第一章 総則
(目的)第一条 国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)第二条第一項各号の規定による水調査のうち、降水量調査の作業規程の準則は、この省令の定めるところによる。
(調査単位区域)第二条 降水量調査は、水基本調査作業規程準則(昭和二十八年総理府令第三十五号。以下「水基本調査準則」という。)第一条の規定による水調査の基準の設定のための調査を行つた区域内において行うものとする。
(調査の内容)第三条 降水量調査においては、水基本調査準則第二十九条の規定により決定した位置に、同準則第七条第五項各号に定める種別の観測所を設置し、降水量の観測を行いその結果を地図及び簿冊に作成しなければならない。 ただし、観測所を設置して行う代りにその位置にある既存の観測所に委嘱して行うことができる。
(観測測器)第四条 降水量の観測に用いる測器は、気象業務法施行規則(昭和二十七年運輸省令第百一号)第七条にいう測器以外の雨量計であつて、気象測器検定規則(昭和二十七年運輸省令第百二号)第十四条に定める性能を有し、その検定をうけたものでなければならない。 ただし、特定の地域において特に必要がある場合には、気象業務法施行規則第七条に定める測器をもあわせ用いることができる。
(精度の保持)第五条 調査を行う者及び調査を監督する者は、常に各種の方法によつて検査を行い、当該調査が良好な精度を保つて行われるように留意しなければならない。
(作業記録)第六条 調査を行うに当たつては、国土交通大臣の指示する様式により作業記録を作成し、当該降水量調査の成果とともに保管しなければならない。
第二章 観測所の設置及び観測員の委嘱
(観測所の設置)第七条 降水量観測所は、水基本調査準則第七条第五項各号に規定する観測所の種別に従つて、同条第三項に規定する位置に設け、それぞれの観測所に適合する観測測器その他の観測設備を設置する。
(観測測器の設置要領)第八条 前条の観測測器は、その種類に従つて、それぞれ次の各号に掲げる要領により設置しなければならない。
一 指示雨量計
イ 受水器の上面が常に水平になるようにすること。
ロ 受水器の頭部の高さは、地面から二十センチメートルとし、その周囲約一メートル平方に芝草等を張り込むこと。
二 自記雨量計
イ 受水器の上面が常に水平になるようにすること。
ロ 自記器械は、なるべく小屋の中に設置すること。
ハ 自記雨量計には、原則として指示雨量計を併置すること。
2 前項の規定により設置した観測測器の附近には、設置年月日、観測所所在地及び観測所番号を記した標識を建て、なお必要な場合には、周囲に等を設けるものとする。 (観測員の委嘱)第九条 観測員は、次の各号に掲げる条件を有する者のうちから、降水量調査を行う者が委嘱する。
一 長期間継続し、一定の時間に、観測作業に従事することが可能な者
二 自記器械を設備する観測所にあつては、自記器械の取扱に関し必要な知識を有する者
2 観測員を委嘱した時は、その旨を観測所に公示するとともに、委嘱書を本人に交付するものとする。 3 降水量調査を行う者は、観測員の不測の事故による欠測を防止するため、あらかじめこれにかわる観測員を選定しておかなければならない。第三章 観測
(指示雨量計による観測)第十条 指示雨量計による観測は、毎日九時に行う。 ただし、強雨等の場合は、なるべく毎正時観測を行うものとする。
2 降水量は観測時と観測時との間における指示雨量計の受水面が受けた降水の量から、単位面積あたりの降水の深さを、雨量ます等を用いて求めるものとする。 3 前項の場合において、受水器内に雪、ひょう、あられ等が積もつているときは、既知量の温湯を注入して、水として測定した後、注入した温湯量を差し引いて求めるものとする。 4 前二項の測定における読み取りの単位は、原則として一ミリメートルとする。 (自記雨量計による観測)第十一条 自記雨量計による観測は、自記雨量計に併置された指示雨量計による観測の結果に基き、自記紙に記録された降水量又は時刻を補正し、前日の九時から当日の九時までの間における次の各号の数値を、自記紙に記入してするものとする。
一 日降水量
二 毎正時における前一時間の降水量
三 強雨があつた場合には、任意時刻においてその最大強度を示す一時間及び十分間の降水量並びにその時刻
2 自記紙の読み取りの単位は、前条第四項の規定を準用する。第十二条及び第十三条 削除
(天気、風向及び風力等の観測)第十四条 第一種、第二種及び第三種降水量観測所の観測員は、観測日における天気、風向及び風力を少くとも次の区別に従い観測するものとする。
一 天気 晴、曇、雨、雪
二 風向 北、東、南、西
三 風力 静穏、和風、強風
(観測心得)第十五条 降水量調査を行う者は、観測心得を定め、これを観測員に交付しなければならない。
2 観測員は、観測に際して、常に観測心得を携行しなければならない。 3 観測心得には、次の各号に掲げる事項を定めなければならない。一 観測測器の取扱方法
二 観測記録の取扱方法
三 自記紙の読取方法
四 その他必要な事項
第四章 結果のとりまとめ
(観測所台帳及び附図)第十六条 第七条の規定により観測所を設置した場合及び第三条但書の規定により既存の観測所に観測を委嘱した場合には、降水量調査を行う者は、降水量観測所台帳及び附図を作成しなければならない。
2 前項の台帳の様式については、別表第一に定めるところによる。 (日降水量月報及び日降水量年表)第十七条 降水量観測所は、第六条の規定による作業記録に基いて、前日の九時から当日の九時までの間の降水量を前日の日降水量として、これを一箇月ごとにとりまとめ、日降水量月報を作成しなければならない。 ただし、第四種降水量観測所であつて一箇月ごとの資料をとりまとめることが困難な観測所にあつては、この限りでない。
2 前項の日降水量月報は、これを一年ごとにとりまとめて日降水量年表を作成しなければならない。 3 日降水量年表の様式は、別表第二に定めるところによる。 4 降水量調査を行う者は、日降水量年表を調査単位の区域ごとに、水基本調査準則第三十条の規定による観測所の一連番号順に編して常に整備しておかなければならない。 (毎時降水量月報及び毎時降水量年表)第十八条 第一種、第二種及び第四種降水量観測所は、自記紙及び観測記録により毎正時における前一時間の降水量を読み取り、その数値を一箇月ごとにとりまとめ、毎時降水量月報を作成し、これを一年ごとにとりまとめて毎時降水量年表を作成しなければならない。
2 前項の月報を作成する場合において、任意一時間最大降水量又は任意十分間最大降水量を測定する時間が九時の前後にかかつている場合には、当該時間が多くかかつている日に属させて、これを整理するものとする。 3 毎時降水量年表の様式は、別表第三に定めるところによる。 4 降水量調査を行う者は、毎時降水量年表を調査単位の区域ごとに、水基本調査準則第三十条の規定による観測所の一連番号順に編して常に整備しておかなければならない。 (一降水量の選定及び一降水量表)第十九条 第一種降水量観測所において降水量の調査を行う者は、第十七条の規定により作成された各観測所ごとの日降水量月報又は日降水量年表に基き一降水を選定し、当該一降水に関し、一降水量表及びこれに関する等降水量線図を作成するものとする。
2 前項の規定において、一降水とは日降水量月報又は日降水量年表における日降水量の数値の記入が継続していて、当該数値について調査単位区域内における三以上の観測所が次の各号の一に該当する数値を観測している場合の降水状況をいう。 ただし、日降水量の数値の記入が継続していない場合で、三以上の観測所が期日を同じくして日降水量が百ミリメートル以上を観測している場合の降水状況も一降水とするものとする。一 期日を同じくして日降水量が百ミリメートル以上であるとき。
二 期日を同じくして連続二日間の降水量が百五十ミリメートル以上であるとき。
三 一観測所の日降水量が百ミリメートル以上で、他の二以上の観測所におけるその日と前日若しくはその日と翌日の連続二日間の降水量が百五十ミリメートル以上であるとき。
四 二観測所の期日を同じくした日降水量が百ミリメートル以上で、他の一以上の観測所におけるその日と前日若しくはその日と翌日の連続二日間の降水量が百五十ミリメートル以上であるとき。
3 前項の規定において、既往の日降水量が最大二百ミリメートルをこえない調査単位区域にあつては、同項各号中「百ミリメートル」とあるのは「五十ミリメートル」と、「百五十ミリメートル」とあるのは「七十ミリメートル」と読みかえて適用するものとする。 4 一降水の期間は、第二項各号の観測を行つた観測所の連続降水期間中最も早く記録された日を初日とし、最も遅くまで記録された日を終日として区分するものとし、最大日降水量の属する日に従つて、毎年年頭初から一降水ごとに一連番号を附しておくものとする。 5 一降水量表には、観測所ごとの観測値並びに地域日降水量、地域総降水量及び地域平均降水量を記載するものとし、その様式は、別表第四に定めるところによる。 6 一降水量表は、降水番号順に編さんして常に整備しておかなければならない。 7 一降水量表には、これに関する毎日の天気図(その期間の天気概況を含む。以下次項において同じ。)を添付しなければならない。 8 前項の天気図の様式については、別表第七に定めるところによる。 (等降水量線図)第二十条 第一種降水量観測所において降水量の調査を行う者は、前条の規定による一降水量表に記載された観測値に基づき、測量法(昭和二十四年法律第百八十八号)第二十七条第二項の規定により国土交通大臣の刊行した二十万分の一地勢図又は五万分の一地形図(以下「地形図」と総称する。)を使用して、当該一降水にかかる日降水量及び総降水量の二種類の等降水量線図を作成するものとする。 この場合において、等降水量線の間隔は、原則として十ミリメートルとする。
2 等降水量線図の作成の方法については、別表第五に定めるところによる。 3 等降水量線図を作成したときは、これに関する一降水量表とともに整備保管しておかなければならない。 (一降水の地域日降水量、地域総降水量及び地域平均降水量)第二十一条 第十九条第五項の規定による一降水量表に記載する地域日降水量、地域総降水量及び地域平均降水量の算定は、前条の規定による等降水量線図を基とし、原則として等降水量線法により求めるものとする。 ただし、観測点の密度が大であつて、かつ、精度の保持に支障がないと認められる場合には、地形図を使用して多角形法等により算定することができる。
2 多角形法による測定の方法については、別表第六に定めるところによる。 3 第一項の地域日降水量、地域総降水量及び地域平均降水量は、当該地域の地形、支派川の状況及び第一種水位流量観測所の位置等を考慮して、適宜に区分して算定するものとする。第二十二条 等降水量線法による地域日降水量及び地域総降水量の算定は、次の各号に定めるところによる。
一 二つの閉合した等降水量線の間の部分又は相隣れる二つの等降水量線間の帯状の部分の面積を求め、この面積に、当該二つの等降水量線の値の平均値を乗じ、これらを順次求むべき地域について合計して算定するものとする。 等降水量線が閉合している場合には、当該等降水量線に囲まれた区域内の観測値の平均を用いるものとする。 これらの場合において降水量の単位は、立方メートルとする。
二 地域日降水量及び地域総降水量の単位面積当りの平均値は、地域日降水量及び地域総降水量を当該地域面積で除して求めるものとする。 この場合において降水量の単位は、ミリメートルとする。
三 前各号に規定する面積の測定は、次の方法によるものとする。
イ プラニメーター法
ロ 量法
ハ 網目法
附則
この府令は、公布の日から施行する。附則(昭和三〇年七月二〇日総理府令第二七号)
この府令は、公布の日から施行する。附則(昭和三二年三月九日総理府令第九号)
この府令は、公布の日から施行する。附則(昭和四九年六月二六日総理府令第三九号)
この府令は、公布の日から施行する。附則(平成元年三月一七日総理府令第一二号)
この府令は、公布の日から施行する。附則(平成一二年八月一四日総理府令第一〇三号)
この府令は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日(平成十三年一月六日)から施行する。附則(平成一四年三月二六日国土交通省令第二五号)
(施行期日)
第一条 この省令は、平成十四年四月一日から施行する。
附則(令和元年五月七日国土交通省令第一号)
この省令は、公布の日から施行する。別表第五 等降水量線図作成方法
1 等降水量線を描くための値の等しい地点を求める方法は、内挿そう法により求め、外挿法はなるべくさけること。 2 内挿法は、二つの観測値の差を観測地点間の距離で按分すること。ただし、外挿法を用いなければならない場合には、外側が内側と同様の変化をしているものとみなすこと。 3 等降水量線は、観測値及び第一号の方法により求めた計算上の等値を基とし、かつ、観測点の代表性を、降水の性質及び地形等から考慮して連ねること。 4 等降水量線は、できるだけなめらかに描くこと。 5 数葉の地図にわたり等降水量線を描く場合には接合図等を作成して、隣接地域の等降水量線とくい違うことのないように注意すること。 |
別表第六 多角形法
1 地点降水量(観測地点における降水量)の代表範囲の算定 (イ) 観測地点を直線で結び、三角形を作成し、この三角形の群が地域降水量を求める地域を覆うように三角形の網を編成する。この場合各三角形はなるべく正三角形に近い形になるように留意するものとする。 (ロ) 当該地域の周辺のごく近接した位置に観測点がある場合には、これらの観測点をも三角網の構成に利用するものとする。 (ハ) 各三角形の各辺の垂直二等分線の交点をもつて、多角形を作成し、各観測点に対してそれぞれ多角形が対応するように多角形網を編成する。 (ニ) この多角形をもつてこれに対応する地点降水量の代表範囲とする。 2 地域降水量の算定 地点降水量の観測値に当該地点の代表範囲とみなした多角形の面積を乗じた値を、求むべき地域について合計する。 3 多角形の面積測定の方法 面積の測定は、降水量調査作業規程準則第二十二条第三項各号の方法、三斜法、三辺法又は梯てい形法によること。この場合において、三斜法、三辺法又は梯形法による場合の図上における距離の測定は、当該図上において〇・一ミリメートルまで読み取ること。 (イ) 三斜法による場合における求積小区は、当該求積小区を構成する三角形の底辺の長さと垂線の長さとの比が、なるべく一対三から三対一までであるように選定すること。 (ロ) 三辺法による場合における求積小区は、当該求積小区を構成する三角形の辺長の中で、最短辺の長さと、最長辺の長さとの比が、なるべく一対三までであるように選定すること。 (ハ) 梯形法による場合における求積小区は、当該求積小区を構成する梯形の上底と下底の長さの和と、垂線の長さとの比がなるべく一対三から、三対一までであるように選定すること。 |
別表第一
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別表第二
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別表第三
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別表第四
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別表第七
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