第一章 総則
(目的)第一条 この規則は、警察官及び皇宮護衛官の警棒等の使用及び取扱いについて必要な事項を定めることを目的とする。
(用語の定義)第二条 この規則において、「所轄庁」とは、警察庁(警察庁内部部局、警察大学校及び科学警察研究所をいう。)、皇宮警察本部、管区警察局、警視庁、道府県警察本部及び方面本部をいう。 この場合において、警視庁には東京都警察情報通信部を、北海道警察本部には北海道警察情報通信部を含むものとする。
2 第二章及び第三章の「警棒等」とは、警棒及び警じょうその他の特殊警戒用具(警棒に類する用具のうち、武器に代えて使用することができるものとして警察庁長官(以下「長官」という。)が認めたものをいう。)をいう。 3 第四条第二項第二号の「凶悪な罪」とは、警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)第七条ただし書第一号に規定する「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁にあたる兇悪な罪」をいう。 (皇宮護衛官への準用)第三条 第二章及び第三章の規定は、皇宮護衛官の警棒等の使用及び取扱いについて準用する。
第二章 使用等
(警棒等の使用)第四条 警察官は、犯人の逮捕又は逃走の防止、自己又は他人に対する防護、公務執行に対する抵抗の抑止、犯罪の制止その他の職務を遂行するに当たって、その事態に応じ、警棒等を有効に使用するよう努めなければならない。
2 警察官は、次の各号の一に該当する場合においては、警棒等を武器に代わるものとして使用することができる。一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条(正当防衛)又は同法第三十七条(緊急避難)に該当する場合
二 凶悪な罪の犯人を逮捕する際、逮捕状により逮捕する際又は勾引状若しくは勾留状を執行する際、その本人が当該警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとする場合又は第三者がその者を逃がそうとして当該警察官に抵抗する場合、これを防ぎ又は逮捕するため他に手段がないと認めるとき。
(部隊組織により行動する場合)第五条 多衆犯罪の鎮圧等のため、警察官が部隊組織により行動する場合において、警棒等を使用するときは、その場の部隊指揮官の命令によらなければならない。 ただし、状況が急迫で命令を受けるいとまのないときは、この限りではない。
(第三者に対する危害防止上の注意)第六条 警棒等を使用するときは、相手以外の者に危害を及ぼし、又は損害を与えないよう十分に注意しなければならない。
(報告)第七条 警察官は、警棒等を使用して人に危害を与えたときは、直ちにその状況を所属長に報告しなければならない。 ただし、訓練の場合は、この限りでない。
2 第五条本文の規定により警棒等を使用した場合における前項の規定による報告は、命令を発した部隊指揮官が行うものとする。 3 所属長は、前二項の報告を受けたときは、直ちに所轄庁の長に報告しなければならない。 4 所轄庁の長(長官を除く。)は、前項の報告を受けた場合において、人を死に至らせる等特に重大であると認められる危害を与えた事案であるときは、次の各号に掲げる事項を直ちに長官に報告しなければならない。一 使用の日時及び場所
二 使用者の所属、官職及び氏名
三 危害の内容及び程度
四 使用の理由及び状況
五 事案に対する処置
六 その他参考事項
第三章 携帯
(警棒等の携帯)第八条 警察官は、制服(活動服を含む。以下同じ。)を着用して勤務するときは、警棒を携帯するものとする。 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 室内で勤務するとき(交番その他の派出所、駐在所その他これらに類する施設で公衆の見やすい場所において勤務するときを除く。)
二 会議又は事務打合せに出席するとき。
三 儀式に出席するとき。
四 音楽隊員が演奏に従事するとき。
五 看守勤務の警察官が留置施設において勤務するとき。
六 災害応急対策のための作業に従事するとき。
七 前各号に掲げる場合のほか、警棒を携帯することが不適当であると所属長が認めたとき。
2 警察官は、特殊の被服又は私服を着用して勤務する場合において、警棒を使用する可能性のある職務に従事するときは、警棒を携帯するものとする。 3 特殊警戒用具は、犯人の逮捕その他の職務の執行について必要と認められる場合に携帯するものとする。 (警棒の携帯方法)第九条 制服又は特殊の被服を着用して警棒を携帯するときは、警棒つりに納めて帯革に付け、左腰に着装するものとする。 ただし、職務の性質上特に必要がある場合には、所属長が指示する方法により携帯することができる。