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平成十年法律第百十六号
対人地雷の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律

施行日:

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第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約(以下「条約」という。)の適確な実施を確保するため、対人地雷の製造を禁止するとともに、対人地雷の所持を規制する等の措置を講ずることを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「対人地雷」とは、人の存在、接近又は接触によって爆発するように設計された地雷をいう。

第二章 対人地雷の製造の禁止

(製造の禁止)

第三条 何人も、対人地雷を製造してはならない。

第三章 対人地雷の所持等の規制

(所持の禁止)

第四条 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、対人地雷を所持してはならない。

次条第一項の許可を受けた者(以下「許可所持者」という。)が、同項の許可(第八条第一項の規定による変更の許可があったときは、その変更後のもの)に係る対人地雷を所持するとき。

第十条第一項の輸入の承認を受けた者(以下「承認輸入者」という。)が、その輸入した対人地雷を許可所持者に譲り渡すまでの間所持するとき。

第十一条第一項の規定により対人地雷を廃棄し、又は引き渡さなければならない者が、廃棄し、又は引き渡すまでの間所持するとき。

前三号に掲げる者から運搬を委託された者が、その委託に係る対人地雷を当該運搬のために所持するとき。

前各号に掲げる者の従業者が、その職務上対人地雷を所持するとき。

(所持の許可)

第五条 対人地雷を所持しようとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。 ただし、前条第二号、第四号又は第五号に掲げる者がそれぞれ同条第二号、第四号又は第五号に規定する所持をしようとする場合は、この限りでない。

2 前項の許可を受けようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。

氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

所持しようとする対人地雷の型式及びその数量

所持の目的及び方法

その他経済産業省令で定める事項

(欠格事由)

第六条 次の各号のいずれかに該当する者は、前条第一項の許可を受けることができない。

この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者

第九条の規定により許可を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない者

他の法令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者で、その情状が対人地雷の所持をする者として不適当なもの

心身の故障により対人地雷を適正に所持することができない者として経済産業省令で定める者

法人であって、その業務を行う役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの

(所持の許可の基準)

第七条 経済産業大臣は、第五条第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

対人地雷が条約で認められた目的のために所持されることが確実であること。

その他条約の適確な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。

(変更の許可等)

第八条 許可所持者は、第五条第二項第三号に掲げる事項を変更しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2 許可所持者は、第五条第二項第一号に掲げる事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

3 前条の規定は、第一項の許可に準用する。

(所持の許可の取消し)

第九条 経済産業大臣は、許可所持者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。

第六条第一号又は第三号から第五号までのいずれかに該当するに至ったとき。

不正の手段により第五条第一項又は前条第一項の許可を受けたとき。

前条第一項の規定により許可を受けなければならない事項を同項の許可を受けないで変更したとき。

第十二条第一項の規定により第五条第一項又は前条第一項の許可に付された条件に違反したとき。

(輸入の承認及び制限)

第十条 対人地雷を輸入しようとする者は、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第五十二条の規定により、輸入の承認を受ける義務を課せられるものとする。

2 前項の輸入の承認は、許可所持者からその許可に係る対人地雷の輸入の委託を受けた者がその委託に係る対人地雷を輸入する場合、又は許可所持者自らがその許可に係る対人地雷を輸入する場合でなければ、これを行わないものとする。

(廃棄等)

第十一条 次の各号のいずれかに該当する場合において、当該各号に掲げる者が対人地雷を所持しているときは、その者は、遅滞なく、その対人地雷(第一号に該当する場合にあっては、所持することを要しなくなった部分に限る。)を廃棄し、又は当該対人地雷について新たに許可所持者となった者に引き渡さなければならない。

許可所持者が、その許可に係る対人地雷の全部又は一部について所持することを要しなくなったとき。

許可所持者が、第九条の規定によりその許可を取り消されたとき。

承認輸入者が、許可所持者に譲り渡すために対人地雷の輸入をした場合において、その許可所持者がその対人地雷を譲り受ける前に、第九条の規定によりその許可を取り消されたとき。

2 前項の規定により対人地雷を廃棄し、又は引き渡さなければならない者(以下「廃棄等義務者」という。)が、当該対人地雷を廃棄しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、廃棄する対人地雷の型式及びその数量を経済産業大臣に届け出なければならない。

3 廃棄等義務者が、当該対人地雷を引き渡したときは、経済産業省令で定めるところにより、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

(許可の条件)

第十二条 第五条第一項又は第八条第一項の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。

2 前項の条件は、条約の適確な実施を確保し、又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。

(承継)

第十三条 許可所持者について相続又は合併があったときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、許可所持者の地位を承継する。

2 前項の規定により許可所持者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

(所持の届出)

第十四条 許可所持者又は承認輸入者は、対人地雷を所持することとなったときは、経済産業省令で定めるところにより、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

(帳簿)

第十五条 許可所持者は、帳簿を備え、その所持に係る対人地雷に関し経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

2 前項の帳簿は、経済産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。

第四章 国際連合事務総長の指定する者の検査等

(国際連合事務総長の指定する者の検査等)

第十六条 国際連合事務総長が条約の定めるところにより指定する者は、外務大臣の指定するその職員及び経済産業大臣の指定するその職員の立会いの下に、条約で定める範囲内で、対人地雷を取り扱う場所その他の場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問することができる。

2 前項の規定により検査又は質問に立ち会う職員は、当該検査又は質問が条約の範囲内で、適確かつ円滑に行われることを確保するよう努めなければならない。

3 第一項の規定により検査又は質問に立ち会う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

第五章 雑則

(報告徴収)

第十七条 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、許可所持者、承認輸入者又は廃棄等義務者に対し、その業務に関し報告させることができる。

2 経済産業大臣は、国際連合事務総長から条約の定めるところにより要請があった場合にあっては、国際連合事務総長に対して説明を行うために必要な限度において、対人地雷を取り扱う者その他の者に対し、その要請に係る事項に関し報告させることができる。

(立入検査)

第十八条 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、許可所持者、承認輸入者又は廃棄等義務者の事務所、工場その他の事業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(自衛隊についての特例)

第十九条 自衛隊が行う条約で認められた目的のための対人地雷の所持は、次条の規定により読み替えられた第五条第一項又は第八条第一項の承認を受けたものとみなす。

2 第十七条第二項の規定は、前項の規定により所持の承認を受けたものとみなされた対人地雷に係る事項については、適用しない。

3 国際連合事務総長が条約の定めるところにより指定する者が自衛隊の施設に立ち入り、検査又は質問を行う場合には、第十六条第一項中「経済産業大臣」とあるのは、「防衛大臣」とする。

(国に対する適用)

第二十条 この法律の規定は、次章の規定を除き、国に適用があるものとする。 この場合において、「許可」とあるのは、「承認」と読み替えるものとする。

(経過措置)

第二十一条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第六章 罰則

第二十二条 第三条の規定に違反した者は、七年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

2 前項の未遂罪は、罰する。

第二十三条 対人地雷をみだりに所持した者は、七年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

第二十四条 前二条の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

第二十五条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第八条第一項の規定に違反して第五条第二項第三号に掲げる事項を変更した者

第十一条第一項の規定に違反した者

第二十六条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

第十一条第二項の規定による届出をしないで対人地雷を廃棄した者又は虚偽の届出をした者

第十一条第三項又は第十四条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

第十五条第一項の規定に違反して帳簿を備えず、又は帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をした者

第十五条第二項の規定に違反して帳簿を保存しなかった者

第十六条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

第十七条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第十八条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

第二十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第二十三条の罪を犯し、又は第二十二条若しくは前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

第二十八条 第八条第二項又は第十三条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、二十万円以下の過料に処する。

附則

(施行期日)
第一条 この法律は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

(経過措置)
第二条 この法律の施行の際対人地雷を所持している者は、この法律の施行の日から三十日を経過するまでの間(以下「猶予期間」という。)に第五条第一項の許可の申請をしなかった場合にあっては猶予期間の経過後遅滞なく、猶予期間に申請した同項の許可を拒否された場合にあってはその処分後遅滞なく、その所持する当該対人地雷を廃棄しなければならない。 この法律の施行の際対人地雷を所持している者は、次に掲げる期間は、第四条の規定にかかわらず、その対人地雷を所持することができる。 その者の従業者がその職務上所持する場合及びその者から運搬を委託された者(その従業者を含む。)がその委託に係る対人地雷を当該運搬のために所持する場合も、同様とする。 第十一条第二項の規定は、この法律の施行の際対人地雷を所持する者がその対人地雷を廃棄する場合に準用する。 前三項の規定は、この法律の施行の際自衛隊が所持する対人地雷については、適用しない。

第三条 前条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 前条第三項において準用する第十一条第二項の規定による届出をしないで対人地雷を廃棄した者又は虚偽の届出をした者は、三十万円以下の罰金に処する。 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各項の罰金刑を科する。

第四条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

附則(平成一一年一二月八日法律第一五一号)

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。

(経過措置)
第三条 民法の一部を改正する法律(平成十一年法律第百四十九号)附則第三条第三項の規定により従前の例によることとされる準禁治産者及びその保佐人に関するこの法律による改正規定の適用については、次に掲げる改正規定を除き、なお従前の例による。

第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附則(平成一一年一二月二二日法律第一六〇号)

(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

附則(平成一八年一二月二二日法律第一一八号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(令和元年六月一四日法律第三七号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(行政庁の行為等に関する経過措置)
第二条 この法律(前条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条及び次条において同じ。)の施行の日前に、この法律による改正前の法律又はこれに基づく命令の規定(欠格条項その他の権利の制限に係る措置を定めるものに限る。)に基づき行われた行政庁の処分その他の行為及び当該規定により生じた失職の効力については、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(検討)
第七条 政府は、会社法(平成十七年法律第八十六号)及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)における法人の役員の資格を成年被後見人又は被保佐人であることを理由に制限する旨の規定について、この法律の公布後一年以内を目途として検討を加え、その結果に基づき、当該規定の削除その他の必要な法制上の措置を講ずるものとする。

附則(令和四年六月一七日法律第六八号)

この法律は、刑法等一部改正法施行日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第五百九条の規定 公布の日