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昭和三十六年法律第百四十七号
原子力損害の賠償に関する法律

施行日:

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第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度を定め、もつて被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「原子炉の運転等」とは、次の各号に掲げるもの及びこれらに付随してする核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物(原子核分裂生成物を含む。第五号において同じ。)の運搬、貯蔵又は廃棄であつて、政令で定めるものをいう。

原子炉の運転

加工

再処理

核燃料物質の使用

四の二 使用済燃料の貯蔵

核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物(以下「核燃料物質等」という。)の廃棄

2 この法律において「原子力損害」とは、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう。)により生じた損害をいう。 ただし、次条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者の受けた損害を除く。

3 この法律において「原子力事業者」とは、次の各号に掲げる者(これらの者であつた者を含む。)をいう。

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「規制法」という。)第二十三条第一項の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者(規制法第三十九条第五項の規定により試験研究用等原子炉設置者とみなされた者を含む。)

規制法第二十三条の二第一項の許可を受けた者

規制法第四十三条の三の五第一項の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者

規制法第十三条第一項の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者

規制法第四十三条の四第一項の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者

規制法第四十四条第一項の指定(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者

規制法第五十一条の二第一項の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者

規制法第五十二条第一項の許可(規制法第七十六条の規定により読み替えて適用される同項の規定による国に対する承認を含む。)を受けた者

4 この法律において「原子炉」とは、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条第四号に規定する原子炉をいい、「核燃料物質」とは、同法同条第二号に規定する核燃料物質(規制法第二条第十項に規定する使用済燃料を含む。)をいい、「加工」とは、規制法第二条第九項に規定する加工をいい、「再処理」とは、規制法第二条第十項に規定する再処理をいい、「使用済燃料の貯蔵」とは、規制法第四十三条の四第一項に規定する使用済燃料の貯蔵をいい、「核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の廃棄」とは、規制法第五十一条の二第一項に規定する廃棄物埋設又は廃棄物管理をいい、「放射線」とは、原子力基本法第三条第五号に規定する放射線をいい、「原子力船」又は「外国原子力船」とは、規制法第二十三条の二第一項に規定する原子力船又は外国原子力船をいう。

第二章 原子力損害賠償責任

(無過失責任、責任の集中等)

第三条 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。 ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。

2 前項の場合において、その損害が原子力事業者間の核燃料物質等の運搬により生じたものであるときは、当該原子力事業者間に書面による特約がない限り、当該核燃料物質等の発送人である原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。

第四条 前条の場合においては、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責めに任じない。

2 前条第一項の場合において、第七条の二第二項に規定する損害賠償措置を講じて本邦の水域に外国原子力船を立ち入らせる原子力事業者が損害を賠償する責めに任ずべき額は、同項に規定する額までとする。

3 原子炉の運転等により生じた原子力損害については、商法(明治三十二年法律第四十八号)第七百八十九条(同法第七百九十条(同法第七百九十一条において準用する場合を含む。)及び第七百九十一条において準用する場合を含む。)及び第八百十二条、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(昭和五十年法律第九十四号)並びに製造物責任法(平成六年法律第八十五号)の規定は、適用しない。

(被害者に重大な過失がある場合における損害賠償の額の算定)

第四条の二 第三条の場合において、被害者に重大な過失があつたときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

(求償権)

第五条 第三条の場合において、他にその損害の発生の原因について責めに任ずべき自然人があるとき(当該損害が当該自然人の故意により生じたものである場合に限る。)は、同条の規定により損害を賠償した原子力事業者は、その者に対して求償権を有する。

2 前項の規定は、求償権に関し書面による特約をすることを妨げない。

第三章 損害賠償措置

第一節 損害賠償措置

(損害賠償措置を講ずべき義務)

第六条 原子力事業者は、原子力損害を賠償するための措置(以下「損害賠償措置」という。)を講じていなければ、原子炉の運転等をしてはならない。

(損害賠償措置の内容)

第七条 損害賠償措置は、次条の規定の適用がある場合を除き、原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結若しくは供託であつて、その措置により、一工場若しくは一事業所当たり若しくは一原子力船当たり千二百億円(政令で定める原子炉の運転等については、千二百億円以内で政令で定める金額とする。以下「賠償措置額」という。)を原子力損害の賠償に充てることができるものとして文部科学大臣の承認を受けたもの又はこれらに相当する措置であつて文部科学大臣の承認を受けたものとする。

2 文部科学大臣は、原子力事業者が第三条の規定により原子力損害を賠償したことにより原子力損害の賠償に充てるべき金額が賠償措置額未満となつた場合において、原子力損害の賠償の履行を確保するため必要があると認めるときは、当該原子力事業者に対し、期限を指定し、これを賠償措置額にすることを命ずることができる。

3 前項に規定する場合においては、同項の規定による命令がなされるまでの間(同項の規定による命令がなされた場合においては、当該命令により指定された期限までの間)は、前条の規定は、適用しない。

第七条の二 原子力船を外国の水域に立ち入らせる場合の損害賠償措置は、原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結その他の措置であつて、当該原子力船に係る原子力事業者が原子力損害を賠償する責めに任ずべきものとして政府が当該外国政府と合意した額の原子力損害を賠償するに足りる措置として文部科学大臣の承認を受けたものとする。

2 外国原子力船を本邦の水域に立ち入らせる場合の損害賠償措置は、当該外国原子力船に係る原子力事業者が原子力損害を賠償する責めに任ずべきものとして政府が当該外国政府と合意した額(原子力損害の発生の原因となつた事実一について三百六十億円を下らないものとする。)の原子力損害を賠償するに足りる措置として文部科学大臣の承認を受けたものとする。

第二節 原子力損害賠償責任保険契約

(原子力損害賠償責任保険契約)

第八条 原子力損害賠償責任保険契約(以下「責任保険契約」という。)は、原子力事業者の原子力損害の賠償の責任が発生した場合において、一定の事由による原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失を保険者(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等で、責任保険の引受けを行う者に限る。以下同じ。)がうめることを約し、保険契約者が保険者に保険料を支払うことを約する契約とする。

第九条 被害者は、損害賠償請求権に関し、責任保険契約の保険金について、他の債権者に優先して弁済を受ける権利を有する。

2 被保険者は、被害者に対する損害賠償額について、自己が支払つた限度又は被害者の承諾があつた限度においてのみ、保険者に対して保険金の支払を請求することができる。

3 責任保険契約の保険金請求権は、これを譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。 ただし、被害者が損害賠償請求権に関し差し押える場合は、この限りでない。

(責任保険契約の解除の制限)

第九条の二 保険者は、責任保険契約を解除しようとするときは、あらかじめ、その旨を文部科学大臣に届け出なければならない。

2 文部科学大臣は、前項の規定による届出を受理したときは、その旨を当該責任保険契約の被保険者に通知しなければならない。

3 責任保険契約の解除は、文部科学大臣が当該解除に係る第一項の規定による届出を受理した日から起算して九十日の後に、将来に向かつてその効力を生ずる。

4 核燃料物質等の運搬に係る責任保険契約については、保険者は、当該核燃料物質等の運搬の開始後その終了までの間においては、これを解除することができない。

5 前二項の規定に反する特約で被保険者に不利なものは、無効とする。

第三節 原子力損害賠償補償契約

(原子力損害賠償補償契約)

第十条 原子力損害賠償補償契約(以下「補償契約」という。)は、原子力事業者の原子力損害の賠償の責任が発生した場合において、責任保険契約その他の原子力損害を賠償するための措置によつてはうめることができない原子力損害を原子力事業者が賠償することにより生ずる損失を政府が補償することを約し、原子力事業者が補償料を納付することを約する契約とする。

2 補償契約に関する事項は、別に法律で定める。

第十一条 第九条の規定は、補償契約に基づく補償金について準用する。

第四節 供託

(供託)

第十二条 損害賠償措置としての供託は、原子力事業者の主たる事務所のもよりの法務局又は地方法務局に、金銭又は文部科学省令で定める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。以下この節において同じ。)によりするものとする。

(供託物の還付)

第十三条 被害者は、損害賠償請求権に関し、前条の規定により原子力事業者が供託した金銭又は有価証券について、その債権の弁済を受ける権利を有する。

(供託物の取りもどし)

第十四条 原子力事業者は、次の各号に掲げる場合においては、文部科学大臣の承認を受けて、第十二条の規定により供託した金銭又は有価証券を取りもどすことができる。

原子力損害を賠償したとき。

供託に代えて他の損害賠償措置を講じたとき。

原子炉の運転等をやめたとき。

2 文部科学大臣は、前項第二号又は第三号に掲げる場合において承認するときは、原子力損害の賠償の履行を確保するため必要と認められる限度において、取りもどすことができる時期及び取りもどすことができる金銭又は有価証券の額を指定して承認することができる。

(文部科学省令・法務省令への委任)

第十五条 この節に定めるもののほか、供託に関する事項は、文部科学省令・法務省令で定める。

第四章 国の措置

(国の措置)

第十六条 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。

2 前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。

第十七条 政府は、第三条第一項ただし書の場合又は第七条の二第二項の原子力損害で同項に規定する額をこえると認められるものが生じた場合においては、被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずるようにするものとする。

第四章の二 損害賠償の円滑な実施のための措置

第一節 損害賠償実施方針

第十七条の二 原子炉の運転等を行う原子力事業者は、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施を図るための方針(以下この条において「損害賠償実施方針」という。)を作成しなければならない。

2 損害賠償実施方針には、損害賠償措置の概要、原子力損害の賠償に係る事務の実施方法、原子力損害の賠償に関する紛争の解決を図るための方策その他の原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施に関し必要な事項として文部科学省令で定める事項を定めなければならない。

3 原子力事業者は、損害賠償実施方針を作成し、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

4 前三項に定めるもののほか、損害賠償実施方針の作成、変更及び公表に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。

第二節 特定原子力損害賠償仮払金の支払のための資金の貸付け

(特定原子力損害賠償仮払金の支払のための資金の貸付け)

第十七条の三 原子力事業者は、特定原子力損害(原子炉の運転等により生じた原子力損害のうち、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第十五条第三項又は第二十条第二項の規定により内閣総理大臣又は原子力災害対策本部長(同法第十七条第一項に規定する原子力災害対策本部長をいう。)が市町村長(特別区の区長を含む。以下この項において同じ。)又は都道府県知事に対して行つた指示に基づき当該市町村長又は都道府県知事が行つた指示に基づく避難のための立退き又は事業活動の制限によつて生じた損害その他これに準ずるものとして政令で定めるものをいう。以下この節において同じ。)を受けた被害者に対して、政令で定める基準に従い、特定原子力損害賠償仮払金(特定原子力損害を填補するために支払われる金銭であつて、当該特定原子力損害の賠償額の確定前に支払われるものをいう。以下この節において同じ。)の支払を行おうとするときは、政府に対し、賠償措置額を超えない範囲内において政令で定める金額を限度として、政府が当該特定原子力損害賠償仮払金の支払のために必要な資金の貸付けを行うことを申し込むことができる。

2 前項の規定による申込みを行う原子力事業者は、文部科学大臣に対し、次に掲げる事項を記載した書類を提出しなければならない。

特定原子力損害賠償仮払金の支払の内容

政府が行う前項の貸付け(以下この節において単に「貸付け」という。)を必要とする理由及び貸付希望金額

貸付けに係る貸付金(以下この節において単に「貸付金」という。)の償還に関する事項

3 文部科学大臣は、第一項の規定による申込みがあつた場合において、特定原子力損害賠償仮払金の迅速な支払のために必要があると認めるときは、遅滞なく、当該申込みに係る貸付けを決定し、その旨を当該申込みを行つた原子力事業者に通知するものとする。

(分別管理)

第十七条の四 貸付けを受けた原子力事業者は、文部科学省令で定めるところにより、貸付金をその他の資産と分別して管理しなければならない。

(特定原子力損害賠償仮払金の支払の報告)

第十七条の五 貸付けを受けた原子力事業者は、文部科学省令で定めるところにより、貸付金を充てて行う特定原子力損害賠償仮払金の支払状況について文部科学大臣に報告しなければならない。

(保険金請求権等の取得等)

第十七条の六 政府は、貸付けを受けた原子力事業者が貸付金を充てて行つた特定原子力損害賠償仮払金の支払の対象となつた特定原子力損害の賠償額が確定したときは、第九条第三項本文(第十一条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、当該特定原子力損害賠償仮払金の額に応じて、当該原子力事業者が有する当該特定原子力損害の賠償に係る責任保険契約の保険金請求権又は補償契約の補償金請求権を取得する。

2 貸付けを受けた原子力事業者は、前項に規定する賠償額が確定したときは、遅滞なく、文部科学省令で定めるところにより、その旨を文部科学大臣に届け出なければならない。

3 貸付けを受けた原子力事業者は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額の限度で、貸付金の償還の義務を免れる。

第一項の規定により政府が保険金請求権を取得した場合 当該保険金請求権に係る保険金の額

第一項の規定により政府が補償金請求権を取得した場合 当該補償金請求権に係る補償金の額

(業務の管掌)

第十七条の七 この節に規定する政府の業務は、文部科学大臣が管掌する。

(原子力損害賠償・廃炉等支援機構への文部科学大臣の権限に係る事務の委任)

第十七条の八 文部科学大臣は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に、この節に規定する文部科学大臣の権限に係る事務(第十七条の三第三項の規定による貸付けの決定を除く。)を行わせることができる。 この場合におけるこの節の規定の適用については、同条第一項及び第二項第二号中「政府が」とあるのは「原子力損害賠償・廃炉等支援機構が」と、第十七条の六第一項及び第三項各号中「政府」とあるのは「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

2 文部科学大臣は、前項の規定により原子力損害賠償・廃炉等支援機構に貸付けに係る事務を行わせるときは、その旨を公示しなければならない。

(政令への委任)

第十七条の九 この節に定めるもののほか、貸付金の償還期間及び償還方法並びに前条第二項の公示その他貸付けに関し必要な事項は、政令で定める。

第五章 原子力損害賠償紛争審査会

(原子力損害賠償紛争審査会)

第十八条 文部科学省に、原子力損害の賠償に関して紛争が生じた場合における和解の仲介及び当該紛争の当事者による自主的な解決に資する一般的な指針の策定に係る事務を行わせるため、政令の定めるところにより、原子力損害賠償紛争審査会(以下この章において「審査会」という。)を置くことができる。

2 審査会は、次に掲げる事務を処理する。

原子力損害の賠償に関する紛争について和解の仲介を行うこと。

原子力損害の賠償に関する紛争について原子力損害の範囲の判定の指針その他の当該紛争の当事者による自主的な解決に資する一般的な指針を定めること。

前二号に掲げる事務を行うため必要な原子力損害の調査及び評価を行うこと。

3 前二項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営並びに和解の仲介の申立及びその処理の手続に関し必要な事項は、政令で定める。

(時効の完成猶予)

第十八条の二 審査会が和解の仲介を打ち切つた場合(当該打切りが政令で定める理由により行われた場合に限る。)において、当該和解の仲介の申立てをした者がその旨の通知を受けた日から一月以内に当該和解の仲介の目的となつた請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予に関しては、当該和解の仲介の申立ての時に、訴えの提起があつたものとみなす。

第六章 雑則

(国会に対する報告及び意見書の提出)

第十九条 政府は、相当規模の原子力損害が生じた場合には、できる限りすみやかに、その損害の状況及びこの法律に基づいて政府のとつた措置を国会に報告しなければならない。

2 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力委員会が損害の処理及び損害の防止等に関する意見書を内閣総理大臣に提出したときは、これを国会に提出しなければならない。

(第十条第一項及び第十六条第一項の規定の適用)

第二十条 第十条第一項及び第十六条第一項の規定は、平成四十一年十二月三十一日までに第二条第一項各号に掲げる行為を開始した原子炉の運転等に係る原子力損害について適用する。

(報告徴収及び立入検査)

第二十一条 文部科学大臣は、第六条の規定の実施を確保するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し必要な報告を求め、又はその職員に、原子力事業者の事務所若しくは工場若しくは事業所若しくは原子力船に立ち入り、その者の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(経済産業大臣又は国土交通大臣との協議)

第二十二条 文部科学大臣は、第七条第一項若しくは第七条の二第一項若しくは第二項の規定による処分又は第七条第二項の規定による命令をする場合においては、あらかじめ、発電の用に供する原子炉の運転、加工、再処理、使用済燃料の貯蔵又は核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物の廃棄に係るものについては経済産業大臣、船舶に設置する原子炉の運転に係るものについては国土交通大臣に協議しなければならない。

(関係行政機関の協力)

第二十二条の二 文部科学大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他の必要な協力を求めることができる。

(国等に対する適用除外)

第二十三条 国については第三章、第十六条、第四章の二第二節及び次章の規定、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人、国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人及び同条第三項に規定する大学共同利用機関法人については同節の規定は、適用しない。

第七章 罰則

第二十四条 第六条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。

第二十一条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第二十一条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

第二十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人その他の従業者が、その法人又は人の事業に関して前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

第二十七条 第十七条の二第三項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をした者は、二十万円以下の過料に処する。

附則

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

(経過措置)
第三条 この法律の施行前にした行為及びこの法律の施行後この法律の規定による改正前の規制法第二十六条第一項(同法第二十三条第二項第九号に係る部分をいう。)の規定がその効力を失う前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(他の法律による給付との調整等)
第四条 第三条の場合において、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者(以下この条において単に「原子力事業者」という。)の従業員が原子力損害を受け、当該従業員又はその遺族がその損害の填補に相当する労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による給付その他法令の規定による給付であつて政令で定めるもの(以下この条において「災害補償給付」という。)を受けるべきときは、当該従業員又はその遺族に係る原子力損害の賠償については、当分の間、次に定めるところによるものとする。 原子力事業者の従業員が原子力損害を受けた場合において、他にその損害の発生の原因について責めに任ずべき自然人があるとき(当該損害が当該自然人の故意により生じたものである場合に限る。)は、当該従業員又はその遺族に対し災害補償給付を支給した者は、当該自然人に対して求償権を有する。

附則(昭和四二年七月二〇日法律第七三号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。 ただし、附則第八条から第三十一条までの規定は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(昭和四六年五月一日法律第五三号)

この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。 この法律の施行の際現に行なわれている核燃料物質の運搬については、改正後の原子力損害の賠償に関する法律第三条第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

附則(昭和五〇年一二月二七日法律第九四号)

この法律は、海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

附則(昭和五三年七月五日法律第八六号)

(施行期日)
第一条 この法律は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる日から施行する。

附則(昭和五四年六月一二日法律第四四号)

この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(昭和五四年六月二九日法律第五二号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(昭和五八年一二月二日法律第七八号)

この法律(第一条を除く。)は、昭和五十九年七月一日から施行する。 この法律の施行の日の前日において法律の規定により置かれている機関等で、この法律の施行の日以後は国家行政組織法又はこの法律による改正後の関係法律の規定に基づく政令(以下「関係政令」という。)の規定により置かれることとなるものに関し必要となる経過措置その他この法律の施行に伴う関係政令の制定又は改廃に関し必要となる経過措置は、政令で定めることができる。

附則(昭和六一年五月二七日法律第七三号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(昭和六三年五月二七日法律第六九号)

(施行期日)
第一条 この法律は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

附則(平成元年三月三一日法律第二一号)

この法律は、平成二年一月一日までの間において政令で定める日から施行する。

附則(平成六年七月一日法律第八五号)

この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行し、この法律の施行後にその製造業者等が引き渡した製造物について適用する。

附則(平成七年六月七日法律第一〇六号)

(施行期日)
第一条 この法律は、保険業法(平成七年法律第百五号)の施行の日から施行する。

(政令への委任)
第七条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(平成一〇年五月二〇日法律第六二号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(平成一一年五月一〇日法律第三七号)

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十二年一月一日から施行する。 ただし、第二条第一項、第三項及び第四項並びに第二十二条の改正規定並びに次条の規定は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律(平成十一年法律第七十五号)附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から施行する。

附則(平成一一年七月一六日法律第一〇二号)

(施行期日)
第一条 この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(別に定める経過措置)
第三十条 第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。

附則(平成一一年一二月二二日法律第一六〇号)

(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

附則(平成一四年六月一二日法律第六五号)

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十五年一月六日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第八十四条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第八十五条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(平成一六年六月九日法律第八八号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第百三十五条 この法律(附則第一条ただし書に規定する規定については、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第百三十六条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(平成一六年一二月三日法律第一五五号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。 ただし、附則第十条から第十二条まで、第十四条から第十七条まで、第十八条第一項及び第三項並びに第十九条から第三十二条までの規定は、平成十七年十月一日から施行する。

附則(平成一六年一二月一〇日法律第一六五号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、附則第四条及び第五条の規定は、公布の日から施行する。

附則(平成一七年七月二六日法律第八七号)

この法律は、会社法の施行の日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第二百四十二条の規定 この法律の公布の日

附則(平成一七年一〇月二一日法律第一〇二号)

(施行期日)
第一条 この法律は、郵政民営化法の施行の日から施行する。 ただし、第六十二条中租税特別措置法第八十四条の五の見出しの改正規定及び同条に一項を加える改正規定、第百二十四条中証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法律の整備等に関する法律附則第一条第二号の改正規定及び同法附則第八十五条を同法附則第八十六条とし、同法附則第八十二条から第八十四条までを一条ずつ繰り下げ、同法附則第八十一条の次に一条を加える改正規定並びに附則第三十条、第三十一条、第三十四条、第六十条第十二項、第六十六条第一項、第六十七条及び第九十三条第二項の規定は、郵政民営化法附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から施行する。

附則(平成二一年四月一七日法律第一九号)

この法律は、平成二十二年一月一日から施行する。

附則(平成二四年六月二七日法律第四七号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第八十六条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第八十七条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(平成二六年一一月二八日法律第一三四号)

(施行期日)
第一条 この法律は、原子力損害の補完的な補償に関する条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に行われている核燃料物質等(第一条の規定による改正前の原子力損害の賠償に関する法律(次項において「旧賠償法」という。)第二条第一項第五号に規定する核燃料物質等をいう。)の運搬については、第一条の規定による改正後の原子力損害の賠償に関する法律(以下「新賠償法」という。)第三条第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。 新賠償法第四条の二の規定は、この法律の施行前に原子力損害(旧賠償法第二条第二項に規定する原子力損害をいう。次項において同じ。)の発生の原因となった事実が生じた場合における損害賠償の額の算定については、適用しない。 この法律の施行前に原子力損害の発生の原因となった事実が生じた場合における求償権については、新賠償法第五条及び附則第四条第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。 新賠償法第九条の二の規定は、この法律の施行前に締結された原子力損害賠償責任保険契約については、適用しない。

附則(平成二九年六月二日法律第四五号)

この法律は、民法改正法の施行の日から施行する。 ただし、第百三条の二、第百三条の三、第二百六十七条の二、第二百六十七条の三及び第三百六十二条の規定は、公布の日から施行する。

附則(平成三〇年五月二五日法律第二九号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、附則第五十条及び第五十二条の規定は、公布の日から施行する。

(罰則に関する経過措置)
第五十一条 施行日前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第五十二条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(平成三〇年一二月一二日法律第九〇号)

(施行期日)
第一条 この法律は、平成三十二年一月一日から施行する。 ただし、目次の改正規定(「第十八条」の下に「・第十八条の二」を加える部分に限る。)、第十八条の改正規定、第五章中同条の次に一条を加える改正規定及び第二十二条の次に一条を加える改正規定並びに附則第三条、第四条、第七条及び第八条の規定は、公布の日から施行する。

(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に原子炉の運転等(原子力損害の賠償に関する法律第二条第一項に規定する原子炉の運転等をいう。)を行っている原子力事業者(同条第三項に規定する原子力事業者をいう。)については、この法律の施行の日から起算して三月を経過する日までの間は、この法律による改正後の原子力損害の賠償に関する法律第十七条の二の規定は、適用しない。

(東日本大震災に係る原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律の廃止)
第三条 東日本大震災に係る原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律(平成二十五年法律第三十二号)は、廃止する。

(東日本大震災に係る原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律の廃止に伴う経過措置)
第四条 附則第一条ただし書に規定する規定の施行前に和解の仲介(前条の規定による廃止前の東日本大震災に係る原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律第一条に規定する和解の仲介をいう。)の申立てがされた場合におけるその申立てに係る時効の特例については、原子力損害の賠償に関する法律第十八条の二の規定にかかわらず、なお従前の例による。

(政令への委任)
第八条 附則第二条、第四条及び第六条に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則(令和三年五月一〇日法律第三〇号)

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附則(令和四年六月一七日法律第六八号)

この法律は、刑法等一部改正法施行日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

第五百九条の規定 公布の日