第一章 総則
(目的)第一条 この法律は、我が国の観光地の魅力と国際競争力を高め、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在を促進するためには、観光地の特性を生かした良質なサービスの提供、関係者の協力及び観光地相互間の連携が重要となっていることにかんがみ、市町村又は都道府県による観光圏整備計画の作成及び観光圏整備事業の実施に関する措置について定めることにより、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在を促進するための地域における創意工夫を生かした主体的な取組を総合的かつ一体的に推進し、もって観光立国の実現に資するとともに、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)第二条 この法律において「観光圏」とは、滞在促進地区が存在し、かつ、自然、歴史、文化等において密接な関係が認められる観光地を一体とした区域であって、当該観光地相互間の連携により観光地の魅力と国際競争力を高めようとするものをいう。
2 この法律において「滞在促進地区」とは、観光旅客の滞在を促進するため、次項第一号に掲げる事業及びこれに必要な同項第五号に掲げる事業を重点的に実施しようとする地区をいう。 3 この法律において「観光圏整備事業」とは、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に資する事業であって、次に掲げるものをいう。一 観光旅客の宿泊に関するサービスの改善及び向上に関する事業
二 観光資源を活用したサービスの開発及び提供に関する事業
三 観光旅客の移動の利便の増進に関する事業
四 観光に関する情報提供の充実強化に関する事業
五 前各号の事業に必要な施設の整備に関する事業
六 その他観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に資する事業
第二章 基本方針
第三条 主務大臣は、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進を総合的かつ一体的に図るため、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。一 観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進の意義及び目標に関する事項
二 次条第一項に規定する観光圏整備計画の作成に関する基本的な事項
三 滞在促進地区に関する基本的な事項
四 観光圏整備事業に関する基本的な事項
五 関連する観光の振興に関する施策との連携に関する基本的な事項
六 観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に係る市町村、都道府県その他の関係者間における連携及び協力に関する基本的な事項
七 その他観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する事項
3 基本方針は、観光立国推進基本法(平成十八年法律第百十七号)第十条第一項に規定する観光立国推進基本計画との調和が保たれたものでなければならない。 4 主務大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更するものとする。 5 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。 6 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。第三章 観光圏整備計画の作成及び実施
(観光圏整備計画)第四条 市町村又は都道府県は、基本方針に基づき、単独で又は共同して、当該市町村又は都道府県の区域内について、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進を総合的かつ一体的に図るための計画(以下「観光圏整備計画」という。)を作成することができる。
2 観光圏整備計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。一 観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する基本的な方針
二 観光圏の区域
三 滞在促進地区の区域
四 観光圏整備計画の目標
五 前号の目標を達成するために行う観光圏整備事業及びその実施主体に関する事項
六 計画期間
七 前各号に掲げるもののほか、観光圏整備計画の実施に関し当該市町村又は都道府県が必要と認める事項
3 観光圏整備計画は、国土形成計画その他法律の規定による地域振興に関する計画、地域森林計画その他法律の規定による森林の整備に関する計画並びに都市計画及び都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第十八条の二に規定する市町村の都市計画に関する基本的な方針との調和が保たれたものでなければならない。 4 市町村又は都道府県は、観光圏整備計画を作成しようとするときは、あらかじめ、住民その他利害関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。 5 市町村又は都道府県は、観光圏整備計画を作成しようとするときは、これに定めようとする第二項第五号に掲げる事項について、次条第一項の協議会が組織されている場合には協議会における協議を、同項の協議会が組織されていない場合には観光圏整備事業を実施すると見込まれる者と協議をしなければならない。 6 市町村又は都道府県は、第二項第五号に掲げる事項に、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(平成十九年法律第四十八号)第三条各号に掲げる要件に該当する地域に係る同法第五条第二項第二号又は第三号に掲げる事業又は事務(いずれも同項第二号ハに掲げる事業に係るものに限る。)であって同法第七条第二項の交付金を充てて実施をしようとするもの(第九条において「農山漁村交流促進事業」という。)のうち、同法第五条第五項に規定する農林漁業団体等が実施するものに関する事項を定めようとするときは、当該事項について、あらかじめ、当該農林漁業団体等の同意を得なければならない。 7 市町村又は都道府県は、観光圏整備計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、市町村にあっては主務大臣、関係する都道府県(当該市町村と共同して当該観光圏整備計画を作成した都道府県を除く。)及び観光圏整備事業を実施すると見込まれる者に、都道府県にあっては主務大臣、関係する市町村(当該都道府県と共同して当該観光圏整備計画を作成した市町村を除く。)及び観光圏整備事業を実施すると見込まれる者に、観光圏整備計画を送付しなければならない。 8 主務大臣及び都道府県は、前項の規定により観光圏整備計画の送付を受けたときは、主務大臣にあっては市町村又は都道府県に対し、都道府県にあっては市町村に対し、必要な助言をすることができる。 9 第三項から前項までの規定は、観光圏整備計画の変更について準用する。 (協議会)第五条 観光圏整備計画を作成しようとする市町村又は都道府県は、観光圏整備計画の作成に関する協議及び観光圏整備計画の実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。
2 協議会は、次に掲げる者をもって構成する。一 観光圏整備計画を作成しようとする市町村又は都道府県
二 一般社団法人、一般財団法人、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の観光圏整備事業の推進を図るのにふさわしい者として主務省令で定めるもの
三 前二号に掲げる者のほか、観光圏整備事業を実施すると見込まれる者
四 関係する住民、学識経験者その他の当該市町村又は都道府県が必要と認める者
3 第一項の規定により協議会を組織する市町村又は都道府県は、同項に規定する協議を行う旨を前項第二号及び第三号に掲げる者に通知しなければならない。 4 前項の規定による通知を受けた者は、正当な理由がある場合を除き、当該通知に係る協議に応じなければならない。 5 協議会において協議が調った事項については、協議会の構成員はその協議の結果を尊重しなければならない。 6 主務大臣及び都道府県は、観光圏整備計画の作成が円滑に行われるように、協議会の構成員の求めに応じて、必要な助言をすることができる。 7 前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。 (観光圏整備計画の作成等の提案)第六条 次に掲げる者は、市町村又は都道府県に対して、観光圏整備計画の作成又は変更をすることを提案することができる。 この場合においては、基本方針に即して、当該提案に係る観光圏整備計画の素案を作成して、これを提示しなければならない。
一 前条第二項第二号に掲げる者その他観光圏整備事業を実施しようとする者
二 住民その他の観光圏整備事業に関し利害関係を有する者
2 前項の規定による提案を受けた市町村又は都道府県は、当該提案に基づき観光圏整備計画の作成又は変更をするか否かについて、遅滞なく、公表しなければならない。 この場合において、観光圏整備計画の作成又は変更をしないこととするときは、その理由を明らかにしなければならない。 (観光圏整備事業の実施)第七条 第四条第一項の規定により観光圏整備計画が作成されたときは、観光圏整備事業を実施しようとする者は、共同して、当該観光圏整備計画に即して観光圏整備事業を実施するための計画(以下「観光圏整備実施計画」という。)を作成し、これに基づき、当該観光圏整備事業を実施するものとする。
2 観光圏整備実施計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。一 観光圏整備事業の目標及び内容(滞在促進地区において実施するものにあっては、その旨を含む。)
二 観光圏整備事業の実施時期
三 観光圏整備事業を実施するのに必要な資金の額及びその調達方法
3 観光圏整備事業を実施しようとする者は、観光圏整備実施計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係する市町村又は都道府県の意見を聴かなければならない。 4 観光圏整備事業を実施しようとする者は、観光圏整備実施計画を定めたときは、遅滞なく、これを関係する市町村又は都道府県に送付しなければならない。 5 前二項の規定は、観光圏整備実施計画の変更について準用する。 (観光圏整備実施計画の認定)第八条 観光圏整備事業を実施しようとする者は、共同して、国土交通大臣に対し、観光圏整備実施計画が観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進を適切かつ確実に図るために適当なものである旨の認定を申請することができる。
2 前項の規定による認定の申請は、関係する市町村又は都道府県を経由して行わなければならない。 この場合において、関係する市町村又は都道府県は、当該観光圏整備実施計画を検討し、意見を付して、国土交通大臣に送付するものとする。 3 国土交通大臣は、第一項の規定による認定の申請があった場合において、その観光圏整備実施計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。一 観光圏整備実施計画に定める事項が基本方針に照らして適切なものであること。
二 観光圏整備実施計画に定める事項が観光圏整備事業を確実に遂行するため適切なものであること。
三 観光圏整備実施計画に定められた観光圏整備事業のうち、滞在促進地区において実施するものについては、当該観光圏における観光旅客の滞在を促進するため有効なものであること。
四 観光圏整備実施計画に定められた観光圏整備事業のうち、観光案内所の運営に係るものについては、当該観光圏整備事業に係る全ての観光案内所において、観光圏の全域にわたる観光に関する情報が適切に提供されるものであること。
五 観光圏整備実施計画に定められた観光圏整備事業のうち、第十二条第一項前段に規定する観光圏内限定旅行業者代理業に該当するものについては、当該事業を実施しようとする者が旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)第六条第一項各号(第九号及び第十号を除く。)のいずれにも該当せず、かつ、営業所ごとに同法第十一条の二に規定する旅行業務取扱管理者又は第十二条第四項前段に規定する観光圏内限定旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められること。
4 国土交通大臣は、前項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を関係する市町村又は都道府県に通知するものとする。 5 第三項の認定を受けた者(以下「認定観光圏整備事業者」という。)は、当該認定に係る観光圏整備実施計画を変更しようとするときは、共同して、国土交通大臣の認定を受けなければならない。 ただし、国土交通省令で定める軽微な変更については、この限りでない。 6 認定観光圏整備事業者は、前項ただし書の国土交通省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。 7 第二項から第四項までの規定は、第五項の変更の認定について準用する。 8 国土交通大臣は、第三項の認定に係る観光圏整備実施計画(第五項の変更の認定又は第六項の規定による変更の届出があったときは、その変更後のもの。以下「認定観光圏整備実施計画」という。)が第三項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき、又は認定観光圏整備事業者が認定観光圏整備実施計画に従って観光圏整備事業を実施していないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。 9 第三項の認定、第五項の変更の認定及び第六項の規定による変更の届出に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。 (農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の特例)第九条 市町村又は都道府県が、観光圏整備計画において、第四条第二項第五号に掲げる事項に、農山漁村交流促進事業に関する事項を定めた場合において、同条第七項の規定により当該観光圏整備計画を主務大臣に送付したときは、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律第七条第一項の規定による活性化計画の提出があったものとみなして、同条第二項から第四項までの規定を適用する。 この場合において、同条第二項中「事業等」とあるのは、「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律(平成二十年法律第三十九号)第四条第六項に規定する農山漁村交流促進事業」とする。
(認定観光圏案内所)第十条 観光圏整備事業を実施しようとする者が、観光に関する情報提供の充実強化に関する事業であって観光案内所を運営するものに関する事項が記載された観光圏整備実施計画について、第八条第三項の認定(同条第五項の変更の認定を含む。以下同じ。)を受けた場合において、認定観光圏整備実施計画に従って当該事業を実施するときは、当該観光案内所の名称として、認定観光圏案内所という名称を用いることができる。
2 何人も、認定観光圏案内所でないものについて、認定観光圏案内所という名称又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。 (国際観光ホテル整備法の特例)第十一条 観光圏整備事業を実施しようとする者であって滞在促進地区において国際観光ホテル整備法(昭和二十四年法律第二百七十九号)第七条第一項に規定する登録ホテル業又は同法第十八条第二項に規定する登録旅館業を営むものが、観光旅客の宿泊に関するサービスの改善及び向上に関する事業であって宿泊約款の変更を伴うものに関する事項が記載された観光圏整備実施計画について、第八条第三項の認定を受けた場合において、認定観光圏整備実施計画に従って当該事業を実施するに当たり、同法第十一条第一項後段(同法第十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出を行わなければならないときは、これらの規定による届出をしたものとみなす。
(旅行業法の特例)第十二条 観光圏整備事業を実施しようとする者であって滞在促進地区において旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する旅館業(同条第四項に規定する下宿営業その他の国土交通省令で定めるものを除く。)を営むもの(旅行業法第三条の登録を受けた者を除く。)が、観光旅客の宿泊に関するサービスの改善及び向上を図るために実施する旅行業法第二条第二項に規定する旅行業者代理業であって、当該観光圏内の旅行(宿泊者の滞在の促進に資するものとして国土交通省令で定めるものに限る。)に関し宿泊者と同条第三項に規定する旅行業務(以下単に「旅行業務」という。)の取扱いに係る契約を締結する行為を行うもの(以下「観光圏内限定旅行業者代理業」という。)に関する事項が記載された観光圏整備実施計画について、第八条第三項の認定を受けた場合において、認定観光圏整備実施計画に従って観光圏内限定旅行業者代理業を実施するに当たり、同法第三条の旅行業者代理業の登録を受け、又は同法第六条の四第三項の規定による届出をしなければならないときは、これらの規定による登録を受け、又は届出をしたものとみなす。 この場合においては、同法第十二条の九第一項の規定は、適用しない。
2 前項の規定により旅行業法第三条の登録を受けたものとみなされた者(以下「観光圏内限定旅行業者代理業者」という。)は、営業所において、国土交通省令で定める様式の標識を、公衆に見やすいように掲示しなければならない。 3 次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める標識を掲示してはならない。一 観光圏内限定旅行業者代理業者 旅行業法第十二条の九第一項の標識
二 観光圏内限定旅行業者代理業者以外の者 前項の標識
三 旅行業法第十一条の二第一項に規定する旅行業者等(同法以外の法律の規定により同法第三条の登録を受けたものとみなされた者を含む。)以外の者 前項の標識に類似する標識
4 観光圏内限定旅行業者代理業者は、その営業所に、旅行業法第十一条の二第一項の規定により選任しなければならないものとされている旅行業務取扱管理者に代えて、次に掲げる要件に該当する観光圏内限定旅行業務取扱管理者を選任することができる。 この場合においては、観光圏内限定旅行業務取扱管理者を同項に規定する旅行業務取扱管理者とみなして、同法の規定を適用する。一 旅行業法第六条第一項第一号から第六号までのいずれにも該当しないこと。
二 旅行業務の取扱いについての国土交通省令で定める研修の課程を修了したことその他の当該営業所における旅行業務に関し旅行業法第十一条の二第一項に規定する事務を行うのに必要な知識及び能力を有するものとして国土交通省令で定める要件を備えること。
(共通乗車船券)第十三条 観光圏整備事業を実施しようとする者が、観光旅客の移動の利便の増進に関する事業であって観光圏内を移動する観光旅客を対象とする共通乗車船券(二以上の運送事業者が期間、区間その他の条件を定めて共同で発行する証票であって、その証票を提示することにより、当該条件の範囲内で、当該各運送事業者の運送サービスの提供を受けることができるものをいう。)に係る運賃又は料金の割引を行うものに関する事項が記載された観光圏整備実施計画について、第八条第三項の認定を受けた場合において、認定観光圏整備実施計画に従って当該事業を実施しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を共同で国土交通大臣に届け出ることができる。
2 前項の規定による届出をした者は、鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第十六条第三項後段若しくは第三十六条後段、軌道法(大正十年法律第七十六号)第十一条第二項、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第九条第三項後段、海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第八条第一項後段(同法第二十一条の五において準用する場合を含む。)又は航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第百五条第一項後段の規定による届出をしたものとみなす。 (道路運送法の特例)第十四条 観光圏整備事業を実施しようとする者であって道路運送法第三条第一号イに掲げる一般乗合旅客自動車運送事業を経営するものが、観光旅客の移動の利便の増進に関する事業であって運行回数の増加その他の国土交通省令で定めるものに関する事項が記載された観光圏整備実施計画について、第八条第三項の認定を受けた場合において、認定観光圏整備実施計画に従って当該事業を実施するに当たり、同法第十五条第一項の認可を受けなければならないとき又は同条第三項若しくは同法第十五条の三第二項の規定による届出を行わなければならないときは、これらの規定にかかわらず、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出ることをもって足りる。
(海上運送法の特例)第十五条 観光圏整備事業を実施しようとする者が、観光旅客の移動の利便の増進を図るために実施する海上運送法第十九条の五第一項に規定する人の運送をする貨物定期航路事業又は同法第二十条第二項に規定する人の運送をする不定期航路事業であって事業の開始その他の国土交通省令で定めるものに関する事項が記載された観光圏整備実施計画について、第八条第三項の認定を受けた場合において、認定観光圏整備実施計画に従って当該事業を実施するに当たり、同法第十九条の五第一項又は第二十条第二項の規定による届出を行わなければならないときは、これらの規定による届出をしたものとみなす。
2 観光圏整備事業を実施しようとする者であって海上運送法第二条第五項に規定する一般旅客定期航路事業を営むものが、観光旅客の移動の利便の増進に関する事業であって運航回数の増加その他の国土交通省令で定めるものに関する事項が記載された観光圏整備実施計画について、第八条第三項の認定を受けた場合において、認定観光圏整備実施計画に従って当該事業を実施するに当たり、同法第十一条の二第一項の規定による届出を行わなければならないとき又は同条第二項の認可を受けなければならないときは、これらの規定にかかわらず、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出ることをもって足りる。 (認定観光圏整備事業の実施に係る勧告等)第十六条 市町村又は都道府県は、観光圏整備計画に定められた観光圏整備事業が実施されていないと認めるときは、当該観光圏整備事業を実施すべき者に対し、その実施を要請することができる。
2 市町村又は都道府県は、認定観光圏整備実施計画に定められた観光圏整備事業(以下「認定観光圏整備事業」という。)について、前項の規定による要請を受けた者が当該要請に応じないときは、その旨を国土交通大臣に通知することができる。 3 国土交通大臣は、前項の規定による通知があった場合において、第一項の規定による要請を受けた者が正当な理由がなくてその要請に係る認定観光圏整備事業を実施していないと認めるときは、当該要請を受けた者に対し、認定観光圏整備実施計画に従って当該認定観光圏整備事業を実施すべきことを勧告することができる。 4 国土交通大臣は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。 (報告の徴収)第十七条 国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、認定観光圏整備事業者に対し、認定観光圏整備事業の実施状況について報告を求めることができる。
(認定観光圏整備事業者による提案等)第十八条 認定観光圏整備事業者は、観光庁長官に対し、認定観光圏整備実施計画の実施を通じて得られた知見に基づき、当該認定観光圏整備実施計画の円滑かつ確実な実施が促進されるよう、政府の観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する施策の改善についての提案をすることができる。
2 観光庁長官は、前項の提案について検討を加え、遅滞なく、その結果を当該認定観光圏整備事業者に通知するとともに、インターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。 3 観光庁長官は、前項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。 4 観光庁長官は、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進並びに観光分野における地域間の競争の促進に資するため、観光旅客の宿泊の状況に関する統計その他の観光に関する情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。 (社会資本の整備及び交通政策の推進についての配慮)第十九条 国土交通大臣は、社会資本の整備及び交通政策の推進に関し、基本方針に定めるところに従い、観光圏整備事業の円滑かつ確実な実施が促進されるよう十分に配慮するものとする。
(国等の援助等)第二十条 国及び地方公共団体は、観光圏整備計画の達成に資するため、観光圏整備事業を実施する者に対する必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、主務大臣、観光庁長官、地方公共団体、関係団体及び関係事業者は、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関し相互に連携を図りながら協力しなければならない。第四章 雑則
(主務大臣等)第二十一条 この法律における主務大臣は、国土交通大臣及び農林水産大臣とする。
2 この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。 3 この法律に規定する国土交通大臣及び観光庁長官の権限は、国土交通省令で定めるところにより、その一部を地方運輸局長に委任することができる。 (国土交通省令等への委任)第二十二条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な事項は、国土交通省令又は主務省令で定める。
(経過措置)第二十三条 この法律の規定に基づき国土交通省令又は主務省令を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ、国土交通省令又は主務省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第五章 罰則
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第十二条第二項の規定に違反して同項の標識を掲示しなかった者
二 第十二条第三項の規定に違反して同項各号の標識を掲示した者
三 第十七条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同項の刑を科する。第二十五条 第十条第二項の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(調整規定)
第二条 この法律の施行の日が国土交通省設置法等の一部を改正する法律(平成二十年法律第二十六号)の施行の日前である場合には、同法の施行の日の前日までの間における第十八条、第二十条第二項及び第二十一条第三項の規定の適用については、第十八条中「観光庁長官」とあるのは「国土交通大臣」と、第二十条第二項中「主務大臣、観光庁長官」とあるのは「主務大臣」と、第二十一条第三項中「国土交通大臣及び観光庁長官」とあるのは「国土交通大臣」とする。 この法律の施行の日が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)の施行の日前である場合には、同法の施行の日の前日までの間における第五条第二項第二号の規定の適用については、同号中「一般社団法人、一般財団法人」とあるのは、「民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人」とする。
(名称の使用制限に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に認定観光圏案内所という名称又はこれと紛らわしい名称を使用している者については、第十条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
(検討)
第四条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
附則(平成二三年五月二日法律第三五号)
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則(平成二三年八月三〇日法律第一〇五号)
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
附則(平成二六年三月三一日法律第六号)
(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十六年四月一日から施行する。
附則(平成二九年六月二日法律第五〇号)
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次条並びに附則第四条及び第二十四条の規定は、公布の日から施行する。
(罰則の適用に関する経過措置)
第二十三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第二十四条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則(平成二九年一二月一五日法律第八四号)
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第十条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則(令和四年五月二七日法律第五三号)
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、附則第九条の規定は、公布の日から施行する。
(政令への委任)
第九条 附則第五条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則(令和五年五月一二日法律第二四号)
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。