等から適用する。

(検討)
第二条 国は、高等学校において障害のある生徒が使用する教科用拡大図書等の普及の在り方並びに特別支援学校に就学する児童及び生徒について行う援助の在り方について検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

(第五条第二項の規定による電磁的記録の提供の特例)
第三条 第五条第二項の規定により電磁的記録の提供を行うことができることとされた教科用特定図書等の発行には、当分の間、障害のある児童及び生徒並びに日本語に通じない児童及び生徒の双方の学習の用に供するために行う教科用特定図書等の発行を含むものとする。

(著作権法の特例)
第四条 前条に規定する障害のある児童及び生徒並びに日本語に通じない児童及び生徒の双方の学習の用に供するために行う教科用特定図書等の発行並びに当該発行に係る教科用特定図書等についての著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十三条の三第一項及び第二項、第八十六条第三項並びに第百二条第三項の規定の適用については、同法第三十三条の三第一項中「できる」とあるのは「できる。この場合において、複製された著作物は、当該著作物が掲載された教材を当該障害又は日本語に通じないことにより教科用図書に掲載された著作物を使用することが困難な児童又は生徒の学習の用に供するために増製し、又は提供し、若しくは提示するために必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる」と、同条第二項中「当該教科用拡大図書等を頒布する」とあるのは「、当該教科用拡大図書等を頒布し、又は当該教科用拡大図書等によつて当該著作物の公衆送信を行う」と、同法第八十六条第三項中「第三十三条の三第四項」とあるのは「第三十三条の三第一項及び第四項」と、同法第百二条第三項中「レコードを」とあるのは「レコードについて、」と、「その複製物」とあるのは「、送信可能化を行い、若しくはその複製物」とする。

附則(平成二七年六月二四日法律第四六号)

(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。

附則(平成二八年五月二〇日法律第四七号)

(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十九年四月一日から施行する。

附則(平成三〇年六月一日法律第三九号)

(施行期日)
第一条 この法律は、平成三十一年四月一日から施行する。

附則(令和六年六月一九日法律第五五号)

この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。