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昭和五十四年法律第四号
民事執行法

施行日:

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第一章 総則

(趣旨)

第一条 強制執行、担保権の実行としての競売及び民法(明治二十九年法律第八十九号)、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の規定による換価のための競売並びに債務者の財産状況の調査(以下「民事執行」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

(執行機関)

第二条 民事執行は、申立てにより、裁判所又は執行官が行う。

(執行裁判所)

第三条 裁判所が行う民事執行に関してはこの法律の規定により執行処分を行うべき裁判所をもつて、執行官が行う執行処分に関してはその執行官の所属する地方裁判所をもつて執行裁判所とする。

(任意的口頭弁論)

第四条 執行裁判所のする裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

(審尋)

第五条 執行裁判所は、執行処分をするに際し、必要があると認めるときは、利害関係を有する者その他参考人を審尋することができる。

(執行官等の職務の執行の確保)

第六条 執行官は、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。 ただし、第六十四条の二第五項(第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定に基づく職務の執行については、この限りでない。

2 執行官以外の者で執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行うものは、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、執行官に対し、援助を求めることができる。

(立会人)

第七条 執行官又は執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行う者(以下「執行官等」という。)は、人の住居に立ち入つて職務を執行するに際し、住居主、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに出会わないときは、市町村の職員、警察官その他証人として相当と認められる者を立ち会わせなければならない。 執行官が前条第一項の規定により威力を用い、又は警察上の援助を受けるときも、同様とする。

(休日又は夜間の執行)

第八条 執行官等は、日曜日その他の一般の休日又は午後七時から翌日の午前七時までの間に人の住居に立ち入つて職務を執行するには、執行裁判所の許可を受けなければならない。

2 執行官等は、職務の執行に当たり、前項の規定により許可を受けたことを証する文書を提示しなければならない。

(身分証明書等の携帯)

第九条 執行官等は、職務を執行する場合には、その身分又は資格を証する文書を携帯し、利害関係を有する者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

(執行抗告)

第十条 民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができる。

2 執行抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。

3 抗告状に執行抗告の理由の記載がないときは、抗告人は、抗告状を提出した日から一週間以内に、執行抗告の理由書を原裁判所に提出しなければならない。

4 執行抗告の理由は、最高裁判所規則で定めるところにより記載しなければならない。

5 次の各号に該当するときは、原裁判所は、執行抗告を却下しなければならない。

抗告人が第三項の規定による執行抗告の理由書の提出をしなかつたとき。

執行抗告の理由の記載が明らかに前項の規定に違反しているとき。

執行抗告が不適法であつてその不備を補正することができないことが明らかであるとき。

執行抗告が民事執行の手続を不当に遅延させることを目的としてされたものであるとき。

6 抗告裁判所は、執行抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで原裁判の執行の停止若しくは民事執行の手続の全部若しくは一部の停止を命じ、又は担保を立てさせてこれらの続行を命ずることができる。 事件の記録が原裁判所に存する間は、原裁判所も、これらの処分を命ずることができる。

7 抗告裁判所は、抗告状又は執行抗告の理由書に記載された理由に限り、調査する。 ただし、原裁判に影響を及ぼすべき法令の違反又は事実の誤認の有無については、職権で調査することができる。

8 第五項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。

9 第六項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

10 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三百四十九条の規定は、執行抗告をすることができる裁判が確定した場合について準用する。

(執行異議)

第十一条 執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。 執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、同様とする。

2 前条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による申立てがあつた場合について準用する。

(取消決定等に対する執行抗告)

第十二条 民事執行の手続を取り消す旨の決定に対しては、執行抗告をすることができる。 民事執行の手続を取り消す執行官の処分に対する執行異議の申立てを却下する裁判又は執行官に民事執行の手続の取消しを命ずる決定に対しても、同様とする。

2 前項の規定により執行抗告をすることができる裁判は、確定しなければその効力を生じない。

(代理人)

第十三条 民事訴訟法第五十四条第一項の規定により訴訟代理人となることができる者以外の者は、執行裁判所でする手続については、訴え又は執行抗告に係る手続を除き、執行裁判所の許可を受けて代理人となることができる。

2 執行裁判所は、いつでも前項の許可を取り消すことができる。

(費用の予納等)

第十四条 執行裁判所に対し民事執行の申立てをするときは、申立人は、民事執行の手続に必要な費用として裁判所書記官の定める金額を予納しなければならない。 予納した費用が不足する場合において、裁判所書記官が相当の期間を定めてその不足する費用の予納を命じたときも、同様とする。

2 前項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、執行裁判所に異議を申し立てることができる。

3 第一項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。

4 申立人が費用を予納しないときは、執行裁判所は、民事執行の申立てを却下し、又は民事執行の手続を取り消すことができる。

5 前項の規定により申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。

(担保の提供)

第十五条 この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所(以下この項において「発令裁判所」という。)又は執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は発令裁判所が相当と認める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。 ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。

2 民事訴訟法第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。

(送達の特例)

第十六条 民事執行の手続について、執行裁判所に対し申立て、申出若しくは届出をし、又は執行裁判所から文書の送達を受けた者は、送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)を執行裁判所に届け出なければならない。 この場合においては、送達受取人をも届け出ることができる。

2 民事訴訟法第百四条第二項及び第三項並びに第百七条の規定は、前項前段の場合について準用する。

3 第一項前段の規定による届出をしない者(前項において準用する民事訴訟法第百四条第三項に規定する者を除く。)に対する送達は、事件の記録に表れたその者の住所、居所、営業所又は事務所においてする。

4 前項の規定による送達をすべき場合において、第二十条において準用する民事訴訟法第百六条の規定により送達をすることができないときは、裁判所書記官は、同項の住所、居所、営業所又は事務所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるものに付して発送することができる。 この場合においては、民事訴訟法第百七条第二項及び第三項の規定を準用する。

(民事執行の事件の記録の閲覧等)

第十七条 執行裁判所の行う民事執行について、利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。

(官庁等に対する援助請求等)

第十八条 民事執行のため必要がある場合には、執行裁判所又は執行官は、官庁又は公署に対し、援助を求めることができる。

2 前項に規定する場合には、執行裁判所又は執行官は、民事執行の目的である財産(財産が土地である場合にはその上にある建物を、財産が建物である場合にはその敷地を含む。)に対して課される租税その他の公課について、所管の官庁又は公署に対し、必要な証明書の交付を請求することができる。

3 前項の規定は、民事執行の申立てをしようとする者がその申立てのため同項の証明書を必要とする場合について準用する。

(専属管轄)

第十九条 この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。

(民事訴訟法の準用)

第二十条 特別の定めがある場合を除き、民事執行の手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法第一編から第四編までの規定(同法第八十七条の二の規定を除く。)を準用する。

(最高裁判所規則)

第二十一条 この法律に定めるもののほか、民事執行の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

第二章 強制執行

第一節 総則

(債務名義)

第二十二条 強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。

確定判決

仮執行の宣言を付した判決

抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)

三の二 仮執行の宣言を付した損害賠償命令

三の三 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令

仮執行の宣言を付した支払督促

四の二 訴訟費用、和解の費用若しくは非訟事件(他の法令の規定により非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)の規定を準用することとされる事件を含む。)、家事事件若しくは国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第二十九条に規定する子の返還に関する事件の手続の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)

金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)

確定した執行判決のある外国裁判所の判決(家事事件における裁判を含む。第二十四条において同じ。)

六の二 確定した執行決定のある仲裁判断

六の三 確定した執行等認可決定のある仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第四十八条に規定する暫定保全措置命令

六の四 確定した執行決定のある国際和解合意

六の五 確定した執行決定のある特定和解

確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)

(強制執行をすることができる者の範囲)

第二十三条 執行証書以外の債務名義による強制執行は、次に掲げる者に対し、又はその者のためにすることができる。

債務名義に表示された当事者

債務名義に表示された当事者が他人のために当事者となつた場合のその他人

前二号に掲げる者の債務名義成立後の承継人(前条第一号、第二号又は第六号に掲げる債務名義にあつては口頭弁論終結後の承継人、同条第三号の二に掲げる債務名義又は同条第七号に掲げる債務名義のうち損害賠償命令に係るものにあつては審理終結後の承継人)

2 執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。

3 第一項に規定する債務名義による強制執行は、同項各号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者に対しても、することができる。

(外国裁判所の判決の執行判決)

第二十四条 外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(家事事件における裁判に係るものにあつては、家庭裁判所。以下この項において同じ。)が管轄し、この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。

2 前項に規定する地方裁判所は、同項の訴えの全部又は一部が家庭裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、当該訴えに係る訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。

3 第一項に規定する家庭裁判所は、同項の訴えの全部又は一部が地方裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、当該訴えに係る訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。

4 執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない。

5 第一項の訴えは、外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第百十八条各号(家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第七十九条の二において準用する場合を含む。)に掲げる要件を具備しないときは、却下しなければならない。

6 執行判決においては、外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。

(強制執行の実施)

第二十五条 強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。 ただし、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。

(執行文の付与)

第二十六条 執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。

2 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。

第二十七条 請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。

2 債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。

3 執行文は、債務名義について次に掲げる事由のいずれかがあり、かつ、当該債務名義に基づく不動産の引渡し又は明渡しの強制執行をする前に当該不動産を占有する者を特定することを困難とする特別の事情がある場合において、債権者がこれらを証する文書を提出したときに限り、債務者を特定しないで、付与することができる。

債務名義が不動産の引渡し又は明渡しの請求権を表示したものであり、これを本案とする占有移転禁止の仮処分命令(民事保全法(平成元年法律第九十一号)第二十五条の二第一項に規定する占有移転禁止の仮処分命令をいう。)が執行され、かつ、同法第六十二条第一項の規定により当該不動産を占有する者に対して当該債務名義に基づく引渡し又は明渡しの強制執行をすることができるものであること。

債務名義が強制競売の手続(担保権の実行としての競売の手続を含む。以下この号において同じ。)における第八十三条第一項本文(第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による命令(以下「引渡命令」という。)であり、当該強制競売の手続において当該引渡命令の引渡義務者に対し次のイからハまでのいずれかの保全処分及び公示保全処分(第五十五条第一項に規定する公示保全処分をいう。以下この項において同じ。)が執行され、かつ、第八十三条の二第一項(第百八十七条第五項又は第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定により当該不動産を占有する者に対して当該引渡命令に基づく引渡しの強制執行をすることができるものであること。
 イ 第五十五条第一項第三号(第百八十八条において準用する場合を含む。)に掲げる保全処分及び公示保全処分
 ロ 第七十七条第一項第三号(第百八十八条において準用する場合を含む。)に掲げる保全処分及び公示保全処分
 ハ 第百八十七条第一項に規定する保全処分又は公示保全処分(第五十五条第一項第三号に掲げるものに限る。)

4 前項の執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行は、当該執行文の付与の日から四週間を経過する前であつて、当該強制執行において不動産の占有を解く際にその占有者を特定することができる場合に限り、することができる。

5 第三項の規定により付与された執行文については、前項の規定により当該執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行がされたときは、当該強制執行によつて当該不動産の占有を解かれた者が、債務者となる。

(執行文の再度付与等)

第二十八条 執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる。

2 前項の規定は、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本を更に交付する場合について準用する。

(債務名義等の送達)

第二十九条 強制執行は、債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本又は謄本が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。 第二十七条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。

(期限の到来又は担保の提供に係る場合の強制執行)

第三十条 請求が確定期限の到来に係る場合においては、強制執行は、その期限の到来後に限り、開始することができる。

2 担保を立てることを強制執行の実施の条件とする債務名義による強制執行は、債権者が担保を立てたことを証する文書を提出したときに限り、開始することができる。

(反対給付又は他の給付の不履行に係る場合の強制執行)

第三十一条 債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、強制執行は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証明したときに限り、開始することができる。

2 債務者の給付が、他の給付について強制執行の目的を達することができない場合に、他の給付に代えてすべきものであるときは、強制執行は、債権者が他の給付について強制執行の目的を達することができなかつたことを証明したときに限り、開始することができる。

(執行文の付与等に関する異議の申立て)

第三十二条 執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。

2 執行文の付与に対し、異議の申立てがあつたときは、裁判所は、異議についての裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又は担保を立てさせてその続行を命ずることができる。 急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。

3 第一項の規定による申立てについての裁判及び前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

4 前項に規定する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

5 前各項の規定は、第二十八条第二項の規定による少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本の交付について準用する。

(執行文付与の訴え)

第三十三条 第二十七条第一項又は第二項に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文(同条第三項の規定により付与されるものを除く。)の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。

2 前項の訴えは、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所が管轄する。

第二十二条第一号から第三号まで又は第六号から第六号の五までに掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち次号、第一号の三及び第六号に掲げるもの以外のもの 第一審裁判所

一の二 第二十二条第三号の二に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち損害賠償命令並びに損害賠償命令事件に関する手続における和解及び請求の認諾に係るもの 損害賠償命令事件が係属していた地方裁判所

一の三 第二十二条第三号の三に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち届出債権支払命令並びに簡易確定手続における届出債権の認否及び和解に係るもの 簡易確定手続が係属していた地方裁判所

第二十二条第四号に掲げる債務名義のうち次号に掲げるもの以外のもの 仮執行の宣言を付した支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所(仮執行の宣言を付した支払督促に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)

第二十二条第四号に掲げる債務名義のうち民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定による支払督促の申立て又は同法第四百二条第一項に規定する方式により記載された書面をもつてされた支払督促の申立てによるもの 当該支払督促の申立てについて同法第三百九十八条(同法第四百二条第二項において準用する場合を含む。)の規定により訴えの提起があつたものとみなされる裁判所

第二十二条第四号の二に掲げる債務名義 同号の処分をした裁判所書記官の所属する裁判所

第二十二条第五号に掲げる債務名義 債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所(この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する裁判所)

第二十二条第七号に掲げる債務名義のうち和解若しくは調停(上級裁判所において成立した和解及び調停を除く。)又は労働審判に係るもの(第一号の二及び第一号の三に掲げるものを除く。) 和解若しくは調停が成立した簡易裁判所、地方裁判所若しくは家庭裁判所(簡易裁判所において成立した和解又は調停に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)又は労働審判が行われた際に労働審判事件が係属していた地方裁判所

(執行文付与に対する異議の訴え)

第三十四条 第二十七条の規定により執行文が付与された場合において、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて異議のある債務者は、その執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求めるために、執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる。

2 異議の事由が数個あるときは、債務者は、同時に、これを主張しなければならない。

3 前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。

(請求異議の訴え)

第三十五条 債務名義(第二十二条第二号又は第三号の二から第四号までに掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。 裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。

2 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。

3 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。

(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)

第三十六条 執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起があつた場合において、異議のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点について疎明があつたときは、受訴裁判所は、申立てにより、終局判決において次条第一項の裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てさせて強制執行の続行を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。 急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。

2 前項の申立てについての裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

3 第一項に規定する事由がある場合において、急迫の事情があるときは、執行裁判所は、申立てにより、同項の規定による裁判の正本を提出すべき期間を定めて、同項に規定する処分を命ずることができる。 この裁判は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起前においても、することができる。

4 前項の規定により定められた期間を経過したとき、又はその期間内に第一項の規定による裁判が執行裁判所若しくは執行官に提出されたときは、前項の裁判は、その効力を失う。

5 第一項又は第三項の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

(終局判決における執行停止の裁判等)

第三十七条 受訴裁判所は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えについての終局判決において、前条第一項に規定する処分を命じ、又は既にした同項の規定による裁判を取り消し、変更し、若しくは認可することができる。 この裁判については、仮執行の宣言をしなければならない。

2 前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

(第三者異議の訴え)

第三十八条 強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。

2 前項に規定する第三者は、同項の訴えに併合して、債務者に対する強制執行の目的物についての訴えを提起することができる。

3 第一項の訴えは、執行裁判所が管轄する。

4 前二条の規定は、第一項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。

(強制執行の停止)

第三十九条 強制執行は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。

債務名義(執行証書を除く。)若しくは仮執行の宣言を取り消す旨又は強制執行を許さない旨を記載した執行力のある裁判の正本

債務名義に係る和解、認諾、調停又は労働審判の効力がないことを宣言する確定判決の正本

第二十二条第二号から第四号の二までに掲げる債務名義が訴えの取下げその他の事由により効力を失つたことを証する調書の正本その他の裁判所書記官の作成した文書

強制執行をしない旨又はその申立てを取り下げる旨を記載した裁判上の和解若しくは調停の調書の正本又は労働審判法(平成十六年法律第四十五号)第二十一条第四項の規定により裁判上の和解と同一の効力を有する労働審判の審判書若しくは同法第二十条第七項の調書の正本

強制執行を免れるための担保を立てたことを証する文書

強制執行の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の正本

強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本

債権者が、債務名義の成立後に、弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書

2 前項第八号に掲げる文書のうち弁済を受けた旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、四週間に限るものとする。

3 第一項第八号に掲げる文書のうち弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、二回に限り、かつ、通じて六月を超えることができない。

(執行処分の取消し)

第四十条 前条第一項第一号から第六号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所又は執行官は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。

2 第十二条の規定は、前項の規定により執行処分を取り消す場合については適用しない。

(債務者が死亡した場合の強制執行の続行)

第四十一条 強制執行は、その開始後に債務者が死亡した場合においても、続行することができる。

2 前項の場合において、債務者の相続人の存在又はその所在が明らかでないときは、執行裁判所は、申立てにより、相続財産又は相続人のために、特別代理人を選任することができる。

3 民事訴訟法第三十五条第二項及び第三項の規定は、前項の特別代理人について準用する。

(執行費用の負担)

第四十二条 強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。)は、債務者の負担とする。

2 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行にあつては、執行費用は、その執行手続において、債務名義を要しないで、同時に、取り立てることができる。

3 強制執行の基本となる債務名義(執行証書を除く。)を取り消す旨の裁判又は債務名義に係る和解、認諾、調停若しくは労働審判の効力がないことを宣言する判決が確定したときは、債権者は、支払を受けた執行費用に相当する金銭を債務者に返還しなければならない。

4 第一項の規定により債務者が負担すべき執行費用で第二項の規定により取り立てられたもの以外のもの及び前項の規定により債権者が返還すべき金銭の額は、申立てにより、執行裁判所の裁判所書記官が定める。

5 前項の申立てについての裁判所書記官の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、執行裁判所に異議を申し立てることができる。

6 執行裁判所は、第四項の規定による裁判所書記官の処分に対する異議の申立てを理由があると認める場合において、同項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定めるべきときは、自らその額を定めなければならない。

7 第五項の規定による異議の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。

8 第四項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。

9 民事訴訟法第七十四条第一項の規定は、第四項の規定による裁判所書記官の処分について準用する。 この場合においては、第五項、第七項及び前項並びに同条第三項の規定を準用する。

第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行

第一款 不動産に対する強制執行

第二款 船舶に対する強制執行

(船舶執行の方法)

第百十二条 総トン数二十トン以上の船舶(端舟その他ろかい又は主としてろかいをもつて運転する舟を除く。以下この節及び次章において「船舶」という。)に対する強制執行(以下「船舶執行」という。)は、強制競売の方法により行う。

(執行裁判所)

第百十三条 船舶執行については、強制競売の開始決定の時の船舶の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

(開始決定等)

第百十四条 執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、かつ、執行官に対し、船舶の国籍を証する文書その他の船舶の航行のために必要な文書(以下「船舶国籍証書等」という。)を取り上げて執行裁判所に提出すべきことを命じなければならない。 ただし、その開始決定前にされた開始決定により船舶国籍証書等が取り上げられているときは、執行官に対する命令を要しない。

強制競売の開始決定においては、債権者のために船舶を差し押さえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し船舶の出航を禁止しなければならない。

強制競売の開始決定の送達又は差押えの登記前に執行官が船舶国籍証書等を取り上げたときは、差押えの効力は、その取上げの時に生ずる。

(船舶執行の申立て前の船舶国籍証書等の引渡命令)

第百十五条 船舶執行の申立て前に船舶国籍証書等を取り上げなければ船舶執行が著しく困難となるおそれがあるときは、その船舶の船籍の所在地(船籍のない船舶にあつては、最高裁判所の指定する地)を管轄する地方裁判所は、申立てにより、債務者に対し、船舶国籍証書等を執行官に引き渡すべき旨を命ずることができる。 急迫の事情があるときは、船舶の所在地を管轄する地方裁判所も、この命令を発することができる。

前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

第一項の申立てをするには、執行力のある債務名義の正本を提示し、かつ、同項に規定する事由を疎明しなければならない。

執行官は、船舶国籍証書等の引渡しを受けた日から五日以内に債権者が船舶執行の申立てをしたことを証する文書を提出しないときは、その船舶国籍証書等を債務者に返還しなければならない。

第一項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

第五十五条第八項から第十項までの規定は、第一項の規定による決定について準用する。

(保管人の選任等)

第百十六条 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、必要があると認めるときは、強制競売の開始決定がされた船舶について保管人を選任することができる。

前項の保管人が船舶の保管のために要した費用(第四項において準用する第百一条第一項の報酬を含む。)は、手続費用とする。

第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。

第九十四条第二項、第九十六条及び第九十九条から第百三条までの規定は、第一項の保管人について準用する。

(保証の提供による強制競売の手続の取消し)

第百十七条 差押債権者の債権について、第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書が提出されている場合において、債務者が差押債権者及び保証の提供の時(配当要求の終期後にあつては、その終期)までに配当要求をした債権者の債権及び執行費用の総額に相当する保証を買受けの申出前に提供したときは、執行裁判所は、申立てにより、配当等の手続を除き、強制競売の手続を取り消さなければならない。

前項に規定する文書の提出による執行停止がその効力を失つたときは、執行裁判所は、同項の規定により提供された保証について、同項の債権者のために配当等を実施しなければならない。 この場合において、執行裁判所は、保証の提供として供託された有価証券を取り戻すことができる。

第一項の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

第十二条の規定は、第一項の規定による決定については適用しない。

第十五条の規定は第一項の保証の提供について、第七十八条第三項の規定は第一項の保証が金銭の供託以外の方法で提供されている場合の換価について準用する。

(航行許可)

第百十八条 執行裁判所は、営業上の必要その他相当の事由があると認める場合において、各債権者並びに最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意があるときは、債務者の申立てにより、船舶の航行を許可することができる。

前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。

(事件の移送)

第百十九条 執行裁判所は、強制競売の開始決定がされた船舶が管轄区域外の地に所在することとなつた場合には、船舶の所在地を管轄する地方裁判所に事件を移送することができる。

前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

(船舶国籍証書等の取上げができない場合の強制競売の手続の取消し)

第百二十条 執行官が強制競売の開始決定の発せられた日から二週間以内に船舶国籍証書等を取り上げることができないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消さなければならない。

(不動産に対する強制競売の規定の準用)

第百二十一条 前款第二目(第四十五条第一項、第四十六条第二項、第四十八条、第五十四条、第五十五条第一項第二号、第五十六条、第六十四条の二、第六十五条の二、第六十八条の四、第七十一条第五号、第八十一条及び第八十二条を除く。)の規定は船舶執行について、第四十八条、第五十四条及び第八十二条の規定は船舶法(明治三十二年法律第四十六号)第一条に規定する日本船舶に対する強制執行について、それぞれ準用する。 この場合において、第五十一条第一項中「第百八十一条第一項各号に掲げる文書」とあるのは「文書」と、「一般の先取特権」とあるのは「先取特権」と読み替えるものとする。

第三款 動産に対する強制執行

(動産執行の開始等)

第百二十二条 動産(登記することができない土地の定着物、土地から分離する前の天然果実で一月以内に収穫することが確実であるもの及び裏書の禁止されている有価証券以外の有価証券を含む。以下この節、次章及び第四章において同じ。)に対する強制執行(以下「動産執行」という。)は、執行官の目的物に対する差押えにより開始する。

動産執行においては、執行官は、差押債権者のためにその債権及び執行費用の弁済を受領することができる。

(債務者の占有する動産の差押え)

第百二十三条 債務者の占有する動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行う。

執行官は、前項の差押えをするに際し、債務者の住居その他債務者の占有する場所に立ち入り、その場所において、又は債務者の占有する金庫その他の容器について目的物を捜索することができる。 この場合において、必要があるときは、閉鎖した戸及び金庫その他の容器を開くため必要な処分をすることができる。

執行官は、相当であると認めるときは、債務者に差し押さえた動産(以下「差押物」という。)を保管させることができる。 この場合においては、差押えは、差押物について封印その他の方法で差押えの表示をしたときに限り、その効力を有する。

執行官は、前項の規定により債務者に差押物を保管させる場合において、相当であると認めるときは、その使用を許可することができる。

執行官は、必要があると認めるときは、第三項の規定により債務者に保管させた差押物を自ら保管し、又は前項の規定による許可を取り消すことができる。

(債務者以外の者の占有する動産の差押え)

第百二十四条 前条第一項及び第三項から第五項までの規定は、債権者又は提出を拒まない第三者の占有する動産の差押えについて準用する。

(二重差押えの禁止及び事件の併合)

第百二十五条 執行官は、差押物又は仮差押えの執行をした動産を更に差し押さえることができない。

差押えを受けた債務者に対しその差押えの場所について更に動産執行の申立てがあつた場合においては、執行官は、まだ差し押さえていない動産があるときはこれを差し押さえ、差し押さえるべき動産がないときはその旨を明らかにして、その動産執行事件と先の動産執行事件とを併合しなければならない。 仮差押えの執行を受けた債務者に対しその執行の場所について更に動産執行の申立てがあつたときも、同様とする。

前項前段の規定により二個の動産執行事件が併合されたときは、後の事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、先の事件において差し押さえられたものとみなし、後の事件の申立ては、配当要求の効力を生ずる。 先の差押債権者が動産執行の申立てを取り下げたとき、又はその申立てに係る手続が停止され、若しくは取り消されたときは、先の事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、後の事件のために差し押さえられたものとみなす。

第二項後段の規定により仮差押執行事件と動産執行事件とが併合されたときは、仮差押えの執行がされた動産は、併合の時に、動産執行事件において差し押さえられたものとみなし、仮差押執行事件の申立ては、配当要求の効力を生ずる。 差押債権者が動産執行の申立てを取り下げたとき、又はその申立てに係る手続が取り消されたときは、動産執行事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、仮差押執行事件において仮差押えの執行がされたものとみなす。

(差押えの効力が及ぶ範囲)

第百二十六条 差押えの効力は、差押物から生ずる天然の産出物に及ぶ。

(差押物の引渡命令)

第百二十七条 差押物を第三者が占有することとなつたときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その第三者に対し、差押物を執行官に引き渡すべき旨を命ずることができる。

前項の申立ては、差押物を第三者が占有していることを知つた日から一週間以内にしなければならない。

第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

第五十五条第八項から第十項までの規定は、第一項の規定による決定について準用する。

(超過差押えの禁止等)

第百二十八条 動産の差押えは、差押債権者の債権及び執行費用の弁済に必要な限度を超えてはならない。

差押えの後にその差押えが前項の限度を超えることが明らかとなつたときは、執行官は、その超える限度において差押えを取り消さなければならない。

(剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等)

第百二十九条 差し押さえるべき動産の売得金の額が手続費用の額を超える見込みがないときは、執行官は、差押えをしてはならない。

差押物の売得金の額が手続費用及び差押債権者の債権に優先する債権の額の合計額以上となる見込みがないときは、執行官は、差押えを取り消さなければならない。

(売却の見込みのない差押物の差押えの取消し)

第百三十条 差押物について相当な方法による売却の実施をしてもなお売却の見込みがないときは、執行官は、その差押物の差押えを取り消すことができる。

(差押禁止動産)

第百三十一条 次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。

債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具

債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料

標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭

主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物

主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物

技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)

実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの

仏像、位その他礼拝又は祭に直接供するため欠くことができない物

債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類

債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物

十一 債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具

十二 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの

十三 債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物

十四 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品

(差押禁止動産の範囲の変更)

第百三十二条 執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押えの全部若しくは一部の取消しを命じ、又は前条各号に掲げる動産の差押えを許すことができる。

事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押えが取り消された動産の差押えを許し、又は同項の規定による差押えの全部若しくは一部の取消しを命ずることができる。

前二項の規定により差押えの取消しの命令を求める申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで強制執行の停止を命ずることができる。

第一項又は第二項の申立てを却下する決定及びこれらの規定により差押えを許す決定に対しては、執行抗告をすることができる。

第三項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

(先取特権者等の配当要求)

第百三十三条 先取特権又は質権を有する者は、その権利を証する文書を提出して、配当要求をすることができる。

(売却の方法)

第百三十四条 執行官は、差押物を売却するには、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。

(売却の場所の秩序維持等に関する規定の準用)

第百三十五条 第六十五条及び第六十八条の規定は、差押物を売却する場合について準用する。

(手形等の提示義務)

第百三十六条 執行官は、手形、小切手その他の金銭の支払を目的とする有価証券でその権利の行使のため定められた期間内に引受け若しくは支払のための提示又は支払の請求(以下「提示等」という。)を要するもの(以下「手形等」という。)を差し押さえた場合において、その期間の始期が到来したときは、債務者に代わつて手形等の提示等をしなければならない。

(執行停止中の売却)

第百三十七条 第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書の提出があつた場合において、差押物について著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、その差押物を売却することができる。

執行官は、前項の規定により差押物を売却したときは、その売得金を供託しなければならない。

(有価証券の裏書等)

第百三十八条 執行官は、有価証券を売却したときは、買受人のために、債務者に代わつて裏書又は名義書換えに必要な行為をすることができる。

(執行官による配当等の実施)

第百三十九条 債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて売得金、差押金銭若しくは手形等の支払金(以下「売得金等」という。)で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、執行官は、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。

前項に規定する場合を除き、売得金等の配当について債権者間に協議が調つたときは、執行官は、その協議に従い配当を実施する。

前項の協議が調わないときは、執行官は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

第八十四条第三項及び第四項並びに第八十八条の規定は、第一項又は第二項の規定により配当等を実施する場合について準用する。

(配当等を受けるべき債権者の範囲)

第百四十条 配当等を受けるべき債権者は、差押債権者のほか、売得金については執行官がその交付を受けるまで(第百三十七条又は民事保全法第四十九条第三項の規定により供託された売得金については、動産執行が続行されることとなるまで)に、差押金銭についてはその差押えをするまでに、手形等の支払金についてはその支払を受けるまでに配当要求をした債権者とする。

(執行官の供託)

第百四十一条 第百三十九条第一項又は第二項の規定により配当等を実施する場合において、配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、執行官は、その配当等の額に相当する金銭を供託し、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

停止条件付又は不確定期限付であるとき。

仮差押債権者の債権であるとき。

第三十九条第一項第七号又は第百九十二条において準用する第百八十三条第一項第六号に掲げる文書が提出されているとき。

その債権に係る先取特権又は質権の実行を一時禁止する裁判の正本が提出されているとき。

執行官は、配当等の受領のために出頭しなかつた債権者に対する配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。

(執行裁判所による配当等の実施)

第百四十二条 執行裁判所は、第百三十九条第三項の規定による届出があつた場合には直ちに、前条第一項の規定による届出があつた場合には供託の事由が消滅したときに、配当等の手続を実施しなければならない。

第八十四条、第八十五条及び第八十八条から第九十二条までの規定は、前項の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。

第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行

第五款 扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行の特例

(扶養義務等に係る金銭債権についての間接強制)

第百六十七条の十五 第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権についての強制執行は、前各款の規定により行うほか、債権者の申立てがあるときは、執行裁判所が第百七十二条第一項に規定する方法により行う。 ただし、債務者が、支払能力を欠くためにその金銭債権に係る債務を弁済することができないとき、又はその債務を弁済することによつてその生活が著しく窮迫するときは、この限りでない。

前項の規定により同項に規定する金銭債権について第百七十二条第一項に規定する方法により強制執行を行う場合において、債務者が債権者に支払うべき金銭の額を定めるに当たつては、執行裁判所は、債務不履行により債権者が受けるべき不利益並びに債務者の資力及び従前の債務の履行の態様を特に考慮しなければならない。

事情の変更があつたときは、執行裁判所は、債務者の申立てにより、その申立てがあつた時(その申立てがあつた後に事情の変更があつたときは、その事情の変更があつた時)までさかのぼつて、第一項の規定による決定を取り消すことができる。

前項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、第一項の規定による決定の執行の停止を命ずることができる。

前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

第百七十二条第二項から第五項までの規定は第一項の場合について、同条第三項及び第五項の規定は第三項の場合について、第百七十三条第二項の規定は第一項の執行裁判所について準用する。

(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)

第百六十七条の十六 債権者が第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第三十条第一項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち六月以内に確定期限が到来するものについても、前条第一項に規定する方法による強制執行を開始することができる。

第三節 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行

(不動産の引渡し等の強制執行)

第百六十八条 不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。

2 執行官は、前項の強制執行をするため同項の不動産等の占有者を特定する必要があるときは、当該不動産等に在る者に対し、当該不動産等又はこれに近接する場所において、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。

3 第一項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。

4 執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。

5 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。 この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。

6 執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。 この場合においては、前項後段の規定を準用する。

7 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。

8 第五項(第六項後段において準用する場合を含む。)の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。

9 第五十七条第五項の規定は、第一項の強制執行について準用する。

(明渡しの催告)

第百六十八条の二 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行の申立てがあつた場合において、当該強制執行を開始することができるときは、次項に規定する引渡し期限を定めて、明渡しの催告(不動産等の引渡し又は明渡しの催告をいう。以下この条において同じ。)をすることができる。 ただし、債務者が当該不動産等を占有していないときは、この限りでない。

2 引渡し期限(明渡しの催告に基づき第六項の規定による強制執行をすることができる期限をいう。以下この条において同じ。)は、明渡しの催告があつた日から一月を経過する日とする。 ただし、執行官は、執行裁判所の許可を得て、当該日以後の日を引渡し期限とすることができる。

3 執行官は、明渡しの催告をしたときは、その旨、引渡し期限及び第五項の規定により債務者が不動産等の占有を移転することを禁止されている旨を、当該不動産等の所在する場所に公示書その他の標識を掲示する方法により、公示しなければならない。

4 執行官は、引渡し期限が経過するまでの間においては、執行裁判所の許可を得て、引渡し期限を延長することができる。 この場合においては、執行官は、引渡し期限の変更があつた旨及び変更後の引渡し期限を、当該不動産等の所在する場所に公示書その他の標識を掲示する方法により、公示しなければならない。

5 明渡しの催告があつたときは、債務者は、不動産等の占有を移転してはならない。 ただし、債権者に対して不動産等の引渡し又は明渡しをする場合は、この限りでない。

6 明渡しの催告後に不動産等の占有の移転があつたときは、引渡し期限が経過するまでの間においては、占有者(第一項の不動産等を占有する者であつて債務者以外のものをいう。以下この条において同じ。)に対して、第一項の申立てに基づく強制執行をすることができる。 この場合において、第四十二条及び前条の規定の適用については、当該占有者を債務者とみなす。

7 明渡しの催告後に不動産等の占有の移転があつたときは、占有者は、明渡しの催告があつたことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人でないことを理由として、債権者に対し、強制執行の不許を求める訴えを提起することができる。 この場合においては、第三十六条、第三十七条及び第三十八条第三項の規定を準用する。

8 明渡しの催告後に不動産等を占有した占有者は、明渡しの催告があつたことを知つて占有したものと推定する。

9 第六項の規定により占有者に対して強制執行がされたときは、当該占有者は、執行異議の申立てにおいて、債権者に対抗することができる権原により目的物を占有していること、又は明渡しの催告があつたことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人でないことを理由とすることができる。

10 明渡しの催告に要した費用は、執行費用とする。

(動産の引渡しの強制執行)

第百六十九条 第百六十八条第一項に規定する動産以外の動産(有価証券を含む。)の引渡しの強制執行は、執行官が債務者からこれを取り上げて債権者に引き渡す方法により行う。

2 第百二十二条第二項、第百二十三条第二項及び第百六十八条第五項から第八項までの規定は、前項の強制執行について準用する。

(目的物を第三者が占有する場合の引渡しの強制執行)

第百七十条 第三者が強制執行の目的物を占有している場合においてその物を債務者に引き渡すべき義務を負つているときは、物の引渡しの強制執行は、執行裁判所が、債務者の第三者に対する引渡請求権を差し押さえ、請求権の行使を債権者に許す旨の命令を発する方法により行う。

2 第百四十四条、第百四十五条(第四項を除く。)、第百四十七条、第百四十八条、第百五十五条第一項及び第三項並びに第百五十八条の規定は、前項の強制執行について準用する。

(代替執行)

第百七十一条 次の各号に掲げる強制執行は、執行裁判所がそれぞれ当該各号に定める旨を命ずる方法により行う。

作為を目的とする債務についての強制執行 債務者の費用で第三者に当該作為をさせること。

不作為を目的とする債務についての強制執行 債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすべきこと。

2 前項の執行裁判所は、第三十三条第二項第一号又は第六号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所とする。

3 執行裁判所は、第一項の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。

4 執行裁判所は、第一項の規定による決定をする場合には、申立てにより、債務者に対し、その決定に掲げる行為をするために必要な費用をあらかじめ債権者に支払うべき旨を命ずることができる。

5 第一項の強制執行の申立て又は前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

6 第六条第二項の規定は、第一項の規定による決定を執行する場合について準用する。

(間接強制)

第百七十二条 作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。

2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を変更することができる。

3 執行裁判所は、前二項の規定による決定をする場合には、申立ての相手方を審尋しなければならない。

4 第一項の規定により命じられた金銭の支払があつた場合において、債務不履行により生じた損害の額が支払額を超えるときは、債権者は、その超える額について損害賠償の請求をすることを妨げられない。

5 第一項の強制執行の申立て又は第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

6 前条第二項の規定は、第一項の執行裁判所について準用する。

第百七十三条 第百六十八条第一項、第百六十九条第一項、第百七十条第一項及び第百七十一条第一項に規定する強制執行は、それぞれ第百六十八条から第百七十一条までの規定により行うほか、債権者の申立てがあるときは、執行裁判所が前条第一項に規定する方法により行う。 この場合においては、同条第二項から第五項までの規定を準用する。

2 前項の執行裁判所は、第三十三条第二項各号(第一号の二、第一号の三及び第四号を除く。)に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該債務名義についての執行文付与の訴えの管轄裁判所とする。

(子の引渡しの強制執行)

第百七十四条 子の引渡しの強制執行は、次の各号に掲げる方法のいずれかにより行う。

執行裁判所が決定により執行官に子の引渡しを実施させる方法

第百七十二条第一項に規定する方法

2 前項第一号に掲げる方法による強制執行の申立ては、次の各号のいずれかに該当するときでなければすることができない。

第百七十二条第一項の規定による決定が確定した日から二週間を経過したとき(当該決定において定められた債務を履行すべき一定の期間の経過がこれより後である場合にあつては、その期間を経過したとき)。

前項第二号に掲げる方法による強制執行を実施しても、債務者が子の監護を解く見込みがあるとは認められないとき。

子の急迫の危険を防止するため直ちに強制執行をする必要があるとき。

3 執行裁判所は、第一項第一号の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。 ただし、子に急迫した危険があるときその他の審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

4 執行裁判所は、第一項第一号の規定による決定において、執行官に対し、債務者による子の監護を解くために必要な行為をすべきことを命じなければならない。

5 第百七十一条第二項の規定は第一項第一号の執行裁判所について、同条第四項の規定は同号の規定による決定をする場合について、それぞれ準用する。

6 第二項の強制執行の申立て又は前項において準用する第百七十一条第四項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

(執行官の権限等)

第百七十五条 執行官は、債務者による子の監護を解くために必要な行為として、債務者に対し説得を行うほか、債務者の住居その他債務者の占有する場所において、次に掲げる行為をすることができる。

その場所に立ち入り、子を捜索すること。

債権者若しくはその代理人と子を面会させ、又は債権者若しくはその代理人と債務者を面会させること。

その場所に債権者又はその代理人を立ち入らせること。

2 執行官は、子の心身に及ぼす影響、当該場所及びその周囲の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、前項に規定する場所以外の場所においても、債務者による子の監護を解くために必要な行為として、当該場所の占有者の同意を得て又は次項の規定による許可を受けて、前項各号に掲げる行為をすることができる。

3 執行裁判所は、子の住居が第一項に規定する場所以外の場所である場合において、債務者と当該場所の占有者との関係、当該占有者の私生活又は業務に与える影響その他の事情を考慮して相当と認めるときは、債権者の申立てにより、当該占有者の同意に代わる許可をすることができる。

4 執行官は、前項の規定による許可を受けて第一項各号に掲げる行為をするときは、職務の執行に当たり、当該許可を受けたことを証する文書を提示しなければならない。

5 第一項又は第二項の規定による債務者による子の監護を解くために必要な行為は、債権者が第一項又は第二項に規定する場所に出頭した場合に限り、することができる。

6 執行裁判所は、債権者が第一項又は第二項に規定する場所に出頭することができない場合であつても、その代理人が債権者に代わつて当該場所に出頭することが、当該代理人と子との関係、当該代理人の知識及び経験その他の事情に照らして子の利益の保護のために相当と認めるときは、前項の規定にかかわらず、債権者の申立てにより、当該代理人が当該場所に出頭した場合においても、第一項又は第二項の規定による債務者による子の監護を解くために必要な行為をすることができる旨の決定をすることができる。

7 執行裁判所は、いつでも前項の決定を取り消すことができる。

8 執行官は、第六条第一項の規定にかかわらず、子に対して威力を用いることはできない。 子以外の者に対して威力を用いることが子の心身に有害な影響を及ぼすおそれがある場合においては、当該子以外の者についても、同様とする。

9 執行官は、第一項又は第二項の規定による債務者による子の監護を解くために必要な行為をするに際し、債権者又はその代理人に対し、必要な指示をすることができる。

(執行裁判所及び執行官の責務)

第百七十六条 執行裁判所及び執行官は、第百七十四条第一項第一号に掲げる方法による子の引渡しの強制執行の手続において子の引渡しを実現するに当たつては、子の年齢及び発達の程度その他の事情を踏まえ、できる限り、当該強制執行が子の心身に有害な影響を及ぼさないように配慮しなければならない。

(意思表示の擬制)

第百七十七条 意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決その他の裁判が確定し、又は和解、認諾、調停若しくは労働審判に係る債務名義が成立したときは、債務者は、その確定又は成立の時に意思表示をしたものとみなす。 ただし、債務者の意思表示が、債権者の証明すべき事実の到来に係るときは第二十七条第一項の規定により執行文が付与された時に、反対給付との引換え又は債務の履行その他の債務者の証明すべき事実のないことに係るときは次項又は第三項の規定により執行文が付与された時に意思表示をしたものとみなす。

2 債務者の意思表示が反対給付との引換えに係る場合においては、執行文は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。

3 債務者の意思表示が債務者の証明すべき事実のないことに係る場合において、執行文の付与の申立てがあつたときは、裁判所書記官は、債務者に対し一定の期間を定めてその事実を証明する文書を提出すべき旨を催告し、債務者がその期間内にその文書を提出しないときに限り、執行文を付与することができる。

第百七十八条及び第百七十九条 削除

第三章 担保権の実行としての競売等

(不動産担保権の実行の方法)

第百八十条 不動産(登記することができない土地の定着物を除き、第四十三条第二項の規定により不動産とみなされるものを含む。以下この章において同じ。)を目的とする担保権(以下この章において「不動産担保権」という。)の実行は、次に掲げる方法であつて債権者が選択したものにより行う。

担保不動産競売(競売による不動産担保権の実行をいう。以下この章において同じ。)の方法

担保不動産収益執行(不動産から生ずる収益を被担保債権の弁済に充てる方法による不動産担保権の実行をいう。以下この章において同じ。)の方法

(不動産担保権の実行の開始)

第百八十一条 不動産担保権の実行は、次に掲げる文書が提出されたときに限り、開始する。

担保権の存在を証する確定判決若しくは家事事件手続法第七十五条の審判又はこれらと同一の効力を有するものの謄本

担保権の存在を証する公証人が作成した公正証書の謄本

担保権の登記(仮登記を除く。)に関する登記事項証明書

一般の先取特権にあつては、その存在を証する文書

2 抵当証券の所持人が不動産担保権の実行の申立てをするには、抵当証券を提出しなければならない。

3 担保権について承継があつた後不動産担保権の実行の申立てをする場合には、相続その他の一般承継にあつてはその承継を証する文書を、その他の承継にあつてはその承継を証する裁判の謄本その他の公文書を提出しなければならない。

4 不動産担保権の実行の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、開始決定の送達に際し、不動産担保権の実行の申立てにおいて提出された前三項に規定する文書の目録及び第一項第四号に掲げる文書の写しを相手方に送付しなければならない。

(開始決定に対する執行抗告等)

第百八十二条 不動産担保権の実行の開始決定に対する執行抗告又は執行異議の申立てにおいては、債務者又は不動産の所有者(不動産とみなされるものにあつては、その権利者。以下同じ。)は、担保権の不存在又は消滅を理由とすることができる。

(不動産担保権の実行の手続の停止)

第百八十三条 不動産担保権の実行の手続は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。

担保権のないことを証する確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。次号において同じ。)の謄本

第百八十一条第一項第一号に掲げる裁判若しくはこれと同一の効力を有するものを取り消し、若しくはその効力がないことを宣言し、又は同項第三号に掲げる登記を消すべき旨を命ずる確定判決の謄本

担保権の実行をしない旨、その実行の申立てを取り下げる旨又は債権者が担保権によつて担保される債権の弁済を受け、若しくはその債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本

担保権の登記の抹消に関する登記事項証明書

不動産担保権の実行の手続の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の謄本

不動産担保権の実行の手続の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の謄本

担保権の実行を一時禁止する裁判の謄本

2 前項第一号から第五号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。

3 第十二条の規定は、前項の規定による決定については適用しない。

(代金の納付による不動産取得の効果)

第百八十四条 担保不動産競売における代金の納付による買受人の不動産の取得は、担保権の不存在又は消滅により妨げられない。

第百八十五条及び第百八十六条 削除

(担保不動産競売の開始決定前の保全処分等)

第百八十七条 執行裁判所は、担保不動産競売の開始決定前であつても、債務者又は不動産の所有者若しくは占有者が価格減少行為(第五十五条第一項に規定する価格減少行為をいう。以下この項において同じ。)をする場合において、特に必要があるときは、当該不動産につき担保不動産競売の申立てをしようとする者の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、同条第一項各号に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずることができる。 ただし、当該価格減少行為による価格の減少又はそのおそれの程度が軽微であるときは、この限りでない。

2 前項の場合において、第五十五条第一項第二号又は第三号に掲げる保全処分は、次に掲げる場合のいずれかに該当するときでなければ、命ずることができない。

前項の債務者又は同項の不動産の所有者が当該不動産を占有する場合

前項の不動産の占有者の占有の権原が同項の規定による申立てをした者に対抗することができない場合

3 第一項の規定による申立てをするには、担保不動産競売の申立てをする場合において第百八十一条第一項から第三項までの規定により提出すべき文書を提示しなければならない。

4 執行裁判所は、申立人が第一項の保全処分を命ずる決定の告知を受けた日から三月以内に同項の担保不動産競売の申立てをしたことを証する文書を提出しないときは、被申立人又は同項の不動産の所有者の申立てにより、その決定を取り消さなければならない。

5 第五十五条第三項から第五項までの規定は第一項の規定による決定について、同条第六項の規定は第一項又はこの項において準用する同条第五項の申立てについての裁判について、同条第七項の規定はこの項において準用する同条第五項の規定による決定について、同条第八項及び第九項並びに第五十五条の二の規定は第一項の規定による決定(第五十五条第一項第一号に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずるものを除く。)について、第五十五条第十項の規定は第一項の申立て又は同項の規定による決定(同条第一項第一号に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずるものを除く。)の執行に要した費用について、第八十三条の二の規定は第一項の規定による決定(第五十五条第一項第三号に掲げる保全処分及び公示保全処分を命ずるものに限る。)の執行がされた場合について準用する。 この場合において、第五十五条第三項中「債務者以外の占有者」とあるのは、「債務者及び不動産の所有者以外の占有者」と読み替えるものとする。

(不動産執行の規定の準用)

第百八十八条 第四十四条の規定は不動産担保権の実行について、前章第二節第一款第二目(第八十一条を除く。)の規定は担保不動産競売について、同款第三目の規定は担保不動産収益執行について準用する。

(船舶の競売)

第百八十九条 前章第二節第二款及び第百八十一条から第百八十四条までの規定は、船舶を目的とする担保権の実行としての競売について準用する。 この場合において、第百十五条第三項中「執行力のある債務名義の正本」とあるのは「第百八十九条において準用する第百八十一条第一項から第三項までに規定する文書」と、第百八十一条第一項第四号中「一般の先取特権」とあるのは「先取特権」と読み替えるものとする。

(動産競売の要件)

第百九十条 動産を目的とする担保権の実行としての競売(以下「動産競売」という。)は、次に掲げる場合に限り、開始する。

債権者が執行官に対し当該動産を提出した場合

債権者が執行官に対し当該動産の占有者が差押えを承諾することを証する文書を提出した場合

債権者が執行官に対し次項の許可の決定書の謄本を提出し、かつ、第百九十二条において準用する第百二十三条第二項の規定による捜索に先立つて又はこれと同時に当該許可の決定が債務者に送達された場合

2 執行裁判所は、担保権の存在を証する文書を提出した債権者の申立てがあつたときは、当該担保権についての動産競売の開始を許可することができる。 ただし、当該動産が第百二十三条第二項に規定する場所又は容器にない場合は、この限りでない。

3 前項の許可の決定は、債務者に送達しなければならない。

4 第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

(動産の差押えに対する執行異議)

第百九十一条 動産競売に係る差押えに対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は動産の所有者は、担保権の不存在若しくは消滅又は担保権によつて担保される債権の一部の消滅を理由とすることができる。

(動産執行の規定の準用)

第百九十二条 前章第二節第三款(第百二十三条第二項、第百二十八条、第百三十一条及び第百三十二条を除く。)及び第百八十三条の規定は動産競売について、第百二十八条、第百三十一条及び第百三十二条の規定は一般の先取特権の実行としての動産競売について、第百二十三条第二項の規定は第百九十条第一項第三号に掲げる場合における動産競売について準用する。

(債権及びその他の財産権についての担保権の実行の要件等)

第百九十三条 第百四十三条に規定する債権及び第百六十七条第一項に規定する財産権(以下この項において「その他の財産権」という。)を目的とする担保権の実行は、担保権の存在を証する文書(権利の移転について登記等を要するその他の財産権を目的とする担保権で一般の先取特権以外のものについては、第百八十一条第一項第一号から第三号まで、第二項又は第三項に規定する文書)が提出されたときに限り、開始する。 担保権を有する者が目的物の売却、賃貸、滅失若しくは損傷又は目的物に対する物権の設定若しくは土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)による収用その他の行政処分により債務者が受けるべき金銭その他の物に対して民法その他の法律の規定によつてするその権利の行使についても、同様とする。

2 前章第二節第四款第一目(第百四十六条第二項、第百五十二条及び第百五十三条を除く。)及び第百八十二条から第百八十四条までの規定は前項に規定する担保権の実行及び行使について、第百四十六条第二項、第百五十二条及び第百五十三条の規定は前項に規定する一般の先取特権の実行及び行使について準用する。

(担保権の実行についての強制執行の総則規定の準用)

第百九十四条 第三十八条、第四十一条及び第四十二条の規定は、担保権の実行としての競売、担保不動産収益執行並びに前条第一項に規定する担保権の実行及び行使について準用する。

(留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売)

第百九十五条 留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による。

第四章 債務者の財産状況の調査

第一節 財産開示手続

(管轄)

第百九十六条 この節の規定による債務者の財産の開示に関する手続(以下「財産開示手続」という。)については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

(実施決定)

第百九十七条 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより、債務者について、財産開示手続を実施する旨の決定をしなければならない。 ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。

強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。

知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。

2 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者の申立てにより、当該債務者について、財産開示手続を実施する旨の決定をしなければならない。

強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該先取特権の被担保債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。

知れている財産に対する担保権の実行を実施しても、申立人が前号の被担保債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。

3 前二項の規定にかかわらず、債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては当該法定代理人、債務者が法人である場合にあつてはその代表者。第一号において同じ。)が前二項の申立ての日前三年以内に財産開示期日(財産を開示すべき期日をいう。以下同じ。)においてその財産について陳述をしたものであるときは、財産開示手続を実施する旨の決定をすることができない。 ただし、次の各号に掲げる事由のいずれかがある場合は、この限りでない。

債務者が当該財産開示期日において一部の財産を開示しなかつたとき。

債務者が当該財産開示期日の後に新たに財産を取得したとき。

当該財産開示期日の後に債務者と使用者との雇用関係が終了したとき。

4 第一項又は第二項の決定がされたときは、当該決定(同項の決定にあつては、当該決定及び同項の文書の写し)を債務者に送達しなければならない。

5 第一項又は第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

6 第一項又は第二項の決定は、確定しなければその効力を生じない。

(期日指定及び期日の呼出し)

第百九十八条 執行裁判所は、前条第一項又は第二項の決定が確定したときは、財産開示期日を指定しなければならない。

2 財産開示期日には、次に掲げる者を呼び出さなければならない。

申立人

債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては当該法定代理人、債務者が法人である場合にあつてはその代表者)

(財産開示期日)

第百九十九条 開示義務者(前条第二項第二号に掲げる者をいう。以下同じ。)は、財産開示期日に出頭し、債務者の財産(第百三十一条第一号又は第二号に掲げる動産を除く。)について陳述しなければならない。

2 前項の陳述においては、陳述の対象となる財産について、第二章第二節の規定による強制執行又は前章の規定による担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項その他申立人に開示する必要があるものとして最高裁判所規則で定める事項を明示しなければならない。

3 執行裁判所は、財産開示期日において、開示義務者に対し質問を発することができる。

4 申立人は、財産開示期日に出頭し、債務者の財産の状況を明らかにするため、執行裁判所の許可を得て開示義務者に対し質問を発することができる。

5 執行裁判所は、申立人が出頭しないときであつても、財産開示期日における手続を実施することができる。

6 財産開示期日における手続は、公開しない。

7 民事訴訟法第百九十五条及び第二百六条の規定は前各項の規定による手続について、同法第二百一条第一項及び第二項の規定は開示義務者について準用する。

(陳述義務の一部の免除)

第二百条 財産開示期日において債務者の財産の一部を開示した開示義務者は、申立人の同意がある場合又は当該開示によつて第百九十七条第一項の金銭債権若しくは同条第二項各号の被担保債権の完全な弁済に支障がなくなつたことが明らかである場合において、執行裁判所の許可を受けたときは、前条第一項の規定にかかわらず、その余の財産について陳述することを要しない。

2 前項の許可の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

(財産開示事件の記録の閲覧等の制限)

第二百一条 財産開示事件の記録中財産開示期日に関する部分についての第十七条の規定による請求は、次に掲げる者に限り、することができる。

申立人

債務者に対する金銭債権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者

債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者

債務者又は開示義務者

(財産開示事件に関する情報の目的外利用の制限)

第二百二条 申立人は、財産開示手続において得られた債務者の財産又は債務に関する情報を、当該債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。

2 前条第二号又は第三号に掲げる者であつて、財産開示事件の記録中の財産開示期日に関する部分の情報を得たものは、当該情報を当該財産開示事件の債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。

(強制執行及び担保権の実行の規定の準用)

第二百三条 第三十九条及び第四十条の規定は執行力のある債務名義の正本に基づく財産開示手続について、第四十二条(第二項を除く。)の規定は財産開示手続について、第百八十二条及び第百八十三条の規定は一般の先取特権に基づく財産開示手続について準用する。

第二節 第三者からの情報取得手続

(管轄)

第二百四条 この節の規定による債務者の財産に係る情報の取得に関する手続(以下「第三者からの情報取得手続」という。)については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときはこの節の規定により情報の提供を命じられるべき者の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

(債務者の不動産に係る情報の取得)

第二百五条 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、それぞれ当該各号に定める者の申立てにより、法務省令で定める登記所に対し、債務者が所有権の登記名義人である土地又は建物その他これらに準ずるものとして法務省令で定めるものに対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるものについて情報の提供をすべき旨を命じなければならない。 ただし、第一号に掲げる場合において、同号に規定する執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。

第百九十七条第一項各号のいずれかに該当する場合 執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者

第百九十七条第二項各号のいずれかに該当する場合 債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者

2 前項の申立ては、財産開示期日における手続が実施された場合(当該財産開示期日に係る財産開示手続において第二百条第一項の許可がされたときを除く。)において、当該財産開示期日から三年以内に限り、することができる。

3 第一項の申立てを認容する決定がされたときは、当該決定(同項第二号に掲げる場合にあつては、当該決定及び同号に規定する文書の写し)を債務者に送達しなければならない。

4 第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

5 第一項の申立てを認容する決定は、確定しなければその効力を生じない。

(債務者の給与債権に係る情報の取得)

第二百六条 執行裁判所は、第百九十七条第一項各号のいずれかに該当するときは、第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る請求権又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者の申立てにより、次の各号に掲げる者であつて最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したものに対し、それぞれ当該各号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。 ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。

市町村(特別区を含む。以下この号において同じ。) 債務者が支払を受ける地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百十七条の二第一項ただし書に規定する給与に係る債権に対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの(当該市町村が債務者の市町村民税(特別区民税を含む。)に係る事務に関して知り得たものに限る。)

日本年金機構、国家公務員共済組合、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団 債務者(厚生年金保険の被保険者であるものに限る。以下この号において同じ。)が支払を受ける厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第三条第一項第三号に規定する報酬又は同項第四号に規定する賞与に係る債権に対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの(情報の提供を命じられた者が債務者の厚生年金保険に係る事務に関して知り得たものに限る。)

2 前条第二項から第五項までの規定は、前項の申立て及び当該申立てについての裁判について準用する。

(債務者の預貯金債権等に係る情報の取得)

第二百七条 執行裁判所は、第百九十七条第一項各号のいずれかに該当するときは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより、次の各号に掲げる者であつて最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したものに対し、それぞれ当該各号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。 ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。

銀行等(銀行、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、信用協同組合、信用協同組合連合会、農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、農林中央金庫、株式会社商工組合中央金庫又は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構をいう。以下この号において同じ。) 債務者の当該銀行等に対する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。)に対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの

振替機関等(社債、株式等の振替に関する法律第二条第五項に規定する振替機関等をいう。以下この号において同じ。) 債務者の有する振替社債等(同法第二百七十九条に規定する振替社債等であつて、当該振替機関等の備える振替口座簿における債務者の口座に記載され、又は記録されたものに限る。)に関する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるもの

2 執行裁判所は、第百九十七条第二項各号のいずれかに該当するときは、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者の申立てにより、前項各号に掲げる者であつて最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したものに対し、それぞれ当該各号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。

3 前二項の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

(情報の提供の方法等)

第二百八条 第二百五条第一項、第二百六条第一項又は前条第一項若しくは第二項の申立てを認容する決定により命じられた情報の提供は、執行裁判所に対し、書面でしなければならない。

2 前項の情報の提供がされたときは、執行裁判所は、最高裁判所規則で定めるところにより、申立人に同項の書面の写しを送付し、かつ、債務者に対し、同項に規定する決定に基づいてその財産に関する情報の提供がされた旨を通知しなければならない。

(第三者からの情報取得手続に係る事件の記録の閲覧等の制限)

第二百九条 第二百五条又は第二百七条の規定による第三者からの情報取得手続に係る事件の記録中前条第一項の情報の提供に関する部分についての第十七条の規定による請求は、次に掲げる者に限り、することができる。

申立人

債務者に対する金銭債権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者

債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者

債務者

当該情報の提供をした者

2 第二百六条の規定による第三者からの情報取得手続に係る事件の記録中前条第一項の情報の提供に関する部分についての第十七条の規定による請求は、次に掲げる者に限り、することができる。

申立人

債務者に対する第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る請求権又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者

債務者

当該情報の提供をした者

(第三者からの情報取得手続に係る事件に関する情報の目的外利用の制限)

第二百十条 申立人は、第三者からの情報取得手続において得られた債務者の財産に関する情報を、当該債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。

2 前条第一項第二号若しくは第三号又は第二項第二号に掲げる者であつて、第三者からの情報取得手続に係る事件の記録中の第二百八条第一項の情報の提供に関する部分の情報を得たものは、当該情報を当該事件の債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。

(強制執行及び担保権の実行の規定の準用)

第二百十一条 第三十九条及び第四十条の規定は執行力のある債務名義の正本に基づく第三者からの情報取得手続について、第四十二条(第二項を除く。)の規定は第三者からの情報取得手続について、第百八十二条及び第百八十三条の規定は一般の先取特権に基づく第三者からの情報取得手続について、それぞれ準用する。

第五章 罰則

(公示書等損壊罪)

第二百十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第五十五条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第六十八条の二第一項若しくは第七十七条第一項(第一号に係る部分に限る。)(これらの規定を第百二十一条(第百八十九条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)及び第百八十八条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)又は第百八十七条第一項(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による命令に基づき執行官が公示するために施した公示書その他の標識(刑法第九十六条に規定する封印及び差押えの表示を除く。)を損壊した者

第百六十八条の二第三項又は第四項の規定により執行官が公示するために施した公示書その他の標識を損壊した者

(陳述等拒絶の罪)

第二百十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

売却基準価額の決定に関し、執行裁判所の呼出しを受けた審尋の期日において、正当な理由なく、出頭せず、若しくは陳述を拒み、又は虚偽の陳述をした者

第五十七条第二項(第百二十一条(第百八十九条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)及び第百八十八条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定による執行官の質問又は文書の提出の要求に対し、正当な理由なく、陳述をせず、若しくは文書の提示を拒み、又は虚偽の陳述をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提示した者

第六十五条の二(第百八十八条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により陳述すべき事項について虚偽の陳述をした者

第百六十八条第二項の規定による執行官の質問又は文書の提出の要求に対し、正当な理由なく、陳述をせず、若しくは文書の提示を拒み、又は虚偽の陳述をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提示した債務者又は同項に規定する不動産等を占有する第三者

執行裁判所の呼出しを受けた財産開示期日において、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓を拒んだ開示義務者

第百九十九条第七項において準用する民事訴訟法第二百一条第一項の規定により財産開示期日において宣誓した開示義務者であつて、正当な理由なく第百九十九条第一項から第四項までの規定により陳述すべき事項について陳述をせず、又は虚偽の陳述をしたもの

2 不動産(登記することができない土地の定着物を除く。以下この項において同じ。)の占有者であつて、その占有の権原を差押債権者、仮差押債権者又は第五十九条第一項(第百八十八条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により消滅する権利を有する者に対抗することができないものが、正当な理由なく、第六十四条の二第五項(第百八十八条(第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定による不動産の立入りを拒み、又は妨げたときは、三十万円以下の罰金に処する。

(過料に処すべき場合)

第二百十四条 第二百二条の規定に違反して、同条の情報を同条に規定する目的以外の目的のために利用し、又は提供した者は、三十万円以下の過料に処する。

2 第二百十条の規定に違反して、同条の情報を同条に規定する目的以外の目的のために利用し、又は提供した者も、前項と同様とする。

(管轄)

第二百十五条 前条に規定する過料の事件は、執行裁判所の管轄とする。

附則

(施行期日)
第一条 この法律は、昭和五十五年十月一日から施行する。

(競売法の廃止)
第二条 競売法(明治三十一年法律第十五号)は、廃止する。

(経過措置)
第四条 この法律の施行前に申し立てられた民事執行の事件については、なお従前の例による。 この法律の施行前にした前条の規定による改正前の民事訴訟法又は附則第二条の規定による廃止前の競売法の規定による執行処分その他の行為は、この法律の適用については、この法律の相当規定によつてした執行処分その他の行為とみなす。 前二項に規定するもののほか、この法律の施行の際、現に裁判所に係属し、又は執行官が取り扱つている事件の処理に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

附則(平成元年一二月二二日法律第九一号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(民事訴訟法及び民事執行法の一部改正に伴う経過措置)
第四条 この法律の施行前にした仮差押え又は仮処分の命令の申請に係る仮差押え又は仮処分の事件については、なお従前の例による。

附則(平成七年五月一二日法律第九一号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

附則(平成八年六月二六日法律第一〇八号)

この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 この法律の施行前に申し立てられた民事執行の事件については、なお従前の例による。 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の民事執行法第五十五条、第七十七条、第八十三条及び第百八十七条の二の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、これらの規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

附則(平成八年六月二六日法律第一一〇号)

この法律は、新民訴法の施行の日から施行する。

附則(平成一〇年一〇月一六日法律第一二八号)

この法律は、公布の日から起算して二月を経過した日から施行する。

附則(平成一二年一一月二九日法律第一三〇号)

この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。

附則(平成一四年六月一二日法律第六五号)

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十五年一月六日から施行する。

(その他の経過措置の政令への委任)
第八十五条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(平成一四年七月三一日法律第一〇〇号)

(施行期日)
第一条 この法律は、民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)の施行の日から施行する。

(罰則に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(平成一五年八月一日法律第一三四号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(保全処分に関する経過措置)
第八条 施行日前にされた第三条の規定による改正前の民事執行法(以下「旧民事執行法」という。)第五十五条第一項若しくは第二項、第六十八条の二第一項若しくは第七十七条第一項(これらの規定を旧民事執行法第百八十八条において準用する場合を含む。)又は旧民事執行法第百八十七条の二第一項若しくは第二項の申立てに係る事件については、第三条の規定による改正後の民事執行法の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(差引き納付に関する経過措置)
第九条 施行日前に旧民事執行法第七十八条第四項後段の異議の陳述又は申出があった場合における買受人が同項後段の金銭を納付すべき期限及び配当異議の申出をした債権者又は債務者が旧民事執行法第九十条第六項の規定による証明等をすべき期限については、なお従前の例による。

(強制管理の手続に関する経過措置)
第十条 施行日前に申し立てられた強制管理の事件について、施行日前にした旧民事執行法の規定による執行処分その他の行為は、第三条の規定による改正後の民事執行法の規定の適用については、同法の相当規定によってした執行処分その他の行為とみなす。

(差押禁止動産に関する経過措置)
第十一条 施行日前に申し立てられた旧民事執行法第百二十二条第一項に規定する動産執行又は一般の先取特権の実行としての旧民事執行法第百九十条に規定する動産競売の申立てに係る事件における差し押さえてはならない動産については、第三条の規定による改正後の民事執行法第百三十一条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(扶養義務等に係る金銭債権を請求する場合における差押禁止債権に関する経過措置)
第十二条 施行日前に第三条の規定による改正後の民事執行法第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務についての金銭債権を請求する場合における差し押さえてはならない債権については、第三条の規定による改正後の民事執行法第百五十二条第三項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(破産財団に属さない財産に関する経過措置)
第十三条 施行日前に破産宣告があった場合における破産法(大正十一年法律第七十一号)第六条第三項の差し押さえることのできない財産として破産財団に属さない財産については、第三条の規定による改正後の民事執行法の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(罰則の適用に関する経過措置)
第十四条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附則(平成一五年八月一日法律第一三八号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(平成一六年五月一二日法律第四五号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(平成一六年六月九日法律第八八号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第百三十五条 この法律(附則第一条ただし書に規定する規定については、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第百三十六条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(平成一六年六月一八日法律第一二四号)

(施行期日)
第一条 この法律は、新不動産登記法の施行の日から施行する。

附則(平成一六年一二月一日法律第一四七号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(平成一六年一二月三日法律第一五二号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(経過措置の原則)
第三条 この法律による改正後の民事訴訟法、非訟事件手続法及び民事執行法の規定(罰則を除く。)は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。 ただし、この法律による改正前のこれらの法律の規定により生じた効力を妨げない。

(執行裁判所の執行処分その他の行為等に関する経過措置)
第八条 この法律の施行前に申し立てられた民事執行の事件について、その施行前にした第三条の規定による改正前の民事執行法(以下「旧民事執行法」という。)の規定による執行裁判所の執行処分その他の行為であって同条の規定による改正後の民事執行法(以下「新民事執行法」という。)の規定によれば裁判所書記官がすべきこととされるものに関する新民事執行法の規定の適用については、新民事執行法の相当規定によってした裁判所書記官の処分その他の行為とみなす。 前項の執行裁判所の執行処分その他の行為に対する不服申立てについては、当該執行処分その他の行為につき同項の規定を適用せず、なお従前の例による。 この法律の施行前に旧民事執行法第六十八条の三第二項(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定による執行裁判所が売却を実施させるべき旨の申出があった場合において、この法律の施行の日までに執行裁判所が当該申出に係る売却を実施させる旨の命令を発しなかったときは、当該申出は、新民事執行法第六十八条の三第二項(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定による裁判所書記官が売却を実施させるべき旨の申出とみなす。

(売却の手続等に関する経過措置)
第九条 この法律の施行前に旧民事執行法第六十三条第一項(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定による通知がされた民事執行の事件については、同条第二項ただし書(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の場合を除き、なお従前の例による。 この法律の施行前に執行裁判所が売却を実施させる旨の命令を発した場合における当該命令に係る売却の手続及び売却の許可又は不許可の決定に係る手続については、新民事執行法第六十条(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。 前二項の規定によりなお従前の例によることとされる場合を除き、この法律の施行前に旧民事執行法第六十条(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定により執行裁判所が定めた最低売却価額は、新民事執行法第六十条(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定により執行裁判所が定めた売却基準価額とみなす。

(少額訴訟債権執行に関する経過措置)
第十条 新民事執行法第二章第二節第四款第二目の規定は、この法律の施行前に成立した新民事執行法第百六十七条の二第一項各号に掲げる少額訴訟に係る債務名義による金銭債権に対する強制執行については、適用しない。 この法律の施行の日が不動産登記法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十六年法律第百二十四号)の施行の日前である場合には、同法の施行の日の前日までの間における新民事執行法第百六十七条の十四の規定の適用については、同条中「第百六十四条第五項及び第六項」とあるのは「第百六十四条第四項及び第五項」と、「第百六十四条第五項中」とあるのは「第百六十四条第四項中」とする。

(罰則の適用に関する経過措置)
第三十九条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第四十条 附則第三条から第十条まで、第二十九条及び前二条に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(平成一六年一二月三日法律第一五四号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。

(処分等の効力)
第百二十一条 この法律の施行前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。

(罰則に関する経過措置)
第百二十二条 この法律の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第百二十三条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

附則(平成一六年一二月一〇日法律第一六五号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、附則第四条及び第五条の規定は、公布の日から施行する。

附則(平成一七年七月二六日法律第八七号)

この法律は、会社法の施行の日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第二百四十二条の規定 この法律の公布の日

附則(平成一七年一〇月二一日法律第一〇二号)

(施行期日)
第一条 この法律は、郵政民営化法の施行の日から施行する。 ただし、第六十二条中租税特別措置法第八十四条の五の見出しの改正規定及び同条に一項を加える改正規定、第百二十四条中証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法律の整備等に関する法律附則第一条第二号の改正規定及び同法附則第八十五条を同法附則第八十六条とし、同法附則第八十二条から第八十四条までを一条ずつ繰り下げ、同法附則第八十一条の次に一条を加える改正規定並びに附則第三十条、第三十一条、第三十四条、第六十条第十二項、第六十六条第一項、第六十七条及び第九十三条第二項の規定は、郵政民営化法附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から施行する。

附則(平成一九年六月二七日法律第九五号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(平成二三年五月二五日法律第五三号)

この法律は、新非訟事件手続法の施行の日から施行する。

附則(平成二三年六月二四日法律第七四号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

附則(平成二五年一二月一一日法律第九六号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(平成二九年六月二日法律第四五号)

この法律は、民法改正法の施行の日から施行する。 ただし、第百三条の二、第百三条の三、第二百六十七条の二、第二百六十七条の三及び第三百六十二条の規定は、公布の日から施行する。

附則(平成三〇年四月二五日法律第二〇号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(民事執行法の一部改正に伴う経過措置)
第四条 この法律の施行前に申し立てられた民事執行の事件については、第三条の規定による改正後の民事執行法(次項において「新民事執行法」という。)第二十二条(第六号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。 この法律の施行の際現に係属している外国裁判所の家事事件における裁判についての執行判決を求める訴えに係る訴訟については、新民事執行法第二十四条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

附則(平成三〇年五月二五日法律第二九号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、附則第五十条及び第五十二条の規定は、公布の日から施行する。

(民事執行法の一部改正に伴う経過措置)
第四十五条 施行日前に申し立てられた民事執行の事件については、前条の規定による改正後の民事執行法第百二十一条及び第百八十九条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)
第五十一条 施行日前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第五十二条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(令和元年五月一七日法律第二号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(売却の手続に関する経過措置)
第二条 第一条の規定による改正後の民事執行法(以下「新民事執行法」という。)第六十五条の二及び第六十八条の四(これらを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定は、施行日前に裁判所書記官が売却を実施させる旨の処分をした場合における当該処分に係る売却の手続については、適用しない。 施行日前に裁判所書記官が売却を実施させる旨の処分をした場合における売却不許可事由については、新民事執行法第七十一条(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(差押債権者の金銭債権の取立て等に関する経過措置)
第三条 施行日前に申し立てられた民事執行の事件に係る金銭債権を差し押さえた債権者がその債権を取り立てることができるようになるための期間については、新民事執行法第百五十五条第二項(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。 施行日前に第一条の規定による改正前の民事執行法第百五十五条第一項(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定により差押債権者が金銭債権を取り立てることができることとなった場合における新民事執行法第百五十五条第五項から第八項まで(これらを準用し、又はその例による場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の適用については、同条第五項中「第一項の規定により金銭債権を取り立てることができることとなつた日(」とあるのは「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第二号。以下「民事執行法等一部改正法」という。)の施行の日(同日以降に」と、同条第六項中「第一項の規定により金銭債権を取り立てることができることとなつた日」とあるのは「民事執行法等一部改正法の施行の日」とする。 施行日前に申し立てられた民事執行の事件に係る新民事執行法第百五十九条第一項又は第百六十一条第一項(これらを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定による決定の効力については、新民事執行法第百五十九条第六項及び第百六十一条第五項(これらを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。 施行日前に申し立てられた民事執行の事件に係る配当又は弁済金の交付を実施すべき時期については、新民事執行法第百六十六条第三項(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(子の引渡しの強制執行に関する経過措置)
第四条 新民事執行法第百七十四条から第百七十六条までの規定は、施行日前に申し立てられた子の引渡しを目的とする請求権についての強制執行の事件については、適用しない。

(第三者からの情報取得手続に関する経過措置)
第五条 新民事執行法第二百五条の規定は、この法律の公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、適用しない。

(調整規定)
第六条 施行日が附則第一条第二号に定める日前となる場合には、同日の前日までの間における新民事執行法第二百七条第一項の規定の適用については、同項第一号中「民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権」とあるのは、「預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権」とする。

(罰則に関する経過措置)
第七条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第二十条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(令和四年五月二五日法律第四八号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して四年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(政令への委任)
第百二十五条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(令和四年六月一七日法律第六八号)

この法律は、刑法等一部改正法施行日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第五百九条の規定 公布の日

附則(令和五年四月二八日法律第一五号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(令和五年四月二八日法律第一六号)

(施行期日)
第一条 この法律は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

附則(令和五年四月二八日法律第一七号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(罰則に関する経過措置)
第六条 附則第一条ただし書に規定する規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附則(令和五年六月一四日法律第五三号)

この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第三十二章の規定及び第三百八十八条の規定 公布の日

第一条中民事執行法第二十二条第五号の改正規定、同法第二十五条の改正規定、同法第二十六条の改正規定、同法第二十九条の改正規定(「の謄本」の下に「又は電磁的記録に記録されている事項の全部を記録した電磁的記録」を加える部分を除く。)、同法第九十一条第一項第三号の改正規定、同法第百四十一条第一項第三号の改正規定、同法第百八十一条第一項の改正規定、同条第四項の改正規定、同法第百八十三条の改正規定、同法第百八十九条の改正規定及び同法第百九十三条第一項の改正規定、第十二条、第三十三条、第三十四条、第三十六条及び第三十七条の規定、第四十二条中組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第三十九条第二項の改正規定、第四十五条の規定(民法第九十八条第二項及び第百五十一条第四項の改正規定を除く。)、第四十七条中鉄道抵当法第四十一条の改正規定及び同法第四十三条第三項の改正規定、第四十八条及び第四章の規定、第八十八条中民事訴訟費用等に関する法律第二条の改正規定、第九十一条の規定、第百八十五条中配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第十二条第三項の改正規定、第百九十八条の規定並びに第三百八十七条の規定 公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日

第一条中民事執行法第十八条の次に一条を加える改正規定、同法第二十七条の改正規定、同法第二十九条の改正規定(「の謄本」の下に「又は電磁的記録に記録されている事項の全部を記録した電磁的記録」を加える部分に限る。)、同法第三十三条第一項の改正規定、同法中第八十六条を第八十六条の二とし、第八十五条の次に三条を加える改正規定(同法第八十五条の二及び第八十五条の三を加える部分を除く。)、同法第九十二条に五項を加える改正規定、同法第百十一条の改正規定(「第八十五条並びに」を「第八十五条から第八十六条まで及び」に改める部分に限る。)、同法第百四十二条第二項の改正規定、同法第百六十六条第二項の改正規定、同法第百六十七条の十一第七項の改正規定(「第九十二条第一項」の下に「及び第三項から第七項まで」を加える部分に限る。)、同法第百九十九条の次に二条を加える改正規定、同法第二百条第一項の改正規定及び同法附則に六条を加える改正規定、第三十五条及び第四十条の規定、第四十七条中鉄道抵当法第五十九条に二項を加える改正規定、第六十三条中民事調停法の目次の改正規定、同法第二十七条に一項を加える改正規定及び同法第二章に一節を加える改正規定、第六十七条中企業担保法第十七条第二項の改正規定(「第十八条」の下に「、第十八条の二」を加える部分に限る。)及び同法第五十五条の改正規定、第八十八条中民事訴訟費用等に関する法律附則を同法附則第一条とし、同条に見出しを付し、同法附則に十二条を加える改正規定、第九十四条中船舶の所有者等の責任の制限に関する法律第五十九条の次に一条を加える改正規定、第百十条中民事保全法第四十六条の改正規定(「第十八条」の下に「、第十八条の二」を加える部分に限る。)、第百三十条中金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第六十六条の改正規定及び同法第二百三十二条の改正規定、第百四十五条中民事再生法第百十五条の次に一条を加える改正規定及び同法第百五十三条第三項の改正規定(「民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第八十五条」を「民事執行法第八十五条から第八十六条まで」に改める部分に限る。)、第百六十一条第一項の規定、第二百二条中会社更生法第百十条第三項の改正規定(「民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第八十五条」を「民事執行法第八十五条から第八十六条まで」に改める部分に限る。)及び同法第百十五条の次に一条を加える改正規定、第二百十六条第一項の規定、第二百十九条中人事訴訟法第九条に一項を加える改正規定及び同法第三十三条に二項を加える改正規定、第二百四十九条中破産法第百二十一条の次に一条を加える改正規定、同法第百二十二条第二項の改正規定、同法第百三十六条の次に一条を加える改正規定及び同法第百九十一条第三項の改正規定(「第八十五条」の下に「から第八十六条まで」を加える部分に限る。)、第二百六十五条第一項の規定、第三百四条中非訟事件手続法第三十三条第四項の改正規定、同法第四十三条の改正規定及び同法第四十七条第一項の改正規定、第三百二十六条中家事事件手続法第四十条の改正規定、同法第四十九条の改正規定、同法第五十四条第一項の改正規定、同法第五十九条の改正規定、同法第六十条第二項の改正規定(「及び第二項」を「から第三項まで」に改める部分に限る。)、同法第八十四条第一項の改正規定(「第三項まで、」を「第四項まで、」に改める部分及び「高等裁判所に」と」の下に「、第五十九条第三項中「家庭裁判所及び」とあるのは「高等裁判所及び」と」を加える部分に限る。)、同法第二百六十条第一項第六号の改正規定及び同法第二百六十一条第五項の改正規定、第三百四十一条中国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律第七十条の改正規定、同法第七十五条第一項の改正規定、同法第八十条に一項を加える改正規定及び同法第百三条第六項の改正規定並びに第三百五十六条中消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律第五十三条の改正規定(「、第八十七条の二」を削る部分に限る。) 民事訴訟法等の一部を改正する法律の施行の日

附則(令和六年五月二四日法律第三三号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、附則第十六条から第十八条まで及び第十九条第一項の規定は、公布の日から施行する。

(政令への委任)
第十六条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。