第一章 総則
(趣旨)第一条 この省令は、消防用吸管の技術上の規格を定めるものとする。
(用語の意義)第二条 この省令において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 消防用吸管 動力消防ポンプ(動力消防ポンプの技術上の規格を定める省令(昭和六十一年自治省令第二十四号。以下「ポンプ規格省令」という。)第二条第一号に規定するものをいう。)の吸水口に結合して使用する吸水のための導管をいう。
二 大容量泡放水砲用吸管 石油コンビナート等災害防止法施行令(昭和五十一年政令第百二十九号)第十三条第三項に規定する大容量泡放水砲用防災資機材としての用途にのみ用いられる、大容量泡放水砲用消防ポンプ自動車(ポンプ規格省令第二条第四号に規定するものをいう。)又は大容量泡放水砲用可搬消防ポンプ(ポンプ規格省令第二条第五号に規定するものをいう。)に使用する消防用吸管をいう。
三 呼び径 大容量泡放水砲用吸管の設計された内径(単位 ミリメートル)をいう。
第二章 消防用吸管
(構造)第三条 消防用吸管(大容量泡放水砲用吸管を除く。以下この章において同じ。)の構造は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 きず、気泡、き裂等の欠陥がなく、かつ、内面にしわ等の不均一な部分がないこと。
二 補強線は、ゴム(天然ゴム及びその誘導体をいう。以下同じ。)、合成ゴム又は合成樹脂で覆われていること。
三 布又は補強線(合成樹脂製のものを除く。)が露出している部分には、はつ水性の塗料の塗布、ゴムによる被覆等の防水処理が施されていること。
(内径)第四条 消防用吸管は、内径の寸法により、次の表の上欄に掲げる呼称に区分するものとし、その内径は、JIS(産業標準化法(昭和二十四年法律第百八十五号)第二十条第一項の日本産業規格をいう。以下同じ。) K 六三三〇―一(ゴム及びプラスチックホース試験方法―第一部:ホース及びホースアセンブリの寸法測定)のホースの内径寸法測定D法により測定した場合において、その呼称に応じ、次の表の下欄に掲げる範囲内の寸法でなければならない。 ただし、結合金具の装着部(たけのこ式のものを除く。)に装着する部分にあつては、この限りでない。
(材料)第五条 消防用吸管に使用する材料は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 ゴム、合成ゴム及び合成樹脂(補強線に用いるものを除く。以下同じ。)は、次に掲げるところによること。
イ 引張り強さが、JIS K 六二五一(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―引張特性の求め方)の引張試験を行つた場合において、ゴムにあつては十三メガパスカル以上、合成ゴム及び合成樹脂にあつては十一メガパスカル以上であること。
ロ 引張り強さが、空気加熱老化試験(六十九度から七十一度までの温度で九十六時間放置した後イに掲げる引張試験を行うものをいう。)を行つた場合において、ゴムにあつては九メガパスカル以上、合成ゴム及び合成樹脂にあつては八メガパスカル以上であること。
ハ 伸びが、イに掲げる引張試験を行つた場合において、ゴムにあつては四百二十パーセント以上、合成ゴム及び合成樹脂にあつては二百六十パーセント以上であること。
二 ゴム及び合成ゴムは、前号に規定するもののほか、次の式で求めた永久伸びが、二十五パーセント以下であること。
三 合成樹脂は、第一号に規定するもののほか、次に掲げるところによること。
イ 室温で二十四時間以上乾燥器中に放置した後、質量を量り、九十八度以上百二度以下とした加熱器中に四十八時間つるし、室温で乾燥器中に放冷した後、再び質量を量つた場合、次の式で求めた減量が、一パーセント以下であること。
ロ 補強層のない消防用吸管に用いる合成樹脂は、消防用吸管の軸方向にJIS K 六二五一(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―引張特性の求め方)の一号形ダンベル状試験片を採取しその一端を固定した状態で、その呼称に応じ、次の表に掲げる数値の荷重をその他端に加え三十分間放置した場合において、き裂を生ぜず、かつ、荷重を取り除き十分後に測定した永久伸びが三十パーセント以下であること。
四 金属製の補強線は、JIS Z 二三七一(塩水噴霧試験方法)により、六時間噴霧した後に十八時間放置することを四回繰り返した場合において、さびを生じないものであること。
(各層間の密着強さ)第六条 消防用吸管の各層間の密着強さは、JIS K 六三三〇―六(ゴム及び樹脂ホース試験方法―第六部:接着試験)の試験片により、補強線の外側及び結合金具の装着部の各層間にあつては五十ニュートン、補強線の内側にあつては七十ニュートンの荷重をそれぞれ一分間加えた場合において、はく離距離が二十五ミリメートル以下でなければならない。 この場合において、試験片は軸方向と垂直の切り口をもち、長さが二十四・五ミリメートルから二十五・五ミリメートルまでのリング状のものとする。
(長さ)第七条 消防用吸管の長さは、当該消防用吸管に表示された長さからその長さの百五パーセントの長さまでの範囲内のものでなければならない。
(質量)第八条 消防用吸管の質量は、乾燥した状態で、その呼称に応じ、長さ一メートルにつき次の表に掲げる質量以下のものでなければならない。
(折り曲げ)第九条 消防用吸管の端の部分でその長さが当該消防用吸管の内径の四倍に相当する部分は、結合金具を装着した状態で、呼称が七十五以下のものにあつては六十度、呼称が九十及び百のものにあつては四十五度の折り曲げを毎分六回の割合で二千回繰り返した後に、次条から第十二条までの試験を行つた場合において、異常を生じないものでなければならない。
(耐圧力)第十条 長さが一メートル以上の消防用吸管の一端をふさぎ、次の表に掲げる状態及び呼称に応じ、同表に掲げる数値の水圧力を五分間加えた場合において、き裂、漏れ、変形等が生じないものでなければならない。
(耐負圧力)第十一条 長さが一メートル以上の消防用吸管の一端をふさぎ、当該消防用吸管内の真空度を九十四キロパスカル以上として十分間放置した場合において、はく離、き裂、漏れ、変形等が生ぜず、呼称が百五十から五十までのものにあつては十パーセント以上、呼称が四十及び二十五のものにあつては二十パーセント以上の縮みが生じないものであり、かつ、大気圧に戻した後十分以内にその縮みが二パーセント以下となるものでなければならない。
(伸び)第十二条 消防用吸管は、その呼称に応じ、第十条の表に掲げるまつすぐにした状態において加える数値の水圧力を五分間加えた場合において、伸びが、呼称が百五十から五十までのものにあつては二十パーセント以下、呼称が四十及び二十五のものにあつては三十五パーセント以下であり、かつ、水圧力を除いた後十分以内にその伸びが五パーセント以下となるものでなければならない。
(屈とう性)第十三条 消防用吸管(呼称が百五十から百十五までのものを除く。次項において同じ。)は、その呼称に応じ、次の表に掲げる長さの部分を次の図のように百八十度曲げるために要する荷重が、第十六条第一項に規定する温度が使用温度範囲の上限である場合は百ニュートン以下、下限である場合は二百ニュートン以下であり、かつ、曲げた場合において、き裂、変形等が生じないものでなければならない。
2 消防用吸管は、その呼称に応じ、前項の表に掲げる長さを円周の長さとして、次の図一のように二回巻いて固定した状態で二十四時間放置した場合において、き裂、変形等が生ぜず、かつ、その一端を次の図二のように取り付け、その一巻分を解き、他の一巻分が解いた部分の荷重となるように鉛直につり下げた場合において、残留ひずみ(同図に掲げる算式により算出したものをいう。)が三分以内に、その呼称に応じ、同項の表に掲げる長さの五パーセント以下となるものでなければならない。 (曲げ)第十四条 長さ一メートル以上の消防用吸管の一端を、次の図のように固定して、その呼称に応じ、次の表一に掲げる長さの曲率半径をもつた枕木に沿つて九十度曲げ、その呼称に応じ、次の表二に掲げる荷重をその先端に加えて三十分間放置した場合において、つぶれ(同図に掲げる算式により算出したものをいう。以下同じ。)が十パーセント未満であり、かつ、荷重を取り除いた後のつぶれが二パーセント以下となるものでなければならない。
(押しつぶし性)第十五条 消防用吸管は、長さが十二・五センチメートルの部分に対し、呼称が百五十から五十までのものにあつては百二十ニュートン毎センチメートル、呼称が四十及び二十五のものにあつては四十ニュートン毎センチメートルの等分布荷重を加えた場合において、次に掲げる算式により算出した通水断面積の低下率が四十パーセント以下で、き裂が生じないものであり、かつ、荷重を取り除いた後、次に掲げる算式により算出した残留ひずみが五パーセント以下となるものでなければならない。
(試験条件)第十六条 消防用吸管は、その使用温度範囲を零下五度以上四十度以下又は零下二十五度以上四十度以下に区分するものとし、第五条第三号ロ及び第十三条から第十五条までの規定による試験は、その使用温度範囲に応じ、次の各号に掲げる温度で行わなければならない。
一 使用温度範囲が零下五度以上四十度以下の消防用吸管にあつては、零下五度及び四十度
二 使用温度範囲が零下二十五度以上四十度以下の消防用吸管にあつては、零下二十五度及び四十度
2 第四条から第十二条までの規定(第五条第三号ロの規定を除く。)による試験は、別段の定めがあるほか、温度が五度以上三十五度以下の状態において行わなければならない。 (表示)第十七条 消防用吸管には、次の各号に掲げる事項を容易に消えないように表示しなければならない。
一 製造者名
二 製造年
三 呼称及び長さ
四 使用温度範囲
五 届出番号
第三章 大容量泡放水砲用吸管
(内径)第十八条 大容量泡放水砲用吸管の内径は、第四条に定める方法により測定した場合において、当該大容量泡放水砲用吸管に表示された呼び径からその呼び径の百三パーセントの内径までの範囲内のものでなければならない。
(耐圧力)第十九条 長さが一メートル以上の大容量泡放水砲用吸管の一端をふさぎ、まつすぐにした状態で、〇・三メガパスカルの水圧力を五分間加えた場合において、き裂、漏れ、変形等が生じないものでなければならない。
(伸び)第二十条 大容量泡放水砲用吸管は、前条の水圧力を五分間加えた場合において、伸びが、十パーセント以下であり、かつ、水圧力を除いた後十分以内にその伸びが二パーセント以下となるものでなければならない。
(表示)第二十一条 大容量泡放水砲用吸管には、次の各号に掲げる事項を容易に消えないように表示しなければならない。
一 製造者名
二 製造年
三 呼び径及び長さ
四 使用温度範囲
五 届出番号
六 大容量泡放水砲用である旨
(準用)第二十二条 第三条、第五条から第七条まで、第十一条、第十四条及び第十六条の規定は大容量泡放水砲用吸管について準用する。 この場合において、第五条第三号ロの規定中「その呼称に応じ、次の表に掲げる数値の荷重」とあるのは「使用時にかかる荷重」と、第十一条の規定中「呼称が百五十から五十までのものにあつては十パーセント以上、呼称が四十及び二十五のものにあつては二十パーセント」とあるのは「十パーセント」と、第十四条の規定中「その呼称に応じ、次の表一に掲げる長さの」とあるのは「設計された」と、「その呼称に応じ、次の表二に掲げる」とあるのは「使用時にかかる」と、第十六条第一項の規定中「第十三条から第十五条まで」とあるのは「第二十一条において準用する第十四条」と、同条第二項の規定中「第四条から第十二条まで」とあるのは「第五条(第三号ロを除く。)第六条、第七条、第十八条から第二十条まで並びに第二十二条において準用する第五条第三号ロ及び第十一条」と読み替えるものとする。
第四章 雑則
(基準の特例)第二十三条 新たな技術開発に係る消防用吸管について、その形状、構造、材質及び性能から判断して、この省令の規定に適合するものと同等以上の性能があると総務大臣が認めた場合は、この省令の規定にかかわらず、総務大臣が定める技術上の規格によることができる。
附則
この省令は、昭和六十一年十二月一日から施行する。附則(平成一〇年九月二八日自治省令第三七号)
(施行期日)
第一条 この省令は、平成十一年十月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 この省令の施行の日前に消防法第二十一条の十六の四第一項の規定により自治大臣に届出を行った消防用吸管については、第十条による改正後の消防用吸管の技術上の規格を定める省令の規格に適合する消防用吸管とみなす。