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昭和六十三年政令第百四十四号
特定弔慰金等の支給の実施に関する法律施行令

施行日:

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内閣は、特定弔慰金等の支給の実施に関する法律(昭和六十三年法律第三十一号)第二条第一項及び第三項並びに第六条の規定に基づき、この政令を制定する。
(定義)

第一条 この政令において「軍人軍属等」とは、次に掲げる者のうち台湾に住所を有した者をいう。

恩給法の一部を改正する法律(昭和二十一年法律第三十一号)による改正前の恩給法(大正十二年法律第四十八号。以下「改正前の恩給法」という。)第十九条に規定する軍人、準軍人その他元の陸軍又は海軍部内の公務員又は公務員に準ずべき者(戦時又は事変に際し臨時特設の部局又は陸海軍の部隊に配属せしめたる文官補闕の件(明治三十八年勅令第四十三号)に規定する文官を含む。以下「軍人」という。)

元の陸軍又は海軍部内の有給の嘱託員、雇員、人、工員又は鉱員(死亡した後において、死亡の際にさかのぼつてこれらの身分を取得した者及び第十号に掲げる者を除く。)

旧国家総動員法(昭和十三年法律第五十五号。旧関東州国家総動員令(昭和十四年勅令第六百九号)を含む。)に基づいて設立された船舶運営会の運航する船舶の乗組船員

次に掲げる者  イ 南満洲鉄道株式会社(南満洲鉄道株式会社に関する件(明治三十九年勅令第百四十二号)に基づいて設立された会社をいう。)及び次に掲げる法人の職員で、元の陸軍又は海軍の指揮監督の下に前三号に掲げる者の業務と同様の業務に専ら従事中のもの
 ロ 昭和十八年六月二十六日以後北方緊急軍土建事業に従事中の勤労身隊の隊員
 ハ 元の海軍の指揮監督の下に防空、洋上監視等の軍事任務に従事中の漁船の船員
 ニ イからハまでに掲げる者と同視すべき者として内閣総理大臣が指定する者

旧国家総動員法第四条若しくは第五条(旧南洋群島における国家総動員に関する件(昭和十三年勅令第三百十七号)及び旧関東州国家総動員令においてよる場合を含む。)の規定に基づく被徴用者又は総動員業務の協力者(第二号に該当する者であつて第四項第二号に掲げる期間内にあるもの及び第三号に該当する者であつて同項第三号に掲げる期間内にあるものを除く。)

元の陸軍又は海軍の要請に基づく戦闘参加者

昭和二十年三月二十三日の閣議決定国民義勇隊組織に関する件に基づいて組織された国民義勇隊の隊員

昭和十四年十二月二十二日の閣議決定満洲開拓民に関する根本方策に関する件に基づいて組織された満洲開拓青年義勇隊の隊員(昭和十二年十一月三十日の閣議決定満洲に対する青年移民送出に関する件に基づいて実施された満洲青年移民を含む。)又は当該満洲開拓青年義勇隊の隊員としての訓練を修了して集団開拓農民となつた者により構成された義勇隊開拓団の団員(当該満洲開拓青年義勇隊の隊員でなかつた者を除く。)

旧特別未帰還者給与法(昭和二十三年法律第二百七十九号)第一条に規定する特別未帰還者

戦傷病者戦没者遺族等援護法施行令(昭和二十七年政令第百四十三号。以下「援護法施行令」という。)第一条の二の規定による事変地又は戦地に準ずる地域における勤務(元の陸軍又は海軍部内の官又は特務機関における勤務を除く。)に従事中の元の陸軍又は海軍部内の有給の嘱託員、雇員、人、工員又は鉱員

十一 旧防空法(昭和十二年法律第四十七号)第六条第一項若しくは第二項(旧関東州防空令(昭和十二年勅令第七百二十八号)及び旧南洋群島防空令(昭和十九年勅令第六十六号)においてよる場合を含む。)の規定により防空の実施に従事中の者又は同法第六条ノ二第一項(旧関東州防空令及び旧南洋群島防空令においてよる場合を含む。)の指定を受けた者(第三号に掲げる者を除く。)

2 前項第一号又は第二号に掲げる者は、陸軍及び海軍の廃止後も、未復員の状態にある限り、同項第一号又は第二号に該当するものとみなし、同項第四号に掲げる者で、同号に規定する勤務に就いていたことにより昭和二十年九月二日以後引き続き海外において抑留されていたものは、その抑留されていた間に限り、同号に該当するものとみなす。

3 第一項第八号に掲げる者で、昭和二十年九月二日において海外にあつたものは、同日以後引き続き海外にある限り、同号に該当するものとみなす。

4 この政令において「在職期間」とは、次に掲げる期間をいう。

軍人については、改正前の恩給法の規定による就職から退職(復員を含む。)までの期間(元の陸軍の見習士官又は元の海軍の候補生若しくは見習尉官の身分を有していた期間を含む。)

第一項第二号に掲げる者については、昭和十二年七月七日以後、援護法施行令第一条の四の規定による事変地又は戦地における勤務を命ぜられた日から当該勤務を解かれた日までの期間及び昭和二十年九月二日以後引き続き海外にあつて復員するまでの期間

第一項第三号に掲げる者については、昭和十七年四月一日以後船舶運営会の運航する船舶に乗り組み前号に規定する戦地における勤務を命ぜられた日から当該勤務を解かれた日までの期間及び昭和二十年九月二日以後引き続き海外にあつて帰還するまでの期間

第一項第四号に掲げる者については、昭和十二年七月七日以後期間を定めないで、又は一箇月以上の期間を定めて第二号に規定する事変地又は戦地における同項第四号に規定する勤務を命ぜられた日から当該勤務を解かれた日までの期間及び当該勤務に就いていたことにより昭和二十年九月二日以後引き続き海外において抑留されていた期間(以下「抑留期間」という。)

5 この政令において「遺族」とは、死亡した者の死亡の当時における配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の三親等内の親族(死亡した者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、又はその者と生計を共にしていた者に限る。)のうち昭和六十三年七月一日において台湾に住所を有する者(同年五月六日以後台湾に住所を有することとなる者にあつては、同年七月一日以後引き続き同年九月三十日までの間台湾に住所を有する者に限る。)をいう。

6 死亡した者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、その子は、将来に向かつて死亡した者によつて生計を維持し、又はその者と生計を共にしていた子とみなす。

(戦没者等の遺族)

第二条 特定弔慰金等の支給の実施に関する法律(以下「法」という。)第二条第一項の弔慰金法第二条第一項に規定する戦没者等の遺族として政令で定める者は、次に掲げる者とする。

軍人軍属等で、昭和十二年七月七日以後(前条第一項第一号から第四号までに該当する者にあつては、同日以後の在職期間内)に公務上負傷し、又は疾病にかかり、これにより、昭和十六年十二月八日から昭和六十三年六月三十日までの間に死亡したもの(昭和十六年十二月八日前に死亡したことが、昭和二十年九月二日以後において認定された者を含む。)の遺族

日本国との平和条約第十一条に掲げる裁判により拘禁され、当該拘禁中に死亡した者のうち台湾に住所を有したことがあつた者(前号に規定する軍人軍属等を除き、内閣総理大臣が当該死亡を公務上の負傷又は疾病による死亡と同視することを相当と認める者に限る。)の遺族

前条第一項第一号から第四号までに該当する者のうち台湾に住所を有した者(以下「軍人軍属」という。)又は軍人軍属であつた者で、今次の終戦に関連する非常事態に当たり、軍人軍属たる特別の事情に関連して死亡したもの(内閣総理大臣が当該死亡を公務上の負傷又は疾病による死亡と同視することを相当と認めるものに限る。)の遺族

軍人軍属又は軍人軍属であつた者で、援護法施行令第二条の規定による事変地若しくは戦地又は当該戦地であつた地域における在職期間内の行為に関連して当該地域において死亡したもの(当該死亡が大赦令(昭和二十年勅令第五百七十九号)第一条各号、大赦令(昭和二十一年勅令第五百十一号)第一条各号及び大赦令(昭和二十七年政令第百十七号)第一条各号に掲げる罪以外の罪に当たる行為に関連するものであることが明らかでないと内閣総理大臣が認めるものに限る。)の遺族

2 軍人が負傷し、又は疾病にかかつた場合において、恩給法の規定により当該負傷又は疾病を公務によるものとみなすとき、及び軍人たる特別の事情に関連して不慮の災難により負傷し、又は疾病にかかり、内閣総理大臣が公務による負傷又は疾病と同視すべきものと認めたときは、公務上負傷し、又は疾病にかかつたものとみなす。

3 軍人軍属が昭和十二年七月七日以後第一項第四号に規定する事変地又は戦地における在職期間内に負傷し、又は疾病にかかつた場合において、故意又は重大な過失によつて負傷し、又は疾病にかかつたことが明らかでないときは、公務上負傷し、又は疾病にかかつたものとみなす。

4 軍人軍属(前条第一項第四号に掲げる者を除く。)が、昭和二十年九月二日以後引き続き海外にあつて復員(復員することなく海外から直接台湾に帰ること及び帰還を含む。以下同じ。)するまでの間に、自己の責めに帰することができない事由により負傷し、又は疾病にかかつた場合において、内閣総理大臣が公務上負傷し、又は疾病にかかつたものと同視することを相当と認めたときは、公務上負傷し、又は疾病にかかつたものとみなす。

5 軍人軍属が、昭和二十年九月二日以後海外から復員し、その後遅滞なく帰郷する場合に、その帰郷のための旅行中において、自己の責めに帰することができない事由により負傷し、又は疾病にかかつたときは、軍人軍属が在職期間内に公務上負傷し、又は疾病にかかつたものとみなす。

6 次の各号に規定する者が当該各号に該当した場合には、公務上負傷し、又は疾病にかかつたものとみなす。

前条第一項第三号又は第四号に掲げる者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合

前条第二項の規定により同条第一項第四号に掲げる者とみなされる者が抑留期間内に自己の責めに帰することができない事由により負傷し、又は疾病にかかつた場合。

前条第一項第五号、第七号若しくは第十一号に掲げる者が業務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は同項第八号に掲げる者が昭和二十年八月九日前に軍事に関し業務上負傷し、若しくは疾病にかかり、若しくは同日以後に業務上負傷し、若しくは疾病にかかつた場合

前条第一項第六号に掲げる者が当該戦闘に基づき負傷し、又は疾病にかかつた場合

前条第三項の規定により同条第一項第八号に掲げる者とみなされる者又は同項第九号に掲げる者が自己の責めに帰することができない事由により負傷し、又は疾病にかかつた場合。

7 軍人軍属等の次に掲げる負傷又は疾病で、公務上の負傷又は疾病でないものは、公務上の負傷又は疾病とみなす。

軍人軍属の在職期間(旧恩給法施行令(大正十二年勅令第三百六十七号)第七条に規定する元の陸軍又は海軍の学生生徒については、それらの身分を有していた期間を含む。)内の次に掲げる負傷又は疾病  イ 昭和十二年七月七日以後における事変に関する勤務又は戦争に関する勤務に関連する負傷又は疾病(元の陸軍又は海軍部内の官又は特務機関における勤務で兵及び営内に居住すべき下士官の当該勤務以外のものに関連する負傷又は疾病を除く。)
 ロ 昭和二十年九月二日以後引き続き勤務していた期間又は引き続き海外にあつて復員するまでの間における負傷又は疾病で内閣総理大臣が戦争に関する勤務に関連する負傷又は疾病と同視することを相当と認めるもの

前条第一項第五号から第十一号までに掲げる者のそれぞれの勤務(同項第五号に掲げる者の非現業の官公署における勤務及び同項第八号に掲げる者の昭和二十年八月九日前における軍事に関する業務以外の業務に関する勤務を除く。)に関連する負傷又は疾病

(著しく重度の戦傷病者)

第三条 法第二条第一項の弔慰金法第二条第一項に規定する戦傷病者で著しく重度の障害の状態にあるものとして政令で定める者は、次に掲げる条件に該当する者とする。

軍人軍属等であつた者で、昭和十二年七月七日以後(第一条第一項第一号から第四号までに該当する者にあつては、同日以後の在職期間内)に公務上負傷し、又は疾病にかかつたものであること。

前号の負傷又は疾病による障害の程度が、昭和六十三年七月一日において恩給法別表第一号表ノ二に掲げる特別項症から第四項症までに該当するものであること。

昭和六十三年七月一日において台湾に住所を有する者(同年五月六日以後台湾に住所を有することとなる者にあつては、同年七月一日以後引き続き同年九月三十日までの間台湾に住所を有する者に限る。)であること。

2 前条第二項から第七項までの規定は、前項第一号に規定する在職期間又は公務上の負傷若しくは疾病の範囲について準用する。

(著しく重度の戦傷病者の遺族)

第四条 法第二条第一項の弔慰金法第二条第一項に規定する戦傷病者で著しく重度の障害の状態にあつたものの遺族として政令で定める者は、前条第一項第一号に規定する軍人軍属等であつた者(当該負傷又は疾病による障害の程度が恩給法別表第一号表ノ二に掲げる特別項症から第四項症までに該当するものであつた者に限る。)で、当該負傷又は疾病以外の事由により昭和十六年十二月八日から昭和六十三年六月三十日までの間に死亡したものの遺族とする。

(特定弔慰金等の支給を受けるべき遺族の順位等)

第五条 法第二条第一項の特定弔慰金等(以下「特定弔慰金等」という。)の支給を受けるべき遺族の順位は、次に掲げる順序による。

配偶者(死亡した者の死亡の日以後昭和六十三年六月三十日以前に、遺族以外の者の養子となり、又は遺族以外の者と婚姻した者を除く。)

子(昭和六十三年七月一日において遺族以外の者の養子となつている者を除く。)

父母

孫(昭和六十三年七月一日において遺族以外の者の養子となつている者を除く。)

祖父母

兄弟姉妹(昭和六十三年七月一日において遺族以外の者の養子となつている者を除く。)

第二号において同号の順位から除かれている子

第四号において同号の順位から除かれている孫

第六号において同号の順位から除かれている兄弟姉妹

第一号において同号の順位から除かれている配偶者

十一 前各号に掲げる者以外の遺族で死亡した者の葬祭を行つたもの

十二 前各号に掲げる者以外の遺族

2 前項の規定により特定弔慰金等の支給を受けるべき順位にある遺族が、昭和六十三年七月一日以後引き続き一年以上生死不明の場合において、同順位者がないときは、次順位者の申請により、当該次順位者(当該次順位者と同順位の他の遺族があるときは、そのすべての同順位者)を特定弔慰金等の支給を受けるべき順位の遺族とみなすことができる。

3 特定弔慰金等の支給を受けるべき同順位の遺族が数人ある場合においては、その一人のした特定弔慰金等の支給の請求は、全員のためにその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした特定弔慰金等の支給を受ける権利の裁定は、全員に対してしたものとみなす。

(特定弔慰金等の支給を受けることができない者)

第六条 次に掲げる者には、特定弔慰金等を支給しない。

重大な過失によつて負傷し、又は疾病にかかつた者の遺族で、第二条第一項又は第四条に該当するもの

重大な過失によつて負傷し、又は疾病にかかつた者で、第三条第一項に該当するもの

死亡した者の死亡の日以後昭和六十三年六月三十日以前に離縁によつて死亡した者との親族関係が終了した遺族

禁以上の刑に処せられ、昭和六十三年七月一日において、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予の言渡しを受けた者を除く。)

(権限の委任等)

第七条 法第二条第二項の規定による裁定の権限は、日本赤十字社に委任する。

2 日本赤十字社は、前項の規定に基づき裁定をした場合には、遅滞なくその結果を内閣総理大臣に通知しなければならない。

(権利の承継等)

第八条 特定弔慰金等の支給を受ける権利を有する者が死亡した場合において、死亡した者がその死亡前に特定弔慰金等の支給の請求をしていなかつたときは、死亡した者の相続人は、自己の名で、死亡した者の特定弔慰金等の支給を請求することができる。

2 前項の場合において、同順位の相続人が数人あるときは、その一人のした特定弔慰金等の支給の請求は、全員のためにその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした特定弔慰金等の支給を受ける権利の裁定は、全員に対してしたものとみなす。

3 前項の規定は、法第四条第一項に規定する国債の記名者が死亡し、同順位の相続人が数人ある場合における当該国債の記名変更の請求又はその記名変更について準用する。

(処分の制限)

第九条 特定弔慰金等の支給を受ける権利は、譲渡し、又は担保に供することができない。

2 法第四条第四項の規定により発行する国債については、譲渡、担保権の設定その他の処分をすることができない。

附則

この政令は、法施行の日(昭和六十三年七月一日)から施行する。