第一条 この政令及びこの政令に基く命令において、左の各号に掲げる用語は、当該各号に定める定義に従うものとする。
一 「本邦通貨」とは、貨幣法(明治三十年法律第十六号)、臨時通貨法(昭和十三年法律第八十六号)又は日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)により発行され、奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律(以下「法」という。)の施行の際現に通用する貨幣、臨時補助貨幣、小額紙幣及び銀行券をいい、「日本円」とは、本邦通貨に表示されている円をいう。
二 「B号軍票」とは、米国琉球民政府が発行し、法の施行の際現に奄美群島において通用しているB号円表示軍票をいい、「B号円」とは、B号軍票に表示されている円をいう。
三 「B号円債権」とは、昭和二十一年二月一日以後発生し、法の施行の際現に存する債権であつて、B号軍票で支払を受けることができるものをいい、「B号円債務」とは、昭和二十一年二月一日以後発生し、法の施行の際現に存する債務であつて、B号軍票で支払うことができるものをいう。
(B号軍票の交換義務及び交換期間)第二条 奄美群島において所持されるB号軍票は、大蔵省令で定める手続により、法の施行の日から起算して五日以内に、本邦通貨と交換しなければならない。
2 前項の規定による交換の比率は、B号円一円につき日本円三円とする。 3 第一項の交換期間については、災害その他やむを得ない事由がある場合には、大蔵省令で定めるところにより、地域を指定して、昭和二十九年一月三十一日までの間を限り、その特例を設けることができる。 (B号軍票の交換事務取扱機関等)第三条 政府は、前条の規定によるB号軍票と本邦通貨との交換及びその交換に係るB号軍票の出納保管に関する事務を、大蔵省令で定めるところにより、日本銀行に取り扱わせるものとする。
2 郵政官署及び大蔵大臣の指定する金融機関は、大蔵省令で定めるところにより、日本銀行に代り、前項の事務の一部を取り扱うものとする。 3 政府は、前条の規定によりB号軍票と交換する本邦通貨の金額を日本銀行に立て替えさせるものとする。 4 政府は、前項の規定により日本銀行が立て替えた金額を、後日返済するものとする。 (交換期間中のB号軍票の取扱)第四条 奄美群島にある者が奄美群島においてB号軍票を保有し、又は奄美群島にある者に対しB号軍票による支払若しくは支払の受領若しくはこれらに伴う行為若しくは取引をすることについては、第二条第一項に規定する期間内に限り、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)に基く命令の規定による許可又は承認を受けることを要しない。
2 前項の期間は、第二条第三項の規定により特例が設けられた交換期間がある場合においては、大蔵省令で定めるところにより、その期間の末日まで延長することができる。 (小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律の適用除外)第五条 小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律(昭和二十八年法律第六十号)は、第二条第三項の規定により特例が設けられた交換期間がある場合において、その期間の末日が昭和二十九年一月一日以後となるときは、その特例が設けられた地域には、当該期間の末日まで適用しない。
(B号円債権又はB号円債務の措置)第六条 政府、日本電信電話公社又は地方公共団体が奄美群島に関する日本国とアメリカ合衆国との協定に基き承継するB号円債権又はB号円債務及び奄美群島にある者の間又は奄美群島にある者と奄美群島以外の本邦にある者の間に存する本邦で決済されるべきB号円債権又はB号円債務は、他の法令に特別の定のあるもの及び特約のあるものを除き、法の施行の際、B号円一円につき日本円三円の比率で、日本円表示の債権又は債務に切り替えられるものとする。
(資本金等)第七条 B号円表示の資本、準備金その他の帳簿に記載すべき資産及び負債は、法の施行の際、B号円一円につき日本円三円の比率で、日本円表示の資産及び負債に切り替えられるものとする。
2 B号円表示の株式の額面金額及び出資一口の金額は、その金額と同額の日本円で表示されているものとみなす。 3 各株主の有するB号円表示の株式の数及び各社員(社員に準ずるものを含む。)の有するB号円表示の出資の口数は、一対三の比率で増加するものとする。