第一条 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号。以下「法」という。)第五十二条第一項(法第八十五条において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定により補償を受けようとする者は、次の各号に掲げる事項を記載した損失補償請求書(以下「請求書」という。)を文化庁長官に提出することができる。
一 補償を受けようとする理由
二 補償金の額として希望する金額
三 前号の金額算出の基礎
四 滅失し、又はき損した国宝、重要文化財又は重要有形民俗文化財につき損害保険契約をしていたときは、当該保険証券の記載事項
五 その他参考となるべき事項
(補償の決定)第二条 文化庁長官は、請求書の提出があつたときは、審査の上、補償を行うか否かをすみやかに決定しなければならない。
2 文化庁長官は、前項の規定により補償を行うことを決定したときは、補償金の額を定め、支払の方法及び時期その他必要な事項とともにこれを補償を受けるべき者に通知しなければならない。 3 文化庁長官は、第一項の規定により補償を行わないことを決定したときは、理由を附してその旨を請求書の提出者に通知しなければならない。第三条 請求書を提出していない者に対し、法第五十二条第一項の規定により補償を行うことを決定した場合には、前条第二項の規定を準用する。
2 前項の場合において、補償金の額を定めるに当つては、文化庁長官は、あらかじめ、補償を受けるべき者に対し第一条第二号から第四号までに掲げる事項を記載した書面の提出を求めなければならない。 3 前項の規定により書面の提出を求めてから三十日を経過してその提出がないときは、これを待たないで、補償金の額を定めることができる。 (補償金額決定の基準)第四条 補償金の額の決定は、次の各号の一に掲げる金額を基準として行うものとする。
一 国宝、重要文化財又は重要有形民俗文化財が滅失した場合においては、当該国宝、重要文化財又は重要有形民俗文化財の時価に相当する金額
二 国宝、重要文化財又は重要有形民俗文化財がき損した場合においては、当該国宝、重要文化財又は重要有形民俗文化財のき損の箇所の修理のために必要と認められる経費及び当該国宝、重要文化財又は重要有形民俗文化財のき損前の時価と修理後の時価の差額との合計額に相当する金額(当該国宝、重要文化財又は重要有形民俗文化財のき損の状況により、これを修理することが不適当又は不可能であると認められるときは、き損前の時価とき損後の時価の差額に相当する金額)
2 文化庁長官は、前項の基準により定められるべき補償金の額が当該滅失又はき損により通常生ずべき損失を補償するに足りないと認めるときは、その額を超えて補償金の額を定めることができる。