第一章 総則
(趣旨)第一条 この省令は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第八十三条第一項の規定により読み替えて適用される法第十二条の二第一項第二号に規定する製造販売後安全管理(以下「製造販売後安全管理」という。)に係る同号、法第二十三条の二の二第一項第二号及び第二十三条の二十一第一項第二号の農林水産省令で定める基準を定めるものとする。
(定義)第二条 この省令において「医薬品」、「医薬部外品」、「医療機器」、「体外診断用医薬品」又は「再生医療等製品」とは、それぞれ専ら動物のために使用されることが目的とされている医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下同じ。)、医薬部外品、医療機器、体外診断用医薬品又は再生医療等製品をいう。
2 この省令において「安全管理情報」とは、医薬品、医薬部外品、医療機器、体外診断用医薬品又は再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性に関する事項その他医薬品等の適正な使用のために必要な情報をいう。 3 この省令において「安全確保業務」とは、製造販売後安全管理に関する業務のうち、安全管理情報の収集、検討及びその結果に基づく必要な措置(以下「安全確保措置」という。)に関する業務をいう。 4 この省令において「第一種製造販売業者」とは、法第八十三条第一項の規定により読み替えて適用される法第四十九条第一項に規定する農林水産大臣の指定する医薬品(以下「要指示医薬品」という。)、高度管理医療機器又は再生医療等製品の製造販売業者をいう。 5 この省令において「第二種製造販売業者」とは、要指示医薬品以外の医薬品、管理医療機器又は体外診断用医薬品の製造販売業者をいう。 6 この省令において「第三種製造販売業者」とは、医薬部外品又は一般医療機器の製造販売業者をいう。 7 この省令において「医薬品安全管理責任者」とは、医薬品の安全確保業務を統括する者をいう。 8 この省令において「医薬部外品安全管理責任者」とは、医薬部外品の安全確保業務を統括する者をいう。 9 この省令において「医療機器安全管理責任者」とは、医療機器の安全確保業務を統括する者をいう。 10 この省令において「体外診断用医薬品安全管理責任者」とは、体外診断用医薬品の安全確保業務を統括する者をいう。 11 この省令において「再生医療等製品安全管理責任者」とは、再生医療等製品の安全確保業務を統括する者をいう。第二章 第一種製造販売業者の製造販売後安全管理の基準
(医薬品等総括製造販売責任者等の業務)第三条 第一種製造販売業者は、次の各号に掲げる業務を法第十七条第二項に規定する医薬品等総括製造販売責任者、第二十三条の二の十四第二項に規定する医療機器等総括製造販売責任者又は第二十三条の三十四第二項に規定する再生医療等製品総括製造販売責任者(以下「医薬品等総括製造販売責任者等」と総称する。)に行わせなければならない。
一 医薬品安全管理責任者、医療機器安全管理責任者又は再生医療等製品安全管理責任者(以下この章において「安全管理責任者」と総称する。)を監督すること。
二 安全管理責任者の意見を尊重すること。
三 安全管理責任者と品質保証責任者(動物用医薬品、動物用医薬部外品及び動物用再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(平成十七年農林水産省令第十九号)第四条第三項に規定する医薬品品質保証責任者、同令第十六条に規定する医薬部外品品質保証責任者、同令第二十条第一項において準用する同令第四条第三項に規定する再生医療等製品品質保証責任者又は動物用医療機器及び動物用体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理に係る業務を行う体制の基準に関する省令(平成二十六年農林水産省令第五十九号)第三条第三項に規定する製造管理及び品質管理に係る業務の責任者をいう。以下同じ。)その他の要指示医薬品、高度管理医療機器又は再生医療等製品の製造販売に係る業務の責任者との密接な連携を図らせること。
(安全確保業務に係る組織及び職員)第四条 第一種製造販売業者は、次に掲げる要件を満たす安全確保業務の統括に係る部門(以下この章において「安全管理統括部門」という。)を置かなければならない。
一 医薬品等総括製造販売責任者等の監督下にあること。
二 安全確保業務(第四項の規定により安全管理責任者以外の者に行わせる業務を除く。)を適正かつ円滑に遂行し得る能力を有する人員を十分に有すること。
三 安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれのある部門から独立していること。
2 第一種製造販売業者は、次に掲げる要件を満たす安全管理責任者を置かなければならない。一 安全管理統括部門の責任者であること。
二 安全確保業務その他これに類する業務に三年以上従事した者であること。
三 安全確保業務を適正かつ円滑に遂行し得る能力を有する者であること。
四 安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。
3 第一種製造販売業者は、次項に規定する場合を除き、安全管理責任者に安全確保業務を行わせなければならない。 4 第一種製造販売業者は、安全確保業務であって動物用医薬品等取締規則(平成十六年農林水産省令第百七号)第七十七条各号、第九十一条の六十六各号又は第九十一条の百四十一各号に掲げるものの全部又は一部を安全管理責任者以外の者に行わせることができる。 この場合にあっては、当該業務を適正かつ円滑に遂行し得る能力を有する当該業務の実施に係る責任者(以下「安全管理実施責任者」という。)を置かなければならない。 (製造販売後安全管理業務手順書等)第五条 第一種製造販売業者は、製造販売後安全管理を適正かつ円滑に行うため、次に掲げる手順を記載した製造販売後安全管理業務手順書を作成しなければならない。
一 安全管理情報の収集に関する手順
二 安全管理情報の検討及びその結果に基づく安全確保措置の立案に関する手順
三 安全確保措置の実施に関する手順
四 安全管理責任者から医薬品等総括製造販売責任者等への報告に関する手順
五 安全管理実施責任者から安全管理責任者への報告に関する手順
六 自己点検に関する手順
七 製造販売後安全管理に関する業務に係る記録の保存に関する手順
八 品質保証責任者その他の要指示医薬品、高度管理医療機器又は再生医療等製品の製造販売に係る業務の責任者との相互の連携に関する手順
九 その他製造販売後安全管理に関する業務を適正かつ円滑に行うために必要な手順
2 第一種製造販売業者は、製造販売後安全管理に関する業務に従事する者の責務及び管理体制を文書により適切に定めなければならない。 3 第一種製造販売業者は、医薬品等総括製造販売責任者等又は安全管理責任者に、安全確保業務の適正かつ円滑な実施のために必要な事項を文書により定めさせなければならない。 4 第一種製造販売業者は、第一項の手順書又は第二項の文書を作成し、又は改訂したときは、当該手順書又は文書にその日付を記録し、これを保存しなければならない。 5 第一種製造販売業者は、医薬品等総括製造販売責任者等又は安全管理責任者が第三項の文書を作成し、又は改訂したときは、当該文書にその日付を記録させ、これを保存させなければならない。 6 第一種製造販売業者は、医薬品等総括製造販売責任者等がその業務を行う事務所に第一項の手順書、第二項及び第三項の文書並びにその取り扱う要指示医薬品、高度管理医療機器又は再生医療等製品の安全性に関する文書その他安全確保業務に必要な文書(以下この章において「製造販売後安全管理業務手順書等」という。)を備え付けるとともに、安全確保業務を行うその他の事務所に製造販売後安全管理業務手順書等のうち、その事務所が担当するものに係るものの写しを備え付けなければならない。 (安全管理責任者の業務)第六条 第一種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、次に掲げる業務を安全管理責任者に行わせなければならない。
一 安全確保業務を統括すること。
二 安全確保業務が適正かつ円滑に行われているか確認し、その記録を作成し、保存すること。
三 安全確保業務について必要があると認めるときは、医薬品等総括製造販売責任者等に対し文書により意見を述べ、その写しを保存すること。
(安全管理情報の収集)第七条 第一種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、次に掲げる安全管理情報を安全管理責任者又は安全管理実施責任者に収集させ、その記録を作成させなければならない。
一 獣医療関係者からの情報
二 学会報告、文献報告その他研究報告に関する情報
三 農林水産省その他政府機関及び都道府県からの情報
四 外国政府、外国法人等からの情報
五 他の製造販売業者等からの情報
六 その他安全管理情報
2 第一種製造販売業者は、安全管理実施責任者に前項に規定する業務を行わせる場合にあっては、安全管理実施責任者に同項の記録を文書により安全管理責任者へ報告させなければならない。 3 第一種製造販売業者は、安全管理責任者に前二項の規定により収集させ、又は報告させた記録を保存させなければならない。 (安全管理情報の検討及びその結果に基づく安全確保措置の立案)第八条 第一種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、次に掲げる業務を安全管理責任者に行わせなければならない。
一 前条の規定により収集した安全管理情報を遅滞なく検討し、その結果を記録すること。
二 前号の安全管理情報について、品質保証責任者が把握する必要があると認められるものである場合にあっては、当該安全管理情報を品質保証責任者に遅滞なく文書(その作成に代えて電磁的記録(法第九条の四第一項に規定する電磁的記録をいう。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)で提供すること。
三 第一号の検討の結果、必要があると認めるときは、廃棄、回収、販売の停止、添付文書の改訂、獣医療関係者への情報の提供又は法に基づく農林水産大臣への報告その他の安全確保措置を立案すること。
四 前号の規定により立案した安全確保措置の案(以下この章において「安全確保措置案」という。)について、医薬品等総括製造販売責任者等に文書により報告し、その写しを保存すること。
2 第一種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、安全管理実施責任者に前項第一号の検討に必要な解析を行わせる場合にあっては、次に掲げる業務を安全管理責任者に行わせなければならない。一 安全管理実施責任者にその実施につき文書により指示し、その写しを保存すること。
二 安全管理実施責任者にその記録を作成させ、文書により安全管理責任者へ報告させるとともに、これを保存すること。
(安全確保措置の実施)第九条 第一種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、次に掲げる業務を医薬品等総括製造販売責任者等に行わせなければならない。
一 安全確保措置案を適正に評価し、安全確保措置を決定するとともに、それらの記録を作成し、保存すること。
二 安全確保措置を安全管理責任者に行わせる場合にあっては、その実施につき文書により指示し、これを保存させること。
三 安全確保措置を安全管理実施責任者に行わせる場合にあっては、その実施につき文書により指示するとともに、その写しを安全管理責任者に保存させること。
四 安全確保措置を安全管理実施責任者に行わせる場合にあっては、当該安全管理実施責任者にその記録を作成させ、文書により報告させるとともに、その写しを安全管理責任者に交付させること。
五 前号及び次項第四号の規定に基づく報告を確認し、必要な措置を決定すること。
2 第一種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、次に掲げる業務を安全管理責任者に行わせなければならない。一 前項第二号の規定による医薬品等総括製造販売責任者等の指示に基づき安全確保措置を行い、その記録を作成し、保存すること。
二 安全確保措置を安全管理実施責任者に行わせる場合にあっては、その実施につき文書により指示し、その写しを保存すること。
三 安全確保措置を安全管理実施責任者に行わせる場合にあっては、当該安全管理実施責任者にその記録を作成させ、文書により報告させるとともに、これを保存すること。
四 安全確保措置の実施の結果等について、医薬品等総括製造販売責任者等に文書により報告し、その写しを保存すること。
五 前項第四号の写しを保存すること。
3 第一種製造販売業者は、安全確保措置案のうち、あらかじめ製造販売後安全管理業務手順書等に定めるものについての第一項第一号に規定する業務を医薬品等総括製造販売責任者等に代えて安全管理責任者に行わせることができる。 この場合にあっては、前二項に規定する業務について必要な事項をあらかじめ製造販売後安全管理業務手順書等に定めておかなければならない。 (自己点検)第十条 第一種製造販売業者は、製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、あらかじめ指定した者に製造販売後安全管理に関する業務について定期的に自己点検を行わせなければならない。
2 第一種製造販売業者は、前項のあらかじめ指定した者が安全管理責任者であるときは、安全管理責任者に同項の自己点検の記録を作成させ、これを保存させなければならない。 3 第一種製造販売業者は、第一項のあらかじめ指定した者が安全管理責任者以外の者であるときは、当該者に同項の自己点検の記録を作成させ、安全管理責任者に対して文書により報告させるとともに、これを安全管理責任者に保存させなければならない。 4 第一種製造販売業者は、安全管理責任者に自己点検の結果を第一種製造販売業者及び医薬品等総括製造販売責任者等に対して文書により報告させ、その写しを保存させなければならない。 5 第一種製造販売業者は、医薬品等総括製造販売責任者等に第一項の自己点検の結果に基づく製造販売後安全管理の改善の必要性について検討させ、その必要性があるときは、所要の措置を講じさせるとともに、その記録を作成させなければならない。 6 第一種製造販売業者は、安全管理責任者に前項の記録を保存させなければならない。第三章 第二種製造販売業者の製造販売後安全管理の基準
(安全確保業務に係る組織及び職員)第十一条 第二種製造販売業者は、安全確保業務を適正かつ円滑に遂行し得る能力を有する人員を十分に有しなければならない。
2 第二種製造販売業者は、次に掲げる要件を満たす医薬品安全管理責任者、医療機器安全管理責任者又は体外診断用医薬品安全管理責任者(以下この章において「安全管理責任者」と総称する。)を置かなければならない。一 安全確保業務を適正かつ円滑に遂行し得る能力を有する者であること。
二 安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。
3 安全確保業務(安全管理責任者以外の者に行わせる業務を除く。)を行う部門は、安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれのある部門から独立していなければならない。 (準用)第十二条 第二種製造販売業者については、第三条及び第五条から第十条まで(第五条第一項第五号、第七条第二項、第八条第二項並びに第九条第二項第二号及び第三号を除く。)の規定を準用する。
2 前項の場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。第四章 第三種製造販売業者の製造販売後安全管理の基準
(準用)第十三条 第三種製造販売業者については、第三条、第六条から第九条まで及び第十一条(第七条第二項、第八条第二項並びに第九条第二項第二号及び第三号を除く。)の規定を準用する。
2 前項の場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。第五章 雑則
(安全確保業務に係る記録の保存)第十四条 この省令の規定により保存することとされている文書その他の記録の保存期間は、当該記録を利用しなくなった日から三年間とする。 ただし、次に掲げる記録の保存期間はそれぞれ当該各号に定める期間とする。
一 特定保守管理医療機器に係る記録 利用しなくなった日から十五年間
二 第十条(第十二条第一項において準用する場合を含む。)に規定する自己点検に係る記録 作成した日から三年間
2 製造販売業者は、この省令の規定にかかわらず、第五条(第十二条第一項において準用する場合を含む。)に規定する製造販売後安全管理業務手順書等に基づき、この省令の規定により記録を保存しなければならないとされている者に代えて、製造販売業者が指定する者に、当該記録を保存させることができる。附則
この省令は、平成十七年四月一日から施行する。附則(平成二六年一一月一八日農林水産省令第五八号)
(施行期日)
第一条 この省令は、薬事法等の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)の施行の日(平成二十六年十一月二十五日)から施行する。
附則(令和三年七月三〇日農林水産省令第四五号)
(施行期日)
第一条 この省令は、改正法附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(令和三年八月一日)から施行する。